2012-03-13

雪景色


1063


 まるでスクリーンだ。広い開口部が外と内との境界を曖昧にする。自然を取り込もうというあざとさは感じられない。ただ四季の移ろいを愛(め)でようとしたのだろうか。暗がりの中で緋毛氈(ひもうせん)が紫色に見える。茶器が二つ。言葉ではなく、時間を共有するコミュニケーション。作法や手順にはそんな意味があったはずだ。京都・大原の里、宝泉院

大野晋、宮本常一、岩波貴士、岩田義一、中村元、三枝充悳

4冊挫折。

東日本と西日本 列島社会の多様な歴史世界』大野晋〈おおの・すすむ〉、宮本常一〈みやもと・つねいち〉、ほか(日本エディタースクール、1981年/洋泉社MC新書、2006年)/論文の寄せ集めだった。大野晋の著作に当たるべきであった。

人にはちょっと教えたくない「儲け」のネタ帳』岩波貴士(青春文庫、2008年)/良書。200ページほどで様々な情報を網羅。ウェブ情報まで掲載されており有益。ただ、五十の坂に届こうとする私が読むべき本ではない。

偉大な数学者たち』岩田義一〈いわた・ぎいち〉(ちくま学芸文庫、2006年)/これも良書。文章がいい。横書きなのでやめた。

バウッダ[佛教]』中村元〈なかむら・はじめ〉、三枝充悳〈さいぐさ・みつよし〉(小学館、1987年/講談社学術文庫、2009年)/入門書であった。500ページ近くあり、堅牢な内容だと思われる。

■(サイ)の発見/『白川静の世界 漢字のものがたり』別冊太陽


 ・■(サイ)の発見
 ・文字は絶対王朝から生まれる

『漢字 生い立ちとその背景』白川静

 そろそろ白川静〈しらかわ・しずか〉に手をつけねば、と本書を選んだ。

 この手の雑誌もどきの本はおしなべてレイアウトがよくない。ヴィジュアル中心のため文字の読みやすさが置き去りにされている。特に私が憎悪の対象としているのは『別冊ニュートン』だ。

 はっきり言えば総花的で散慢な印象を受けた。白川静という人間に迫っていない。企画が一つの焦点に向かっておらず、杜撰(ずさん)なパッチワークとなっている。だが、それでも写真を見るだけの価値がある。

 1970年、そのことは、広く世間に知られることとなった。
■(サイ)〕の発見である。
 岩波新書としてその年、出版された『漢字』という一冊の本は衝撃的な■(サイ)のデビューとなる。
 ■(サイ)は、1970年を遥かに遡る時代に発見されている。
 発見者はもちろん「白川静」。

【『白川静の世界 漢字のものがたり』別冊太陽(平凡社、2001年)以下同】

sai
(甲骨文におけるサイ)

「白川静」と言えば、〔■(サイ)〕の発見である。現在の漢字の「口」は、口耳の「口」のみの意であるが、古代中国においては、「口」には二つの意があり、口耳の“口”に対して、もう一つ神への申し文(もうしぶみ/人が神に願事〈ねぎごと〉をするために書かれた手紙)を入れる“器”という意味があった。
 それが白川静、曰(い)うところの〔■(サイ)〕である。
 この〔■(サイ)〕の発見は、従来の漢字の意味を解く法を完全にひっくり返した。
 そればかりではない。その〔■(サイ)〕という“器”を通すと、漢字の背後のものがたり、民俗が象(かたち)として見えてくる。

