2014-12-19

北朝鮮は国際通貨の空白地帯/『日本人よ!こうして植民支配のくびきを断て!! サバタイ派マフィア、300人委員会の脅しに屈するな![超アンダーグランド版] 国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年

 ・北朝鮮は国際通貨の空白地帯

『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

菅沼●そんな簡単なことではない。北朝鮮というのは人口2千何百万というちっぽけな国です。しかし、いろんな鉱物資源があるといわれる。がこれも大した問題ではない。一番の問題点は何かというと、実は通貨です。国際通貨となると、北朝鮮は空白地帯なんです。ドルの経済圏でもなければ、元の経済圏でも、ユーロの経済圏でも、円の経済圏でもない。
 そして、世界が一番恐れているのは、北朝鮮と日本との間で日朝国交正常化が行われて、日本から経済支援という形で何兆円というおカネが行くことです。そうしますと、北朝鮮の経済の現状から、当然、円の経済圏になっちゃうんです。今、北朝鮮は貿易の決済はユーロでやっている。ところが、平壌で今新しい店ができたり、スーパーができたりしているが、そういうところでは中国の元が自由に使えるんです。それは何を意味するかというと、日本以外の国は、それぞれドル、ユーロ、元の経済圏にしようといろんな形でしのぎを削っている。

【『日本人よ!こうして植民支配のくびきを断て!! サバタイ派マフィア、300人委員会の脅しに屈するな![超アンダーグランド版] 国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄(ヒカルランド、2012年)以下同】

 ヒカルランドは徳間書店の編集者・石井健資が独立してつくった出版社である。オカルト・陰謀・スピリチュアリズムに特化していると考えていいだろう。ま、サブカルチャーの更に下部(サブ)層をターゲットにしたのだろう。タイトルが長すぎて辟易させられる。検索効果を狙ったものか。

 クリシュナムルティは「虚偽を虚偽と見、虚偽の中に真実を見、そして真実を真実と見よ」と語っている。虚偽の中に砂金のような真実が隠されている場合がある。菅沼が中丸薫やベンジャミン・フルフォードと対談するのは、砂金を砂の中に隠す意図があると思われる。山口組が菅沼を守っていなければ、とっくに交通事故死などで消されていたことだろう。

 単著よりも思い切った発言が目立つ。人工地震に関する発言もあるが正確に真意を探ることが読者に求められる。ベンジャミン・フルフォードは東日本大震災を人工地震だと決めつけているが、菅沼はそうした研究が実際に行われてきた事実を指摘しているだけだ。

 北朝鮮を巡る覇権・利権は通貨が目的である、との指摘が重要だ。資本主義は現代社会において経済というよりも、むしろマネー教として機能する。人々が「カネさえあれば……」と思い込んだ瞬間から、マネーは実体を持ち始め、真実として承認される。実際は等価交換を約束するだけの紙切れにすぎない。その約束機能を経済学では「信用」と称するわけだが、信用が真実に格上げされてしまうのだ。

 そして資本主義を生きる世界の大多数がマネーの仕組みを理解していない。現金はインフレやデフレによって価値を変えるが我々の目にはそう映らない。資産家は投資によってマネーを運用し増殖させる。余剰資金はマーケットに集まり、既にGDPの4倍を超える量といわれる。つまり実体経済は金融経済の支配下に置かれたわけだ。

菅沼●釜山に何とかという話も出ましたけれども、日本が1919年に韓国併合というのをやりました。あのときの明治政府の一部の人たちは、軍事的に大陸に進出するためですと言っていたわけだけど、あの朝鮮半島の民族性を考えますと、圧迫すれば圧迫するほど反発するわけです。だから、あんなところを日本が日韓併合して軍事的に押さえようとしても、コストがかかってしようがないんです。
 伊藤博文はハルピンの駅前で安重根(アン・ジュングン)という朝鮮人に暗殺された。死ぬ直前に何と言ったか。安重根のことを「バカなやつだ」と言った。伊藤博文は日韓併合に反対だったんです。なぜかというと、日韓併合はコストがかかってしようがない。日本はこのコストの重圧に耐えられない。伊藤博文はこう考えたわけです。しかし、どうしてもこれをやらなくてはいかぬと言ってやったのが当時の大蔵省なんです。そのときの悲願は、円を何とかして国際通貨にしたいということでした。国際通貨にするためには日本だけではダメなんです。サブシステムが必ず必要なんです。そのサブシステムにするためには朝鮮半島を日本に入れましょう、これは通貨の問題なんです。
 併合した後何をつくったかといいますと、まず日本は朝鮮銀行をつくりました。1945年の終戦の段階では、満州を含めて北部の中国から上海のあたり、朝鮮半島は全体、そこに朝鮮銀行の支店網がワーッと広がっていった。要するに中国大陸の半分以上は日本の通貨圏になった。そして、今アメリカが日本に対してやっているように、ジャーナリズムです。今問題になっている東亜日報とか朝鮮日報とかいう新聞をつくった。金融とジャーナリズムで朝鮮半島の経営をやってきたわけです。
 その結果どういうことになったか。1919年あたりにはマンセイ事件がありました。大反日運動が展開された万歳事件です。だが、1945年の終戦のときに、南北の朝鮮はどういう状況だったかといいますと、あのころ、朝鮮の若者はみんな日本の軍人になって大東亜戦争に参加していた。そして、どれだけ多くの人が日本の特攻隊に参加して散華したか。植民地化といえばそうなんですけれども、この日本の朝鮮植民地化政策がいかに成功したか。これをアメリカが学んで戦後の対日政策に応用したんです。
 今、皆さん全然ご存じないけど、日韓併合の条約文の原本は日本にないんです。どこにあるのかといったらアメリカ国務省です。戦後、GHQが持っていっちゃった。それが象徴しています。日本の国立公文書館にあるのはみんなコピーです。そういう事実をだれも知らないわけです。日本の明治の政府の人たち、特に大蔵省の人たちは、通貨というものがいかに重要かわかっていたということです。

 これまた驚くべき事実である。伊藤博文は現実を直視して反対したのだろうが、この場合はむしろ大蔵省に先見の明があったと見るべきか。そして朝鮮併合は功を奏した。貧しかった朝鮮国民の生活を向上させ、インフラを整備し、教育を施した。GHQの占領政策は朝鮮併合の成功をモデルにしていると菅沼は指摘する。だから原本が返ってこないのだ。

 そうした歴史的事実を知りながら、アメリカは戦後になって韓国に反日教育を徹底した。ハイレベルな分断工作といってよい。そして教育的効果は各人の中でソフトパワーとして機能する。アメリカの薄汚い工作が大成功したことは、現在の日韓関係を見れば一目瞭然だろう。


2014-12-16

行き過ぎた格差にマーケットが鉄槌を下す/『富の不均衡バブル 2022年までの黄金の投資戦略』若林栄四


「米国GDPの70%以上を占める消費が、極めて少数の人たちの消費に依存している」という不健全な国の形であることが問題なのである。

【『富の不均衡バブル 2022年までの黄金の投資戦略』若林栄四〈わかばやし・えいし〉(日本実業出版社、2014年)】

 これを若林は「富の偏在による経済の不均衡」と指摘する。企業トップの報酬は近年、指数関数的に増えている。

 高い企業収益、低い法人税率、低い労働者の賃金というのは、いずれも1929年の株価大暴落前夜に酷似しているのである。

 富が公平に分配されていないとすれば、国家の機能が脆弱になっていると考えてよさそうだ。

 ともかく、こうした動きの結果、レーガン・アジェンダにより富の集中が一層進んでいるのである。
 1979年には「トップ1%の家族」が全米事業収入の17%を得ていた。2007年に同じグループは事業収入の43%を手に入れている。またこのグループは2007年の全米のキャピタル・ゲインの75%を得ている。
 グロテスクとしかいいようのない状況である。

 レーガン・アジェンダとはレーガノミクスのことだろう。レーガン大統領の市場原理に傾いた政策が双子の赤字を生んだ。この流れは子ブッシュ大統領によって加速度の限界を極める。新自由主義という名のもとに。

 アマゾンレビューの評価はボロクソであるが、それほど悪い本ではない。むしろ良書だと思う。文章に気取りや自己陶酔が散見されるが、それでもあの川合美智子の師匠である。学ぶべき点は多い。

 ダウ暴落の予測が外れたために多くの読者はこき下ろしているわけだが、私は外れたとは思っていない。まずテクニカルの読みとしては妥当なもので、オーバーシュート(行き過ぎた変動)は過剰なマネーサプライが原因であろう。アメリカに遅れて日本もマネーサプライを増やしているのだから、ダブついたマネーはちょっとした風でも大波になる。

 折しも衆院選挙投票日の前週からダウもドル円も下げ始めた。為替レートを決定するのは通貨の供給量である。FRBは既にQE3を終了しテーパリング(緩和逓減)を開始している。常識的に考えればもう一段の円安に向かう局面だが、ダウが大幅調整となればドル円も日経平均も引き摺られることだろう。

 いずれにしても全てが行き過ぎを示している。格差もドル円も原油も。マーケットが鉄槌(てっつい)を下すのも時間の問題だろう。

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極端な集中が国家を崩壊する/『2010年 資本主義大爆裂! 緊急!近未来10の予測』ラビ・バトラ
「大恐慌」は富に関する考察抜きには理解できない/『「1929年大恐慌」の謎 経済学の大家たちは、なぜ解明できなかったのか』関岡正弘
富の再分配と貧困の再分配/『無境界の人』森巣博

