・『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス
・環境・野生動物保護団体の欺瞞
・環境ファッショ、環境帝国主義、環境植民地主義
・「環境帝国主義」とは?
・環境帝国主義の本家アメリカは国内法で外国を制裁する
・グリーンピースへの寄付金は動物保護のために使われていない
・反捕鯨キャンペーンは日本人へのレイシズムの現れ
・有色人捕鯨国だけを攻撃する実態
・『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン
・『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム
・『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
・必読書リスト その二
環境帝国主義の本家アメリカの手口はこうだ――
アメリカは前述の国内法「海産哺乳動物保護法」と「絶滅に瀕した動植物保護法」以外に、さらに二つの国内法を持つ。「パックウッド・マグナソン法」(PM法)と「ペリー修正法」(PA法)である。
「PM法」と「PA法」は「国際捕鯨取締条約」と「ワシントン条約」という二つの国際法の“番犬”的な役割を担う。
「PM法」は『「国際捕鯨取締条約」の規制の効果を減殺した国に対して、米国200カイリ以内の漁獲割当てを、初年度50%削減し、2年目にゼロにする』という内容である。また「PA法」は『「ワシントン条約」の効果を減殺する国に対し、その国からの製品の輸入を禁止する』ことをうたっている。
「PM法」も「PA法」も明らかに国際条約あるいは国際協定に反する。「PM法」は、国際条約の想定に反する国内法の制定を禁じた「ウィーン条約」に違反するし、「PA法」も当時のガットいまのWTO条項に抵触する。だが、アメリカはこの二つの国内法を振りかざして日本に圧力をかけてきた。
1982年のIWCの年次会議で、商業捕鯨のモラトリアム(全面中止)が採択された。これはIWC・科学小委員会の勧告を無視したものであったため、日本は条約の規定に基づいて異義を申し立てて従わない方針を取った。しかし、アメリカは「PM法」の発動をちらつかせて、日本政府に異議申し立ての撤回を強要してきたのである。わが国は米国200カイリ内でのサカナの割当てがなくなることを恐れて、IWCへの異議申し立てを撤回し、モラトリアムをのんだ。
1989年のワシントン条約国会議で、タイマイを含む海亀の国際取引禁止が採択された。日本のべっ甲業界は、主にキューバからタイマイの甲羅を輸入している。キューバではタイマイの資源管理を国家が行ない、増殖に力を入れているので、資源は豊富。世界のすべての海亀をひっくるめて絶滅種にリストアップする非合理性に異義を表明する意味から、日本政府は海亀の国際取引禁止に留保の意思表示をした。クジラのケースと同じである。
ここでまたアメリカがクジラの時と同じ手を打ってきた。留保を撤回しなければ「PA法」を発動して、日本から車や半導体の輸入を禁止する、と脅しをかけてきたのである。
べっ甲産業は車や電子産業とは比較にならないほど小さい。通産省は91年6月に、タイマイの留保を94年7月で取り下げるとアメリカ商務省に伝え、この問題に決着をつけた。
環境帝国主義の本家アメリカは、環境問題に関する行動を、表面上は一応法律に基づいて起こしている。そのパターンを整理すると次のようになる。
1.まず、保護したい動物を大げさに美化する。そして資源が絶滅しかけているという危機感を打ち上げて国際世論を喚起する。
2.IWCや「ワシントン条約」の会議で、多数派工作をして数の力で狙いを達成する。
3.決定に対して異議を申し立てたり、留保をして抵抗を試みる国には、国内法による制裁発動を持ち出し、無理矢理に従わせる。
環境帝国主義の犠牲になっている民族が、日本人、イヌイット、アフリカ人など、ほとんどが有色人種である点も見逃せない。
ところで、アメリカ政府関係者も環境保護運動家たちも、当然のことだが自分たちが環境帝国主義者との認識は全くないのである。むしろ優れた価値観や文化を理解させたとの宣教師的な満足感を持っている。
【『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』梅崎義人〈うめざき・よしと〉(成山堂書店、1999年)】
何と、国内法で外国を制裁するという無理無体なことをしている。繁華街を牛耳る暴力団より酷い。やくざ者の場合なら「この街じゃ俺達が法律だ」で済むが、アメリカさんの場合は「どの街も俺達のルールに従ってもらう」という論法だ。もちろん歯向かった時は、暴力団も足下に及ばぬ暴力的な措置が迅速に執行される。
グローバリゼーションとは、「アメリカのやり方に従う」という意味である。