2022-02-02
2022-02-01
筋トレの害/『新トレーニング革命 初動負荷理論に基づくトレーニング体系の確立と展開』小山裕史
・『ロシアンパワー養成法』足立弘成
・筋トレの害
・『身体を芯から鍛える! ケトルベルマニュアル』松下タイケイ
・『動ける強いカラダを作る! ケトルベル』花咲拓実
従来より例(ママ)挙できる本来あってはならない悲観論と報告をピックアップすると次のようになります。
1.筋出力測定では【数値の向上が見られるのに、動きに】結びつかない。あるいは、スピードを失った。
2.筋肉は獲得(肥大)できたが、動きに結びつかない。あるは、スピードを失った。ex.腰、腕
3.スピード・トレーニングが可能だと言われるマシーンでトレーニングを行っているのに、実際動作でスピードが生まれない。
4.身体が硬くなった。ex.各関節可動領域の縮小
5.鍛えているのに故障が絶えない。ex.ハムストリングス、肩、前腕、手首、腰、膝、足首、足甲部
6.末端部(いわゆる小手先)の動作が目立つようになった。
7.【力がついたためか】、強引な動作が目立つようになった。
8.怪我の後のリハビリテーションを行った部位が痛む。また他の部位(近位を指す)に痛みが発生した。
9.持久力が失われた。
10.疲れやすい。
どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。すべて、トレーニングや筋肉に対する誤解、動作様式の無視から起こっています。特に、可変抵抗マシーン、チューブ・バネ弾性利用のトレーニングで、それが著しく誤認されています(特殊なものもあるかもしれませんが……)。
【『新トレーニング革命 初動負荷理論に基づくトレーニング体系の確立と展開』小山裕史〈こやま・やすし〉(講談社、1991年/新訂版、1994年)】
イチローが使っていたB.M.L.T.カムマシンで一躍有名になったのが初動負荷理論である。筋肉がリラックスした状態から負荷をかけて、一気に抜けるような動きなのだろうと想像する。例えば斧、大ハンマー、投網などの動きも初動負荷である。ボールを投げるのも力が必要なのは投げる瞬間だけだ。理に適(かな)っている。
ボディビルダーの場合、筋肥大が目的で彼らの筋肉は実用に即していない。一種の鎧(よろい)と考えていい。何を隠し、守るのかは知らないが。
古来、日本の武術家や武道家は筋トレを行っていない。筋肉を鍛えるのは昭和に入ってからの文化ではあるまいか。個人的には木村政彦以降のことだと考えている。
・B.M.L.T.カムマシン導入先一覧
マシンを使う動きが自然なものであるとは思えない。私にとってはケトルベルが初動負荷理論の実践である。
尚、本書は専門的な内容で参考になる部分もあるが、小山の他の著書については自己愛まみれの読むに堪(た)えない文章が多く、とてもおすすめできない。
ケトルベル入門/『身体を芯から鍛える! ケトルベルマニュアル』松下タイケイ
・『ロシアンパワー養成法』足立弘成
・『新トレーニング革命 初動負荷理論に基づくトレーニング体系の確立と展開』小山裕史
・ケトルベル入門
・『動ける強いカラダを作る! ケトルベル』花咲拓実
ケトルベルの歴史は古く、16世紀初頭には、ロシアでギラ(Girya)という名称で存在していました。この時代は、日本においては宝永年間(西暦1704~1710年)、あの有名な忠臣蔵事件の直後の時期にあたると言えば、その歴史の古さが実感できます。
【『身体を芯から鍛える! ケトルベルマニュアル』松下タイケイ(日貿出版社、2016年)以下同】
ケトルベルの特長は動的な筋トレが行える点にある。私は予予(かねがね)システマの動画を見る中で静的な筋トレに対して否定的な見解を持つに至った。なぜなら実際の運動において単調な上下運動など存在しないからだ。そこでチューブトレーニングに関心が向いたのだが、これまた負荷が抜けない不自然な動きであることに気づいた。じゃあ、ブルワーカーはどうだ? と考えたのだが、アイソメトリックに道具は必要ないとの結論に至った。
