2017-08-18

サイクリックモデル/『サイクリック宇宙論 ビッグバン・モデルを超える究極の理論』ポール・J・スタインハート、ニール・トゥロック


『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン
『ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで』スティーヴン・ホーキング
『エレガントな宇宙 超ひも理論がすべてを解明する』ブライアン・グリーン
『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』レオナルド・サスキンド
『物質のすべては光 現代物理学が明かす、力と質量の起源』フランク・ウィルチェック

 ・サイクリックモデル

カーター・エマート:三次元宇宙地図のデモ
『宇宙が始まる前には何があったのか?』ローレンス・クラウス

 本書では、サイクリックモデルと呼ばれる、そのもっと大胆な説について説明する。この描像によれば、ビッグバンは時間と空間の始まりでなく、原理的には物理法則を使って完全に記述できる。しかもビッグバンは一度きりではない。宇宙は進化のサイクルを繰り返す。その各サイクルにおいて、ビッグバンが高温の物質と放射を生み出し、それが膨張冷却して今日見られる銀河や恒星が形成される。その後、宇宙の膨張が加速して物質は散り散りになり、空間はほぼ完全な真空へと近づく。そして1兆年ほど経った頃、新たなビッグバンが起こって再びサイクルが始まる。宇宙の大規模構造を作り出した出来事は、一つ前のサイクル、つまり一番最近のビッグバン以前に起こったことになる。
 このサイクリックモデルは、WMAPの結果をはじめ最近のあらゆる天文学的観測結果をインフレーションモデルと同じくらい正確に説明するが、その意味合いは大きく異る。サイクリックの描像によれば、WMAPの画像はクラークのモノリスと同じくらい奇妙だ。われわれを文字通り次元を超えた旅路へと連れていき、ビッグバン以前から遠い未来までにわたる数々の出来事を見せてくれるのだ。

【『サイクリック宇宙論 ビッグバン・モデルを超える究極の理論』ポール・J・スタインハート、ニール・トゥロック:水谷淳〈みずたに・じゅん〉訳(早川書房、2010年)】

 WMAPはNASAの宇宙探査機で宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度を測定している。WMAPの画像は衝撃的だった。手っ取り早く言えばビッグバンから40万年後の状態がそのまま膨張した姿で写っているのだ。


 ゆらぎからビッグバンが生じ、ビッグバンから宇宙のゆらぎが生じたことを思えば「ゆらぎ第二章」と名付けてよさそうだ。WMAPの調査によって宇宙の年齢(137億年)や、大きさ(780億光年以上)、組成(4%が通常の物質、23%が正体不明のダークマター、73%がダークエネルギー)などが導き出された。

 サイクリック宇宙論多元宇宙論の一つで、宇宙は無限に連続する自立的な循環を行うという理論である。

 宇宙の大規模構造は泡構造とも呼ばれるが、宇宙それ自体も泡を形成している可能性がある。


 しかも宇宙は動いている。脳には物事を止まった状態で考える癖がある。初めて太陽系の運行を知った時は度肝を抜かれた。


 まるで卵子を目指して進む精子のようだ。DNAも宇宙も螺旋状態があるべき姿なのだろう。時空は螺旋状に進む。

仏教的時間観は円環ではなく螺旋型の回帰/『仏教と精神分析』三枝充悳、岸田秀

 仏教やヒンドゥー教を始めとするアジアの時間論もサイクリックモデルである。我々にとっては親和性が高い。ひょっとすると一つひとつの宇宙に人間原理が働いているのかもしれない。

2017-08-17

ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 3


ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 1
ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 2
・ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 3

