2018-03-03

GHQは日本の自衛戦争を容認/『いちばんよくわかる!憲法第9条』西修


『憲法と平和を問いなおす』長谷部恭男

 ・GHQは日本の自衛戦争を容認

『平和の敵 偽りの立憲主義』岩田温
・『だから、改憲するべきである』岩田温
『日本人のための憲法原論』小室直樹
『日本の戦争Q&A 兵頭二十八軍学塾』兵頭二十八
『「日本国憲法」廃棄論 まがいものでない立憲君主制のために』兵頭二十八
『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』伊藤祐靖

 それでは、「国際紛争解決のための戦争」とは何でしょうか。この戦争に自衛戦争が含まれるのでしょうか。この問いに対して、条約の提案者、ケロッグ米国務長官ははっきり述べています。
「(自衛権は、)すべての主権国家に固有のものであり、すべての条約に暗黙に含まれている。すべての国は、どのようなときでも、また条約の規定のいかんを問わず、自国領域を攻撃または侵入から守る自由をもち、また事態が自衛のための戦争に訴えることを必要ならしめるか否かを決定する権限を有する」(1928年4月28日、米国国際法学会における講演)
 ブリアンもまったく同じ考えでした。このような共通認識のもとに、当初、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本など15カ国が署名、のちにソ連などが加わり、同条約の参加国は63カ国にまでなりました。
 このようなことから、「紛争を解決するための手段としての戦争」は、侵略戦争を意味し、自衛戦争を含まないというのが、国際的な理解でした。マッカーサーも、このことは十分に理解していました。
 ちなみにマッカーサーは、超エリート軍人の登竜門である陸軍士官学校(所在地からウエストポイントと呼ばれる)を首席で卒業し、4年間の成績の平均点は98.14点、いくつかの科目はウエストポイントが始まって以来の100点満点だったと伝えられています。39歳で史上最年少の将軍に昇進(陸軍士官学校長)、さらに50歳まで参謀長を歴任するという経歴の持ち主です。
 マッカーサーは、「不戦条約」の規定を承知のうえで、日本の憲法に侵略戦争だけでなく、自衛戦争をも放棄することを規定しなければならないと考えていたのです。

【『いちばんよくわかる!憲法第9条』西修〈にし・おさむ〉(海竜社、2015年)】

 マッカーサーが修正を加えた総司令部案をチャールズ・L・ケーディス陸軍大佐(民政局次長・運営委員会委員長)が更に修正したものが現行憲法の第9条となっている。

西●あなたは「マッカーサー・ノート」に定められていた全面的な戦争放棄を部分的な戦争放棄に変更なさったそうですが、事実でしょうか。

ケーディス●そのとおりです。私は例の黄色い紙(西注:「マッカーサー・ノート」をさす)にかかれていた「自己の安全を保持するための手段としてさえも」の文言を削除しました。そしてその代わりに、「戦争」のみならず、「武力による威嚇または武力の行使」をも放棄するように加えました。なぜならば、「自己の安全を保持するための手段としてさえもの戦争放棄」を憲法に規定すれば、日本が攻撃されてもみずからを守ることができないことになり、そのようなことは現実的ではないと思えたからです。私は、どの国家にも自己保存の権利があると思っていました。日本は、他国の軍隊に上陸された場合、みずから防衛することは当然できるはずです。ただ座して侵略を舞ったり、侵略者に我が物顔でのし歩かせる必要はないでしょう。

 昭和20年(1945年)のアメリカ軍人にはまだ常識があったという歴史的事実を忘れてはならないだろう。ところがどっこい現在の日本にはこの常識に反対する勢力が存在するのだから恐ろしい。実に憲法学者の6割が「自衛隊を違憲」と主張してはばからない。国民から大東亜戦争の記憶が薄れるにつれて平和ボケの度合いは重篤となった。

 憲法改正の機運が高まったのは2001年のアメリカ同時多発テロ事件の影響が大きい。NHKの世論調査でも2002年に「改正する必要がある」との声が過半数を大きく超えた。次に2011年の東日本大震災で自衛隊の存在が脚光を浴び、国民からの大きな支持を得たことも憲法改正の動機となっている。そして竹島・尖閣を巡る領土問題や、昨今の中国・北朝鮮による領海・領空侵犯を通して日本国民はようやく目覚めつつあるというのが現状だろう。

 2017年5月3日の憲法記念日に開催された「第19回公開憲法フォーラム」に安倍首相がビデオメッセージを寄せ「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」との抱負を語った。因みに西修も登壇している。これを機にメディアは一斉に森友学園・加計学園問題で安倍夫妻を叩き始めた。「朝日新聞は倒閣運動に舵を切った」と須田慎一郎は語る。

 ジャーナリズムが偏向報道を繰り返せば民主政は機能しない。一方、国民の側に情報開示を迫る意欲があるかといえばそうでもない。何となくテレビを見て、何となく怪しいと感じている人が大半だろう。安倍首相が議会で度々指摘する「印象操作」が奏功しているのだ。

 マッカーサーが日本から自衛権すら奪おうとしたのは日本軍の強さ、なかんずく玉砕するまで一歩も退くことのない精神性を恐れたからに他ならない。日本は戦争には敗れたがアジアを植民地から解放するという戦争目的は結果的に果たした。しかも厳密に見れば日本が敗れたのはアメリカだけであり、イギリス・フランス・オランダは完全に斥(しりぞ)けたのだ。有色人種の歴史としては日露戦争に次ぐ革命的壮挙であったことは確かであろう。

