2013-07-12

『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘(祥伝社新書、2009年)

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

 第一次世界大戦で国力を使い果たした上に、多額の賠償金を課せられたドイツ。ようやく復興しようとした矢先に世界大恐慌に襲われ、国はボロボロの状態になっていた。しかし、ヒトラーが政権を取るや否や、経済は見る間に回復し、2年後には先進国のどこよりも早く失業問題を解消したのである。

 ヒトラーの政策は失業問題にとどまらない。労働者には有給休暇、健康診断、福利厚生が導入され、郊外住宅も用意した。食の安全やアスベスト対策など国民の健康にも目を配り、世界で初めて「禁煙」を掲げたのはナチス・ドイツである。大規模店舗法を定め、公務員の天下りも禁止した。これらの政策はいまも現役であることに驚く。現在の日本が見習うこと大である。

ヒトラーとケインズ(祥伝社新書203) (祥伝社新書 203)ワイマル共和国―ヒトラーを出現させたもの (中公新書 (27))ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944〈上〉ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944〈下〉

『民族音楽 詩曲 響~とよむ~』より「まつり」普久原恒勇〈ふくはら・つねを〉


普久原恒勇
普久原恒勇プロフィール
琉球の器楽曲、後生に 普久原恒勇
器楽曲の美 普久原恒勇「響」7月CD発売
『普久原恒勇』PiratsukaSpecial
【沖縄】戦後沖縄音楽界の礎を築いた普久原恒勇の功績を振り返る

2013-07-10

TVドラマ「HEROES」に見るキリスト教の影響

HEROES

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 で、結局見ました。最後まで。この文章を書くためにね。

 私がこのドラマを見た目的はアメリカ社会におけるスピリチュアリズムの影響を探ることであった。直ぐに気づいたのは超能力者を見る眼差しが日米で異なる事実であった。日本の場合は2ちゃんねらーがよく書く「ネ申」は人間を超越して神に近づく意味であると思われるが、アメリカの場合は明らかに「神の使い」すなわち天使的要素が強い。つまり神と超能力者の間に働くベクトルが正反対なのだ。

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 これがわかるとドラマは俄然キリスト教臭さを増す。カンパニーが教会で、サイラーは悪魔だ。クレアの父ノア・ベネット(※方舟建造者と同じ名前)は教会の忠実な僕(しもべ)。ネイサンとピーター兄弟はカインとアベル。ファイナル・シーズンに登場するカーニバルはジプシーを思わせるが位置的にはユダヤ人だろう。主役級の能力者(※ドラマ中で超能力者という言葉は使用されていない)であるピーターとクレアはイエス役を務める。

 日本人からするとドラマは終始、支離滅裂な展開となっている。もちろんキリスト教の支離滅裂ぶりに起因するものだ。物語は破綻をきたし、結局打ち切りとなったようだ。

 超能力への憧れ自体がアメリカ社会の行き詰まりを示している可能性は高い。経済的困窮が続くと人は英雄を待望するようになるものだ。

HEROES / ヒーローズ

Heroes

Heroes

2013-07-09

恐るべき才能/KOKIA - cocoro


 よもやこんな歌まで作れるとはね。恐れ入ったよ。一生ついてゆきます。やはり日本語は歌詞を節に乗せた方がよい。



aigakikoeru

「童神(わらびがみ)」古謝美佐子

天声人語の美しい嘘


 1982年に長崎を訪れたマザー・テレサは一枚の写真パネルに見入ったという。原爆に遭って全身に火傷(やけど)を負った被写体は、案内役として隣にいる山口仙二さんだった。「尊い今の仕事が続けられるよう、神があなたを生かしてくれた」と彼女は語りかけたそうだ▼2カ月後、山口さんは被爆者として初めて国連本部で演説をする。自らのケロイドの写真をかざし、叫ぶように締めくくった。「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウオー、ノーモア・ヒバクシャ」。世界がその声を聞いた▼6日に82歳で亡くなった山口さんは、14歳のときに被爆した。傷だらけの体を引きずって立ち上がり、生涯を被爆者援護や核廃絶のために捧げた人だった▼運動に身を投じる前、絶望に沈んで自殺を図ったことがある。20歳の夏、カミソリで手首を切って大の字になった。気がつくと、シャツの袖で血が固まっていたという。「また生かされた」との思いが新たな出発点になった▼かつて出版した自分史を『115500平方メートルの皮膚』とした。奇妙な題名は、長崎原爆で死傷した人の数から、熱線に灼(や)かれた皮膚の総面積を概算したものだ。「肉体だけでなく、それぞれの生き方にまで及ぼした歪(ゆが)みの深さは、いったいどうやって測るべきか」と厳しく問いかけた▼人類が手にした凶暴な兵器は人類の手で葬るしかなく、魔法の杖はどこにもない。間もなく戦後68年の夏が巡る。遺(のこ)された志の松明(たいまつ)を、次の時代が燃やし続けたい。

【天声人語/朝日新聞 2013-07-09】

 原発事故直後、真っ先に記者を避難させた新聞社が記す美しい文章の意味を考える。文字はいくらでも嘘をつける。

 朝日新聞は事故の翌日の3月12日には記者を30キロ圏内に入れないことを決定し、原発から45kmにあるいわき支局の記者さえも福島総局と郡山支局に移したとされています。

マスメディアの集団職務放棄

ナガサキの被曝者たち 山口仙二の生き方・1/原点
ナガサキの被曝者たち 山口仙二の生き方・2/仲間

スノーデン事件、香港で短編映画化





ソニー デジタルスチルカメラ Cyber-shot RX1(35mmフルサイズCOMS) DSC-RX1

ソニー デジタルスチルカメラ Cyber-shot RX1(35mmフルサイズCOMS) DSC-RX1

 35mmフルサイズセンサー搭載。レンズ一体型カメラだからこそ実現した、最高画質とコンパクトの両立。有効約2430画素、35mmフルサイズ“Exmor”CMOSセンサー。新開発、カールツァイス「ゾナーT」35mm F2 単焦点レンズ。ぼけの美しさにこだわった9枚羽根円形絞り。ISO100-25600の幅広い感度領域。クリアな音声を記録・再生するステレオマイク&モノラルスピーカー。目で見たままの印象を再現する「オートHDR(ハイダイナミックレンジ)」。瞬間を逃さずキャッチする、最高約5コマ/秒の高速連写。