・『境界を超える英知 人間であることの核心 クリシュナムルティ・トーク・セレクション 1』J・クリシュナムルティ:吉田利子、正田大観訳(コスモス・ライブラリー、2017年)
・『生の書物』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司、内藤晃訳(UNIO、2016年)
・『ブッダとクリシュナムルティ 人間は変われるか?』J.・クリシュナムルティ:正田大観・吉田利子訳、大野純一監訳(コスモス・ライブラリー、2016年)
・『知られざるクリシュナムルティ』G・ナラヤン:高岡光解説・監修、チャンドラモウリ・ナルシプル編集、高岡光・玉井辰也訳(太陽出版、2015年)
・『最初で最後の自由』J・クリシュナムルティ:飯尾順生訳(ナチュラルスピリット、2015年)
 ・『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース:古閑博丈訳(ブイツーソリューション、2014年)
・『静けさの発見 二元性の葛藤を越えて クリシュナムルティ著述集 第4巻』J・クリシュナムルティ:横山信英、藤仲孝司、内藤晃訳(UNIO、2013年)
 ・『創造性について 新しい知覚術を求めて』デヴィッド・ボーム:大槻葉子、大野純一監訳、渡辺充監修(コスモス・ライブラリー、2013年)
・『愛について、孤独について』J・クリシュナムルティ:中川正生(麗澤大学出版会、2013年)
・『クリシュナムルティ その対話的精神のダイナミズム』稲瀬吉雄(星雲社、2013年)
・『スタンフォードの人生観が変わる特別講義 あなたのなかに、全世界がある』J・クリシュナムルティ:中川吉晴訳(PHP研究所、2013年)
・『伝統と革命 J・クリシュナムルティとの対話』J・クリシュナムルティ:大野純一(コスモス・ライブラリー、2013年)
・『思考は生(いのち)を知らない クリシュナムルティと共に考える』森本武(JDC出版、2012年)
・『静かな精神の祝福 クリシュナムルティの連続講話』J・クリシュナムルティ:大野純一(コスモス・ライブラリー、2012年)
・『神話と伝統を超えて 2 DVDで見るクリシュナムルティの教え』ジッドゥ・クリシュナムルティ:白川霞監修、大野純一訳(彩雲出版、2011年)
・『真の革命 クリシュナムルティの講話と対話』J・クリシュナムルティ:柳川晃緒訳、大野純一監訳(コスモス・ライブラリー、2011年)
・『四季の瞑想 クリシュナムルティの一日一話』J・クリシュナムルティ:こまいひさよ(コスモス・ライブラリー、2011年)
・『神話と伝統を超えて 1 DVDで見るクリシュナムルティの教え』ジッドゥ・クリシュナムルティ:白川霞監修、大野純一訳(彩雲出版、2011年)
 ・『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる』那智タケシ(明窓出版、2011年)
・『時間の終焉 J.クリシュナムルティ&デヴィッド・ボーム対話集』 J・クリシュナムルティ:渡辺充(コスモス・ライブラリー、2011年)

ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 2


ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 1
・ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 2
ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 3