私がケトルベルに注目したのは必然であった。ケトルベルトレーニングは初動負荷理論とも合致している。緩急、強弱、メリハリによって筋繊維は鍛えられ、鍛えられた筋肉が有酸素運動をも可能にする。
ケトルベル・インストラクターコースの合格基準はいろいろあり、全部に合格しなければなりません。
参考までにレベル1の認定コース合格基準の一部を以下に抜粋します。
【50歳未満体重60kg以上の男性の場合】
●ワンアーム・スイング 24kgケトルベル 左右10回ずつ
●ゲットアップ 24kgケトルベル 左右1回ずつ
●ミリタリープレス 24kg左右5回ずつ
●クリーン 24kg左右5回ずつ
●ダブル・フロント・スクワット 24kg×2 5回
●スナッチ 5分以内に24kgで100回
私が持っているのは40ポンド(18.1kg)である。最初はあまりの重さに「失敗したかな」と思ったが直ぐに慣れた。上記の基準はどれ一つとしてクリアできない。ま、58歳だから勘弁してもらおう。現在はスイングを30回できる程度である。クリーンアンドプレスとスナッチは1回だ。いずれにせよ、無理をする必要はない。
スイングのコツはケトルベルを指に引っ掛けるように浅く持ち、なるべく重量を感じないように振ることだ。また、スクワットではないため膝を深く曲げる必要はない。更に腰痛を恐れて上半身を倒さないのも誤りだ。急いで持ち上げ、ゆっくり下ろす意識で行うと、かなり楽にできる。
当院でケトルベルトレーニングを採用した事例としては、90歳女性で路上歩行中に転倒して膝の皿を骨折した方へのリハビリが挙げられます。このケースでは、日常生活の中での上半身の運動性が、極めて少なくなることが予想されたので、ケトルベル・デッドリフトを提案しました。結果として、転倒による負傷以前以上に肩甲骨の可動領域がまして動きが向上し、下肢のリハビリも順調に進みました。(小野卓也:おの整骨院院長、SFGケトルベルインストラクター)
デッドリフトは床からケトルベルを両手で持ち上げるだけの簡単な動きである。はっきり言ってやる気も起きない。だが体力の衰えた老人であれば、それなりに効果があるのだろう。足に落とす危険性も少ない。
入門書としての出来は悪くないのだが、如何せん横書きのため嫌悪感を払拭することができない。尚、若い頃にある程度の運動を経験している男性であれば18.1kgをおすすめする。40代までなら迷うことなく24kgだろう。片手用であれば8~10kgを二つ用意すればいい。女性は6~12kgが目安となる。重ねて注意しておくが足に落とせば骨折は確実である。指なら確実に潰れることだろう。絶対に無理は禁物だ。
2022-01-31
砕氷船テーゼ/『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通
・『昭和の精神史』竹山道雄
・『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
・『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』水野和夫
・『小室直樹vs倉前盛通 世界戦略を語る』世界戦略研究所編
・小善人になるな
・仮説の陥穽
・海洋型発想と大陸型発想
・砕氷船テーゼ
・『新・悪の論理』倉前盛通
・『情報社会のテロと祭祀 その悪の解析』倉前盛通
・『自然観と科学思想 文明の根底を成すもの』倉前盛通
・『悪の超心理学(マインド・コントロール) 米ソが開発した恐怖の“秘密兵器”』倉前盛通
・『悪の運命学 ひとを動かし、自分を律する強者のシナリオ』倉前盛通
・『悪の戦争学 国際政治のもう一つの読み方』倉前盛通
・『悪の宗教パワー 日本と世界を動かす悪の論理』倉前盛通
・日本の近代史を学ぶ
・必読書リスト その四