ソニーデジカメ、大化け 25万円「RX1」グランプリ受賞 「ブランド力、手に」
ソニーのデジタルスチルカメラ“サイバーショット”『DSC-RX1』 カメラグランプリ2013「大賞」を受賞

2013-07-08

『良い戦略、悪い戦略』リチャード・P・ルメルト:村井章子訳(日本経済新聞出版社、2012年)

良い戦略、悪い戦略

 目標、努力、ビジョン、価値観……曖昧な言葉で達成不可能な「悪い戦略」を立てていませんか? 「戦略の大家」と呼ばれる世界的権威が、豊富な企業事例から「良い戦略」を立てるための思考法と実行法を徹底解説!

2013-07-06

「ブッダの生涯」(BBC)



小説ブッダ―いにしえの道、白い雲

等身大のブッダ/『小説ブッダ いにしえの道、白い雲』ティク・ナット・ハン

泉田知事、東電社長に不快感~原発再稼働めぐり (動画あり)


◆柏崎刈羽 再稼働協議決裂 地元了解前の申請も

 東京電力の広瀬直己社長は五日、新潟県の泉田裕彦知事と面談し、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働を原子力規制委員会に申請することへの理解を求めようとしたが、物別れに終わった。広瀬社長は知事ら地元が申請を了解しない場合でも、申請に踏み切る可能性があることを示唆した。

 この日の面談で、知事は東電が地元の了解のない段階で、持ち回りの役員会で再稼働申請する方針を決めたことに抗議。了解もないまま新基準で必要とされるフィルター付きベント(排気)設備の工事を始めたことにも抗議した。ベント設備に関する話が終わらないうちは、再稼働の話をするつもりはないと迫った。

 広瀬社長は「地元に説明してから申請することを決めた。申請を決めたわけではない」と弁解した。知事は東電と地元自治体が結ぶ原発の安全協定に基づき、ベント設備の設置では規制委への審査申請前に県の了解を得るよう繰り返し要求。しかし、社長は「申請と事前了解は同時並行的にできる」と含みを残した。

 知事はさらに「なぜ(再稼働を)急ぐのか。安全や信頼よりもお金を優先したのか」「安全協定は地元との約束なのに。うそをつく会社か」などと追及。広瀬社長は「三期連続の赤字は何としても避けたい」「申請して審査を受けるのは安全確保のため」と苦しい説明に終始した。

 面談後、報道陣の質問に答えた広瀬社長は新基準が施行される八日の申請は「難しい」との認識を示し、再度面談したい考えを示した。了解が得られない間は申請はしないのかと問われると、「これから考える」と言葉を濁した。

 広瀬社長は夜、急ぎ都内に戻り経済産業省資源エネルギー庁の上田隆之長官に報告。しっかり地元に説明するよう指示されたという。この後も報道陣から了解なしの申請はないのか確認されると「まだ考えていない」と繰り返した。

東京新聞 2013年7月6日

2013-07-04

バイロン・ケイティは現代のアルハットである/『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル


『ものぐさ精神分析』岸田秀
『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ
『生きる技法』安冨歩
『消えたい 虐待された人の生き方から知る心の幸せ』高橋和巳
『どんなことがあっても自分をみじめにしないためには 論理療法のすすめ』アルバート・エリス
『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』岸見一郎、古賀史健
『悟りの階梯 テーラワーダ仏教が明かす悟りの構造』藤本晃
『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル
『手にとるようにNLPがわかる本』加藤聖龍
『NLPフレーム・チェンジ 視点が変わる〈リフレーミング〉7つの技術』L・マイケル・ホール、ボビー・G・ボーデンハマー
『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー
『未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する』城ノ石ゆかり
『マンガでわかる 仕事もプライベートもうまくいく 感情のしくみ』城ノ石ゆかり監修、今谷鉄柱作画
『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』由佐美加子、天外伺朗
『無意識がわかれば人生が変わる 「現実」は4つのメンタルモデルからつくり出される』前野隆司、由佐美加子
『ザ・メンタルモデル ワークブック 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフト』由佐美加子、中村伸也
『過去にも未来にもとらわれない生き方 スピリチュアルな目覚めが「自分」を解放する』ステファン・ボディアン

 ・バイロン・ケイティは現代のアルハットである
 ・認識のフレームを転換するメソッド

『人生を変える一番シンプルな方法 セドナメソッド』ヘイル・ドゥオスキン
『タオを生きる あるがままを受け入れる81の言葉』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース
『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる』那智タケシ
『二十一世紀の諸法無我 断片と統合 新しき超人たちへの福音』那智タケシ
『気づきの視点に立ってみたらどうなるんだろう? ダイレクトパスの基本と対話』グレッグ・グッド
『ダイレクトパス ユーザーガイド』グレッグ・グッド
『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』エックハルト・トール
『ニュー・アース』エックハルト・トール
『覚醒の炎 プンジャジの教え』デーヴィッド・ゴッドマン

虐待と知的障害&発達障害に関する書籍
悟りとは
必読書リスト その五

 世界にはたった3種類の領域しかありません。私の領域、あなたの領域、そして神の領域です。私にとって、神という言葉は「現実」を意味します。現実こそが世界を支配しているという意味で、神なのです。私やあなた、みんながコントロールできないもの、それが神の領域です。
 ストレスの多くは、頭の中で自分自身の領域から離れたときに生じます。「(あなたは)就職した方がいい、幸せになってほしい、時間通りに来るべきだ、もっと自己管理する必要がある」と考えるとき、私はあなたの領域に入り込んでいます。一方で、地震や洪水、戦争、死について危惧していれば、神の領域に入っていることになります。私が頭の中で、あなたや神の領域に干渉していると、自分自身から離れてしまうことになります。