 ・『ルポ 現代のスピリチュアリズム』織田淳太郎(宝島社新書、2010年)
・『アートとしての教育 クリシュナムルティ書簡集』J・クリシュナムルティ:小林真行訳(コスモス・ライブラリー、2010年)
 ・『仏教と西洋の出会い』フレデリック・ルノワール:今枝由郎、富樫瓔子(トランスビュー、2010年)
・『明日が変わるとき クリシュナムルティ最後の講話』ジドゥ・クリシュナムルティ:小早川詔、藤仲孝司訳(UNIO、2010年)
・『英知へのターニングポイント 思考のネットワークを超えて』J・クリシュナムルティ:神咲禮監修、大野純一監訳、渡辺充訳(彩雲出版、2010年)
・『回想のクリシュナムルティ 第2部 最後の一歩…』イーブリン・ブロー:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2010年)
・『クリシュナムルティ・ノート』J・クリシュナムルティ:中野多一郎訳(たま出版、2010年)
 ・『わらの犬 地球に君臨する人間』ジョン・グレイ:池央耿訳(みすず書房、2009年)
 ・『精神の自由ということ 神なき時代の哲学』アンドレ・コント=スポンヴィル:小須田健、C・カンタン訳(紀伊國屋書店、2009年)
・『回想のクリシュナムルティ 第1部 最初の一歩…』イーブリン・ブロー:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2009年)
 ・『ストレスのない子育てとシンプルライフ インドから学ぶゆとりのある暮らし- (創成社新書)』金田卓也・サラソティー(創成社新書、2008年)
 ・『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート著・編集(PHP文庫、2008年)
・『新しい精神世界を求めて ドペシュワルカールの「クリシュナムルティ論」を読む』稲瀬吉雄(コスモス・ライブラリー、2008年)
・『英和対訳 変化への挑戦 クリシュナムルティの生涯と教え』J・クリシュナムルティ:柳川晃緒訳(コスモス・ライブラリー、2008年)
 ・『仏教のまなざし 仏教から見た生死の問題』モーリス・オコンネル・ウォルシュ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2008年)
 ・『初代大使が見たカザフスタン』松井啓(めるくまーる、2007年)
・『智恵からの創造 条件付けの教育を超えて クリシュナムルティ著述集 第8巻』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司、横山信英、三木治子訳(UNIO、2007年)
・『既知からの自由』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2007年)
・『いかにして神と出会うか』J・クリシュナムルティ:中川正生訳(めるくまーる、2007年)
・『クリシュナムルティの教育原論 心の砂漠化を防ぐために』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2007年)
・『生と出会う 社会から退却せずに、あなたの道を見つけるための教え』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2006年)
 ・『人間理解の基礎としての神智学』神尾学(コスモス・ライブラリー、2006年)
 ・『「古(いにしえ)の武術」に学ぶ 身体は工夫次第で生まれ変わる』甲野善紀(PHP研究所、2005年)
・『しなやかに生きるために 若い女性への手紙』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2005年)
 ・『未来を開く教育者たち シュタイナー・クリシュナムルティ・モンテッソーリ…』神尾学編著、今井重孝、岩間浩、金田卓也(コスモス・ライブラリー、2005年)
・『花のように生きる 生の完全性 クリシュナムルティ著述集 第1巻』J・クリシュナムルティ:横山信英、藤仲孝司訳(UNIO、2005年)
・『人生をどう生きますか?』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2005年)
・『クリシュナムルティとは誰だったのか その内面のミステリー』アリエル・サナト:大野純一、大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2005年)
 ・『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール:尾関修、尾関沢人訳(講談社学術文庫、2005年)
 ・『セブン・マスターズ 「瞑想」へのいざない』ジョン・セルビー:矢鋪紀子訳(サンマーク出版、2004年)
・『片隅からの自由 クリシュナムルティに学ぶ』大野純一著編訳(コスモス・ライブラリー、2004年)
・『自由と反逆 クリシュナムルティ・トーク集』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2004年)
・『知恵のめざめ 悲しみが花開いて終わるとき』J・クリシュナムルティ:小早川詔、藤仲孝司訳(UNIO、2003年)
・『リシバレーの日々 葛藤を超えた生活を求めて』菅野恭子(文芸社、2003年)
・『白い炎 クリシュナムルティ初期トーク集』クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2003年)
・『クリシュナムルティ・スクールの民族誌的研究』武井敦史(多賀出版、2003年)
・『あしどり クリシュナムルティを糧とする友へ』高橋重敏(いしずえ、2002年)
 ・『カミング・ホーム 文化横断“悟り”論』レックス・ヒクソン:高瀬千尋訳、高瀬千図監訳(コスモス・ライブラリー、2001年)

ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 1


    ・ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 1
    ・ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 2
    ・ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト 3