「祝詞(のりと)を収める箱の形」と口部を読むことで漢字の統一的解釈が可能になる――と白川は独創した。古代中国は宗教社会の面持ちで新たな姿を現した。

 ■(サイ)――この象(かたち)を何と呼ぶか、何と読むか。
 その名付け親も白川静である。

 何が凄いかって、数千年間にわたって誰も読むことができなかった文字を、白川ただ一人が「読んだ」のである。これはもう「悟り」としか言いようがない。

 甲骨文は最古の漢字で(いん/紀元前17世紀頃-紀元前1046年)の時代に使われた。次に登場するのが金文である。これらの文字から白川は「■(サイ)」を導き出した。

 白川によって現代人と古代中国人のコミュニケーションが可能となったのだ。私はその偉業に「縁起的世界」を感じてならない。彼が開いた扉は新しい漢字世界に通じていた。

縁起に関する私論/『仏教とはなにか その思想を検証する』大正大学仏教学科編

zomon

 神々は、花に坐す。木に坐す。風に坐す。山に坐す。川に坐す。海に坐す。
 食事の器にも時々降って宿っています。あなたの掌の中にもいます。
 古代人は、神々をそう捉えてきた。神はスピリット、精霊、総ての“もの”に宿っている、と。
 だから病も神。
 白川静曰(いわ)く、
「風邪も、“ふうじゃ”という神さんです」

 日本に根づいているアニミズムの源流が窺える。仏教が漢字で翻訳された時点でアニミズムの影響は避けられなかったことだろう。そして白川は漢字の本質をこう言い切る。

 白川静の或る言葉とは――
【「呪的儀礼(じゅてきぎれい)を文字として形象化(けいしょうか)したものが漢字である」】

 これ、マンダラである。もともと「呪」と「祝」は同じ意味であった。また「呪(まじな)い」とも読む。「呪」の起源が定かではないが、人々の強い情念、願い、希望などが混じり合った意味を感じる。

白川●本来は「道」そのものが、そのような呪術的対象であった訳。自己の支配の圏外に出る時には、「そこには異族神がおる、我々の祀る霊と違う霊がおる」と考えた、だから祓いながら進まなければならん訳です。

梅原猛●実際に生首を持って歩いた。生々しいなあ。

 これは「道」のツクリが文字通り生首を示すという話。物語とは「その時代の合理性」であることを見失ってはなるまい。古代の人々を支配していた恐怖感が伝わってくる。未知とは恐怖の異名なのだ。文明や科学の発達が恐怖を解消する役目を担ってきた。

 ■(サイ)に祝詞(のりと)を入れた形が「曰」となる。「曰(いわ)く」。言葉には神への誓いが込められていた。「呪」(じゅ)なる世界を失うことで、我々の言葉は木の葉のように軽くなってしまった。そんな気がしてならない。

教育の機能 1/『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ

白川静の世界―漢字のものがたり (別冊太陽)

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常用字解 第二版
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占いは未来への展望/『香乱記』宮城谷昌光
人種差別というバイアス/『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム

自称リビア解放者ベルナール=アンリ・レヴィの傲慢・偽善・反イスラム





◎ベルナール=アンリ・レヴィ

パレスチナを買うユダヤ人大富豪アーヴィング・モスコビッチ イスラエル


 エルサレムのアラブ人地区(パレスチナ領)の家や土地を次々に買い取りユダヤ人を入植させるアメリカのカジノ経営者アーヴィング・モスコビッチ。エルサレム分割を望まない­この人物の活動は中東和平への大きな障害となりつつある。2010年。

シリア ロシア外相、米欧の欺瞞を批判



2012-03-12

コニー 2012の正体~アフリカ侵略心理作戦





 アレックス・ジョーンズ。

◎KONY 2012/ジョゼフ・コニー逮捕キャンペーン
◎The Kony 2012 論争
◎ウガンダ反政府勢力の蛮行告発映画、「真実と違う」と地元民は猛反発
◎KONY2012を支持する人々