【『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル:ティム・マクリーン、高岡よし子監訳、神田房枝訳(ダイヤモンド社、2011年/安藤由紀子訳、アーティストハウスパブリッシャーズ、2003年)】

 私が「現代のアルハット(=阿羅漢)」と考える人物は二人いる。その筆頭格がバイロン・ケイティである(もう一人はジル・ボルト・テイラー)。彼女は元々悪い母親であった。ところが病気を通して悟りを得る。そこから導き出されたのが「ザ・ワーク」である。

 相手(もちろん自分でも構わない)の悩みに対して四つの質問をするだけという極めてシンプルなものだ。

「それは本当でしょうか?」
「その考えが本当であると、絶対言い切れますか?」
「そう考えるとき、(あなたは)どのように反応しますか?」
「その考えがなければ、(あなたは)どうなりますか?」

 たったこれだけだ。だがこの深遠なる問いによって悩みは完全に相対化されるのだ。つまりブッダの説法と同じ原理だ。ま、論より証拠、見てごらんよ。


 凄い……。何が凄いかって、彼女は全く誘導していないのだ。にもかかわらず問い掛けるだけで、相手は自ら問題の本質を悟っている。つまり、「世界が変わった」のだ。バイロン・ケイティが言うところの「ストーリー」と私が常々触れている「物語」とは全く同じ意味だ。

 彼女は「領域」という言葉で異なる世界を表現している。親が子に「お前はこうするべきだ」と語る時、子は親の所有物と化していることが多い。親はよかれと錯覚しながら、子の人生を操縦しようとするのだ。教育や宗教も同様であろう。

 感化と言えば聞こえはよい。だがブッダは感化を否定している。


 もちろんクリシュナムルティも否定している。

 学びとは理解することを愛し、ものごとをそれ自体のために行なうことを愛することを含蓄している。学びは、一切の強制がないときにだけ可能である。そして強制は、さまざまな形をとるのではないだろうか? 感化、固執、脅し、言葉たくみな激励、あるいは微妙な形の報いによる強制があるのだ。

【『未来の生』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1989年)】

 たとえその子が、彼に対するあなたの愛ゆえにいたずらをやめたとしても、それでは一種の感化であり、それは本当の変化でしょうか。それは愛かもしれませんが、それでも、何かをしたり、何かになるようにという、その子に対する一つの形の圧力です。そしてあなたが、子供は変化しなければならないと言うとき、それはどういうことでしょう。何から何への変化でしょうか。ありのままの彼が、【あるべき】彼に変化するのでしょうか。あるべき彼に変化するなら、彼はかつての自分を単に修正しただけであり、それゆえにまったく変化ではないのでしょう。

【『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司〈ふじなか・たかし〉訳(平河出版社、1992年)】

 バイロン・ケイティのワークは在りし日のブッダを彷彿(ほうふつ)とさせる。ブッダもクリシュナムルティも「偉大なる問い」を発する人であった。安易な答えを人々に教えるだけであれば、彼らの名前はこれほどの響きを持たなかったはずだ。

 占ってもらう必要はない。祈ってもらう必要もない。本書を開いてただワークシートに記入するだけでよいのだから。



すべてが私を支えている/『探すのをやめたとき愛は見つかる 人生を美しく変える四つの質問』バイロン・ケイティ
血で綴られた一書/『生きる技法』安冨歩
序文「インド思想の潮流」に日本仏教を解く鍵あり/『世界の名著1 バラモン教典 原始仏典』長尾雅人責任編集、『空の思想史 原始仏教から日本近代へ』立川武蔵
『歴史的意識について』竹山道雄

もっと口を開いて歌え/「世界の終わりに」KOKIA


 ライブで堂々と物販の販促を行う姿を見て、私はKOKIAから少し距離を置いた。たぶん幼女のように天真爛漫で、子供みたいな精神の持ち主なのだろう。それが証拠に彼女の話し声は典型的なアニメ声で自閉傾向が顕著だ。天性の美声が不明瞭な発音のせいで魅力を損なっている。学生時代に声楽をしていたため喉は開いているのだろうが、如何せん口が開いていない。顎の力も見るからになさそうだ。小さな口を開かないのだから歌詞が実に聞き取りにくい。演劇さながらの発声練習をすればよいと思う。誰か伝えてあげて。(※一番下の動画に歌詞あり)









Coquillage~The Best Collection II~

2013-07-03

久坂部羊、アルボムッレ・スマナサーラ、クリス・ヘッジズ、ロバート・B・パーカー、吉田繁治、苫米地英人、他


 5冊挫折、7冊読了。「王様のレストラン」、「こんな恋のはなし」!、「HEROES / ヒーローズ」とドラマ漬けであったため書くのを失念。蜘蛛の糸のようなはかない記憶を頼りに記しておく。

古代インド』中村元〈なかむら・はじめ〉(講談社学術文庫、2004年)/当てが外れた。アーリア人の成り立ちについて知りたかったのだが、単なるインド古代史であった。

古代インド文明の謎』堀晄〈ほり・あきら〉(吉川弘文館、2008年)/威勢のいい牽強付会。小さな合理性で全てを押しのけてみせる。物事の大小を理解していないように見受けられる。

富の未来(上巻)』アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー:山岡洋一訳(講談社、2006年)/傲慢極まりない文章に耐えることができなかった。たぶん彼はユダヤ人だろう。

モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』マイケル・バー=ゾウハー、ニシム・ミシャル:上野元美訳(早川書房、2013年)/若い頃愛読した作家だ。私にとってパレスチナ人は同胞であるため、イスラエル礼賛本は唾棄すべき対象でしかない。

