2020-03-22

新型コロナがとどめ 「人生最後の砦」介護現場は崩壊へ


 訪問介護職員の総数は約43万3000人で7割近くが非常勤で、約4割が60歳以上。65歳以上は約2割だ(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」17年)。

 肉体的にも精神的にもハードな仕事なので、年齢を理由に退職する人も多い。また、4割を占める60歳以上のヘルパーは、今後10年のうちにほとんどが引退する可能性が高いため、人手不足が解消する見込みはほぼ無い。真っ暗闇の回廊を歩かされているようで、そこには一筋の光もない。

 おそらくこういった事情も関係しているのだろう。19年(1-12月)の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、集計開始以来、最多だった2017年の111件に並んだ。業種別では「訪問介護事業」が最も多く58件。前年の45件から急増していたのである。

河合薫:健康社会学者(Ph.D.) 2020年3月17日

 不安を煽る記事タイトルに眉をひそめたが内容はまともである。既に崩壊しつつある訪問介護の現場を初めて知った。これを打開するには老人専用の全寮施設を用意するか、思い切って老人村をつくるのがいいだろう。

 本来であれば家族で面倒を見るのが当然だ。しかし核家族化が進んだ現在、家族に介護の負担がかかれば労働力が足りなくなってしまう。

 介護がビジネスとして回るのは介護保険報酬があるからだ。税金を喰い物にして利益を上げることができるのならば、最初から自治体が運営してヘルパーや介護福祉士にきちんとした報酬を支払うのが筋ではないのか。医療と介護のシステムは抜本的に見直す必要がある。死人が続出する前に。

『心のなかの幸福のバケツ』はamazonで買うな


 定価1300円の本が2480円で販売されている。「この商品は、ライムスターが販売し、Amazon.co.jp が発送します」との但し書きはあるが高額な価格の説明は一切ない。仮に送料込みだとしても高すぎる。ライムスターのフィードバックにはこんな評価があった。「新品とのことだったので、定価の倍の価格でしたが購入しましたが、届いた商品には外装は傷があり、前の所有者の方が書いた線などの消し後がある明らかな中古でした。 かなり不愉快です。こういうことは辞めた方がいいですよ」。これまで二、三度同様の書籍を見つけたことがある。書籍といえども購入する際は複数検索が必要だ。

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2020-03-16

アメリカ陸軍史上最強の軍団/『二世兵士 激戦の記録 日系アメリカ人の第二次大戦』柳田由紀子


日系2世に与えた東條英機のメッセージ

 ・アメリカ陸軍史上最強の軍団

日本の近代史を学ぶ
必読書リスト その四

 ジャポネと恐れられた二世兵は、最終的に大統領部隊感状、名誉勲章をはじめとする勲章を1万8000個以上も獲得し、米陸軍史上最強の軍団と賞された。けれども、史上最強軍団はまた史上最大の戦死傷者部隊でもあった。アメリカでは、戦死したり重傷を負った兵士に、ハート型のメダルに紫のリボンの「パープルハート勲章」を贈るが、日系部隊の別名は「パープルハート隊」である。

 陸軍史上最強――日系部隊はなぜ、そんなに強かったのだろう?
「帰するところ、名誉の問題ということです」
 ダニエル・イノウエは、きっぱりと結論づける。
「出征時、欧州に向かう航海はおよそ30日間かかりました。最初はウクレレやギャンブルで騒がしかった私たちも、最後にはしーんとなって水平線を見つめていました。私は周囲の二世に尋ねたんです、なぜ志願したのかと。すると誰もが例外なく、『家名を汚すな』と答えました」
「家名を汚すな」は、船上の二世兵だけでなく、私が出逢った二世ほぼ全員が言及した言葉だ。一世が、武士や明治の精神を二世に教訓したことは前にも触れた。その薫陶とは、煎じ詰めれば『八犬伝』の「仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌」であり、『葉隠』(はがくれ)の「武士道といふは死ぬ事と見付けたり」だった。だから、「『国のために死ぬのは名誉』と母に送り出された」(ススム・イトウ)者もいれば、「『お前の顔はもう見たくない。命をかけて戦え』と父親に言われた仲間も多かった」(ロナルド・オオバ)。
 オオバは言う。
「二世戦死兵の中には、手榴弾で自決したと思われる者もいました。捕虜になって恥をかくくらいなら、ってことです。我々は、それほど日本的な考え方をしたし、だからこそ、あれだけの戦功を立てられたのだと思います」 「生みの親より育ての親」、これもしばしば二世が口にする言葉だ。武士は二君に仕えず。これまで育ててくれたアメリカには義理がある。その恩を返すという意味である。
 こういった日本的信念に支えられた二世を、さらに強い兵士にしたのが差別という負の現実だった。
「私たちは、出世や成功の夢がない貧乏所帯のせがれです。でも、なんとか逆境を抜けたいと、歯を食いしばって生きてきた。並みの努力では這い上がれないことを、二世は知っていました」(ダニエル・イノウエ)
 したがって戦争は、否定的な社会価値を打ち消し、真のアメリカ人であることを示すチャンスでもあった。そして、二世はそれを存分に証明した。
 
【『二世兵士 激戦の記録 日系アメリカ人の第二次大戦』柳田由紀子〈やなぎだ・ゆきこ〉(新潮新書、2012年)】

 日本では「郷(ごう)に入れば郷に従え」という。一神教のような思想の厳しさを持たない民族性を思えば、郷(ごう)の違いは小異であったことだろう。そこに奴隷のような不自由さはなかった。異なる地域・家・人が有する伝統への敬意は我々にとっても自然な感情である。アメリカに渡った日本人は人種差別と戦いながらも、真のアメリカ人になろうと努めた。彼らはアメリカを守るために若き命を花と散らした。

 日系一世の多くは明治生まれである。二世は明治の気質を受け継いだ。その意味では(昭和の)日本人以上に日本人であった。異国の地で武士道が脈々と流れていた。

 日系二世部隊は激戦地を転戦し次々と突破口を開いた。凄まじい戦果はグルカ兵を超えたといっても過言ではない。

 ダニエル・イノウエが死去した際、オバマ大統領は「真の英雄を失った」との声明を発表した。