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『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ
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『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ
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『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス
・あなたの現実はあなたの信念によって形成される
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『なぜ専門家の為替予想は外れるのか』富田公彦
彼の最大の問題点は、エンジニアになるのには8年も勉強したにもかかわらず、投資はだれもが簡単にできるものと甘く見て十分な勉強をしなかった点である。これでは素人が橋を建造するようなものだ。仕事は素人ではできないが、市場では素人で通用する、というわけだ。素人が橋を造れば崩壊する。同じように素人が投資するということは、口座の死を意味するのである。
【『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 スーパートレーダーになるための自己改造計画』バン・K・タープ:長尾慎太郎監修、山下恵美子訳(パンローリング、2009年)以下同】
投資とは資本を投ずること。ま、わかりやすくいえばカネを貸すことだと思ってよい。貸す相手も知らずにお前は投資をするのか、という助言である。確かに。そして投資とはリスクを引き受ける行為でもある。株式(現物)であればその企業の未来を買っているわけだ。先のことは誰にもわからない。当てが外れれば当然損失を被る。ただし貸す相手が確かであれば(預金や国債や投資信託など)旨味は少ない。
ギャンブルをするのであれば投資をした方がよい。特に若い人は小口で投資の経験を重ねてゆけばリスクマネジメントが身につくことだろう。あらゆるマネーは最終的に投資される。銀行や保険会社が行うか、自分がやるかだけの違いだ。自動車に例えればタクシーに乗るか、自分が運転するかの違いである。バン・K・タープは会社を立ち上げるつもりで事業計画を練るように投資をせよと警鐘を鳴らす。
洒脱な文章でグイグイ読ませる。価格も良心的だ。投資手法はポジションサイズに極まる。
ギャンブル本や投資本の妙(面白味)は人間心理の洞察に尽きる。賭場や相場で身を滅ぼす人は決して珍しくない。大小の差はあれど利益は生、損失は死を意味する。
分かりやすい例を見てみよう。マレーシア出身の私のめいは19歳のときに私たちの元にやってきた(アメリカの大学を卒業するまで私と妻が面倒を見た)。ここに来て1年ほどたったある日、彼女は私に言った。「おじさん、私、次に生まれてくるときは、もっときれいで有能に生まれたいわ」。めいは非常に芸術的(彼女は芸術畑を歩んできた)で、まるで歌うために生まれてきたように歌がうまい。文系肌でありながら、大学では生物医学工学を修め、主席で卒業した。有能さという点では合格点に達しているのではないだろうか。美しさという点でも、私から見れば驚くほどの美人で、会う人々は口々に彼女の美しさをたたえる。これほど美しく有能な女性であるにもかかわらず、彼女が自分のことを美しくもなければ有能でもないと嘆くのは彼女の信念によるところが大きい。【あなたの現実はあなたの信念によって形成される】のである。(中略)
同じように、あなたがどういう人間なのかはあなたの自分自身についての考え方によって決まる。ついでに言えば、あなたがトレードするのは市場ではなく、市場についてのあなたの信念なのである。自己改善を図るうえでのひとつのキーポイントは、自分の信念を吟味し、それが役に立つかどうかを見極めることである。役に立たない信念であれば、役に立つ別の信念に改める。これは自己改善を図るうえで最も重要なことである。
思考も信念も現実化する。そんなことは当然である。客観的な世界が「目の前」にあるわけではない。世界とは自分の感覚や認識および解釈の中に存在するのだから。それゆえ楽しい人の周りには楽しい出来事が多いし、悲観的な人には不幸が押し寄せる。それにしても見事な文章だ。「あなたの現実はあなたの信念によって形成される」ことを仏典では次のように説かれている。
五陰(
五蘊〈ごうん〉とも)とは人間を形成している五つの要素のこと。仏教では人間を五蘊仮和合(ごうんけわごう)と説く。「仮に和合」しているから死ぬわけだ。そして世界は五蘊に収まる。今の世界に違和感を覚える人ほど不幸になりやすい。運がよい人の世界はバラ色だ。だから世界が暗いわけではなくて、お前が暗いだけってな話だ(笑)。
「あなたがトレードするのは市場ではなく、市場についてのあなたの信念なのである」――これはどんな世界にも当てはまる。トレードとは交換を意味する。因みにディーリングのディールは取引、スワップポイントのスワップも交換の意である。会社では労働力と賃金がトレードされている。宗教団体ではご利益と奉仕(あるいは修行)がトレードされている。人間の営みはすべてがトレード行為といってよい。ボランティアだって労力や時間を自己満足や感謝の言葉とトレードしていると見なすことが可能だ。そこに我々の信念が反映されている。少しの過不足もなく。
で、相場である。テクニカル分析(チャート分析)にせよファンダメンタル分析(経済要因分析)にせよ、プレイヤーは必ず何らかの信念に基いて売買を行う。自分の意に反した動きがあると「相場がおかしい」と決めつける。「この動きは誤っている」と判断した時から損失はどんどん膨らむ。そしてストップ(強制執行)となり、挙げ句の果てには追証(おいしょう=追加証拠金)を求められる。撤退を想定しない戦闘行為は必ず敗北を招く。投資は博打(ばくち)に似て博打には非ず。リスクマネジメントとは損失の計算に他ならない。
売買回数が増えれば増えるほど損失が拡大することが既に数学的に証明されている。やはり個人投資家の場合、中長期投資が正しい。日本社会は格差という形のリスクが顕著となりつつある。普通預金の金利は現在、年利0.02%で、スーパー定期(300万円以上)で年利0.034%である。これを上回るパフォーマスはそれほど難しくはない。何と言っても難しいのは「自己改善」である。