歴史の終わり(上)歴史の「終点」に立つ最後の人間』フランシス・フクヤマ:渡部昇一訳(三笠書房新装版、2005年)/著者が40歳でものした本を50になろうとする私が読めないのが業腹だ。今はとにかく時間が惜しい。私にとっては不要な書籍だ。

 22冊目『モーツァルトとレクター博士の医学講座』久坂部羊〈くさかべ・よう〉(講談社、2012年)/話し言葉で書かれているため最初は侮っていたが、「ウン?」と思っているうちに読み終えてしまった。私が引っ掛かったのは「少量の毒」に対してである。久坂部羊には恐ろしいことをさらりと言ってのける胆力がある。時折、挿入されるマンガの知識も楽しい。

 23冊目『原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話』アルボムッレ・スマナサーラ(佼成出版社、2003年)/やはりスマサーラ長老の本は勉強になる。日本人が書いたどの仏教書よりもピンと来る。ただし私は彼の説明能力を評価しているだけで、根本的な立場が異なる。私は来世を信じない。

 24冊目『本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄』クリス・ヘッジズ:伏見威蕃〈ふしみ・いわん〉訳(集英社、2004年)/読んでおくべきデータ本。特に文章を書く人は。

 25冊目『背信』ロバート・B・パーカー:菊池光〈きくち・みつ〉訳(ハヤカワ文庫、2008年)/好きな作家の衰えを目の当たりにすることは悲しい。訳者も老いた。既にハードカバーは出版されていないようだ。

 26冊目『冷たい銃声』ロバート・B・パーカー:菊池光〈きくち・みつ〉訳(ハヤカワ文庫、2009年)/マチズモの限界。ホークの人物像を記す履歴書みたいな代物。スペンサーとスーザンのやり取りも薄気味悪い。

 27冊目『マネーの正体 金融資産を守るためにわれわれが知っておくべきこと』吉田繁治〈よしだ・しげはる〉(ビジネス社、2012年)/絶賛に値する。天野統康〈あまの・もとやす〉を先に読めば一層理解が深まる。こんな日本人がいたとはね。信用創造に興味のある人は必読のこと。唯一の瑕疵はシルビオ・ゲゼルに対する批判で、これは見当違い。スタンプ紙幣は地域通貨である。400ページで1900円という破格の値段。一家に二冊置いてもいいくらいだ。

 28冊目『宗教の秘密 世界を意のままに操るカラクリの正体』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(PHP研究所、2012年)/キリスト教の歴史、仏教の哲学、そして現代の宗教である「お金教」に斬り込む。GDP本位制というアイディアはさすが。ただし本書の目的は第4章にあるのだろう。「私が代表理事を務める一般財団法人日本催眠術協会」への誘導だ。苫米地は巧みに仏教を語りながらも、常に「私」というエゴを前面に出す悪癖がある。これ自体が仏教とは無縁の生きざまを示しているように見えてならない。

クリシュナムルティ「自我の終焉」


クリシュナムルティはアインシュタインに匹敵する
コミュニケーションの本質は「理解」にある
・クリシュナムルティ「自我の終焉」
クリシュナムルティの三法印



自我の終焉―絶対自由への道

2013-06-28

目撃された人々 40

2013-06-23

『孫子・呉子』村山孚〈むらやま・まこと〉訳(徳間書店、1996年)

孫子・呉子 (中国の思想)

 戦いもまた人間の営みならば、人間をよく知る者こそが勝利する。激動の時代と人間の探究から生まれた兵法哲学「武経七書」の精髄に、あらたに一編を加えた。「中国の思想」新装改訂増補版。

情報エントロピーとは/『シャノンの情報理論入門』高岡詠子


 情報エントロピーとは、

「事前に分かっている情報がどれくらいあるかということを知るための尺度」

反対に言うと

「今、そのことについて自分がどれだけ無知かを表すための尺度」

ですから、【情報エントロピーが大きい状態】とは、

「なにか情報を得る前になにも分かっていない」
「今、そのことについて自分がなにも情報を持っていない」

ということです。つまり、

「結果の予測がつかないということであり、情報として曖昧であり、十分とはいえない」

ことを示しているのです。ということは【エントロピーが大きい状態とはこれから得る情報のありがたさが非常に大きい】ということになります。これから得る情報の期待値が高いというわけです。ですから【情報を受ける側としてエントロピーが大きい事象に関する情報はありがたい情報】なわけです。反対に【情報エントロピーが小さい】ということは、予測がしやすいことでもあり、すでに十分な情報が得られているので、これからそのことに関して情報を受け取ってもちっとも嬉しくないというわけです。  自然科学において、エントロピーというのは「システムの乱雑さの尺度」とか「偏りのほとんどない状態」とか表現されています。「体型の中の粒子の細かい多様性」「分からなさなの度合い」などとも言われており、式

S=klogW

で表されます。式の形も意味的にも、情報エントロピーと非常によく似ています。

【『シャノンの情報理論入門』高岡詠子(講談社ブルーバックス、2012年)】

 すっきりしない説明だ。「情報として曖昧であり、十分とはいえない」が「情報のありがたさ」と結びつかない。つまり私が今置かれている状況は、情報エントロピーは大きいのだが本書の説明は決してありがたいものではない、ということになる。

情報エントロピー 【 information entropy 】
情報エントロピーとは
情報エントロピー
情報エントロピー 衝撃度(自己情報量)の期待値
情報理論 - エントロピー

 わからん。これだけ読んでもさっぱり理解できないよ。

情報って何だろう?

