2021-12-15

櫻井翔とウィリアム・フォーブス=センピル/『敵兵を救助せよ! 英国兵422名を救助した駆逐艦「雷」工藤艦長』惠隆之介


『ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書』石光真人

 ・櫻井翔とウィリアム・フォーブス=センピル

『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介

日本の近代史を学ぶ
必読書リスト その四

 昭和13年2月14日、日中戦争の緒戦で岩城邦広大尉(海兵59期、戦後空将)指揮の水上機8機が広東南雄飛行場上空で中国軍の英国製戦闘機12機と空中戦になり、8機を撃墜している。
 この年12月、渡英した前原謙治中将(海兵32期)が恩師センピル大佐を表敬し、謝罪するつもりで会見に臨んだ。ところが、センピル大佐は、「自分の教え子が、かかる戦果を挙げたのは無上の喜びだ」と発言し、杯をあげて祝福してくれたという。
 しかし、孫のイアン・チャン・センピル陸軍中佐の証言によると、日本海軍による真珠湾奇襲の報道を聞いたとき祖父は、日本海軍のポテンシャルの高さに驚愕したという(平成16年6月、ロンドンで取材)。

【『敵兵を救助せよ! 英国兵422名を救助した駆逐艦「雷」工藤艦長』惠隆之介〈めぐみ・りゅうのすけ〉(草思社、2006年/草思社文庫、2014年)】

 読書中。ロバート・センピルは大正10年、海軍航空隊の訓練を指導するため英海軍から招待した30名の団長で、当時の長距離飛行の世界記録保持者であった。「大正9年4月当時、日本海軍航空隊のレベルは稚拙で、佐世保から追浜までの無着陸飛行をしただけで『有史以来の大壮挙』と自画自賛するぐらいであった」(116ページ)。厳しいスパルタ指導に最初は目を白黒させたようだ。


 タレント風情がジャーナリストを気取るからこうなるのだ。寺澤有というジャーナリストが擁護しているのだが、「聞きにくいことを敢えて聞くのがジャーナリズム」とでも思っているのだろうか? 取材やインタビューは自分から依頼して行うものだ。そこで礼儀を無視すればジャーナリストはペンを持った裁判官となる。ひょっとして取材相手をレシピのニンジンやジャガイモみたいに考えているんじゃないだろうな?

 櫻井翔は食肉工場へ行ったら、「動物を殺す時の気分は?」とでも質問するのだろうか? 食肉処理は屠畜(とちく)が前提になっているし、戦争は手段としての殺人を正当化する。日本国民を守ってくれたことに感謝を述べるわけでもなく、「戦時中というのはもちろんですけど、アメリカ兵を殺してしまったという感覚は?」と訊(たず)ねることができたのは、礼儀知らずというよりは、言っていいことと悪いことの是非もわからないのだろう。長らくテレビ業界にいたために精神のどこかが病んでしまったのではあるまいか。父祖に対する恩を見失ったところに日本社会がデタラメになった根本原因がある。センピル大佐の発言は戦争の非情さを示してあまりある。

 Wikipediaの「センピル教育団」を見ると、名前が「ウィリアム・フォーブス=センピル」となっており、後年日本のスパイとなったことが記されている。惠隆之介がなぜ「ロバート・センピル」としたのかは不明である。スパイであった事実も伏せられている。武士の情けか。尚、孫のイアン・チャンも検索してみたが情報は皆無だ(ユアンか?/センピル卿家の系図)。意図的に伏せたのであれば文筆家として問題がある。

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