米国は先に述べたように、日本と蔣介石麾下(きか)の国民政府軍とを戦わせて泥沼化させ、日本の疲弊(ひへい)を待ってから、日米戦を挑発(ちょうはつ)したのであるが、一方、毛沢東主席の方も、廷安に追いつめられ、国民政府軍に完全に包囲され、あと一歩で国外(ソ連へ)亡命の寸前まで追いつめられながら、張学良の起こした西安事件によって、「国共合作して対日抗戦をやろう」という方向へ大勢を転換させることに成功した、「したたかな悪党」である。
毛沢東が考えたことは「まず、蔣介石軍は日本軍に叩きつぶさせよ。中共軍は背後にかくれていて、決して日本軍の正面に出て戦ってはならぬ。勢力を温存しておくためである。そして、蔣介石軍の精鋭が壊滅したあと、日本軍を叩きつぶす役目は米国にやらせよう。そのためには、日本国内の仮装マルキストと共謀して、日米決戦を大声で呼号させよ。日本が支那大陸に大軍を残したまま、米国との戦争に入れば、海洋と大陸の両面作戦となり、疲弊した日本は必ず敗北するであろう。日本が敗北したあと、日本の荒らしまわった跡は、そっくり、われわれの手にいただくのだ」という大謀略であった。
この戦略は「砕氷船テーゼ」とよばれる地政学の最も邪悪なテーゼであり、レーニン、もしくはスターリンが提起したものといわれているが、ソ連内部の密教については、明確にされていないものが多いので、文献として明示できないのは残念である。スターリンも、この砕氷船テーゼを採用して、次のように考えていたといえる。
ドイツと日本を砕氷船に仕立てあげよ。ドイツがソ連へ攻めこんでこないよう、ドイツをフランス、英国の方向へ西進させよ。ヨーロッパ共産党はナチス・ドイツヘの非難を中止して、ドイツと英仏の開戦を促進させよ。また、日本が満州を固め、蔣介石と和解して、シベリアヘ北進してこないよう、日本と中華民国との間に戦争を誘発させよ。中国共産党は国民党内部に働きかけて対日抗戦論を煽(あお)れ。日本の共産主義者は偽装転向して右翼やファシショの仮面をかぶり、軍部に接近して、「暴支膺懲」「蔣介石討つべし」の対中国強硬論を煽れ。
日本が中華民国との戦闘行為に入ったら、できるだけ、これを長期化させるように仕向けよ。そのためには「長期戦論」「百年戦争論」を超愛国主義的論調で煽れ。日本と国民政府との和平工作は、あらゆる方法で妨害せよ。そして、長期戦によって疲弊した日本を対米戦に駆り立て、「米英討つべし」の強硬論を右翼の仮面をかぶって呼号せよ。
日独が疲れた頃を見はからって米国を参戦させよ。米国の力をかりて、ドイツと日本を叩きつぶしたあと、ドイツと日本が荒らしまわったあとは、そっくり、ソ連の掌中のものになるであろう。
大体、以上のようなものであったと推測されている。つまり、「共産主義者は自ら砕氷船の役目を演じて、氷原に突進し、これを破粋するためエネルギーを浪費するような愚かな真似をしてはならない。砕氷船の役割はアナーキストや、日本、ドイツのような国にまかせるように仕組み、われわれはその背後からついて行けばよい。そして、氷原を突破した瞬問、困難な作業で疲労している砕氷船を背後から撃沈して、われわれが先頭に立てばよいのだ」という狡猾(こうかつ)な戦略である。ロシア革命の前夜においても、アナーキストが砕氷船の役割を演じたが、十月革命後、アナーキストはことごとくレーニンの党によって処刑され消されてしまった。
第二次大戦では日本とドイツが砕氷船の役割を、まんまと演じさせられ、日独の両砕氷船が沈没したあとを、ソ連と毛沢東の中国と米国の三者が、うまく分け前をとり合ったわけである。ゾルゲや尾崎秀実〈おざき・ほつみ〉は、日本を砕氷船に仕立てるために多大の功績を残したソ連のエージェントであった。
尾崎秀実が対中国強硬論の第一人者であったこと、対米開戦を最も強く叫んだ人間であったことは、戦後、故意にもみ消されて、あたかも平和の使者であったかのごとく、全く逆の宣伝がおこなわれている。
【『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通〈くらまえ・もりみち〉(日本工業新聞社、1970年/角川文庫、1980年)】
・砕氷船理論 - Wikipedia