 少しだけわかったような気分だ。梅雨空の向こうに辛うじて夕焼けが覗いている。

 さほど情報理論に興味があるわけではない。私が求めているのは、例えば「システィーナ礼拝堂天井画」のエントロピーであり、「マタイ受難曲」のエントロピーである。更に詩歌のエントロピーやマンダラ&マントラに至るエントロピーなのだ。

 情報エントロピーが無限に大きい状態が多分「悟り」なのだろう。まだ悟っていないので、せめて期待値だけでも上げておくか(笑)。

 情報理論の道を拓いたクロード・シャノンは一輪車に乗りながらジャグリングができた。なんと愛すべき人物なのだろう。

シャノンの情報理論入門 (ブルーバックス)

情報理論の父クロード・シャノン/『インフォメーション 情報技術の人類史』ジェイムズ・グリック

2013-06-20

『国家破産 これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと』吉田繁治(PHP研究所、2011年)

国家破産・これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと

 この明白な事実を、政府・財務省・マスコミは必死で隠している。日本経済への悲観論にも楽観論にも引導を渡す決定版。ビジネスメールマガジンNO.1、「ビジネス知識源」の発行人による渾身の書下ろし。債務危機からギリシア化する世界、財政破産後の姿も書いてある。

2013-06-14

自民党が発信しているメッセージ

2013-06-09

斧チャン再開


 こちらで紹介し切れないものをアップしてゆく。不定期更新。

斧チャン

米国の無人爆撃機を操縦していた若者の回想


北丸雄二の音声ファイル
北丸雄二・宮台真司が語る【安倍首相がアメリカ議会で国粋主義者と呼ばれている件】
殺人ロボット凍結、国連で討議へ 検討委開催も勧告

2013-06-08

被災小学生が発行した壁新聞/『宮城県気仙沼発! ファイト新聞』ファイト新聞社


 2011年3月11日――東日本大震災は日本人の時間概念を変えた。時計が止まってしまったような感覚を覚える人も多いのではあるまいか。その後の管政権の対応を見て「ああ、日本は国家として終わったな」と私は感じた。人の命や苦しみを軽んじる国家が国家として成り立つわけがない。震災は今もなお原発問題などの形で日本を揺らしている。

 五十近いオヤジが日本に愛想を尽かしていた頃、被災地の宮城県で壁新聞を発行した小学生がいた。

 わたしは 手がみや えをかくことが大すきです。
 パパやママにかくとよろこんでくれます。
 ひなん所の人にも、あげたかったけど
 かわいいびんせんがありません。
 みんなしらない人だし、元気がないです。
 白い、大きな かみがあったので、
 新聞みたいに4コママンガや、ニュースをかいて、みなさんに、元気になってほしいとおもいました。
 さいしょは吉田新聞にしよーとおもったけど
 元気が出るよーに、ファイト新聞にきめました。
 よんだ人から、ほめられたり、えがおではなしをしてくれたら、わたしも元気になりました。

 吉田 りさ

【『宮城県気仙沼発! ファイト新聞』ファイト新聞社(河出書房新社、2011年)以下同】

 偉いっ! 私はキリスト教を信じないが君こそ天使だと思うぞ。思わず頬ずりしたくなるほどだ。初代編集長のりさちゃんは当時7歳。きっと親御さんの心掛けがいいんだろうね。ファイト新聞の実物については以下を参照されよ。

宮城県気仙沼発!ファイト新聞:河出書房新社
こどもの日なので…気仙沼小学校体育館の「ファイト新聞」

 しかし凄いよね、ネーミングが。目にした人々は心の中で「ファイト!」と読んでしまうわけだから。りさちゃんの一念が読者を通して次々と反響していったに違いない。「気合い」じゃダメだ。「根性」にも無理がある。「頑張ろう」だと暗い。どう考えても「ファイト」以外の適切な言葉が見つからない。「ファイト!」と呼び掛けられれば、「オー!」と応えるのが道理だ。「ファイト!」という文字を読めば、自然に自分が「オー!」と応じてしまう。

 18日付で発行された紙面は翌日付から何とカラーになる。

 昨日、えのもとかな子さまや大魔神で有名な佐々木さんなどが気小(※気仙沼小学校)に来ました。いっぱい写メをとったり、サインをもらったり、あくしゅをしたりしました!!(3月30日付)

 なかなか本格的な記事である。時にはローカルねたも書かれている。

 昨日の西村さん

・酒をのむ
・たくさんのむ
・さわぐ
・顔が赤い
・しつこい
・「しょせん おやじってそんなもんか」
・「○レ○チ学園」をすすめる

※酔いがさめたら ぜったいに こうかいする(4月13日付)

 西村さんの赤面が目に浮かぶ。

 編集部員の中には親御さんを喪った子供もいた。それでも尚、誰かのために何かを為したいという心に救われる思いがする。

 君たちは多くの大人に勇気と希望を与えた。否、君たちの存在こそ希望そのものである。どうか日本を救ってください。お願いします。私は君たちについてゆきます。

 子供たちの顔を見てもらいたいので大きな画像を貼りつけておく。

宮城県気仙沼発! ファイト新聞

大川小の行方不明者捜索自衛官に勇気を与えた小学生の手紙

マイケル・シャーマー「自己欺瞞の背後にあるパターン」


「脳の中には信用する仕組みがある」。疑似科学擬似相関と宗教には親和性がある。相関関係を因果関係と誤読することで物語が生まれるのだ。「努力は必ず報われる」という論法も一緒だ。


マイケル・シャーマーと疑似科学
相関関係=因果関係ではない/『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン
宗教の原型は確証バイアス/『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン

レイ・カーツワイル:今後現れるシンギュラリティ(技術的特異点)を学ぶ大学



ムーアの法則
世界的権威レイ・カーツワイルが、グーグルで目指す「究極のAI」
理論物理学者のミチオ・カク氏。ムーアの法則はこの10年で終わり、次は分子コンピュータとの見通しを語る
レイ・カーツワイル

ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】レイ・カーツワイル加速するテクノロジーサイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か2045年問題 コンピュータが人類を超える日 (廣済堂新書)