・『クリシュナムルティの教育・人生論 心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性』大野純一(コスモス・ライブラリー、2000年)
 ・『グルジェフとクリシュナムルティ エソテリック心理学入門』ハリー・ベンジャミン:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2000年)
・『自己の変容 クリシュナムルティ対話集』クリシュナムルティ:松本恵一訳(めるくまーる、2000年)
 ・『神秘主義への扉 現代オカルティズムはどこから来たか』ピーター ワシントン:白幡節子、門田俊夫訳(中央公論新社、1999年)
・『キッチン日記 J.クリシュナムルティとの1001回のランチ』マイケル・クローネン:高橋重敏訳(コスモス・ライブラリー、1999年)
・『クリシュナムルティ・水晶の革命家』高岡光(創栄出版、1998年)
・『あなたは世界だ』J・クリシュナムルティ:竹渕智子訳(UNIO、1998年)
・『学校への手紙』J・クリシュナムルティ:古庄高訳(UNIO、1997年)
・『クリシュナムルティの世界』大野純一編訳(コスモス・ライブラリー、1997年)
・『恐怖なしに生きる』J・クリシュナムルティ:有為エンジェル訳(平河出版社、1997年)
 ・『仏教を貫くもの』玉城康四郎(大蔵出版、1997年)
 ・『死海文書と義の教師』石川道子(シェア・ジャパン出版、1996年)
 ・『やすらぎの瞑想さがし そこはか不安症候群とオウム』大沢悠(第三書館、1996年)
 ・『情念がまばゆく白い砂となる時』金子淳人(新風舎、1996年)
・『私は何も信じない クリシュナムルティ対談集』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、1996年)
・『瞑想』J・クリシュナムルティ:中川吉晴訳(UNIO、1995年)
 ・『生のアート』津田広志(れんが書房新社、1994年)
・『自由とは何か』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1994年)
・『ザーネンのクリシュナムルティ』J・クリシュナムルティ:ギーブル恭子訳(平河出版社、1994年)
・『人類の未来 クリシュナムルティVSデビッド・ボーム対話集』J・クリシュナムルティ、デビッド・ボーム:渡部充訳(JCA出版、1993年)
・『瞑想と自然』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1993年)
・『生の全変容』J・クリシュナムルティ、アラン・W・アンダーソン:大野純一訳(春秋社、1993年)
・『気づきの探究 クリシュナムルティとともに考える』ススナガ・ウェーラペルマ:大野純一訳(めるくまーる、1993年)
・『クリシュナムルティ 人と教え』クリシュナムルティ・センター(クリシュナムルティ・センター、1993年)
・『最後の日記』J・クリシュナムルティ:高橋重敏訳(平河出版社、1992年)
・『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司訳(平河出版社、1992年)
・『自己の変容 クリシュナムルティ対話録』クリシュナムルティ:松本恵一訳(めるくまーる、1992年)
・『真理を求めて』J.Krishnamurti:山口圭三郎、根木宏編注(篠崎書林、1992年)
・『学びと英知の始まり』ジッドウ・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1991年)
・『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス:高橋重敏訳(めるくまーる、1990年)
 ・『存在光 ティンクトゥーラ』(阿含宗総本山出版局、1989年)
・『未来の生』ジッドゥ・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1989年)
・『クリシュナムルティ・懐疑の炎』ルネ・フェレ:大野純一訳(瞑想社、1989年)
・『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス:高橋重敏訳(めるくまーる、1988年)
・『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス:高橋重敏訳(めるくまーる、1988年)
 ・『非常の知 カプラ対話篇』フリッチョフ・カプラ:吉福伸逸、星川淳、田中三彦、上野圭一訳(工作舎、1988年)
・『英知の教育』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1988年)
 ・『マイトレーヤと覚者方の再臨』ベンジャミン・クレーム:石川道子訳(エイト社、1987年)
 ・『東洋における人間観 インド思想と仏教を中心として』前田専学編(東京大学出版会、1987年)
 ・『グローバル・トレンド―ポスト産業化社会を実践する人間・科学・文化のガイド・ブック』C+Fコミュニケーションズ(TBSブリタニカ、1986年)
・『生の全体性』J・クリシュナムルティ、デヴィッド・ボーム、デヴィッド・シャインバーグ:大野純一、聖真一郎訳(平河出版社、1986年)
・『クリシュナムルティの神秘体験』J・クリシュナムルティ:おおえまさのり監訳、中田周作訳(めるくまーる、1985年)
・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 4』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 3』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 2』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年)
・『真理の種子 クリシュナムルティ対話集 Truth And Actuality』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(めるくまーる、1984年)
・『クリシュナムルティの日記』J・クリシュナムルティ:宮内勝典訳(めるくまーる、1983年)
・『クリシュナムルティの瞑想録 自由への飛翔』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(平河出版社、1982年)
・『暴力からの解放』J・クリシュナムーティー:勝又俊明訳(たま出版、1982年)
・『自我の終焉 絶対自由への道』J・クリシュナムルティ:根木宏、山口圭三郎訳(篠崎書林、1980年)
・『英知の探求 人生問題の根元的知覚』J・クリシュナムルティ:勝又俊明訳(たま出版、1980年)
・『道徳教育を超えて』クリシュナムーティ:菊川忠夫、杉山秋雄訳(霞ケ関書房、1977年)
・『大師のみ足のもとに/道の光』J・クリシュナムルティ、メイベル・コリンズ:田中恵美子編・訳(竜王文庫、1974年)
・『自由への道 空かける鳳のように』クリシュナムーティ:菊川忠夫訳(霞ケ関書房、1974年)
・『自己変革の方法 経験を生かして自由を得る法』クリシュナムーティ著、メリー・ルーチェンス編:菱珠樹訳(霞ケ関書房、1970年)
・『ヘンリー・ミラー全集 11 わが読書』ヘンリー・ミラー:田中西二郎訳(新潮社、1966年)
・『阿羅漢道』クリシナムルテ:今武平訳(文党社、1925年) ※後に田中恵美子が新訳で発行『大師のみ足のもとに』

