・『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン
・精神医学のバイブルが新たな患者を生み出す
・『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』べッセル・ヴァン・デア・コーク
・『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
・『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』藤川徳美
・『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
・『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
・『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
・『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル
・『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』ローン・フランク
DSMとは「精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」の略だ。それも当然なのだが、1980年まで、DSMは目立たないちっぽけな本で、たいして注目されていなかったし、読まれてもいなかった。そこへ突然、DSM-III(スリー)が現れた――この分厚い本はすみやかに文化の象徴となり、息の長いベストセラーになり、精神医学の「バイブル」としてむやみな崇拝の対象になった。
DSMは正常と精神疾患のあいだに決定的な境界線を引くものであるため、社会にとってきわめて大きな意味を持つものになっており、人々の生活に計り知れない影響を与える幾多の重要な事柄を左右している――たとえば、だれが健康でだれが病気だと見なされるのか、どんな治療が提供されるのか、だれがその金を払うのか、だれが障害者手当を受給するのか、だれに精神衛生や学校や職業などに関したサービスを受ける資格があるのか、だれが就職できるのか、養子をもらえるのか、飛行機を操縦できるのか、生命保険に加入できるのか、人殺しは犯罪者なのかそれとも精神障害者なのか、訴訟で損害賠償をどれだけ認めるのかといった事柄であり、ほかにもまだまだたくさんある。
定期的に改訂されるDSM(DMS-IIIR、DSM- IV)に20年間にわたってかかわってきた私は、落とし穴をしっており、改訂につきまとうリスクを警戒していた。これに対して私の友人たちは新参者であり、DSM-5の作成に自分らが果たす役割に興奮していた。
【『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス:大野裕〈おおの・ゆたか〉監修、青木創〈あおき・はじめ〉訳(講談社、2013年)以下同】
アレン・フランセスはDSM-IV(1994年)の編集委員長を務めた人物である。DSMの第5版は単なる更新ではなかった。それは製薬会社からのリクエストに応じる新たな症状の創造であった。聖書が罪を定めるようにDSM-5が病気を決めるというわけだ。病気が増えれば薬は売れる。
DSM-IVでは小さな誤りも許されないことを私は承知していた。DSMは度を越して重要になりすぎ、それ自身のためにも、社会のためにもなっていなかった。ささいに思える変更であっても、甚大な災いをもたらしかねない。そしていまや、DSM-5がまさに大きな誤りを犯そうとしているように思えた。友人たちがあまりにも無分別に後押ししていた疾患は、のべ何千万もの新たな「患者」を生み出すものだった。じゅうぶんに正常な人々がDSM-5の広すぎる診断の網にとらわれるのが私には想像できたし、多くの人々が必要なものにともすれば危険な副作用のある薬の影響にされされる恐れがあった。製薬企業も、お得意の病気作りに新しい格好のターゲットをどう利用してやろうかと、舌なめずりをしているはずだった。
DSM-5は製薬会社にとって打ち出の小槌となった。
DSM-IIIでは主要な診断名の有病率が著しく高く報告されるようになり、過剰診断を促していると批判されたため、DSM-IVでは7割以上の診断基準に「著しい苦痛または社会的、職業的、その他の領域での機能の障害を引き起こしている」という項目を追加した。しかし、その後も主要な製薬会社は強力なマーケティングを展開し、アメリカでは精神障害の罹患率が毎年上昇し続け、注意欠陥多動性障害が3倍、自閉症が20倍、子供の双極性障害が40倍、双極性障害は2倍となり。伴って処方箋医薬品による死亡が違法薬物によるものを超えることとなった。
【Wikipedia】
以下に批判を列挙する。
(DSM5の問題)①;認知症の診断に記憶障害が必須ではなくなる!私は今まで学生に「記憶障害のない認知症はない」と言い続けてきました。高齢者が、今までできていたことができなくなったり、怒りっぽくなったり、道で迷っただけで記憶障害がなくても認知症と診断されてしまうというのです。
— 鈴木映二 (@suzuki_seishink) 2013年10月29日
(DSM5の問題)②;明らかに認知症の診断が過剰になされることになるでしょう。今でも処方されすぎている抗認知症薬が、さらに処方されるようになると思います。抗認知症薬には怒りっぽくなったり心臓に負担がかかる心配のある薬もあります。心配です。
— 鈴木映二 (@suzuki_seishink) 2013年10月29日
【精神科医・鈴木映二教授による「DSM5の問題」に関する連続ツイート】
平成23年5月にアメリカ精神医学会から発刊された『精神疾患の診断と統計の手引き第5版』(DSM-5))において,「インターネットゲーム障害」が今後研究が進められるべき精神疾患の一つとして新たに提案されました。
【PDF:インターネット依存症について】
・アスペルガーの診断が消えたと話題に 自閉症一本化の恐怖
・DSM-5:アメリカ精神科協会出版利益至上主義がもたらした弊害 →精神疾患診断への信頼性危機増大
・「DSM-5、聖書ではない」
要はアメリカ精神医学会が薬を売る目的で嘘をついたということである。今までは「正常」とされたものが、これからは「異常」となる。もちろんあなたも私も。資本主義も共産主義も最終的には「管理~支配」に向かう。『すばらしい新世界』や『一九八四年』が現実となりつつある。
・現実の虚構化/『コレステロール 嘘とプロパガンダ』ミッシェル・ド・ロルジュリル