2015-01-08

米シェール企業、原油安で破綻 負債最大60億円


 米メディアによると、テキサス州でシェール開発を手掛けるWBHエナジーが7日までに米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した。昨夏以降の原油の急落局面で米シェール企業の破綻が明らかになるのは初めてとみられる。

 4日付でテキサス州の連邦破産裁判所に申請したという。最大で5000万ドル(約60億円)の負債があり、原油安で想定通りの売上高が計上できず、資金繰りが悪化したとみられる。

 米シェール開発会社は中小業者が多く、資金力も限られることから、開発費を借入金や社債に頼っている。中小会社は先物取引などを用いた価格ヘッジも十分でないケースがあり、原油安が業績に直撃しやすい財務構造になっている。加えて、米地方の金融機関が中小シェールに対する融資回収を急ぐとの見方も出ていることなどから、今後も同様の破綻が相次ぐ可能性がある。

 ただ、中小シェール企業は足元では、資金流出を最小限に食い止めるため投資抑制も急いでいる。中堅シェールの一角であるオアシス・ペトロリアムは、2015年の投資金額を前年に比べ半減させる方針を先月に公表した。

 体力のある大手シェール企業は引き続き15年も高水準の投資を実施し、原油生産については14年に比べ拡大計画を維持している企業もある。このため、仮に中小シェール企業の破綻が相次いだとしても、世界の原油需給の悪化要因になっている米原油生産の拡大傾向が、すぐに歯止めがかかるかどうかは不透明だ。

日本経済新聞 2015-01-08



セネカ


 1冊読了。

 1冊目『人生の短さについて 他二篇』セネカ:茂手木元蔵〈もてぎ・もとぞう〉訳(岩波文庫、1980年/ワイド版岩波文庫、1991年)/再読。本書より書写行を開始する。有徳の人物の気高き魂に触れると電流のようなものが伝わってくる。人の心を打つのは論理ではない。生きざまである。「よく生きる」ことはエベレストの山頂に立つことよりも難しいかもしれない。生死を分ける難所はきっと日常生活の中にもたくさんあることだろう。凡庸な精神、眠れる知性、怠惰な姿勢がそれを見過ごしているのだ。この一書を毎年正月に読もうと思う。

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「プラマン」はプラスティック万年筆の略。評価の高い逸品である。オート万年筆を購入したのだが、長く書いているとペン先の引っ掛かりが気になる。これはペンの問題というよりも、私が普段ぺんてるのサインペンを使っているためだろう。軽い、筆圧不要、ペンを立てなくてもよい、微妙な線の表現という課題をクリア。黒・青・赤の3色があり、カートリッジは10本セットだと1634円。

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2015-01-05

人類は進歩することがない/『人生の短さについて 他二篇』セネカ:茂手木元蔵訳


 ・我々自身が人生を短くしている
 ・諸君は永久に生きられるかのように生きている
 ・賢者は恐れず
 ・他人に奪われた時間
 ・皆が他人のために利用され合っている
 ・長く生きたのではなく、長く翻弄されたのである
 ・多忙の人は惨めである
 ・人類は進歩することがない

『怒りについて 他一篇』セネカ:茂手木元蔵訳
『怒りについて 他二篇』セネカ:兼利琢也訳

必読書リスト その五

 三十代の半ばを過ぎて「そろそろ人生も折り返し地点か」と気づいてはいたのだが、あっと言う間に五十の坂を越えてしまった。「あと何冊の本を読めるだろうか?」と計算すると余生の短さに愕然とする。1年に100冊読んだとしても2000冊か3000冊しか読めないのだ。本の冊数で計算するところが古本屋の悲しい性(さが)である。

 まあそんなわけで、今年からしっかり勉強するべくノートを取ることにした。先ほど1ページ余り書いた。書きながら既にうんざりしている自分がいた。書く文字も少しずついい加減になってきて先が思いやられる。

 今年はセネカから読み始めることにした。自由意志を「心の平静さ」に求めるセネカの姿勢はブッダの教えと相通ずる。何にも増して私はその文体に心酔する。彼こそは男の中の男だ。

 しかし、われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。(9頁)

【『人生の短さについて 他二篇』セネカ:茂手木元蔵〈もてぎ・もとぞう〉訳(岩波文庫、1980年//ワイド版岩波文庫、1991年)以下同】

 われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。われわれは人生に不足しているのではなく濫費しているのである。(10頁)