2017-08-16

嘘つき左翼の真っ赤な真実/『打ちのめされるようなすごい本』米原万里


『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里

 ・嘘つき左翼の真っ赤な真実

『「知的野蛮人」になるための本棚』佐藤優
・『ジェノサイド』高野和明

 生物とは何か、という命題を、自然界と意識と表現における同一性と時間の関係から見つめ直そうとする池田清彦著『生命の形式 同一性と時間』(哲学書院)を読みながらのこと。「普通の人は、それぞれ少しずつ異なるイヌを見て、それらをみなイヌと同定することができる。ということはイヌをイヌたらしめる何らかの同一性を知っているわけだ」というくだりで、おあつらえ向きのニュースが聞こえてきた。

【『打ちのめされるようなすごい本』米原万里〈よねはら・まり〉(文藝春秋、2006年/文春文庫、2009年)以下同】

 文章が巧みだ。ページを開くと直ぐに引き込まれる。本書を手掛かりに数冊の本を読んだが、「これは!」と目を瞠(みは)ったのは池田清彦一冊のみであった(後に文庫化『生物にとって時間とは何か』〈角川ソフィア文庫、2013年〉)。

 米原の父親は日本共産党の幹部で衆議院議員を務めた米原昶〈よねはら・いたる〉で、姉のユリは井上ひさしの後妻である。ま、筋金入りの左翼と見ていいだろう。そして見逃せないのは米原万里と井上ひさしが佐藤優の背中を押して作家デビューさせたことだ。『国家の罠』が刊行されると米原は「外務省は、途轍(とてつ)もなく優秀な情報分析官を失った。おかげで読書界は類(たぐ)い希(まれ)なる作家を得た。退官した外交官がよく出すノー天気な自画自賛本が100冊かかっても敵(かな)わない密度の濃さと面白さ」(読売新聞 2005年4月18日)と絶賛した。既に名エッセイストとして名を馳せていた米原の影響力は大きかった。

 ってなわけで私は最初から眉に唾をつけて読み始めた。説明能力の高さと人格は必ずしも一致しない。世間では説明能力が高い嘘つきを詐欺師と呼ぶ。

 遅ればせながら、ついに買ってしまった。「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校用歴史教科書、西尾幹二著『新しい歴史教科書―市販本』(扶桑社)。
 実は、ちょっと期待していた。中学2年の時に帰国し、近くの公立中学に編入した私は、歴史のみならず、あらゆる教科書の絶望的退屈さ加減にショックを受けた経験がある。

 一旦持ち上げてから落としているのだろうか? 違うね。落とすためにわざわざ持ち上げているのだ。しかもこのあと引用する大江健三郎の批判を引っ張り出すところに本当の狙いが隠されている。実に巧妙だ。

お笑い創価学会 信じる者は救われない』(知恵の森文庫)は、辛口な皮肉屋のテリー伊藤との対談形式で創価学会に関する論文やルポなどを紹介していく、意外に真面目な本だ。

 佐高信〈さたか・まこと〉という人物は他人の悪口で飯を食っている左翼である。こんな本を肯定的に評価するのも過去に共産党を裏切った創価学会(創共協定)を貶めるところに本意があるのだろう。

 すなわち本書は「左方向へ緩やかに誘(いざな)う書評本」というべき書物で、私に言わせれば「嘘つき左翼の真っ赤な真実」ということになる。同工異曲に佐藤優著『「知的野蛮人」になるための本棚』がある。左翼の策謀を知るためには格好の入門書といってよい。

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
米原 万里
文藝春秋
売り上げランキング: 6,747