2014-12-14

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2014-12-13

吉田加南子、太田邦史、松木武彦、他


 5冊挫折。

モサド、その真実 世界最強のイスラエル諜報機関』落合信彦(集英社、1981年/集英社文庫、1984年)/30年振りに落合信彦を読んだ。モサド幹部へのインタビューで構成されている。モサド礼賛に傾くのは仕方がないだろう。刊行された時代を思えば、まだまだパレスチナ・ゲリラ=悪人という雰囲気であったはずだ。

ヴィゴツキー入門』柴田吉松〈しばた・よしまつ〉(寺子屋新書、2006年)/ツイッターで見掛けたヴィゴツキーの言葉が気になり読んでみた。ヴィゴツキーは「心理学におけるモーツァルト」と称されているらしい。児童心理学、発達心理学の要素が強い。結核のため37歳で死亡。わずか17年間の学究生活であった。

日本の歴史一 列島創世記 旧石器・縄文・弥生・古墳時代』松木武彦(小学館、2007年)/良書。写真が豊富で、活字も大きく、行間にも余裕がある。世代を超えた定住が「サト」という空間を生んだという件(くだり)や環状集落の話が興味を惹く。私の興味が近代史に傾いているため、どうしても読むスピードが遅くなる。ゆくゆく再読するかも。

エピゲノムと生命 DNAだけでない「遺伝」のしくみ』太田邦史〈おおた・くにひろ〉( ブルーバックス、2013年)/これまた良書。「生物の重要な一つの側面は、『情報』なのではないか」との指摘が鋭い。

吉田加南子詩集』吉田加南子〈よしだ・かなこ〉(現代詩文庫、1997年)/飛ばし読み。ソニア・リキエルに関するエッセイが面白かった。

北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 まずこの動画を見てもらおう。知識がなければ理解できないことは多い。


 また北朝鮮といえば核開発が大きな問題となっていますが、北朝鮮の核開発を最初に手がけたのは誰かというと、戦時中に日本でも原子爆弾の研究をしていて、仁科芳雄博士の研究所などで極秘に進められていました。そして技術的には原爆を作るのは可能であるとなったのですが、残念ながら日本には原爆の材料となるウラニウムがなかった。
 そのとき仁科研究所で日本国民として研究に携わっていた朝鮮人科学者や技術者たちが北朝鮮に帰って、核開発の基礎を築きました。仁科研究所で学んだ人たちが、さらにソ連のドブナー科学センターという原子力研究所に行ってソ連の核技術を習得し、ソ連の支援によって1980年代に寧辺に実験炉を作ったのです。しかも北朝鮮にはかなりのウラニウム鉱山がある。だからウラニウム鉱石を掘り出して濃縮することが自前でできるのです。
 繰り返しますが、このように人材においても資源の開発においても、また技術や設備についても、北朝鮮の近代工業の基礎はことごとく日本がつくったのです。あの国の経済は日本がつくった遺産から出発しています。口では言いませんが、彼らはそのことをよくわかっています。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)】

 吃驚仰天(びっくりぎょうてん)した。衝撃の歴史である。また別の角度から見れば日本人に朝鮮人を差別する意識がなかった証左であると思う。菅沼によれば特攻隊に志願した朝鮮人も多かったという。

 親切は日本人の美徳であるが、国際社会では仇になることが多い。企業が開発した技術をアジア諸国に教え、結果的にマーケットを奪われてきた苦い過去がある。日本人の島国根性を批判する声が多いが、実際はお人好しで損をしている。

 恩を仇で返すような国々に対して日本の政治家は抗議の声を上げるどころか、平身低頭して謝罪を繰り返してきた。1982年の教科書問題(『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘)に始まり、歴代政権は謝罪外交一色に染まった。東京裁判史観に基づく戦後教育が効果を発揮し、日本の世論も右傾化を警戒していた。

 失われた20年にあって少しずつではあるが目を覚ます日本人が増えてきた。少し振り返ってみよう。

 教科書誤報事件に異を唱えたのは渡部昇一であった。GHQによる日本人洗脳プログラム「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を明らかにした『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』(江藤淳)が刊行されたのが1989年。1996年には「新しい歴史教科書をつくる会」が結成された。

 この頃はまだ右方向に風は吹いていなかった。コミュニストである本多勝一が1993年に『週刊金曜日』を創刊し、1995~97年まで編集長を務めた。

 潮目が少し変わったのは長野冬季オリンピック(1998年)で行われたフリーチベット運動であったと私は考えている。中国がチベットで虐殺をしている事実が少しずつ伝えられるようになった。人権問題というよりは、単なる殺人、暴力、強姦である。軍事力を持たない国の悲惨さを私は思い知らされた。

 そして潮流が完全に変わったのは2002年の小泉首相訪朝で5人の拉致被害者が北朝鮮から帰国した時であった。日本の政治と軍事はあまりにも無力すぎた。

 2008年に田母神俊雄の論文「日本は侵略国家であったのか」が『「真の近現代史観」懸賞論文』の最優秀藤誠志賞を受賞。1990年代であれば右翼の戯言(たわごと)と一蹴されたであろう論文が予想外の脚光を浴びた。

 本多勝一が見捨てられ、山本七平が読まれている事実がこの間の世論の変化を示している。

 正しい日本の近代史を世界に向けて発信し、デタラメなプロパガンダを徹底的に糾弾する必要がある。特に欧米に向けた情報発信が重要だ。組織的かつシステマティックに行わなければ、東京裁判史観は事実として世界史に記されてしまうだろう。

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2014-12-12

日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

アメリカが日朝国交正常化の二度の機会をつぶした

 日本が北朝鮮とのあいだの門戸を開いて独自に外交を展開しようとしたことが、過去に2回ありました。
 最初は1990年9月、金丸元副総理田辺誠日本社会党副委員長らによる金丸訪朝団です。このとき日朝代表団のあいだで数回の会議が行われ、朝鮮労働党・自民党・日本社会党の3党による共同宣言が出されました。
 この「3党共同宣言」には、日本が戦前の35年間と戦後45年間に朝鮮人民に与えた不幸に対して謝罪するとともに十分な補償をすること、できるだけ早い時期に日朝間の国交を樹立するなどのことが記されていました。
「3党共同宣言」の内容についてはいろいろな批判もありましたが、これによって日本と北朝鮮が国交正常化に向けて一歩を踏み出したことは事実です。
 また訪朝の目的の一つは、スパイ容疑で逮捕・投獄されていた第十八富士山丸の日本人船長と機関長2名の釈放・帰国でしたが、これも実施されました。
 ところがそれから間もなく、アメリカによって北朝鮮の核開発疑惑がもたらされ、さらに金丸さんの不正献金問題が浮上して失脚するなどのことが立て続けに起こって、日朝国交正常化への動きは完全に停止してしまいました。
 金日成からすれば、日本の政権与党と第一野党が一緒になって国交樹立に動くのだから期待していいだろうと思っていたはずです。それがアメリカの動きひとつであっけなくつぶれてしまった。これで金日成は、日本は自主外交ができない国だ、日本だけを相手にしてもラチが明かない、アメリカと直接対話すれば日本はそれに追随してくると、認識を改めることになります。
 2回目は2002年9月の小泉純一郎首相の訪朝です。小泉さんが訪朝の意向を示したとき、金正日はあらゆる情報を集めて分析し、小泉純一郎という人物は「変人」と呼ばれているようだが、強い意志を持った政治家であり、対米外交においても自主外交を貫ける人物だと判断して、日朝首脳会談の開催を決めました。
 ところがこの直後の10月、アメリカのケリー国務次官補が平壌を訪れて北朝鮮のウラン濃縮疑惑を指摘、米朝間の「枠組み合意」が破綻することになりました。日本構内でも拉致問題に対する対応の不満が高まり、マスコミもこぞって北朝鮮制裁を叫び始めました。
 そのため小泉首相が2004年5月に再び平壌を訪れたときは、食糧支援や医療品支援の見返りとして新たに5人の拉致被害者の帰国が約束されただけで、日朝国交正常化への動きは全く途絶えてしまいました。
 かくして日本は二度にわたってアメリカの横槍を受け、日朝国交正常化への道を閉ざされてしまったのです。ありていに言えばこれは、米朝正常化に先んじて日本が北朝鮮と国交を結ぶことなならぬということです。そしてそれに対して何一つできない日本は、骨の髄までしみこんだ対米従属姿勢をあからさまに露呈することになったわけです。これ囲以後、金正日は日本に見向きもしなくなりました。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 アメリカは日中国交正常化に激怒した。1971年、キッシンジャーがパキスタンルートで中国を電撃訪問。直後に「ニクソン大統領は中国から訪問の要請があり、それを了承したことを電撃的に発表した」(Wikipedia)。だが米中国交正常化は一筋縄ではいかなかった。台湾を支持するアメリカの政治家が多かったためだ。蒋介石夫人の宋美齢はアメリカで人気を集めた。彼女はアメリカ留学の経験があり、1975年以降はアメリカへ移住している。

 それを尻目に田中角栄はあっさりと「一つの中国」を認め、アメリカに先んじて国交正常化を果たしてしまったのだ。ロッキード事件(1976年)はキッシンジャーによる意趣返しと見て間違いない。米中の国交が正常化したのは1979年であった。

 アメリカとしては中国と同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。日本と北朝鮮が国交を結べば日本企業の進出は必至だ。レアメタルにも手を付けられてしまう。そして北朝鮮が円の通貨圏となる。これだけは絶対に阻止しなくてはならなかった。

 こんな相手に安全保障を委ねて大丈夫なのだろうか? 国際舞台は国益を巡る熾烈なリングであることは私も承知している。だがそれは「他国の利益を奪う」とイコールではないだろう。ところがアメリカはそういうことを平然と行う。日本は高額なみかじめ料を強要されて今にも潰れそうなキャバレーみたいなもんだ。