 諸君は永久に生きられるかのように生きている。諸君の弱さが諸君の念頭に浮ぶことは決してない。すでにどれほどの時間が過ぎ去っているかに諸君は注意しない。充ち溢れる湯水でも使うように諸君は時間を浪費している。ところがその間に、諸君が誰かか何かに与えている1日は、諸君の最後の日になるかもしれないのだ。諸君は今にも死ぬかのようにすべてを恐怖するが、いつまでも死なないかのようにすべてを熱望する。(15頁)

 2000年という時を経てセネカの言葉が私の胸を打つ。文明は進歩しても人類は進歩することがない。なぜならば知識を与えることはできても、徳や豊かな感情を与えることはできないためである。やはりどう考えても人生は短い(笑)。

 今日は満月である。冬の月は軌道が高い。人間が寝静まる世界を冴え冴えとした光で照らす。明日になれば月はほんの少し欠ける。やがて新月となる。過ぎ去った時間や残された時間を意に介することなく月は昇り、そして沈む。

 宇宙における森羅万象が引力と斥力(せきりょく)の影響を受けながら回転している。その回転が螺旋(らせん)状に上がってゆくのか下がってゆくのが問われる。学べ。死ぬまで学べ。内なる精神の新しい地平を開くために。

2015-01-02

鏡餅は正月の花/『季語百話 花をひろう』高橋睦郎


 ・鏡餅は正月の花
 ・奇妙な中国礼賛

 花に飾りの意味があるとすれば、正月の花の代表は鏡餅ではあるまいか。玄関の間、または屋内の最も大切な場所に、裏白(うらじろ)、楪(ゆずりは)を敷き、葉付蜜柑(はつきみかん)を戴(いただ)いて鎮座まします。一説に鏡餅のモチは望月のモチともいう。そして色は雪白(ゆきしろ)。ということは、一つに月・雪・花を兼ねていることになる。これを花の中の花といわず、何といおう。

【『季語百話 花をひろう』高橋睦郎〈たかはし・むつお〉(中公新書、2011年)以下同】

 上古は餅鏡(もちいかがみ)と呼んだらしい。鏡は銅製神鏡を擬したものと高橋は推測する。


 世界は瞳に映っている。そこに欠けた己(おのれ)の姿を浮かべるのが鏡である。ひょっとすると神仏に供(そな)える水にも鏡の役割があったのかもしれない。

 鏡は太陽を映すことから神体とされた。いにしえの人々がそこに神の視線を感じたことは決しておかしなことではない。視覚世界を構成するのは可視光線の反射であるからだ。光があるから世界は「見えるもの」として現前する。

 鏡餅に神を映し、自分を映し、改まった気持ちで元旦を迎える。改(あらた)が新(あらた)に通じる。





計篇/『新訂 孫子』金谷治訳注

 そんな鏡餅を「花」と見立てたところに興趣が香る。穏やかな気候に恵まれた日本は自然を生活に取り込み、共生してきた。その日本人が惜しげもなく自然を破壊していることに著者は警鐘を鳴らす。

 季語は私たちが日本人であること、いや人間であること、生物の一員であることの、最後の砦(とりで)であるかもしれない。

 都会だと四季の変化も乏しい。花は売り物だし、落ち葉はゴミとして扱われる。スーパーへ行けば季節外れの野菜や果物も売られている。そして風が匂わない。自然から学んできた智慧が失われれば、不自然な生き方しかできなくなる。

 高橋に倣(なら)えば季節の風習の最後の砦は正月とお盆だろう。クリマスなんぞは一過性のイベントにすぎない。一月睦月(むつき)の由来は親族一同が集って宴をする「睦(むつ)び月」とされる。仲睦(むつ)まじく楽しみ合う場所から社会は成り立つのだろう。

 そういう意味から申せばインターネットは修羅場に近い。仲のよい人々同士が集う場に棲み分けするのが望ましい。というわけで、本年も宜しくお願い申し上げます。

2014-12-31

反日教育のきっかけとなった天安門事件/『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄

 ・反日教育のきっかけとなった天安門事件
 ・60年安保闘争~樺美智子と右翼とヤクザ

『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年
『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘 2015年

