・税務調査官の言いなりになるな
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・『知ってはいけない 金持ち悪の法則』大村大次郎
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さて、こういうグレーの領収書を調査官から咎められたときは、どうすればいいかというと…。
絶対に引いてはなりません。
税務申告でグレーのものがあった場合、納税者側にそれを白だと証明する義務はないのです。
日本は申告納税制度の国です。
申告納税制度というのは、納税者が自分で出した申告書は、明確な誤りがない限り、税務当局はそれを認めなければならないことになっているんです。
だからグレーのものを否認するならば、税務署のほうが明確にそれが黒だという根拠を突きつける必要があるのです。
その点を知らずに、調査官のいいなりになってしまう納税者がけっこう多いのです。調査官もずる賢いので、グレーのものを見つけると、それは「さも真っ黒」であるかのような言い方をします。
「こういう領収書は経費にはできませんね」
などと怒ったような顔をしていいます。
でも騙されてはいけません。彼らは、それほど自信を持っていっているわけではないのです。自信がないから怒ったフリをしているだけなのです。
調査官の仕事というのは、申告書の誤りを見つけることです。だからそれを見つけた場合、喜びこそすれ、怒るはずはないのです。彼らが怒っているときというのは、芝居に過ぎないのです。
【『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』大村大次郎〈おおむら・おおじろう〉(宝島新書、2012年/日本文芸社、2007年『そば屋はなぜ領収書を出したがらないのか? 領収書からみえてくる企業会計・税金のしくみ』改題】
大村大次郎の著書は大体1冊1000円台に抑えているので良心的だ。本書はそば屋から苦情が寄せられ改題となった作品である。日本で民主政が機能していない大きな要因の一つに税意識の低さが挙げられる。
元国税調査官の大村大次郎は調査の手法を知悉している。検察が起訴した裁判は検察側に立証責任がある。同様に脱税・申告漏れ・所得隠しは税務当局に挙証責任があるのだ。素人は「税務調査」と聞いただけで震え上がってしまうものだが、大村は「恐れることはない」と断言する。
仕事のために使った費用は全て経費で落とせる。そのためにはメモ書きで構わないから証拠をきちんと残しておくことだ。中小企業だとこのあたりが丼勘定の社長が多い。
税法の不平等や二重課税を思えば、この国に税金をまともに払う価値があるかどうかが疑わしくなる。しかもサラリーマンの場合、節税は困難だ。納税実態としては資産家ほど租税を回避しており、所得の少ない者ほど痛税感を覚える仕組みとなっている。
警察や税務署が恐れられるのは捜査や調査が可能なためだが、とてもじゃないが国民のために行われているとは言い難い。実際は自分たちの昇進のために法を曲げて得点を稼いでいるのだから。過去の冤罪事件を思えば、税務調査にだって行き過ぎがあることだろう。大企業は国税庁の天下りを受け入れることでマルサの査察調査をかわしている。
税の不平等は国を亡ぼす。貧しい国民が増えるほど犯罪件数も増加してゆく。圧政は必ずや暴力(テロ)の温床となる。