 クリントン大統領が仕掛けた経済戦争以降、日本経済は凋落(ちょうらく)の一途を辿っている。今、株価が高いのは日銀が印刷しているからであって需給による株高ではない。つまり円の価値が下がった分だけ株価が上がっているのである。

 アメリカは「俺と仲良くしたいなら、あいつと仲良くしてはいけない」と言ういじめっ子と同じ論理だ。そろそろ超大国の座から降りてもらうべき時に差し掛かっていると思う。

 そのためには日本が軍事的に独立する必要がある。完全を期すのであればどうしても核武装が必要となる。もちろん情報機関も欠かせない。また長期的展望に立てば、多くの大学に歴史学部を創設し近代日本史のエリートを育てる必要がある。同時に世界の近代史において西洋が犯してきた罪を学問レベルで糾弾するべきだ。

 アメリカと西欧が世界を牛耳っている限り、平和な世界が訪れることはないだろう。

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赤い季節/『北朝鮮利権の真相 「コメ支援」「戦後補償」から「媚朝派報道」まで!』野村旗守編
安倍首相辞任の真相/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘

カイラシュ・サティヤルティさん、ノーベル平和賞記念講演


 20年前、ヒマラヤのふもとで会った少年は、「僕がおもちゃや本をもらえなくて、道具や銃を手にしなければならないのは、世界が貧しいから?」と尋ねました。スーダンでは、過激派に誘拐され、訓練で友達や家族を殺した少年が「僕のどこが悪いのか」と尋ねました。

 12年前、コロンビアの路上では、身を売られ、レイプされ、身ごもった子供が、「私の子は夢を持てますか」と尋ねました。子供の夢を否定することほど大きな暴力はありません。

 私の人生のたった一つの目的。それは、すべての子供に子供でいられる自由があること。成長する自由があること。寝食の自由、日の光を浴びる自由。笑う自由、遊ぶ自由。学ぶ自由。夢を見る自由があることです。

 子供に夢を与えない寺院やモスク、教会を私は拒否します。世界の1週間分の軍事費だけで、すべての子供たちを学校に通わせられます。それなのに貧しい世界を私は拒否します。子供を守れない法律や憲法、判事や警察を拒否します。(部分)

【毎日新聞 2014年12月11日】


ノーベル平和賞受賞 マララさんが会見「新たな挑戦の始まり」

2014-12-10

小室直樹、渡部昇一、クリストフ・コッホ、ジャンルイージ・ヌッツイ


 2冊挫折、1冊読了。

バチカン株式会社 金融市場を動かす神の汚れた手』ジャンルイージ・ヌッツイ:竹下・ルッジェリ・アンナ監訳、花本知子、鈴木真由美訳(柏書房、2010年)/訳文が馴染めず。ストーリーが頭に入ってこない。機会があれば読み直す。

意識をめぐる冒険』クリストフ・コッホ:土谷尚嗣〈つちや・なおつぐ〉、小畑史哉〈おばた・ふみや〉訳(岩波書店、2014年)/あまりよくない。読者を誘導しようとする意図を感じる。『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュを超えるものでなければ読む気がしない。

 96冊目『封印の昭和史 [戦後50年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉(徳間書店、1995年)/必読書入り。復刊しない徳間書店の見識を疑う。順番としては『驕れる白人と闘うための日本近代史』→本書→『日本国民に告ぐ 誇りなき国家は、滅亡する』が望ましい。小室直樹は学問の原理に忠実であるため、時を経過しても内容が古くなるということがない。学者の鑑(かがみ)だ。TPPに込められたアメリカの意図は日本の近代史を学ばずして理解することはできない。菅沼本の紹介に一区切りついたら、どんどん紹介してゆく予定。

CIA:尋問は拷問…テロ情報取得「効果なし」上院報告書


 米上院情報特別委員会は9日、2001年の同時多発テロ後にブッシュ前政権下で中央情報局(CIA)がテロ容疑者に対して行った過酷な尋問に関する報告書の要旨を公表した。水責めなどの尋問について「CIAが政策形成者らに説明していたものより残酷」とし、「正確な情報を得る手段として効果的ではなかった」と批判。詳細をホワイトハウスや議会にも伝えずに「独走」した組織を非難した。

◇同時多発テロ後実施

 同委は09年から、CIAが同時多発テロ後に国外の「ブラックサイト」と呼ばれる秘密基地にテロ容疑者を拘束し、極秘に実施してきた「強化尋問技術」(EIT)と呼ばれる過酷な尋問について、内部文書などから包括的な検証を実施。報告書は6700ページを超えるもので、要旨約500ページや結論部分約20ページなどが公開された。

 報告書によると、秘密基地には119人を拘束。テロ容疑者に対し、水責め▼氷風呂▼最大180時間眠らせない睡眠妨害▼子供や親に危害を加えるとの脅迫――などを行っていた。コンクリートに裸の体を固定されて低体温症で死亡したケースもあった。同委のファインスタイン委員長は上院で演説し、「強圧的な尋問手法が用いられ、一部は拷問に相当するものだった」と指摘した。

 一方、EITの対象だった39人のうち7人からは何の情報も出てこなかった▼EITを受けていない拘束者も正確な情報を出してきた――などとし、EITがテロ容疑者から正確な情報を得たり、容疑者の協力を得たりするうえで効果はなかったと結論づけた。

 報告書はまた、司法省に不正確な情報を繰り返し提供することで拘束や尋問の法的な側面の検証を妨げたり、ホワイトハウスや議会に対しても正確で十分な情報の提供をせず、EITの効果があると印象付けたりした、とCIAを批判。EITに対する世論の批判に対抗するため、CIAが一部メディアに不正確な情報を流して世論形成をしようとしたことなども指摘した。

 オバマ大統領は09年の就任直後、ブッシュ時代の過ちを明確にして、EITを含めた残虐な尋問手法を中止した。オバマ氏は報告書要旨の公表を受けた声明で「米国の世界での地位を著しく傷つけた。こうした手法を用いることは二度とない」と拷問との決別を確約した。

毎日jp 2014年12月10日



【強化尋問技術(EIT=Enhanced  Interrogation Technique)】

 2001年9月11日の米同時多発テロを受け、国際テロ組織アルカイダのテロ容疑者らに対して米中央情報局(CIA)が実施した拘束・尋問プログラム。外傷を与えずに最大限の肉体的、精神的苦痛を与えることで、テロ計画や組織の情報を得ようとした。板に寝かせた容疑者の手足を縛り、布で目隠しをして顔に大量の水を浴びせる「水責め」などで、事実上の拷問だとの批判が強く、オバマ大統領が09年の就任直後に大統領令で禁止した。(毎日新聞 2014年12月10日 夕刊)



【拷問報告書のポイント】

○中央情報局(CIA)は世界各国で119人のテロ容疑者を拘束し、うち39人に過酷な尋問を行った。
○尋問は正確な情報や容疑者の協力を得る上で効果的ではなかった。
○顔などに大量の水を注ぐ「水責め」のほか、立たせ続けるなどして睡眠を奪う、氷水に入れる、狭く暗い部屋に長時間閉じ込める、衣服を与えない、家族に危害を加えると脅迫するなどの方法があった。低体温症で死亡した者もいた。
○CIAは批判をかわすため、ホワイトハウスや議会、メディアに不正確な説明を重ねた。
○CIAの手法は米国の名声や、人権問題で米国が長年築き上げてきた指導力に計り知れない打撃をあたえた。

(毎日新聞 2014年12月10日 夕刊)

2014-12-07

朝鮮併合~日本企業による開発/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化をを二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 大韓民国は建国からわずか65年という歴史のなかで、300万人以上の韓国人が「脱南者」としてアメリカに行ってしまったと言われています。このままでいったら韓国はどんどんおかしくなっていくばかりです。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 北朝鮮を脱出する脱北者は知っていても脱南者を知る人はいないだろう。私も初耳だ。ただし韓国議会の混乱や、強姦が多い(「2013年の10万人あたりのレイプ発生率」国連調べでは33.7でワースト4位/※『SAPIO』の間違い記事 「韓国の強姦は日本の40倍」も参照せよ)社会情況を思えば、モラルの低さは何となく伝わってくる。

 発展する韓国経済を牽引(けんいん)しているのは財閥企業で恐るべき格差が進行するとも聞く。しかも金融や株式の多くを外国人投資家に牛耳られているため国内に富が蓄積されない現状がある。韓国企業は他国の技術をパクり技術開発を怠ってきたので、何かの拍子で一気に崩壊へ傾くことは十分あり得る。

 私は日本の近代史に疎(うと)いため、菅沼本を読むたびに蒙(もう)が啓(ひら)かれる思いがする。韓国併合は植民地化ではなかったが事実上、日本は宗主国であったといってよい。

 教育をみてもソウル大学の前身は1924年に設立された京城帝国大学です。京城帝国大学ができて、そこの歴史学科で彼らは初めて朝鮮の歴史というものを学んだのです。李王朝の時代は歴史もなかった。年号すらなかった。あったのは中国の歴史であり、中国の年号です。

 迂闊(うかつ)にも私は知らなかったのだが韓国併合の韓国とは大韓帝国のことであり北朝鮮を含む朝鮮全域を指す。ならば「朝鮮併合」と記述した方がわかりやすいだろう。そして朝鮮を開発し、インフラを整備したのは日本企業であった。