読売新聞 3月11日付「編集手帳」


 使い慣れた言い回しにも嘘(うそ)がある。時は流れる、という。流れない「時」もある。雪のように降り積もる◆〈時計の針が前にすすむと「時間」になります/後にすすむと「思い出」になります〉。寺山修司は『思い出の歴史』と題する詩にそう書いたが、この1年は詩人の定義にあてはまらない異形の歳月であったろう。津波に肉親を奪われ、放射線に故郷を追われた人にとって、震災が思い出に変わることは金輪際あり得ない。復興の遅々たる歩みを思えば、針は前にも進んでいない。いまも午後2時46分を指して、時計は止まったままである◆死者・不明者は約2万人…と書きかけて、ためらう。命に「約」や端数があるはずもない。人の命を量では語るまいと、メディアは犠牲者と家族の人生にさまざまな光をあててきた。本紙の読者はその幼女を知っている。〈ままへ。いきてるといいね おげんきですか〉。行方不明の母に手紙を書いた岩手県宮古市の4歳児、昆愛海(こんまなみ)ちゃんもいまは5歳、5月には学齢の6歳になる。漢字を学び、自分の名前の中で「母」が見守ってくれていることに気づく日も遠くないだろう。成長の年輪を一つ刻むだけの時間を費やしながら、いまなお「あの」ではなく「この」震災であることが悔しく、恥ずかしい◆口にするのも文字にするのも、気の滅入(めい)る言葉がある。「絆」である。その心は尊くとも、昔の流行歌ではないが、言葉にすれば嘘に染まる…(『ダンシング・オールナイト』)。宮城県石巻市には、市が自力で処理できる106年分のがれきが積まれている。すべての都道府県で少しずつ引き受ける総力戦以外には解決の手だてがないものを、「汚染の危険がゼロではないのだから」という受け入れ側の拒否反応もあって、がれきの処理は進んでいない。羞恥心を覚えることなく「絆」を語るには、相当に丈夫な神経が要る◆人は優しくなったか。賢くなったか。1年という時間が発する問いは二つだろう。政権与党内では「造反カードの切りどきは…」といった政略談議が音量を増している。予算の財源を手当てする法案には成立のめどが立っていない。肝心かなめの立法府が違法状態の“脱法府”に転じたと聞くに及んでは、悪い夢をみているようでもある。総じて神経の丈夫な人々の暮らす永田町にしても、歳月の問いに「はい」と胸を張って答えられる人は少数だろう◆雪下ろしをしないと屋根がもたないように、降り積もった時間の“時下ろし”をしなければ日本という国がもたない。ひたすら被災地のことだけを考えて、ほかのすべてが脳裏から消えた1年前のあの夜に、一人ひとりが立ち返る以外、時計の針を前に進めるすべはあるまい。この1年に流した一生分の涙をぬぐうのに疲れて、スコップを握る手は重くとも。

「編集手帳」/読売新聞 2012-03-11

 読売新聞は異例の紙面となっていた。いつもより長文の「編集手帳」が一面トップに配され、以下の画像が紙面を覆った。

多くの人が訪れた荒浜地区の慰霊碑。雪の降る中、しゃがみ込み祈る人もいた

 コラムというよりは叙情に傾いた散文というべきか。

「羞恥心を覚えることなく『絆』を語るには、相当に丈夫な神経が要る」との一文に膝を打った。福島で原発事故が発生した際、大手新聞社の記者は一人残らず退避した。



 そして記者クラブはフリーランスを記者会見から排除し、官僚と東電の広報と化している。

 そもそも日本に原子力発電を導入したのは正力松太郎(元読売新聞社社主)である。

 ああ、そうか。コラム子(し)は自分の太い神経を自慢したのだな。

 言葉というものは実に便利である。いつでも自由に嘘を書くことができる。

【追記】確か4面だと思ったが、石原伸晃(自民党幹事長)のインタビュー記事があり、中央に「政治をリセット」という見出しが付いていた。1~3面で震災を強調し、自民党支持へ誘導するような紙面づくりに呆れ果てた。

正力松太郎というリトマス試験紙

アフガン米兵乱射に住民激怒、「酔って遺体に火」との証言も

 アフガニスタン南部カンダハル州で11日未明に発生し、16人が死亡した米兵による銃乱射事件で、父親と姉妹1人を殺害されたジャン・アグハさん(20)らが、当時の様子を証言した。

 アグハさんによると、父親はカーテンの合間から外の様子を見ていたところ、突然喉と顔を撃たれ即死。その後、複数の米兵が自宅に侵入してきた。米兵が自宅にとどまっている間、アグハさんは床に寝そべり、死んだふりをしていたという。

「とても怖かった」と語るアグハさんは「母は目と顔を撃たれた。見た目で母と分からないほどだった。兄弟は頭と胸を撃たれ、姉妹も殺された」と説明した。

 アグハさんの証言では、「複数の」米兵が事件に関与しており、酒に酔った複数の米兵が事件を起こしたとの別の目撃者の証言もある。これに対し、ワシントンの米国防総省高官は、単独犯の可能性が高いとしている。