2013-06-07

目撃された人々 39

目撃された人々 38


中古ランドセル:アフガンの子の喜ぶ姿見て 写真集出版


 内戦が続くアフガニスタンの子どもたちに、日本の中古ランドセルを届ける運動が今年で10年目を迎えた。ランドセルを大事にしながら勉強に励む子どもたちの姿を見てもらおうと、東京都杉並区在住の写真家、内堀タケシさん(57)が写真集「ランドセルは海を越えて」(ポプラ社、1470円)を出版した。内堀さんは「目を輝かせて喜ぶ子どもたちの姿を多くの人に見てもらいたい」と話している。

 ランドセルは丈夫で、6年間使われた後も使用可能なものが多い。大手化学メーカーのクラレが、公益財団法人「ジョイセフ」(東京都新宿区)と協力し、「ボランティアとリサイクルにつながる」と2004年に運動をスタートした。ネットなどでランドセルを募集し、これまでに鉛筆やノートと一緒に10万個以上を届けてきた。

 内堀さんは01年から毎年、アフガニスタンを訪れ、現地の市民生活を記録してきた。運動に携わっている知人から「送ったランドセルがどうなっているか見てきてほしい」と頼まれ、05年に東部の要衝ジャララバードを訪問。その後は自身も運動に加わり、毎年現地で子どもたちを撮り続けてきた。

 写真集では、子どもたちが中古ランドセルをにこにこと見つめる様子や、軍用機が飛び交う中、「青空学級」でランドセルを机代わりに勉強する風景などを紹介している。内堀さんは「日本人にとって何でもないものが、現地の子にとっては一生の宝物になることを知ってほしい」と話している。

毎日jp 2013-06-07

公式サイト

ランドセルは海を越えて (シリーズ・自然 いのち ひと)

テンプル・グランディン:世界はあらゆる頭脳を必要としている



我、自閉症に生まれて自閉症感覚―かくれた能力を引きだす方法 動物感覚―アニマル・マインドを読み解く動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド
自閉症者の可能性/『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン
宗教の原型は確証バイアス/『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン
オフィスの全員が発達障害者

2013-06-04

青木健、天野統康、呉智英、スティーヴン・ホーキング、他


 4冊挫折、3冊読了。

古代オリエントの宗教』青木健〈あおき・たけし〉(講談社現代新書、2012年)/好著。ただ私の興味範囲ではなかった。青木は宗教学の新進気鋭。文章にもキレがある。

世界を騙しつづける科学者たち(上)』ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ:福岡洋一訳(楽工社、2011年)/構成が悪くスピード感を欠く。

宇宙の起源』チン・ズアン・トゥアン:南条郁子訳(創元社「知の再発見」双書、1995年)/五十近くなると「知の再発見」双書はもう読めない。2倍の大きさにしないと無理だろう。アインシュタインの手稿あり。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上)』スティーグ・ラーソン:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利訳(早川書房、2008年/ハヤカワ文庫、2011年)/満を持して読んだのだがダメだった。翻訳の文体が肌に合わない。

 19冊目『サヨナラ!操作された「お金と民主主義」 なるほど!「マネーの構造」がよーく分かった』天野統康〈あまの・もとやす〉(成甲書房、2012年)/ふざけたタイトルと成甲書房というだけで避ける人がいるに違いない。ところがどっこいマネーの本質に斬り込む良書である。時折筆が走りすぎるキライはあるものの、ファイナンシャルプランナーの強みを生かしてわかりやすい図を多用。宋鴻兵〈ソン・ホンビン〉を始めとする引用文献が説得力に磨きを掛けている。フランシス・フクヤマ著『歴史の終わり』も含まれる。信用創造に触れるのはどうやらタブーらしく、宋鴻兵〈ソン・ホンビン〉の著作はいずれも絶版となっている。岩本沙弓〈いわもと・さゆみ〉と天野統康に注目。

 20冊目『つぎはぎ仏教入門』呉智英〈くれ・ともふさ〉(筑摩書房、2011年)/『知的唯仏論』を読めばやはり本書を避けては通れない。視点は面白いのだがこの人の頑迷な性格が文章に表れている。決めつけてしまえば、もう自由なものの見方はできなくなる。ま、仏教界に問いを突きつけているわけだから仏教関係者は読むべきだろう。宮崎哲弥の評価はチト甘いと思う。宮崎の知識と比べても拙劣な印象を拭えない。

 21冊目『ホーキング、未来を語る』スティーヴン・ホーキング:佐藤勝彦訳(アーティストハウス、2001年/ソフトバンク文庫、2006年)/『ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで』の続篇。とにかく図が素晴らしい。図だけでも買いだ。アーティストハウス版をオススメしよう。性格が悪いことで知られるがやはりこの人の説明能力は抜きん出ている。佐藤御大の訳もこなれている。チンプンカンプンでもお経のように読めてしまうのだから凄い。で、順番からいうと本書の次にレオナルド・サスキンド著『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』を読むといい。

2013-06-03

『歴史の終わり』フランシス・フクヤマ:渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉訳(三笠書房、1992年/新装版、2005年)

歴史の終わり〈上〉歴史の「終点」に立つ最後の人間歴史の終わり〈下〉「歴史の終わり」後の「新しい歴史」の始まり

 なぜ今一つの歴史が終わるのか! 幻想のうちに崩壊した「自由の王国」。社会進歩のメカニズムと新しい歴史を創造させるエネルギーとは。現代史を総括する歴史的教訓。

 これから歴史はどう進展するのか。特に本書の結末に示された「指導原理」は、欧米とは異質な歴史背景をもつ日本人にはきわめて重要だ。

 かつて、これほど世界中で話題をさらった歴史書はない。人間の可能性とゆくえを鋭く示唆し、実に歯ごたえのある本だ。いまの日本人にとって一番必要なのは、この本で説く「気概」ではなかろうか――訳者・渡部昇一

2013-06-02

『豆腐屋の四季 ある青春の記録』松下竜一(講談社文庫、1969年/講談社文芸文庫、2009年)

豆腐屋の四季 ある青春の記録 (講談社文芸文庫)