・敗戦革命 - 砕氷船テーゼ
・砕氷船のテーゼ ~ 日本共産党が「アメリカ反対」な理由 - 親子チョコ
外国からの侵略を経験したことがない日本は謀略に弱い。その意味では反植民地状態にあった明治外交の方が現在よりもはるかに強(したた)かであった。政治家に「国家的危機意識」があった。その後、大正デモクラシー~政党政治を経て日本の民主政は五・一五事件に至る。すなわち政党政治の行き詰まりから国民は軍部を支持したのである。これを軍部による独裁と見ると歴史を誤る。
大正デモクラシーと同時期に起こったのがロシア革命(1917年/大正6年)であった。大正デモクラシーは社会主義的な色彩の濃い民主政であった。個人の権利よりも、平等な社会制度の構築を目指した。ここに共産主義が付け入る余地があった。
それにしても頭がいい。砕氷船テーゼを考案したのは多分ユダヤ人だろう。ソ連建国の主要メンバーも殆どがユダヤ人であった。ヨーロッパの地で迫害や虐殺をくぐり抜けてきた彼らの知恵は英知と狡猾の幅を有する。
砕氷船を砕氷船たらしめるために第五列(スパイ)を送り込むのだ。何と用意周到なことか。しかも描く絵の構図が大きい。その壮大さに心惹かれてシンパシーを抱く者すら存在したことだろう。優れた論理や明るい理想には人の心をつかんで離さない力がある。
そしてあろうことかソ連が崩壊しても尚、第五列は生き続けているのだ。彼らは口々に平和を説き、人権を語り、平等を訴えながらポリティカル・コレクトネスを吹聴する。そして70年以上を経ても尚、日本軍の戦争犯罪を声高に糾弾し、中国・韓国を利する言論活動を至るところで行う。
この思想の力はあまりにも強靭だ。既にコミンテルンが存在しないにも関わらず自律運動が継続されているのだ。共産党はなくなっていないし、旧社会党勢力は立憲民主党で生き延びている。学術の世界は今でもほぼ真っ赤な色を維持している。また政権与党の公明党が完全な親中勢力の一翼を担っており、支持母体の創価学会は中国による不動産売買に手を貸しているとも伝えられる。
沖縄と北海道は籠絡(ろうらく)寸前の状況といってよい。どこかで国民の人気を集めた強権的な政権が誕生しない限り、中国の侵略を防ぐことはできないだろう。
一朝事ある時には、防衛ではなく満州を取りにゆく覚悟で臨むべきだ。
仮説の陥穽/『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通
・『昭和の精神史』竹山道雄
・『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
・『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』水野和夫
・『小室直樹vs倉前盛通 世界戦略を語る』世界戦略研究所編
・小善人になるな
・仮説の陥穽
・海洋型発想と大陸型発想
・砕氷船テーゼ
・『新・悪の論理』倉前盛通
・『情報社会のテロと祭祀 その悪の解析』倉前盛通
・『自然観と科学思想 文明の根底を成すもの』倉前盛通
・『悪の超心理学(マインド・コントロール) 米ソが開発した恐怖の“秘密兵器”』倉前盛通
・『悪の運命学 ひとを動かし、自分を律する強者のシナリオ』倉前盛通
・『悪の戦争学 国際政治のもう一つの読み方』倉前盛通
・『悪の宗教パワー 日本と世界を動かす悪の論理』倉前盛通
・日本の近代史を学ぶ
・必読書リスト その四
地政学は、その他の科学と同じように、いくつかの仮説によって構築された理論体系である。米国民主主義もソ連式共産主義も、虚構論理の代表例であるが、地政学も、それに劣らぬほどの虚構論理といえる。しかも、虚構論理というものは、一章の中にも述べたとおり、その「仮説性の大きさ」ゆえに、つねに人を陶酔させる作用を持っている。それは両刃(もろは)の剣であり、毒にも薬にもなる。