 咸鏡南道(ハムギョンナムド)はどういうところかというと、道都は咸鏡で、ここは李王朝の始祖・李成桂の生れ故郷です。李王朝時代は本当にのどかで、日本でいえば奈良のような古都でした。
 その咸鏡の南に興南というところがあります。1927年、ここに日本窒素肥料株式会社の創設者である野口遵(したがう)という実業家が進出してきて、朝鮮窒素肥料という会社を設立、アンモニアや硫安などの肥料を作る東洋一の化学コンビナート造成しました。
 しかしコンビナートを稼働させるには電力がいる。ということで朝鮮水力発電という電力会社を設立し、咸鏡の北の山岳地帯の河川を堰(せ)きとめて赴戦江(プチョンガン)ダムや長津江(チャンジンガン)ダムなどの巨大なダムを建設しました。日本では当時、鋼管が作れなかったのでスウェーデンから取り寄せ、山地の地下を刳(く)り貫(ぬ)いて高低差700メートルぐらいの水力発電所を完成させたのです。その電力を興南のコンビナートに送って工場を動かしました。そこから咸興を中心に朝鮮半島の近代化が始まったのです。
 その後、野口遵は当時の満州国と朝鮮の国境を流れる鴨緑江(アムノッカン)に水豊(スプン)ダムという、琵琶湖のほぼ半部に匹敵する世界最大級のダムを建設しています。そこに当時世界最大の水力発電所が作られました。そしてその下流に位置する新義州(シニジュ)に三井金属がアルミニウムの精錬工場を建て、アルミニウムからジュラルミンを生産して、そのジュラルミンは航空機の製造にも使われました。新義州も重工業地帯でした。
 水豊ダムの建設は1937年に始まり、完成したのは44年の3月です。投じられた資金は当時の金額で約5億円と言われています。ところが45年8月にソ連軍が侵攻してきて7台の発電機のうち5台が略奪されました。さらに朝鮮戦争のときにはアメリカ軍の攻撃を受けています。しかしダムが頑丈に造られていたため決壊することもなく、その後、北朝鮮が発電機を新たに設置して現在も主要な発電所として稼働しています。
 北朝鮮の北部は山岳地帯ですが、とくに咸興北道(ブクド)は山しかありません。しかしそこに銅、鉛、亜鉛、タングステンなどの非鉄金属が眠っている。また鉄もあるし、金まで出る。それを調査したのは日本の鉱山会社です。
 日本鉱業はもともと日立銅山を開発した久原房之介という人物が創設した会社で、それを日産コンツェルンの総帥鮎川義介が譲り受けたものです。現在はいろいろ吸収合併があって、JX日鉱日石金属となっていますが、北朝鮮でどんな金属が採れるかというデータはそこが持っているはずです。
 また北東アジア最大といわれる茂山(ムサン)鉄鉱山を開発したのは三菱鉱業です。この茂山鉱山の採掘権を中国企業が取得したことが報じられましたが、もとはといえば日本が開発したものであり、北朝鮮も中国もその業績の上に乗っかっているだけなのです。

 歴史の事実を知れば、韓国や北朝鮮が日本を恨むのは筋違いであることがわかってくる。朝鮮戦争後、韓国に反日感情を埋め込んだのはアメリカであった。李承晩はアメリカの傀儡(かいらい)で反日レジスタンスでも何でもない。結局、アメリカは韓国の教育で反日憎悪を刷り込むことに成功した。見事な洗脳プログラムであり巧みなプロパガンダといえよう。

 野口遵〈のぐち・したがう〉の名前が出てきてビックリした。あの水俣病を引き起こしたチッソの野口である。現在は旭化成、積水化学工業、積水ハウス、信越化学工業、センコー、日本ガスなどの母体企業でもある。当時の公害に違法性はなかったとはいえ、石牟礼道子〈いしむれ・みちこ〉著『苦海浄土』を読んだ人であればその衝撃が理解できるだろう。これほどの大物だったとはね。公害認定に至るまでには野口の政治的な影響力への配慮もあったことと想像する。

 正真正銘の本音を書いておこう。私は再び朝鮮を併合するべきだと思う。そしてまた日本が朝鮮の歴史を教えることでしか反日憎悪を解消することができないと考えるためだ。その意味からも北朝鮮との国交回復が望まれる。で、挟み撃ちにする格好で韓国を飲み込むという寸法だ。日本の核開発が遅れて日中戦争が勃発すれば自(おの)ずからそういう方向にむかうことだろう。

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2014-12-06

オルダス・ハクスリー、養老孟司、南伸坊、池田清彦、他


 2冊挫折、2冊読了。

データ・マフィア 米国NSAとモサドによる国際的陰謀』E・R・コッホ、J・シュペルバー:佐藤恵子訳(工作舎、1998年)/内容が古く、1980~90年台が中心となっている。インターネット自体がアメリカの軍事技術であるため、黎明期からNSAが犯罪的行動をするのも当然か。コンピュータの歴史に興味がある人なら読む価値があるかも。

やがて消えゆく我が身なら』池田清彦(角川書店、2005年/角川ソフィア文庫、2008年)/池田の合理的思考は好むところなのだが、如何せん性格に問題がある。テレビで彼を見たことがある人ならわかると思うが、口吻(こうふん)に締まりがなく、酔っ払いみたいな話し方をする。そういうデタラメさが文章にも滲み出ている。たぶん生きる姿勢の問題だろう。自己を律するところが少ない人なのだと思う。

 96冊目『解剖学個人授業』養老孟司、南伸坊(新潮社、1998年/新潮文庫、2001年/河出文庫、2014年)/刊行当時から知っていたが読むのを躊躇(ためら)ってきた。失敗。養老はいかにも「鎌倉」ってな感じがしますな。そのくせ無頼なところがあって、このアンバランスにどうも馴染めない。軽い読み物であるが考えるヒントが山ほどある。「システムは形からは出てこない」という指摘に目から鱗が落ちる。つまり形は象徴であるがシステムの部分を示すことはあっても全体を表しているわけではない。その意味で手相占いは誤っている。

 97冊目『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー:黒原敏行訳(光文社古典新訳文庫、2013年/『みごとな新世界』渡邉二三郎訳、改造社、1933年/「すばらしい新世界」松村達雄訳、『世界SF全集』第10巻、早川書房、1968年/『すばらしい新世界』 高畠文夫訳、角川文庫、1971年)/ちょうど昨年の今頃読んだのだが、画像ファイルを消失したため再読。二度目はもっと面白かった。あと3回くらい読むことになるだろう。バーナードがインテリの弱さを表しているのがよくわかった。それを際立たせるのがヘルムホルツの役割なのだろう。ハクスリーはユートピア的ディストピアを描いた。野蛮人世界で生まれ育ったジョンはインディアンの文化を受け継ぐ青年だ。受難なきユートピアでジョンは自らを鞭打つ。そしてジョンは十字架を背負う。こうしてジョンは使徒ヨハネと化したのだろう。

2014-12-03

徳には盛衰がない/『奇貨居くべし 天命篇』宮城谷昌光


『天空の舟 小説・伊尹伝』宮城谷昌光
・『太公望』宮城谷昌光
『管仲』宮城谷昌光
『重耳』宮城谷昌光
『介子推』宮城谷昌光
・『沙中の回廊』宮城谷昌光
『晏子』宮城谷昌光
・『子産』宮城谷昌光
『湖底の城 呉越春秋』宮城谷昌光
『孟嘗君』宮城谷昌光
『楽毅』宮城谷昌光
『青雲はるかに』宮城谷昌光

 ・戦争を問う
 ・学びて問い、生きて答える
 ・和氏の璧
 ・荀子との出会い
 ・侈傲(しごう)の者は亡ぶ
 ・孟嘗君の境地
 ・「蔽(おお)われた者」
 ・楚国の長城
 ・深谿に臨まざれば地の厚きことを知らず
 ・徳には盛衰がない

『香乱記』宮城谷昌光
・『草原の風』宮城谷昌光
・『三国志』宮城谷昌光
・『劉邦』宮城谷昌光


 鮮乙〈せんいつ〉のおどろきは深く、
「主(しゅ)の強運は比類がない」
 と、しきりにいった。が、呂不韋〈りょふい〉はゆるやかに首をふり、
「運には盛衰がある。しかし徳には盛衰がない。徳はかたちのない財だ。その財を積むにしかず、だ」
 と、誨(おし)えた。

【『奇貨居くべし 天命篇』宮城谷昌光(中央公論新社、2001年/中公文庫、2002年/中公文庫新装版、2020年)】

 光を放つ言葉がある。その光が自分の内側の柔らかな部分に射(さ)し込む。心は瞬時に反応し躍り上がる。

 運とは風のようなものであろう。風向きは季節によって異なる。いつも背中を押してくれるとは限らない。人生には嵐のような逆風を真正面から受けることが必ずある。時に風が進路を妨げることもあるだろう。そこで環境を嘆くのか、自分の内部を見つめるかで人生は二つに分かれる。

 呂不韋は順境にあって「徳には盛衰がない」と自らを戒めた。彼の心には旅で巡り会った大人物たちの影がくっきりと残っていた。成功に酔うと人は足元が見えなくなる。

 諸子百家は六家に分類されるが、現在の大学教育で採用されているのは法家のみである。せめて道徳学科(儒家)や無為学科(道家)はあって然るべきだと思う。法律と経済で回る社会は人々の欲望を認めるため最終的には戦争に向かう。徳が得に置き換えられたのが大衆消費社会だ。

    

2014-12-02

リスクマネジメントを学ぶ/『伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律』カーティス・フェイス


『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス

 ・リスクマネジメントを学ぶ

【不確実性】はリスクの源だ。われわれがもし、未来のありようを的確に見定めるすべを知っていたら、差し出されたリスクを引き受けるかどうかを、つねに潜在的な利得の見積もりだけで決めることができる。事の成否が予測可能であったり、確実であったりしたら、リスクなど存在しない。
 しかし、“妥当”な決断を下すのにじゅうぶんな情報が手もとにない場合もある。また、どんなに周到に調べても、あるいはどれだけの数の代案をどんなにくわしく検討しても、込み入った要素が多すぎて、未来の出来事を予測しかねる場合もある。1週間以上先の天気は、予測できない。一国の経済の変動は、予測できない。原油価格は、予測できない。ドルのレートは、予測できない。住宅市場の勢いは、予測できない。2カ月後のS&P500種株価指数の値は、予測できない。
 以上の例を整理すると、ふたつのタイプの不確実性が浮かび上がってくる。