「私に向けて銃を撃ってきた。弾は壁に当たった」。こう話すアグハ・ララさんは、米兵の様子について「彼らは笑っていた。普通の状態ではなく、酔っているように見えた」と証言した。

 その上で「これは大量虐殺だ。多くの銃弾を浴びた遺体が散乱していた。カーテンか毛布と一緒に燃やされたようだった」と怒りをあらわにし、「これが米国人が言う支援部隊なのか。彼らは野獣で人間性のかけらもない。タリバンの方がまだましだ」と非難した。

 子ども9人と女性3人を含む計16人が死亡した今回の事件で、北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)は、事件に関与したとして米兵1人を拘束し、取り調べを続けている。

ロイター 2012-03-12


アフガン乱射の米兵はイラクに3度派遣、子ども3人の父親=当局

 アフガニスタン南部カンダハル州で11日未明、米兵が民家3軒で銃を乱射し、アフガン当局によると、子ども9人と女性3人を含む計16人が死亡した。コーラン焼却をめぐり反欧米感情が高まっているアフガンで、新たな火種となる可能性がある。

 米軍は事件に関与した容疑で米兵1人を拘束した。複数の当局者によると、この兵士はワシントン州の部隊に所属する陸軍2等軍曹で、イラクで3度の任務を務めた後、アフガンに派遣された。結婚しており、3人の子どもがいるという。

 事件は午前2時ごろ、同州西部のパンジワイ地区で発生。現場周辺の住民や犠牲者の親族によると、複数の米兵が民家に次々と侵入し、銃を乱射したという。兵士は酒に酔った状態で笑いながら犯行に及んだとの証言があるほか、子どもを殺害されたという男性は、兵士が薬品を遺体に火を付けたと語った。

 一方、ワシントンの米国防総省高官は、複数の酔った米兵が事件に関与しているとの目撃者証言を否定し、単独犯との見方を示した。北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)の広報官は、拘束された米兵は歩いて基地に戻ってきたと明らかにした。

 この事件を受け、アフガンのカルザイ大統領は「意図的な殺人だ」と激しく非難し、米国側に説明を要求。また、オバマ米大統領も声明を出し、「この悲劇的でショッキングな事件は、米軍の優れた特性とわれわれがアフガンに対して抱く尊敬の念を示すものではない」と憂慮した。また、オバマ大統領はカルザイ大統領に電話をかけ、早急に真相を究明し、「関与した者の責任を完全に追及する」と約束した。

 アフガンでは駐留米軍基地でのコーラン焼却をめぐる反欧米感情が高まっており、米軍などを狙った攻撃や抗議行動で少なくとも30人が死亡。カブールの米大使館は、今回の事件で新たな報復攻撃が起きる可能性があるとしている。

 反政府武装勢力タリバンはメディアに宛てた電子メールで、事件への報復攻撃を行うと表明した。

ロイター 2012-03-12

2012-03-11

ハワード ジン


 1冊読了。

 13冊目『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史(上) 1492-1901年』ハワード ジン、レベッカ・ステフォフ編:鳥見真生〈とりみ・まさお〉訳(あすなろ書房、2009年)/第二次世界大戦以降を「アメリカの時代」とすれば、世界の病根はアメリカの歴史に尋ねるべきであるというのが私の持論だ。本書はまさにうってつけの基本テキスト。上巻ではインディアン虐殺、黒人奴隷制度、文明の発達に伴う格差社会をスケッチしている。文字が大きく、ルビも丁寧に振られているので中高生向けと思われる。ハワード・ジンはアメリカの良心であると言ってよい。

東日本大震災から一年 死者1万5846人、行方不明者3317人


ルワンダ大虐殺の爪痕:ジェームズ・ナクトウェイ


 ・ルワンダ大虐殺の爪痕:ジェームズ・ナクトウェイ

ジェームズ・ナクトウェイの戦争写真の衝撃

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【James Nachtwey(ジェームズ・ナクトウェイ撮影)】