 敗戦のどさくさに紛れてGHQは、日本という国家から牙はおろか爪までもぎ取ろうとした。その象徴が日本国憲法であった。吉田茂は経済復興を最優先するために軍事面はアメリカに依存する道を選んだ。ここを外すと議会でのあやふやな発言を読み誤ってしまう。

 吉田は後々独立した軍隊をつくるつもりであったが、戦中から要所要所に巣食っていた左翼分子が戦後になると大手を振って闊歩し始めた。知識人は進歩の風に染め抜かれ、大学生は民主化を要求し、加えて反戦デモを強行するに至った。実に戦後の四半世紀は左からの旋風に世界が巻き込まれたといってよい。

 日本の来し方を思えば憲法を改正するのは当然の帰結である。反対勢力は憲法9条に問題を矮小化する傾向があり、9条擁護を唱える連中はその殆どが天皇制に反対する勢力であることを見逃してはならない。

 とはいうものの具体的な改正となると困難を極めることだろう。ゆえに安倍首相は公明党の加憲に歩み寄ったのだ。にもかかわらず公明党は今もなお政府を牽制し続けている。与党内ですら一致しないものを国民のレベルでまとめることは無理だろう。すなわちこの国は自分で憲法を決めることもできない政治レベルなのだ。

 そんな日本の政治情況に国際情勢は歩調を合わせてくれない。平和ボケという宿痾(しゅくあ)から脱するためには、【米軍が日本から撤退~中国による日本攻撃】という図式しか今のところ浮かばない。2020年代には日中戦争が現実になることだろう。次期首相が日本の命運を決する。



GHQはハーグ陸戦条約に違反/『世界史講師が語る 教科書が教えてくれない 「保守」って何?』茂木誠

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赤い季節/『北朝鮮利権の真相 「コメ支援」「戦後補償」から「媚朝派報道」まで!』野村旗守編


 作家の小田実氏は朝鮮総聯の手引きで訪朝し、77年1月から雑誌『潮』に「『北朝鮮』の人びと」を連載したが、その中で何度も公式視察を離れて、あてずっぽうに「なだれこみ」取材をしたと誇らしげに書いている。しかしこの取材も北朝鮮側が巧妙に仕組んだヤラセである疑いが強い。小田氏は「テレビはどこの家にももっているだろう。冷蔵庫もたいていの家にはあった」と書いているが、小田氏の見た家は特権階級である党幹部などの家ではないのか。亡命者の話では70年代では、平壌を除く地域では一般家庭で冷蔵庫は無論、テレビを持っているのは特権階級の家だけだった。
 小田実氏の北朝鮮ルポは、北朝鮮をいたく満足させたらしい。77年1月、北朝鮮から朝鮮総聯に伝達された「77年度総聯の事業方針」の中に「小田実のような人物を2~3名工作獲得すること」との項目があったという。

【『北朝鮮利権の真相 「コメ支援」「戦後補償」から「媚朝派報道」まで!』野村旗守〈のむら・はたる〉編(宝島社、2003年)】

 目立たぬ情報に真実がある。小田実〈おだ・まこと〉といえば左翼の大物で“北朝鮮を「地上の楽園」と賛美するキャンペーンを行った進歩的文化人を代表する一人でもあった”(Wikipedia)。そのうえ内縁関係にあった水墨画家の玄順恵(ヒョン・スンヒェ)は在日コリアンだった。北朝鮮にとって「これ以上はない」人選であろう。昔はテレビにもよく出ていた。猫背で傲岸不遜を絵に描いたような人物だった。

『潮』は創価学会系の月刊誌である。上記記事からすっぽり抜け落ちているのは「創価学会も赤い季節に染まっていた」事実だ。在日朝鮮人の帰還事業(1950年代~84年)では相当数の創価学会員が北朝鮮に渡っており、昭和40年(1965年)前後の池田会長講演では「南鮮・北鮮にも我が同志がいる」旨が語られている。

 もともと公明党は結党以来、大衆福祉を掲げて登場したわけだから左翼との親和性は十分にあった。1970年代以降に創価学会が推し進めた反戦・平和路線はポリティカル・コレクトネスそのものだ。しかも日中国交回復(1972年)の橋渡しをしたのは公明党の竹入義勝委員長(当時)だった。

 創価学会にとって日中国交回復は最大の成果である。西園寺一晃〈さいおんじ・かずてる〉を始めとする親中左翼の一部は今尚、池田の民間外交を絶賛し続けている。最大の皮肉は言論出版妨害事件の火消し役を務めた田中角栄がキッシンジャーによってロッキード事件(1976年)で葬られたことだ(『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘)。

 また日本に次いで創価学会員が最も多いのは韓国である。創価学会の様々なロビー活動によって1990年代あたりから弾圧の手が緩くなり、社会的にも肯定されるようになった。こうした背景もあり創価学会の親中・親韓路線は徹底している。

 戦後の復興期から高度経済成長において日本共産党と創価学会にはそれぞれ社会的な役割が確かにあった。日本の大衆を糾合し得たのも事実である。だが彼らの思想や運動は日本を変えるまでには至らなかった。そして中国が強大な力を持ち、牙を剥(む)いて日本に襲い掛かろうとする今、左翼と創価学会はとんでもないお荷物となって憲法改正を阻んでいる。さすがにこの状況を予測し得た人物はいなかったことだろう。

 北朝鮮に拉致された市川修一さんと増元るみ子さんは創価学会員だ。家族は公明党の最高幹部に救出を切望したが、その場しのぎの返事しか返ってこなかった。「一人の人を大切に」と教える創価学会が実は拉致被害者を大切にしていないのである。彼らが説く世界平和も同様で、チベット・ウイグル・パレスチナ・台湾などが完全に無視されている。