・『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン
・『ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで』スティーヴン・ホーキング
・『エレガントな宇宙 超ひも理論がすべてを解明する』ブライアン・グリーン
・『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』レオナルド・サスキンド
・『物質のすべては光 現代物理学が明かす、力と質量の起源』フランク・ウィルチェック
・サイクリックモデル
・カーター・エマート:三次元宇宙地図のデモ
・『宇宙が始まる前には何があったのか?』ローレンス・クラウス
本書では、サイクリックモデルと呼ばれる、そのもっと大胆な説について説明する。この描像によれば、ビッグバンは時間と空間の始まりでなく、原理的には物理法則を使って完全に記述できる。しかもビッグバンは一度きりではない。宇宙は進化のサイクルを繰り返す。その各サイクルにおいて、ビッグバンが高温の物質と放射を生み出し、それが膨張冷却して今日見られる銀河や恒星が形成される。その後、宇宙の膨張が加速して物質は散り散りになり、空間はほぼ完全な真空へと近づく。そして1兆年ほど経った頃、新たなビッグバンが起こって再びサイクルが始まる。宇宙の大規模構造を作り出した出来事は、一つ前のサイクル、つまり一番最近のビッグバン以前に起こったことになる。
このサイクリックモデルは、WMAPの結果をはじめ最近のあらゆる天文学的観測結果をインフレーションモデルと同じくらい正確に説明するが、その意味合いは大きく異る。サイクリックの描像によれば、WMAPの画像はクラークのモノリスと同じくらい奇妙だ。われわれを文字通り次元を超えた旅路へと連れていき、ビッグバン以前から遠い未来までにわたる数々の出来事を見せてくれるのだ。
【『サイクリック宇宙論 ビッグバン・モデルを超える究極の理論』ポール・J・スタインハート、ニール・トゥロック:水谷淳〈みずたに・じゅん〉訳(早川書房、2010年)】
WMAPはNASAの宇宙探査機で宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度を測定している。WMAPの画像は衝撃的だった。手っ取り早く言えばビッグバンから40万年後の状態がそのまま膨張した姿で写っているのだ。
WMAP の任務はビッグバンの名残の熱放射である宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) の温度を全天にわたってサーベイ観測することである。/WMAP - Wikipedia https://t.co/K6ynNU5bBq pic.twitter.com/UlSltWEomo
— 小野不一 (@fuitsuono) 2017年8月16日
ゆらぎからビッグバンが生じ、ビッグバンから宇宙のゆらぎが生じたことを思えば「ゆらぎ第二章」と名付けてよさそうだ。WMAPの調査によって宇宙の年齢(137億年)や、大きさ(780億光年以上)、組成(4%が通常の物質、23%が正体不明のダークマター、73%がダークエネルギー)などが導き出された。
サイクリック宇宙論は多元宇宙論の一つで、宇宙は無限に連続する自立的な循環を行うという理論である。
宇宙の大規模構造は泡構造とも呼ばれるが、宇宙それ自体も泡を形成している可能性がある。
しかも宇宙は動いている。脳には物事を止まった状態で考える癖がある。初めて太陽系の運行を知った時は度肝を抜かれた。
まるで卵子を目指して進む精子のようだ。DNAも宇宙も螺旋状態があるべき姿なのだろう。時空は螺旋状に進む。
・仏教的時間観は円環ではなく螺旋型の回帰/『仏教と精神分析』三枝充悳、岸田秀
仏教やヒンドゥー教を始めとするアジアの時間論もサイクリックモデルである。我々にとっては親和性が高い。ひょっとすると一つひとつの宇宙に人間原理が働いているのかもしれない。