科学はすべて仮説群のうえに成立するものであることは、科学を学ぶ者の基本的な常識である。たとえば、ユークリッド幾何学は五つの公理群を前提として成立しているもので、それを別な公理群におき変えたリーマンが19世紀末に非ユークリッド幾何学を提示してみせた。また、絶対時間、絶対空間という大仮説の上(ママ)に構築されたニュートンの力学体系に対し、アインシュタインは時間と空間の概念を変えただけで相対性理論をみちびき出した。このように前提となる仮説を変更しさえすれば、科学の体系は根底から変わり得るものである。
社会科学の論理も例外なく大仮説のうえに構築されているものであるから、われわれは複雑な世界の動きを分析し、その中から、最適と思われる道を選択する際の武器として、さまざまの理論をためしてみてよいのであって、単なる道具にすぎないものを絶対視することは、人間としての智恵の浅さを示すものといえる。
地政学も、いうまでもなく、いくつかの仮説群から構成される地理科学、もしくは政治科学の一分野であるが、そのテーゼは、確かに国際的な政治戦略を策定する上で強力な武器として役立つ。したがって、地政学を知る者と、知らない者とでは、国際政治力学への理解度において雲泥(うんでい)の差が生じてくるであろう。
それゆえ、人間という愚かな生きものに対する洞察(どうさつ)の浅い軽率な人間は、地政学のといこになりやすい。「たとえ、地政学が虚構論理であろうとも、これに賭(か)ける」などという者が出現する。これが戦前のドイツや日本の一部の指導者がおちいった陥穽(かんせい)なのである。戦後になると丸山眞男氏のように、「たとえ戦後民主主義が虚構であろうとも、それに賭ける」という人が現われた。いずれも、科学の仮説群をわきまえていない小善人たちの自己陶酔というべきであろう。
【『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通〈くらまえ・もりみち〉(日本工業新聞社、1970年/角川文庫、1980年)】
ブログ内検索対応で「丸山真男」は正字(旧字)に変えた。また「うえ」と「上」が混在しているがテキスト通りである。
かつて「学問」は「労働」と反対に位置するものであった。昭和初期の頃は庶民や女性にとっては不要とされた。現在のアフガニスタンとさほど変わらぬ情況であった。高度経済成長を通して「学問」は「学歴」という通行手形となった。1990年代から始まったデジタル革命によって世界の高度情報化が推進されたが、学問が生かされているのは専門職に限られており、社会の推進力となるには至っていない。これが日本に限った実状であるとすれば、文部科学省と教科書の問題であろう。
例えば法学部や経済学部を卒業した善男善女は多いが、彼らが法律問題や経済問題を鋭く論及し、現状打開の方途を指し示し、規制改革や法改正に言及するという場面を私は見たことがない。憲法改正が遅々として一向に進まず、バブル崩壊後の失われた20年を漫然と過ごしたのも、学問の無力を見事に証明していると考える。
第二次大戦後、日本とドイツでは地政学を学ぶことを禁じられたという。アメリカを中心とする連合国は復讐を恐れたのだろう。第一次大戦の苛烈な制裁がヒトラーを誕生せしめた事実はまだ記憶に新しかった。アメリカは地政学が牙となり得ることをよく理解していたのだろう。
茂木誠が常々指摘するように地政学は生物学に近い。地理的条件とは国家が置かれた環境であり、国家という生きものはそこに適応するしかない。戦乱が続いたヨーロッパが落ち着いたのはウェストファリア体制(1648年)以降のことである。これに先んじていた「発見の時代」(Age of Discovery/大航海時代)で植民地獲得は進んでいたゆえ、「戦争を輸出した」と考えることもできよう。
特に好戦的なアングロサクソン系やアーリア系をどう扱うか、あるいは封じ込めるかが平和の肝である。
科学の強味は「仮説の自覚」がある点に尽きる。宗教には「絶対性の自覚」しかないゆえに独善を修正することが敵わない。
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