【1 情報の不確実性……情報が不足していることによる不確実性】
【2 無秩序の不確実性……複雑すぎることによる不確実性】

【『伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律』カーティス・フェイス:飯尾博信+常盤洋二監修、楡井浩一〈にれい・こういち〉訳(徳間書店、2009年)】

 アマゾンの評価が低いのは読者が投資手法を求めたことによるものだろう。それほど前著と内容が懸け離れている。まずタイトルに難あり。徳間書店が下劣な商魂を逞しくしたために読者をミスリードする結果となっている。内容は決して悪くない。

 一寸先は闇というのが仏教の立場で、「未来」という言葉は「未だ来(きた)らず」の謂(いい)である。ここに願望や計画が紛れ込むと「将来」(将〈まさ〉に来〈きた〉る)と表現する。仏典に将来という語は出てこない。

 未来のことはわからない。この事実が肚に据えられていないと不測の事態に翻弄される羽目となる。事故・病気・怪我・失業など不慮の出来事と遭遇するたびに嘆き悲しみ、人生を恨んでも仕方がない。正しい判断と迅速な対処が求められる。ただそれだけのことだ。

 投資もギャンブルも不確実性(リスク)に賭けるゲームだ。本質的には競争相手ではなく時間との勝負になる。つまり、より長くゲームに参加できれば必然的に勝ちを収めることができる。そこで問われているのがリスクマネジメントであり、ポジションサイズと損切りが命運を分かつ。含み損を強い意志で切ることができないプレイヤーはあっと言う間に退場させられる。

 不確実な世界においては、生起事象は既定のものとして扱われる。未来に何が起こるかを正確に予測することなどできない。精いっぱいの推測をするしかないが、それでさえはずれることが多い。【現われた結果に対処する最善の方法は、それを悪いこととしてではなく、“避けられない現実”として見ることだ】。つまるところ、それが結果というものなのだから。

 我々は不運な出来事に遭遇すると「予測できなかったこと」を悔やむ。そこに愚かさがあるのだろう。一切が予測可能であれば、人生もゲームも全くつまらないものに変わってしまうだろう。人生とは不確実性を生きることである。運命も因果も及ばぬダイナミズムを私は不確実性と呼ぶ。

 最後に小林秀雄の言葉を紹介しよう。

小林●ぼくら考えていると、だんだんわからなくなって来るようなことがありますね。現代人には考えることは、かならずわかることだと思っている傾向があるな。つまり考えることと計算することが同じになって来る傾向だな。計算というものはかならず答えがでる。だから考えれば答えは出(ママ)るのだ。答えが出なければ承知しない。

【『人間の建設』小林秀雄(新潮社、1965年、『小林秀雄全作品 25』2004年/新潮文庫、2010年)】

伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律人間の建設 (新潮文庫)

個性が普遍に通ずる/『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄

2014-11-30

欲望と破壊の衝動/『心は病気 役立つ初期仏教法話2』アルボムッレ・スマナサーラ


『怒らないこと 役立つ初期仏教法話1』アルボムッレ・スマナサーラ
『怒らないこと2 役立つ初期仏教法話11』アルボムッレ・スマナサーラ

 ・欲望と破壊の衝動

『苦しみをなくすこと 役立つ初期仏教法話3』アルボムッレ・スマナサーラ
『ブッダの教え一日一話 今を生きる366の智慧』アルボムッレ・スマナサーラ

 ある人に「この世の中を支配している主人は誰ですか?」と聞かれたとき、お釈迦さまは「神様です」とは言わず、いとも簡単にこう答えました。

(※以下原文略)チッテーナ・ニーヤティ・ローコー

 チッテーナとは「心に」「心によって」という意味です。「心が行っているのだ」ということです。
 ニーヤティとは「導かれる」という意味です。
 ローコーというのは「衆生」、つまり「世界や世の中」「生けるもの」ということで、人々や生命を意味します。
 全体では「心が衆生を導く」「衆生は心に導かれる」という意味になります。
 つまりお釈迦さまは、「生命は心に導かれ、心に管理されている。心に言われるままに生命は生きていて、心という唯一のものに、すべてを握られている」と答えたのです。
 私たちは結局、「心の奴隷」なのです。私にはなんの独立性もないし、自由に生きてもいません。
 ですから、「仏教の神はなんですか?」と聞かれたら、私なら「心です」と答えます。「逆らえない」という点では、心は一神教的な神と同じだからです。

【『心は病気 役立つ初期仏教法話 2』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2006年)以下同】

 世の中とは人々の心の反応がうねる大河のようなものなのだろう。心は鏡であり、鏡に映ったものが世界であると考えてよい。各人の鏡は曇り、汚れ、ひん曲がっている。一人ひとりの価値観・執着・個性によって。世界とは目の前に存在するものではなくして世界観なのだ。それゆえ我々には見えていないものがたくさんある。優れた教えに触れると、曇りが除かれ心に光が射(さ)し込む。

 心の特徴を、もうひとつ紹介しましょう。
 心は、思い通りにならないと、反対の行動をします。好きなもの、欲しいものに向かって走ることを邪魔されたら、ものすごく破壊的になって、恐ろしいことをするのです。
 人間はいつも何かしら希望や目的があって、それを目指して生きています。
 でも、突然その目的が達成できなくなることもよくありますね。そうすると心はものすごいショックを受けて、破壊の道に走ってしまうのです。「得られないんだったら、いっそぜんぶ壊してやろう」という気持ちです。

 片思いがストーカー行為に変貌する。紙一重のところで愛憎が入れ替わる。陳列棚の前で駄々をこねる子供だって、欲しい物を買ってもらった途端、親に愛情を示す。人間の心は欲望と破壊の衝動に支配されている。ここをよく考える必要がある。考えるというよりも見つめることが相応(ふさわ)しい。瞑想だ。

 自分の希望や願望をひたと見つめる。なぜそれが必要なのか。それが無理だとわかったら自分はどう変わるのか。我々が求めてやまないのは結局のところ「成功」である。「他人からの評価」と言い換えることも可能だ。

「人間が生きる」ということは、「好きなものを得るために行動する」「得られないものや邪魔するものはぜんぶ壊す」のいずれかです。我々の日常生活は、この二つのエネルギーに支配されているのです。

 ああ、これが欲望の正体なのだな。犯人は「自我」である。グラデーションの濃淡はあれども我々の行動はここに収まる。そして人間の生き方を集約する国家もまた同様のエネルギーに支配されている。戦争こそは欲望の最たるものだろう。

 世にある犯罪のほとんどは、希望がかなわないときに起こる破壊的なエネルギーが原因です。

 絶妙な指摘だ。高齢者の万引きも破壊的な衝動と考えれば腑に落ちる。

 心理学の世界では、破壊的なエネルギーで動くことを「病気」とはいいません。「あの人はいろいろなところで負けたけれど、よく闘って頑張っている。行動的で偉い」と、むしろほめるのです。
 ですが仏教的に見れば、それも結局は危ない病気です。「闘う心」は、「ある意味では勝利への希望に満ちた状態」ともいえるのですが、もし闘えないときはどうなるでしょうか?
 他人を害する破壊的な行為には、力が必要です。力が足りない場合は、力が内向きになって、ひきこもりになったり、自殺願望を引き起こしたりすることになります。「嫌な状況をぶち壊したい。他人を破壊したい。でも、できない」というとき、人間は自分自身を破壊してしまうのです。手榴弾を相手に投げようと安全ピンを外したものの、そのまま持っているようなものです。10秒後くらいには自分が死んでしまいます。
 うつ病とか統合失調症とか、いろいろな言葉で表される精神的な病気も、もとをたどればぜんぶ「怒りのエネルギー」です。自分の心でつくった毒で、自分を殺しているのです。

 資本主義は自由競争を旨(むね)とする。競争とは戦いであり他人を蹴落とすことでもある。この社会では「より多くの他人を蹴落とした人物」が勝利者と見なされる。文武の二道は競争ではない。力や技の優劣よりも心の姿勢が問われる(『一人ならじ』山本周五郎)。これに対してスポーツは完全な競争である。

 会社も学校も人々を競争に駆り立ててやまない。なぜなら、競争すればするほどあいつらは儲かるからだ。今時は文化や宗教だって競争だよ。売れてなんぼの世界だ。

 スマナサーラの言葉は深遠な仏教哲理に貫かれているがこの部分は危うい。特に統合失調症については鵜呑みにしてはならない。かような「軽さ」を見極めた上でスマナサーラ本を読むべきだ。ま、精神科医が信用できるかといえば、決してそうではないわけで、どっちもどっちというレベルと考えればよい。完璧な人間はいない。大目に見てやれ。


統合失調症への思想的アプローチ/『異常の構造』木村敏

「きれい」と「美しい」に関する覚え書き









2014-11-28

アメリカからの情報に依存する日本/『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年

 ・国益を貫き独自の情報機関を作ったドイツ政府
 ・アメリカからの情報に依存する日本

『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 今日、人類はグローバルな時代を迎え、国境を越えて地球規模の交流が積極的に行われ、「ボーダーレス」という言葉が流行語になっているほどである。しかし、グローバルな世界といっても、それを構成する人間集団の単位は、あくまでも国家である。
 現在190余りの国々で構成される国際社会には、国連をはじめとするさまざまな国際機関が存在し、国際法もあるにはあるが、個々の主権国家の上に立つ超国家的な公権力は存在せず、無政府状態にあると言っていい。
 政治力や経済力、特に軍事力において優位に立つ国が、世界を支配している。こんな国が思うがままに国際機関を動かし、国際法を踏みにじり、自由自在に世界を動かしているのである。国際協調といっても、本心は国益のためだ。これが現実の世界である。