『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ
ジェノサイドが始まり白人聖職者は真っ先に逃げた/『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ
強姦から生まれた子供たち/『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』写真、インタビュー=ジョナサン・トーゴヴニク
ルワンダ大虐殺を扇動したラジオ放送
ルワンダの子供たち 1994年

2012-03-10

革命

「あんたらの革命など糞食らえだが、私自身のは別だ。」
Mar 08 via twittbot.net Favorite Retweet Reply



神の裁きと訣別するため (河出文庫 (ア5-1))

「欧米人が仕掛ける罠」武田邦彦、高山正之


白人は人間ではない サンデル教授の欺瞞

 ノーベル平和賞の策略/エノラ・ゲイがスミソニアン博物館に展示されている意味/文化の陰謀/『猿の惑星』の猿は日本人だった/シー・シェパードの日本人攻撃は寄付金集めが目的/ハッブル宇宙望遠鏡は潤滑油にマッコウクジラの油を使っている







変見自在 サダム・フセインは偉かった (新潮文庫)変見自在 偉人リンカーンは奴隷好き変見自在 オバマ大統領は黒人か変見自在 スーチー女史は善人か

対談 武田邦彦×岩上安身
「異民族は皆殺しにせよ」と神は命じた/『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹
人生の鱗・科学者の目 私に何がいるのだろう?:武田邦彦
黒船ペリーが開国を迫ったのは捕鯨船の補給地を確保するためだった
コロンブスによる「人間」の発見/『聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』岡崎勝世
バルトロメ・デ・ラス・カサス
凌遅刑
カーチス・ルメイ
ロバート・オッペンハイマー
「アメリカのフロンティアと使命感」武田邦彦
キリシタン4000人の殉教/『殉教 日本人は何を信仰したか』山本博文
KONY 2012/ジョゼフ・コニー逮捕キャンペーン

インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)ラス=カサス (Century Books―人と思想)インディアス史(7冊セット) (岩波文庫)

2012-03-09

パレスチナ ジェニンの虐殺










「パレスチナ、ジェニンの虐殺」森沢典子
ジエニンの虐殺

ガザ~虐殺の町



反シオニズムは独裁に抵抗する連合戦線



「ケア」の語源

イラク戦争の死者よりも多い日本の自殺者

14年連続で自殺者3万人。前々から、ここでは書いてるけど、イラク戦争より死者を出してるんじゃないか? 日本は今、内戦状態だよ。実弾が飛んでこないから実感がわかないけど、自殺する人の大半は、紙幣に被弾して亡くなっていくんだよな
Mar 09 via web Favorite Retweet Reply

「現状に打ち勝てない」 福島から避難後、夫自殺(神戸新聞)


 あの原発事故さえなければ、幸せな日々が続いていたはずだった。東日本大震災の後、福島県二本松市から兵庫県内に妻と娘と避難してきた男性(38)が、昨年末、最愛の2人を残して自ら命を絶った。仕事を失い、兵庫で再起を期したが、将来への不安を拭えずうつ病を発症。残された遺書には「現状に打ち勝つ気力がもうない」と殴り書きされていた。

 兵庫に移り住んで半年が過ぎた昨年11月。尾崎裕子さん(36)は長女の理彩さん(7)と帰宅して、夫の遺体を見つけた。取り乱す裕子さんに、理彩さんが泣きながらすがりついた。「早く病院に連れて行ってあげて」

 二本松市に暮らし、国際機関の講師として働いていた男性。震災後、職場が避難所となったため職を失い、勤務先から提供されていた住居からの退去も迫られた。さらに、目に見えない放射能への不安も募った。

 男性は向上心が強く、昨春には通信制大学院への入学を計画していた。だが希望は一気に暗転。兵庫で職を見つけて転居したが、狂った歯車は元に戻らない。「眠れない」とこぼし、表情に疲れがにじんだ。優しかった男性が娘を怒鳴りつけ、後で自己嫌悪に陥っていたこともあった。

 男性が精神科医のカウンセリングを受け、薬の処方を受けていることが、秋になって初めて分かった。「真面目な人だから家族を守りたい、心配はかけられない、と思っていたんだと思う」

