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『一神教の闇 アニミズムの復権』安田喜憲
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『増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い』高階秀爾
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『昭和の精神史』竹山道雄
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『小室直樹vs倉前盛通 世界戦略を語る』世界戦略研究所編
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『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通
・乾極と湿極の地政学
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『情報社会のテロと祭祀 その悪の解析』倉前盛通
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『自然観と科学思想 文明の根底を成すもの』倉前盛通
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『悪の超心理学(マインド・コントロール) 米ソが開発した恐怖の“秘密兵器”』倉前盛通
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『悪の運命学 ひとを動かし、自分を律する強者のシナリオ』倉前盛通
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『悪の戦争学 国際政治のもう一つの読み方』倉前盛通
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『悪の宗教パワー 日本と世界を動かす悪の論理』倉前盛通
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日本の近代史を学ぶ
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必読書リスト その四
アラビア半島と日本
地球に北極と南極があり、また、地球磁気の北極と南極もある。同じように乾湿を一つの目やすにすれば地球には乾極と湿極も存在する。
世界の乾極はアラビア半島であり、世界の湿極は日本列島である。この乾と湿の地政学。これは単に政治的、地理的な問題だけでなく、宗教的な問題、民族的な問題、その他世界の歴史上のさまざまの問題で重要な意義と役割をもつ地政学上の重要視点である。
まず、世界の乾極アラビア半島の遊牧民であったユダヤ人は世界で最も乾いたこのアラビア砂漠を生活空間として、ユダヤ教という唯一絶対神をつくり上げた。
人類は本来、自然の神々を崇拝する宗教をもっていた。それを否定し唯一絶対神という人工的な神を考え出したということは、アラビアという酷烈な自然風土の中で、徹底的に苦しい生活を強いられた結果、自然を崇拝するより、自然を拒否することによって、唯一絶対神という人格神を考えることになったのかもしれない。しかも、その神は“妬む神”であって、自分以外の神を礼拝するものには罰を下して滅すという“不寛容な神”であった。
このユダヤ教をもとにしてキリスト教が生じ、また、マホメット教が生まれた。つまりユダヤ教、キリスト教、マホメット教という世界の三大宗教は、同じ根から発生したものであり、同じ旧約聖書を基本にしている。彼らは共に「聖書の民」である。この三者はみな唯一絶対神を奉じている。そして自分たちの奉ずる神以外の神を否定するという点において、きわめて狭量であり、寛容さがない。これは世界の乾極アラビア半島の風土が生んだ特殊な精神構造であると考えられる。
それは水がないということが第一の問題かもしれない。淡水があるか、ないかということが人を変える。もちろん目の前に塩水があったとしても、それは辛い水であって、人間をうるおす甘い水ではない。この甘い水があるかないかということが人間精神に非常に大きな影響を与えたように思われる。それが、その後の世界政治においてあるいは世界の宗教において、あらゆる面において重大な影響を与えてきた。
【『新・悪の論理 日本のゲオポリティクはこれだ』倉前盛通〈くらまえ・もりみち〉(日刊工業新聞社、1980年/増補版、1985年『新・悪の論理 変転する超大国のゲオポリティク』/Kindle版、2018年『悪の論理完全版 地政学で生き抜く世』所収)】
最近の読書遍歴としては
竹山道雄~
三島由紀夫~
小室直樹(三島論、天皇論)を経て倉前盛通に辿り着いた。私にとっては大きな波のうねりに身を任せたような経験であった。やはり誰と会い、何を読んだかで人生は決まる。確かに映像は情報量が多いが人格に与える衝撃度は読書より劣る。
既に主要な倉前作品は読み終え、現在二度目の読破を試みている。40年前の国際情勢が元になっているとはいえ、的外れな指摘が少ないのは倉前の卓見を示すものだ。約10年後の1991年12月25日にソ連が崩壊する。さすがに本書では中国の経済発展まで見通すことはできていないが、崩壊前の中国を想像することは可能だろう。
アラビア半島は人類がアフリカで生まれユーラシア大陸に移動していった架け橋であり、「沙漠の半島」に残されている人類の足跡は、120万年前のシュワイヒティーヤ遺跡に遡る。また「沙漠の半島」周辺は古代文明の生まれた場所であり、北にはアシュール、ウバイド、ウルクなどを含む世界最古のメソポタミア文明が興り、バハレインと呼ばれた東部海岸にはディルムーン文明やさらに南のサイハド沙漠には古代イエメン文明が生まれた。これらの文明やその交流を示す遺跡や遺物が「沙漠の半島」には数多く残されている。
【History of Peninsula - 古代から続く歴史:高橋俊二】
アラビア半島は殆どが砂漠地帯である。私の知識が及ばず、
出アフリカ説と
出エジプト記(
モーセ)の関係、
アブラハムや
メソポタミア文明との関連性もよくわからない。
確実なことはアラビア半島を中心とする
中東(エジプト+
西アジア)から文明が誕生したことだ。そして今から4~5万年前までに人類は世界中に散らばった。
メソポタミアよりも古い文明(
ギョベクリ・テペ)がトルコとシリアの間で見つかっている。ま、大雑把に言えばメソポタミアを頂点として西はエジプト、東はインドまで含めても構わないだろう。
乾極と湿極の科学的根拠は不明だ。しかし文明論としては卓抜した見解である。アメリカ人が室内でも靴を履くのは彼らの祖先が寒いヨーロッパを生き抜いたことの証である。日本の気候が恵まれた条件であることは温暖湿潤気候の地図を見れば一目瞭然だ。
湿度はまた世界一種類が豊富な
発酵食品を誕生させた。文明とは人類進化の軌跡である。背景には生活の安定、経済的余裕、時間的ゆとり、そして何にも増して感情と知性の連帯がある。
岡目八目という言葉があるが、倉前盛通や小室直樹は凡百の宗教学者よりも遥かに鋭い宗教的論考を提示している。