【『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘(青志社、2012年/旧版、2009年)】

 グローバリゼーションを推進するのはアメリカだ。それがアメリカの国益のためのグローバル化であるのは当然だろう。黒船襲来の歴史を思え。アメリカは自国の不足を補う目的で世界に歩を進める。オバマ政権でいえば雇用の確保だ。つまり失業を輸出しようと目論んでいるわけだよ。

 現在、円安が進行中だがこれによって日本は原油安の経済効果を享受することができない。目下のところ欧米(ドル・ユーロ・ポンド)は日本への輸出価格は不利になるが原油安で潤っている。

 アメリカの長期金利(10年債)が下がっているにも関わらずドルが高いのはどう考えてもおかしい。原油安と連動しているとしか考えようがない。そしてドル円が調整なしで上がり続け、日経平均が上昇しているのは、今回の解散総選挙と絡んでいる。安倍政権への追い風だ。安倍首相は消費税増税延期を口実にしているが真の狙いは別のところにある。

 オバマ大統領訪日後、安倍首相がやったことといえば、特定秘密保護法の制定と集団的自衛権の行使である。これがアメリカからの意向であることはまず間違いない。衆院解散は日本の安全保障のあり方を変えるところに目的がある。アメリカは軍事費の削減をしており、「自分の国は自分で守ってくれ」ということなのだろう。

 中国はアメリカに対して「太平洋を二分しよう」と持ちかけ、オバマが「太平洋は広い」と応じた。日本が軍事的独立を図るとなれば、核武装に舵を切ることとなるだろう。個人的には好機到来であると考える。かつて核保有国同士が戦争をしたことはない。所謂、核の抑止力が働くためだ。日中の全面戦争を防ぐ手立ては核武装以外に求めようがない。

 その時、ドイツが日本に続くかどうか。ドイツが続けば第二次世界大戦の戦後レジームは劇的に変わる。日本の国連常任理事国入りも速やかに承認されることだろう。

 隣国のロシア・中国・北朝鮮が核を保有する地政学的状況にあって、アメリカ頼みがまかりならないと言われたら、核武装するのは当然だろう。もちろん戦争を防ぐための核武装である。

 アメリカが「ならず者国家」と指定して間もなくイラクのサダム・フセイン大統領とリビアのカダフィは殺害された。ところが北朝鮮の金正日は殺されなかった。それどころか「ならず者国家」のリストから外された。なぜか? 核を保有したからだ。

 世界の主要な国々は、第二次世界大戦後、過去の苦い経験を踏まえて、いずれも強大な中央情報機関を設立し、自らの判断で、国民の安全と繁栄を守ろうとしている。
 そしてわが国だけが、そのような中央情報機関の設立を拒否し、不可欠な対外情報を友好国、特にアメリカに依存しているのが現状である。
 しかしこれもあたり前のことだが、たとえ最も親しい友好国といえども、自国に都合の悪い情報は提供してくれないし、決して自国の国益に反する情報などくれるわけがない。情勢判断を一致させるためだ。
 外国の情報に依存するということは、その国の意向に沿った政策しか採用できないということでもある。最近のイラク戦争や北朝鮮問題でも、常にアメリカに従属した、アメリカの意向に沿った政策しか取れないのはそのためだ。

 GHQの占領はわずか7年間であったが、日本の歴史と伝統を寸断するには十分な時間であった。一言でいえば日本は天皇制を守るためにアメリカの属国となる道を選んだ。マッカーサーが吉田茂首相に警察予備隊(陸上自衛隊の前身)の創設を指示したのが1950年(昭和25年)で、翌年には再軍備を求めている。朝鮮戦争が勃発し、冷戦構造がグローバル化する中で、アメリカは日本を骨抜きにすることよりも、自分たちの陣営に取り込むことを優先した。

 日本は経済的恩恵を被りながら高度経済成長を遂げ、現在にまで至っている。取り込まれっ放しだ。アメリカは日本のバブル景気を狙い撃ちにし、それ以降、日本の国富はアメリカに流れてしまう。直接奪われたわけではないが、あいつらは「奪うシステム」を巧みにつくり上げるのだ。

 中央情報機関は設立しただけでは機能しない。情報の積み上げと経験が必要になるためだ。菅沼によれば「10年は掛かる」という。特定秘密保護法はその第一歩である。日本が独立するためには官僚の中から左翼の残党とアメリカの手先を一掃する必要がある。

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情報ピラミッド/『隷属国家 日本の岐路 今度は中国の天領になるのか?』北野幸伯

2014-11-26

小室直樹、菅沼光弘、野口三千三、他


 9冊挫折、2冊読了。

読書は1冊のノートにまとめなさい 完全版』(ダイヤモンド社、2013年/旧版、ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2008年)、『情報は1冊のノートにまとめなさい 完全版』(ダイヤモンド社、2013年/旧版、ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2008年)、『人生は1冊のノートにまとめなさい 体験を自分化する「100円ノート」ライフログ』(ダイヤモンド社、2010年)奥野宣之〈おくの・のぶゆき〉/同工異曲といえば褒めすぎだろう。しかも旧版が絶版になっていない。たらい回しの感あり。来年から書くことを決意したので参考までに開いてみたが飛ばし読みがやっと。10代、20代の若者には『読書は』を勧めておく。

ヴァチカン物語』塩野七生〈しおの・ななみ〉、石鍋真澄、ほか(新潮社、2011年)/塩野の文章はほんの一部であった。散漫な印象あり。中途半端な代物だ。

身体感覚をひらく 野口体操に学ぶ』羽鳥操、松尾哲矢(岩波ジュニア新書、2007年)/期待外れ。

新版 魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構え』バン・K・タープ:長尾慎太郎監修、山下恵美子訳(パンローリング、2008年/旧版、2002年)/もったいぶった文章が鼻につく。『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門』の方がずっとよい。時間があれば再読するかもしれない。

デュブーシェ詩集 1950-1979』アンドレ・デュブーシェ:吉田加南子〈よしだ・かなこ〉訳(思潮社、1988年)/『回思九十年』で吉田の紹介が興味を惹いた。いざ読んでみるとチンプンカンプンだ。私に読解力がないだけに詩は当たり外れが多い。

戦争中毒 アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由』ジョエル・アンドレアス:きくちゆみ、グローバルピースキャンペーン有志訳(合同出版、2002年)/レイアウトが悪すぎる。いかに内容がよくても読む気になれない。

原初生命体としての人間 野口体操の理論』野口三千三〈のぐち・みちぞう〉(岩波現代文庫、2003年/三笠選書、1975年)/これはオススメ。『ことばが劈かれるとき』竹内敏晴、『大野一雄 稽古の言葉』と同じ匂いが漂う。直観による悟りだ。ただし私の興味は具体的な体の動かし方にあり、体操理論に目を通す時間はないため飛ばし読み。

 94冊目『日本国民に告ぐ 誇りなき国家は、滅亡する』小室直樹(ワック、2005年/クレスト社、1996年)/必読書入り。小室の文体は奔放すぎてとっつきにくいのだが、一度「あ!」と思うと一気に引きずり込まれる。「いわゆる慰安婦問題」については本書を中心に議論されるべきだ。やはり小室御大は凄い。今から18年も前にロジカルな裁断を下していた。慰安婦問題にとどまらず日本の近代史、天皇制、教育問題にまで目が行き届いている。更に挙証責任を通して「法のあり方」まで勉強できる。何と言ってもアノミー(無規範、無規則)を「無連帯」としたところに小室直樹の天才性がある。

 95冊目『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘(徳間書店、2014年)/これは小室本と併読するのが望ましい。近代裏面史ともいうべき内容だ。菅沼本の中でも一番手堅くまとまっている。アメリカの卑劣、英独の裏切りがアジアで唯一の独立国であった日本を追い詰めてゆく様子がよくわかる。それにしても菅沼の該博な知識に驚かされる。私は最近になって根本博陸軍中将のことを知ったのだが本書で触れている。根本以外にも蒋介石率いる台湾を支援した旧日本軍将校は20名近く存在したという。GHQの監視が厳しかったため彼らは密航で台湾へ渡った。

5分で知るクリシュナムルティの教え(「変化への挑戦」より)


 クリシュナムルティは講話をしながら瞳を閉じることが多い。だが実は違う。彼は内側を見つめているのだ。つまり聴き手と同時に自分自身とも対話をしているのである。


日本語初のDVDブック/『変化への挑戦 クリシュナムルティの生涯と教え』J・クリシュナムルティ

2014-11-23

IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織/『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年

 ・IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織
 ・日米経済戦争の宣戦布告
 ・田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った