 理彩さんは葬儀後、悲しみを表に出さなかったが、浴室で隠れて泣いていた。働き始めた裕子さんの帰宅時には、駅まで迎えに行く。「お母さんは私が守るから」。母と娘で遊びに行った場面の絵には、今も必ず「家族3人」の姿を描く。

 震災から1年。次々と降りかかる災いを顧みる余裕もなく走った。ふと立ち止まり、夫の死が震災を原因とした「関連死」に当てはまるのでは、との思いが膨らむ。

「なぜ夫が隣にいないのか、と寂しさが噴き出す瞬間がある。あの原発事故さえなければ、元のまま暮らせていたんです」。それまでこらえていた涙がこぼれ落ちた。

神戸新聞 2012-03-07

2012-03-08

KONY 2012/ジョゼフ・コニー逮捕キャンペーン








少女を性奴隷、少年を戦闘兵に、ソーシャルで告発する「KONY 2012」とは?
ジョゼフ・コニー
コニー 2012の正体~アフリカ侵略心理作戦
The Kony 2012 論争
ウガンダ反政府勢力の蛮行告発映画、「真実と違う」と地元民は猛反発
KONY2012を支持する人々
「欧米人が仕掛ける罠」武田邦彦、高山正之

 画面右下から「YouTube」サイトへ移動→画面右下の赤いボタン「cc」をクリック→音声を文字に変換→字幕を翻訳→「日本語」を選択。正確な翻訳ではないが、あらましは理解できるだろう。(※日本語訳に差し替えた。3月14日)

村上重良、廣澤隆之

2冊挫折。

世界の宗教 世界史・日本史の理解に』村上重良〈むらかみ・しげよし〉(岩波ジュニア新書、1980年)/古すぎる。「民族宗教」(5ページ)という語句に疑問あり。民俗宗教、あるいは部族宗教とすべきだろう。これは古い本だから仕方がないといえる。

図解雑学 仏教』廣澤隆之〈ひろさわ・たかゆき〉(ナツメ社、2002年)/初心者向けのテキストは時折、不正確な記述が紛れ込んでいる。悪くはないが、かといってよくもない本だ。右ページにイラストを配しているため、横書きとなっている。横書きは本当に苦手だ。読む気が失せる。

2012-03-06

ジャック・アタリとドミニク・ストロスカーンが目指す世界政府(新世界秩序)

USSエンタ-プライズ偽旗作戦 対イラン戦争 イスラエル


偽旗作戦

ギングリッチ 大統領になったら対イラン戦争に参加



南英男


 1冊挫折。

友だちが怖い ドキュメント・ノベル『いじめ』』南英男(集英社文庫コバルトシリーズ、1985年)/大阪産業大学付属高校同級生殺害事件が取り上げられている。それで読んだわけだが、Wikipediaに劣る内容であった。古い本のため、左翼教師が説くような手垢まみれの道徳観が綴られている。現実のいじめを解決し得ない者が、殺害という解決法を実行した彼らを論じることに意味は見出せない。1章と最終章だけ読んだ。

星の教団と鈴木大拙

神智学協会日本支部長だった鈴木大拙も幸徳人脈に属し、もしも海外滞在中でなかったら、大逆事件に連座していたはずだ。イギリスやロシアのスピリチュアリズムと社会主義運動の関係は、もっと研究されていい。
Mar 01 via web Favorite Retweet Reply


神智学内のクリシュナムルティを世界教師と仰ぐ教団としてアニー・ベサントの肝入りで〈星の教団〉が設立されたが、鈴木大拙はこの参加は拒んでいる(今東光は参加)。クリシュナムルティ自身が「自分は世界教師でない」と教祖の座を拒み、アムステルダムでの結成式が解散式になってしまった。
Mar 02 via web Favorite Retweet Reply


 鈴木大拙のことは知らなかった。

神智学協会が日本に与えた影響
安藤礼二氏「明治期の神智学問題におけるチベット・モンゴル学の影響」
星の教団解散宣言~「真理は途なき大地である」/『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス
ヘンリー・ミラー「クリシュナムルティは徹底的に断念した人だ」/『ヘンリー・ミラー全集11 わが読書』ヘンリー・ミラー
神智学協会というコネクター/『仏教と西洋の出会い』フレデリック・ルノワール