 泥のごとできそこないし豆腐投げ怒れる夜のまだ明けざらん――零細な家業の豆腐屋を継ぎ病弱な体を酷使する労働の日々、青春と呼ぶにはあまりに惨めな生活の中から噴き上げるように歌は生まれた。そして稚(おさ)ない恋の成就……1960年代の青春の煌(きらめ)きを刻印し、世代を超えて読み継がれた本書には、生涯、命と暮しを侵す権力に筆と肉体で闘いを挑み続けた作家の揺るぎない「草の根」の在り処が示されている。

2013-06-01

Kenyan High School High Jump (OFFICIAL)


 若者よ跳べ。徹底して重力に抗(あらが)え。




Young Man - Mr. Israel - Kalenjin Song

2013-05-29

目撃された人々 37


2013-05-28

Danang International Fireworks Competition 2013


 微速度撮影の動画が好きだ。不思議なほど好きだ。人生の縮図と思えてならないからだ。「自我と反応に関する覚え書き」でも紹介した。まるで走馬灯のようだ。人の一生は花火みたいなものかもしれない。ってなわけで花火の動画を(笑)。これ、ズルいよね。効果音と音楽が絶妙だもの。わずか1分30秒でめくるめく変化を堪能できる。せわしないコマ送りの中で人々が悩んだり苦しんだり考えたり祈ったりしていることが信じられなくなる。

Danang International Fireworks Competition 2013 from Rob Whitworth on Vimeo.

藤原正彦


 1冊読了。

 18冊目『心は孤独な数学者』藤原正彦(新潮社、1997年/新潮文庫、2000年)/記憶に残る文章をいくつか見つけたのだが多分初めて読む。ひょっとしたら『天才の栄光と挫折 数学者列伝』と部分的に重複しているのかも。ニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンの3人を取り上げたエッセイ。『天才』と比べると文章にムラがある。ま、それでも面白いのだけれど。藤原の特長は数学者としての合理性と日本人的感情の激しさにある。新田次郎と藤原ていを知る人であれば、彼の文章にご両親の面影を浮かべることだろう。性格はややお母さん似か。日本人であるがゆえにアウトサイドから偉人を見つめることが可能となった。そして数学者としての共感や羨望が絶妙なアクセントを奏で、旅情の色彩を濃いものにしている。

2013-05-27

「解放者」米兵、ノルマンディー住民にとっては「女性に飢えた荒くれ者」


 第2次世界大戦(World War II)中の仏ノルマンディー(Normandy)上陸作戦に参加した米軍兵士たちは、フランスをナチスドイツ(Nazi)から解放した勇敢な英雄として描かれてきた。そうした「若いハンサムな米兵さん」のイメージに隠された負の側面を明らかにした研究書が来月、米国で出版される。

 6月に刊行予定の「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France(兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵」は、米ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)のメアリー・ルイーズ・ロバーツ(Mary Louise Roberts)教授(歴史学)が、米仏で膨大な量の第2次大戦中の資料を研究してまとめた著作だ。

 研究の趣旨についてロバーツ教授は、「GI(進駐軍兵士)はたくましい男で、常に正義に基づいて行動するとの典型的な『GI神話』の偽りを暴き出すことだった」と、AFPに語った。教授によると、米軍では当時「フランス人に対して優位に立つ」手段として性欲、買春、レイプが取り入れられていたという。

 米兵たちは、ノルマンディーの人々から「性のアバンチュール」を求めてやってきた、セックスに飢えた荒くれ者と見られていた。これは地元ノルマンディーではよく知られていることだが、一般的な米国人にとっては「大きな驚きだ」とロバーツ教授は述べている。

◆「女性を隠せ」、街中いたるところで性行為

 米メディアがノルマンディーに上陸した米兵について、キスをする米兵と若いフランス女性の写真を掲載するなどロマンチックな視点で解放者として描いていた間、地元の人々は「問題」に直面していた。地元には、「ドイツ人を見て隠れるのは男たちだったが、米兵の場合は女たちを隠さねばならなかった」という話が伝わっているという。

 米兵たちの放蕩ぶり、不法行為、さらには組織的な人種差別などもあった。「GIはどこでも所かまわずセックスしていた」とロバーツ教授。

 特に、ルアーブル(Le Havre)やシェルブール(Cherbourg)では米兵たちのマナーの悪さが目立ったという。米兵たちは、女性を見れば既婚女性でさえ公然とセックスに誘い、公園、爆撃を受けて廃墟と化した建物、墓地、線路の上など、街中いたるところが性行為の場となった。しかし、全てが両者の合意のもとで行われたわけではなく、米兵によるレイプの報告も数百件残されている。

 ロバーツ教授が調べた資料によれば「セックスをしている男女を見かけずに街を歩くことは不可能」なほどで、当時のルアーブル市長が米駐留部隊の司令官に改善を求めたと記されていた。米軍の上官らは兵士たちの行為について公式な非難声明は出したが、改善の努力はしなかったという。

Allied Invasion of Normandy WWII

◆フランスは「売春宿」、口説き文句も紹介――米誌プロパガンダ

 ロバーツ教授は、当時の米兵が勇気ある青年たちであり、その勇敢で英雄的な行為がフランスから感謝されている事実についても忘れずに触れている。一方で、米軍が未知の国で戦う若者たちを鼓舞する即効策として、意図的に米兵たちの性欲に訴えかけるプロパガンダを行ったとみられる点も指摘している。

 例えば、写真ジャーナリズムの草分けである米誌「ライフ(Life)」は、フランスを「快楽主義者4000万人が住む巨大な売春宿」と表現した。また、米軍機関紙「星条旗新聞(Stars and Stripes)」は、フランス女性を口説くためのフランス語フレーズを連載。「きみ、とても可愛いね」「たばこをあげようか」「ご両親は今、家にいるの?」といった会話の糸口を紹介していた。