『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

(※GEによる増殖型の原子力エンジンの開発が上手くゆかず)結局、ウェスティングハウスの加圧水型軽水炉の採用が決まって、原子力潜水艦第1号ノーチラス号として結実することになりました。1955年のことです。
 この2年前の53年12月、アイゼンハワー大統領は「平和のための原子力(アトムズ・フォー・ピース)」という有名な演説を国連で行っています。この演説でアイゼンハワーは核物質の国際管理と核エネルギーの平和利用を強い調子で訴えました。それが後のIAEA(国際原子力機関)の設立へとつながっていくのですが、もちろんアメリカの真意は原子力の平和利用などというきれい事だけにあったわけではありません。
 演説のなかでアイゼンハワーは、再三にわたってソ連の核兵器開発のすさまじい勢いについてふれています。アメリカの核の独占体制がくずれ、敵対国であるソ連の無制限の核開発について脅威を感じていたのです。
 広島・長崎に原爆を投下したという「暗い背景」(アイゼンハワーの言葉)を持つアメリカが、いまや自分たちの頭上でいつ核爆弾が炸裂してもおかしくないという恐怖のもとにさらされている。かつての加害者は「報復の女神」の復讐によっていつ被害者となっても不思議ではない、と聖書は教えている。そんな事態だけはなんとしてでも回避しなければならない。それにはソ連の核開発をなんとか抑え込まなければならない。アイゼンハワーの狙いはまさにそこにありました。そもそも彼が提唱したIAEAという組織自体が、アメリカの意向にそって核の軍事利用を制限し、査察を行うための国際機関として考え出されたものなのです。

【『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘(徳間書店、2011年)】

 原爆はダモクレスの剣と化した。


 ドイツではなく日本に原爆を投下した理由は明らかになっていない。ま、黄色人種であったためと考えてよかろう。アメリカはキリスト教の論理に則って行動し、そのドグマによって怯(おび)えているのだ。宗教とは空想や妄想を現実化する力である。

 主要な国際機関の大半はアングロサクソンが作ったもので、背後でユダヤマネーが支えている。一種のソフトパワー戦略と見なしていいだろう。IMF世界銀行もアメリカの出先機関である。

「IAEAの査察も日独核武装封じ込めが出発点」(吉田康彦)であった。


 アメリカの都合に合わせる同盟関係はそろそろ見直すべきだろう。9.11テロがその警鐘であったと思われてならない。地政学的に考えても日本は韓国・北朝鮮・中国・ロシアと上手くやっていくしかない。とにかく日本には戦略がない。戦わずして敗れているのが現実だ。例えば中国の民主化運動を密かに側面から支援する。そうすればやがて中国は四つか五つくらいに分裂してしまうだろう。そこで友好関係を強化すればいい。

この国の権力中枢を握る者は誰か
菅沼光弘
徳間書店
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2014-11-22

沖縄普天間基地は不動産の問題/『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年

 ・沖縄普天間基地は不動産の問題
 ・核廃絶を訴えるアメリカの裏事情

『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年
『沈むな!浮上せよ! この底なしの闇の国NIPPONで覚悟を磨いて生きなさい!』池田整治、中丸薫

菅沼●普天間の関連で言えば、あんなものは不動産の問題なんです。みんな「安全保障」とか「抑止力」とかいろんな理屈言っていますが、とどのつまりアメリカは、本当はあんな基地は要らないんです。
 何であんなことになっているかと言うと、内外の不動産屋の利権がからんでいるからです。例えば、その中には沖縄の不動産屋もある、普天間基地の地主がいる。地代は、いろいろな問題が起こるものだから、どんどん上がっているんです。沖縄の人にとってみれば、今何が一番成長産業かというと不動産業です。地代は全部右肩上がりだから、そこへ投資すれば利益が出るわけです。なくなりゃ、みんなパーです。沖縄はそれがなくなれば、土地の値段は低い。

【『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘(ヒカルランド、2010年)】

 早速調べてみた。





 菅沼は日米双方の利権が絡んでいると指摘し、小泉純一郎もダミー会社を使って関与していると語る。ネット上では小沢の名前も上がっていた。

小沢氏、日米合意直後に沖縄で土地購入 普天間移設予定地から9キロ(産経新聞)
小沢氏、沖縄に別荘建築 老後に備え? 故郷・岩手から離れた真意は… zakzak2013.03.28

 利権とは私益だ。私益に走る公僕が国益を守れるわけがない。日本の政治家がことごとくアメリカからの圧力に屈するのも当然であろう。我々国民もまたそうした政治家の存在を許し、米国の外圧を黙認してきた。自殺者数が3万人を超えても、格差社会が広がっても目を醒(さ)ますことはなかった。今日本人に必要なのは「特攻隊の精神」だ。自分の命をなげうっても国家・国民のために尽くす覚悟である。

 個人的な所感ではあるが、米軍基地問題に関してデモや選挙などの平和的手法で解決できるとは到底思えない。かつて10代の少女が米兵に強姦された事実を踏まえれば、沖縄県民は武装すべきだろう。

 尚、本書はトンデモ本大賞の候補作となっているが、山本弘の指摘は的外れである。ま、と学会の連中の常識を信じる方がどうかしていると思うが。

中丸薫、菅沼光弘


 1冊読了。

 93冊目『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘(徳間書店、2013年)/中丸の部分はすっ飛ばした。ヒカルランドのは二人の話が章立てとなっているが、こちらはもっと短くて対話っぽい雰囲気を出している。中丸は自慢話と霊言が多すぎて辟易させられる。菅沼は宗教についても詳しい。大統領候補であったロムニーがモルモン教徒であったことに触れ、モルモン教が教団として社会的地位を上げる目的で信者を米軍に送り込んでいるそうだ。矢吹一夫、児玉誉士夫、大西瀧治郎〈おおにし・たきじろう〉中将にまつわるエピソードが出てくる。松下政経塾がダメな理由。安部首相もダメだと切り捨てている。亀井静香も「CIAから命を狙われている」とビビりまくっているとのこと。命を捨てる覚悟の政治家は一人もいないようだ。

2014-11-20

ウィリアム・ブルム、菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄


 2冊読了。

 91冊目『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム:益岡賢〈ますおか・けん〉訳(作品社、2003年)/必読書入り。『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クラインを読んだ人は必読のこと。まだ読んでいない人はこちらから読むべし。これほど胸の悪くなる本を知らない。私は長らく世界の癌はイスラエルでその次にアメリカだと思い込んでいた。アメリカは病める大国にして世界最悪のテロリスト国家であった。その歴史的事実がこれでもかと羅列されている。因みに菅沼本では徹底してアメリカ批判が展開されているが菅沼は反米ではない。私は反米であり反イスラエルである。しかし反ユダヤではない。正確に言えば反シオニズムだ。安全保障をアメリカに委ねている我々日本人はアメリカの実態を知らねばならない。彼らはその矛先を既に国内のアメリカ人にまで向けている。TPPが実現する前に本書を一読することを強く勧める。

 92冊目『見えてきたぞワンワールド支配者の仕掛け罠 神国日本八つ裂きの超シナリオ 絶対に騙されるな! モンサントと手を組む日本企業はこれだ』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄〈あすか・あきお〉(ヒカルランド、2012年)/ベンジャミン・フルフォードといえば陰謀本である。菅沼はそれを逆手に取って言いにくい情報を語る場としたのであろう。トンデモ本と思わせておけば危険は少なくなる。あとは読み手の力量次第だ。

2014-11-18

国益を貫き独自の情報機関を作ったドイツ政府/『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年

 ・国益を貫き独自の情報機関を作ったドイツ政府
 ・アメリカからの情報に依存する日本

『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 私がドイツにいた頃、BND関係者からは、情報機関が国家にとっていかに重要なのか、よく聞かされた。
 かつてドイツは第一世界大戦(ママ)に敗れたことで、連合国によって、軍の情報機関はすべて廃止に追い込まれた。ドイツが再び立ち上がることを阻止するためだ。
 しかし、ドイツ海軍は、その後ドイツ国防軍の情報長官になった、ヴィルヘルム・カナリス提督が若き士官だった頃、情報士官を集めて民間会社を作った。連合国から禁止されていたため、公式に情報機関は作れなかったが、民間会社を作って、そこで密かに情報活動を行った。
 ナチスが政権を握った後は、民間会社を隠れ蓑にすることもなく、堂々と情報機関が設立された。ドイツ陸軍で対ソ情報活動を行っていた部隊は、第二次世界大戦中、バルト海南岸の東プロイセンの辺りに駐在していた。その部隊の司令官が、後にBND初代長官に就いたゲーレン将軍である。
 敗戦間近になると、ゲーレン将軍らは要員とともに、資料を全部持って、スイスの山中に逃げ込んだ。なぜそういう行動に出たかというと、「我々はもう負ける。しかしいずれ我々の持てる情報を、アメリカが必要とするだろう」という読みがあったからだ。
 第一次世界大戦後に情報聞かを壊滅させられた経験があったから、「何が何でも情報機関を残さなければならない」というただ一心だったという。
 その後、CIAの前身組織であるOSS(戦略事務局)のヨーロッパ本部責任者だったアレン・ウェルシュ・ダレス氏と掛け合った。その甲斐あって、CIAの全面的な支援の下で、対ソ情報活動を専門的に行う「ゲーレン機関」が設立され、独立後に連邦の情報機関であるBNDへと発展していったのだ。
 ドイツには、国が自立するためには、情報機関が必要不可欠だという認識がある。また占領下において、つまり主権のない時期に作られた法律は、独立後はすべて見直すという強い意思があったから、日本のように改正が難しい憲法は作らなかった。ドイツ連邦共和国基本法は、必要とあらばいつでも改正できる基本法であって、憲法と呼ばれるものではない。
 日本は占領期間中に、帝国憲法の改正という形だ。日本国憲法を作ったから、60年以上も改正できないまま今日に至っている。同じ敗戦国にして、これだけの違いがある。
 憲法制定の経緯についてはいろいろなことが言われているが、つまりはアメリカが日本の自立を認めなかったということだ。逆に言うと、独自の情報を集めるシステムがないと、独立自尊の国家としての政策は展開できない。