 かつて(1989年)天安門事件というのがありました。そのときに、天安門を占拠した若い学生のなかから「中国共産党打倒」のスローガンが出たのですね。これに、その当時の、鄧小平〈トウ・ショウヘイ〉を中心とする古い指導者たちは物凄くショックを受けたわけですね。そこで、鄧小平たちが考えたのは、「これでは駄目だ。若者に愛国教育ややらんといかん」ということでした。愛国教育とは、「中華人民共和国をつくるについて、中国共産党が日本軍国主義の侵略を排除するためにどれだけ苦労したか」ということを教えるということです。
 つまり彼らの言う愛国教育というのはイコール反日教育です。これを江沢民体制の10年ずっとやってきた。そして、今も続けています。その成果が今日の激しい反日運動の背景にあるわけです。中国共産党がなぜ今も独裁的に中国を支配しているのか、それを正当化する理由が二つあるわけです。一つは要するに、日本軍国主義の中国侵略からこの国を解放して中華人民共和国をつくったのは共産党だということです。もう一つは、中国共産党が存在しなければ、今日の経済発展はあり得ないということです。経済発展をするためには中国共産党独裁が必要である。こういうことでこれまでやって来たわけで、それらの信念が揺らいでくると反日というマグマが噴出する。小泉純一郎首相のときには靖国が大きな問題だったけれども、靖国の問題が収まれば、今度は尖閣の問題ということになってくる。これは尖閣でも靖国でもどちらでもよいのであって、たまたま今は尖閣を問題にしただけなのです。
 したがって、その中国共産党の権威が揺らげば揺らぐほど、国内が荒れれば荒れるほど、必ずまた出てきます。今だって、年間20万件とか30万件の暴動が起きているのです。あるいは環境汚染、汚職、こんなものが絶えることなく続いている。あの国は常に何かがあるわけです。もちろん浮き沈みはあります。今は、中国の形勢が国際的に不利になってきたこともあって、ちょっと収まってきているのです。しかし、中国共産党の政権が存在する限り、こういうことはこれからも何度でもあります。
 もっとも、これが日中戦争にまで発展することは、今のところ考えられません。現状では中国がもし戦争に踏み切れば、共産党政権は崩壊するでしょう。

【『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘(ベストセラーズ、2013年)】

 本年最後の書評も菅沼光弘で締め括る。

 中国における反日教育は「物語の上書き更新」を意味する。つまり鄧小平の読みは当たったわけだ。恐ろしい事実ではあるが、大衆の再教育(≒洗脳)が可能であることを示している。

 一方、我が日本はどうか。戦後になって東京裁判史観を引き摺ったまま何ひとつ変わっていない。アメリカが施したマインドコントロールが半世紀以上にわたって続いている。

 人間は幻想に生きる動物だ。宗教・歴史・文化・芸術など全てが幻想である。その幻想を支えるアルゴリズムが価値観であるわけだが、我々は価値観を選択することができない。まず言語の縛りがある。次に親や教員に教えられることを子供は疑うことが難しい。そもそも比較する材料がない。感情的な反発は覚えても、深い懐疑に至ることはないだろう。

 日本国の再生を思えば、やはり歴史から始めるしかないというのが私の考えだ。欧米キリスト教に対抗し得るのは、天皇陛下を中心とした一千数百年にわたる独自の文明である。中国(シナ)は日本よりも古い歴史を持つが、王朝国家の興亡が連続しているため一つの国家と見なすことはできない。

 イギリス王室はウィリアム1世から始まる。1066年のことである。ヨーロッパで日本に対抗できる歴史を有するのはローマ、ギリシャくらいだろう。

 200数十年の歴史しか持たないアメリカを筆頭に、白人は天皇陛下が目障りでしようがない。聖書に記述がないというのも重要な要素である。菅沼は皇室を貶(おとし)める記事は彼らが書かせていると指摘する。もし本物の右翼がいるなら週刊誌の発行元で街宣活動を行うべきだろう。

 アメリカは歴史の浅い国であるゆえに歴史学が弱い。だからこそ日本から発信することに意味があるのだ。西洋キリスト教に対して宗教的に対抗すれば感情的な反発を避けることが難しい上、戦争になりかねない。歴史も宗教も物語であるのは一緒だが、歴史は史実に基づいているため宗教よりは科学的だ。

「現状では中国がもし戦争に踏み切れば、共産党政権は崩壊する」――実はここにこそ日中戦争の目的があるのではないか? 青写真を描くのはもちろんアメリカだ。日本と中国はキャストにすぎない。

 アメリカのシナリオを想像してみよう。中国が尖閣諸島を武力支配-日本の軍事化および核武装化-在日米軍撤収-国際紛争に日本軍が参加、とこんな感じだろう。アメリカの国防予算削減分を日本にカバーさせようという魂胆だ。

 来年が潮目となる。円安が天井を打った時点から上記シナリオは現実味を帯びることだろう。

 それでは皆さん、よいお年を。一年間ありがとうございました。