 ロバーツ教授は「米兵の性欲は、いったん火が付くと手が付けられなかった」と記している。

 さらにロバーツ教授の著書は、当時レイプ事件で訴えられた米兵は、黒人兵士が圧倒的に多かった事実にも踏み込んでいる。1944年10月の資料によれば、米兵が絡んだ強姦事件152件のうち130件で黒人兵が訴えられている。これについてロバーツ教授は、米軍内の根深い差別を示していると指摘した。フランス人も、すぐに黒人米兵を指さして非難するようになったという。

WWII D-DAY INVASION OF NORMANDY

◆人類の経験として捉え直す

 ノルマンディー上陸作戦から約70年たった今、同書を出版する理由についてロバーツ教授は、歴史を書き換えたいわけではなく、「フランス側から見た実態」を明らかにすることによって、ただの「空虚な英雄譚(たん)」にとどまらない「人類の経験の1つ」としてノルマンディー上陸作戦を捉え直すのが目的だと説明している。

AFP 2013-05-27


ラス・カサスとフランシスコ・デ・ビトリア(サラマンカ大学の神学部教授)/『大航海時代における異文化理解と他者認識 スペイン語文書を読む』染田秀藤
日米関係の初まりは“強姦”/『黒船幻想 精神分析学から見た日米関係』岸田秀、ケネス・D・バトラー
日本にとって危険なヒラリー・クリントン/『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘
布教インペリアリズム/『みじかい命』竹山道雄

2013-05-26

殺人ロボット凍結、国連で討議へ 検討委開催も勧告


 兵士に代わって敵を自動的に殺傷する「殺人ロボット兵器」の研究開発が米国などで進んでおり、戦争の形態が一変する時代が到来しかねないとして、開発凍結や検討委員会開催を求める勧告が国連に提出されたことが25日分かった。ジュネーブで27日から始まる国連人権理事会の通常会期で討議される。

 遠隔操作式の無人機攻撃が広がる中、兵士を危険にさらさない装備が重宝され、いずれ殺人ロボット兵器の導入に踏み切る国が出てくるとの危機感が背景にある。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチも4月、禁止キャンペーンに乗り出しており、国際社会の新たな課題となりそうだ。(共同通信)

47NEWS 2013-05-26



◆市民200人超死亡か 米の無人機攻撃 パキスタンとイエメン

 米中央情報局(CIA)などが2002年以降、対テロ作戦の一環としてパキスタンとイエメンで実施している無人機による攻撃の巻き添えとなり、少なくとも235人の民間人が死亡したとみられることが8日、米英3民間団体の調査で明らかになった。民間人犠牲者はこの約4倍に上るとの推計もあり、パキスタンでは対米批判が拡大。国連も調査を進めている。

 攻撃能力を備えたMQ1無人機プレデターなどを使ったパキスタンとイエメンでの攻撃は、ブッシュ前政権下で開始。米兵を危険にさらさずイスラム武装勢力を掃討できるためオバマ政権下で多用され、攻撃回数は6倍以上に増えた。米政府は死者数を含む包括的なデータを公表していない。

 調査は、英非営利組織「調査報道協会(BIJ)」、米ウェブサイト「ロングウォー・ジャーナル(LWJ)」、米シンクタンク「新アメリカ財団」が実施。攻撃回数は3団体とも400回以上とみている。(共同)

MSN産経ニュース 2013-05-08



◆無人航空機、物議をかもすも、一般化は遠くない?

 無人機を使って軍事作戦を実行するという発想は、第1次世界大戦のときからあった。当時は、「自動飛行機」と呼ばれていた。本格的に無人機の開発が進んだのは、1970年代初頭のべトナム戦争のときであった。

IBTimes 2013-05-20



◆米軍撤退後のアフガンを監視する「武装無人機」

 アフガニスタン上空に展開する米国の無人機は、2012年に447回ミサイルを発射した。この攻撃回数は、パキスタンやイエメン、ソマリアなどほかの諸国で米無人機が行ったものよりもかなり多い。

 だが米軍は最近、アフガニスタンでの無人機攻撃に関するデータを公式サイトから削除した。最近、アフガニスタンでの戦闘が下火になっているのと同時に、このような不透明性が増す傾向が見られている。

WIRED.jp 2013-04-20



◆無人機の魅力に取りつかれる米海軍

 米海軍当局者や外部のアナリストは、空母搭載の無人機の登場で、空母戦闘群の攻撃範囲が広がるとみている。というのも、X-47Bは、有人機のステルス戦闘機F-35Cに比べ、ほぼ2倍の距離を飛行できるからだ。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)の軍事アナリスト、ジム・ルイス氏は「それは、海上戦のあり方を変える一歩だ」と話した。

WSJ.com 2013-05-14



◆無人機攻撃は合法だが節度必要、米大統領演説

オバマ米大統領は23日、ワシントンの国防大学で対テロ政策について講演し、無人機による攻撃は必要悪だとしながらも、状況の進展に応じて節度を持って使用しなければならないとの見解を表明した。

 講演の中でオバマ大統領は、テロリストは拘束して尋問し、訴追することが望ましいとしながらも、到達困難な地に潜伏している国際テロリストは拘束できないこともあると説明した。

 従って、中央政府の影響力が行き届かない国のテロリストによって米国が脅威にさらされた場合、無人機のみが唯一の選択肢だと強調。米国は国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの反政府勢力タリバーンと戦争状態にあるという理由から、無人機による攻撃は合法だと訴えた。

CNN 2013-05-24



◆パキスタン 米の無人機攻撃に反対

 パキスタン政府は、24日声明を発表し「無人機による攻撃は無実の市民の命を奪い、人権を侵害しており逆効果だ。われわれの主権を侵害し国際法にも違反している」として改めて反対の立場を示しました。

NHKニュース 2013-05-24


無人機プレデター




輸送用ロボットのビッグドッグ

米国の無人爆撃機を操縦していた若者の回想