【『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘(青志社、2012年/旧版、2009年)】

 菅沼光弘がどの書籍においても必ず触れている歴史で、日本独自の情報機関をつくることがアメリカ支配という戦後レジームを変革する第一歩であるとの主張である。

 カナリス提督やゲーレン将軍はドイツを舞台とした冒険小説やミステリで馴染みが深い。菅沼は東大法学部を卒業し公安調査庁に入庁。その後直ちにドイツのマインツ大学へ留学させられているが、これはゲーレン機関で訓練を受けるためであった。菅沼が「最後のスパイ」と呼ばれる所以(ゆえん)である。


 カナリスはアプヴェーアの責任者も務めた。知性と良心を眠らせない人物が皆そうであるように、彼もまた複雑な人物であった。カナリスはSS(ナチス親衛隊)と反目し合っていた。そして最後は部下たちが企てたヒトラー暗殺に協力する。絞首刑にされたのはナチス・ドイツが降伏する1ヶ月前であった。


 ドイツは白人国家であるがゆえに当然、日本とは占領政策が異なった。それでも尚、なぜドイツにはゲーレンがいて、日本にはいなかったかを考える必要があるだろう。小野田寛郎〈おのだ・ひろお〉の生きざま(『たった一人の30年戦争』小野田寛郎)を見れば、陸軍中野学校がそう易々(やすやす)とGHQに屈するとは思えない。


 逆に言えばゲーレンのような先見の明をもつ者が存在しなかったがゆえに日本は戦争に敗れたのだろう。ゲーレン機関は正式にBND(連邦情報局)となる。ゲーレン機関の諜報員はソ連・東欧の各地に配置され、米ソ冷戦下で活躍する。

 戦後憲法が日本のよき伝統を破壊したと菅沼は言う。その一々に説得力がある。更にアメリカは日本に情報機関を持たせないことで完全に属国とした。日本のインテリジェンスはその殆どをアメリカからの情報に頼っているのだ。しかも自民党は1950年台から60年台にかけてCIA(中央情報局)から数百万ドルの資金提供を受けている。つまり日本共産党がソ連のスパイ(『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎)で、自民党がアメリカのスパイであった可能性が強い。

 同様に朝日新聞(慰安婦問題捏造記事)と読売新聞(原発導入のシナリオ 冷戦下の対日原子力戦略)を比較することもできるだろう。正力松太郎には「ポダム」というCIAのコードネームがあった。


 晩年のゲーレン将軍と思われるが、顔つきが菅沼とよく似ている。カナリスもゲーレンも菅沼も国家・国民のためにという国益志向が一致している。彼らこそ国士と呼ばれるのに相応(ふさわ)しい人物だ。

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菅沼 光弘
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2014-11-17

竹原ピストル












BEST BOUT復興の花2+LIVE DVDRoute to roots
SKIP ON THE POEM父から娘へ~さや侍の手紙~BOY(ボーイ)

2014-11-16

クリシュナムルティ書評一覧 刊行順


・『阿羅漢道』クリシナムルテ:今武平訳(文党社、1925年)
『ヘンリー・ミラー全集11 わが読書』ヘンリー・ミラー:田中西二郎訳(新潮社、1966年)
『自己変革の方法 経験を生かして自由を得る法』クリシュナムーティ著、メリー・ルーチェンス編:十菱珠樹訳(霞ケ関書房、1970年)
『自由への道 空かける鳳のように』クリシュナムーテイ:菊川忠夫訳(霞ケ関書房、1982年)
『大師のみ足のもとに/道の光』J・クリシュナムルティ、メイベル・コリンズ:田中恵美子訳(竜王文庫、1974年)
『道徳教育を超えて 教育と人生の意味』クリシュナムーティ:菊川忠夫、杉山秋雄訳(霞ケ関書房、1977年)
『英知の探求 人生問題の根源的知覚』J・クリシュナムーティー:勝又俊明訳(たま出版、1980年)
『自我の終焉 絶対自由への道』J・クリシュナムーティ:根木宏、山口圭三郎訳(篠崎書林、1980年)
・『暴力からの解放』J・クリシュナムーティー:勝又俊明訳(たま出版、1982年)
『クリシュナムルティの瞑想録 自由への飛翔』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(平河出版社、1982年/サンマーク文庫、1998年)
『クリシュナムルティの日記』J・クリシュナムルティ:宮内勝典訳(めるくまーる、1983年)
・『真理の種子 クリシュナムルティ対話集』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(めるくまーる、1984年)
『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 2 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
『生と覚醒のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
『生と覚醒のコメンタリー 4 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
『クリシュナムルティの神秘体験』J・クリシュナムルティ:おおえまさのり監訳、中田周作訳(めるくまーる、1985年)
『生の全体性』J・クリシュナムルティ、デヴィッド・ボーム、デヴィッド・シャインバーグ:大野純一、聖真一郎〈ひじり・しんいちろう〉訳(平河出版社、1986年)
『英知の教育』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1988年)
『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス:高橋重敏訳(めるくまーる、1988年)
『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス:高橋重敏訳(めるくまーる、1988年)
『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス:高橋重敏訳(めるくまーる、1990年)
『未来の生』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1989年)
『学びと英知の始まり』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1991年)
『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司訳(平河出版社、1992年)
『最後の日記』J・クリシュナムルティ:高橋重敏訳(平河出版社、1992年)
『自己の変容 クリシュナムルティ対話録』クリシュナムルティ:松本恵一訳(めるくまーる、1992年)
『クリシュナムルティ 人と教え』クリシュナムルティ・センター編(めるくまーる、1992年)
『気づきの探究 クリシュナムルティとともに考える』ススナガ・ウェーラペルマ:大野純一訳(めるくまーる、1993年)
・『生の全変容』 J・クリシュナムルティ、アラン・W・アンダーソン:大野純一訳(春秋社、1993年)
『瞑想と自然』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1993年)
『人類の未来 クリシュナムルティVSデビッド・ボーム対話集』渡部充訳(JCA出版、1993年)
『ザーネンのクリシュナムルティ』J・クリシュナムルティ:ギーブル恭子訳(平河出版社、1994年)
『自由とは何か』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1994年)
『瞑想』J・クリシュナムルティ:中川吉晴訳(UNIO、1995年)
『私は何も信じない クリシュナムルティ対談集』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、1996年)
『恐怖なしに生きる』J・クリシュナムルティ:有為エンジェル訳(平河出版社、1997年)
『学校への手紙』J・クリシュナムルティ:古庄高訳(UNIO、1997年)
『あなたは世界だ』J・クリシュナムルティ:竹渕智子訳(UNIO、1998年)
『キッチン日記 J.クリシュナムルティとの1001回のランチ』マイケル・クローネン:高橋重敏訳(コスモス・ライブラリー、1999年)
『クリシュナムルティの教育・人生論 心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性』大野純一著編訳(コスモス・ライブラリー、2000年)
『白い炎 クリシュナムルティ初期トーク集』J.クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2003年)
『リシバレーの日々 葛藤を超えた生活を求めて』菅野恭子(文芸社、2003年)
『知恵のめざめ 悲しみが花開いて終わるとき』J・クリシュナムルティ:小早川詔、藤仲孝司訳(UNIO、2003年)
『自由と反逆 クリシュナムルティ・トーク集』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2004年)
『片隅からの自由 クリシュナムルティに学ぶ』大野純一著編訳(コスモス・ライブラリー、2004年)
『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール/尾関修、尾関沢人(講談社学術文庫、2005年)
『人生をどう生きますか?』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2005年)
『しなやかに生きるために 若い女性への手紙』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2005年)
『いかにして神と出会うか』J・クリシュナムルティ:中川正生訳(めるくまーる、2007年)
『既知からの自由』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2007年)
『智恵からの創造 条件付けの教育を超えて』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司、横山信英、三木治子訳(UNIO、2007年)
『変化への挑戦 クリシュナムルティの生涯と教え』J・クリシュナムルティ:柳川晃緒訳、大野純一監訳(コスモス・ライブラリー、2008年)
『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート編(PHP文庫、2008年)
『精神の自由ということ 神なき時代の哲学』アンドレ・コント=スポンヴィル:小須田健、C・カンタン訳(紀伊國屋書店、2009年)
『わらの犬 地球に君臨する人間』ジョン・グレイ:池央耿訳(みすず書房、2009年)
『回想のクリシュナムルティ 第1部 最初の一歩……』イーブリン・ブロー:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2009年)
『仏教と西洋の出会い』フレデリック・ルノワール:今枝由郎、富樫櫻子訳(トランスビュー、2010年)

宮城谷昌光書評一覧 年代順


・『天空の舟 小説・伊尹伝』
・『太公望』
・『管仲』
『重耳』(講談社、1993年/講談社文庫、1996年)
『介子推』(講談社、1995年/講談社文庫、1998年)
・『孟夏の太陽』
・『沙中の回廊』
・『夏姫春秋』
『晏子』(新潮社、1994年/新潮文庫、1997年)
・『子産』
・『湖底の城』
『孟嘗君』(講談社、1995年/講談社文庫、1998年)
『楽毅』(新潮社、1997年/新潮文庫、2002年)
・『青雲はるかに』
『奇貨居くべし』(中央公論新社、1997年/中公文庫、2002年)
・『香乱記』
・『草原の風』
・『三国志』

2014-11-15

菅沼光弘


 1冊読了。

 90冊目『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘(KKベストセラーズ、2013年)/日本を取り巻くインテリジェンス戦後史。オウム事件については他でも触れられているが、特筆すべきはGRU(グルー/ロシア連邦軍参謀本部情報総局)に深く食い込んでいたのはオウム真理教と統一教会で、オウムに対する武器供与には統一教会が絡んでいると指摘。韓国に統一産業という外郭企業があり、ロシアの武器を転売するのみならず武器製造まで行っているという。