石原慎太郎と野口健 遺骨収集活動










 いやあ凄い。あの石原慎太郎が神妙な顔つきで耳を傾けている。生の本質に迫る言葉の数々が襟を正さずにはおかない。

 8000mを超えた世界には匂いや色、音がないとの指摘が興味深い。仏教では物質的存在を「色法」(しきほう)と名づける。野口の言葉に「いろは歌」を思い出した人も多いのではないか。

 色はにほへど 散りぬるを
 我が世たれぞ 常ならむ
 有為の奥山  今日越えて
 浅き夢見じ  酔ひもせず

 諸行無常がこの世の実相であれば、8000mから上は変化をも許さない「死の世界」なのだろう。地獄とは地の底にあると思い込んでいたが、どうやら違ったようだ。

 五感という知覚そのものが、縁起という相関関係を構成していることがわかる。

野口健が聞いた英霊の声なき声―戦没者遺骨収集のいま 自然と国家と人間と (日経プレミアシリーズ)

野口健が戦ってきたもの

2012-03-05

野口健が戦ってきたもの

野口健〈のぐち・けん〉と佐々木かをりの対談を読んだ。

◎佐々木かをり対談 win-win 第59回 野口健さん

 32ページに渡る記事が一冊の読書に等しいほど面白い。まず野口の言葉は率直で嘘や飾りがない。開けっ広げな性格が窺える。twitterで紹介するだけではもったいないので覚え書きを残しておこう。

 まずは、8000m級の山々がアルピニストの内臓にダメージを与えることに驚かされた。心臓の弁が閉まらなくなる、腸に穴が空く、肝機能低下……。

 で、酸欠になると、肝機能が低下するわけです、脳が鈍るんで。だから登山家の人は血が汚いんですよ、みんな。ドロドロしちゃって。で、血が汚いところから病気っていうのは生まれてくるんで、病院に行ったら僕の血は汚すぎてね、人には輸血できないって言うんですよ。見てわかるくらい、他の人と違うんです。

 今日、以下のニュースを偶然見つけた。

雑記帳:植村直己さん「最後の日記」 出身地で展示

 北米マッキンリー山で84年に消息を絶った冒険家、植村直己さん(当時43歳)の「最後の日記」が出身地・兵庫県豊岡市の植村直己冒険館でパネル展示されている。
 捜索隊がマッキンリーの雪洞内で見つけた。84年2月1~6日の日付がある。ノート16ページに、雪をかき分けて登る様子や凍ったトナカイの肉を食べる食事が克明に記されている。展示は13日まで。
「孤独を感じない」「何が何でも登るぞ」とも書いていた。冒険館は「日記は色あせていっても、植村のチャレンジ精神はあれから28年たっても色あせていない」。

毎日jp 2012-03-05

 実はこの日記が気になり検索したところ、「植村直己さんの最後の日記」のページがヒットした。

 私は唸(うな)った。死を目の当たりにしてきた野口の直観にたじろいだ。同じ世界に身を置いた者同士でなければ不可能なコミュニケーションが成立していたからだ。「この『何がなんでも』っていう言葉は素人が使う言葉なんです」と言い切るには一つや二つくらいの修羅場を経たくらいでは無理だ。

 あるテレビ番組で野口は、エベレスト山頂付近では文字通り屍(しかばね)を踏み越えて進んだ経験を語っていた。また石原慎太郎との対談では、エベレスト登頂直後にパートナーの最期を看取ったことを紹介していた。

 8000mという死線を超えた者だけにわかる世界がきっとある。そこは生きること自体が「有り難い」世界なのだ。

 長年ヒマラヤに行っていつも見てるんですが、ゴミを捨てる隊ってあるんです。ゴミを捨てる隊と遭難者を出す隊がね、重なってくるんですよ。

 だから、今、韓国隊、中国隊、ロシア隊がぼろぼろですよ。失敗したらたたかれるから、絶対に帰れないって、危なくても突っ込んで死んでしまう。そういう隊は、ほかに気も回らないから、ゴミも出す。ほかの隊に比べて余裕がないからゴミも多いんです。

 心の余裕とか精神のゆとりと書くと、いかにも陳腐だ。しかし山を思いやれない人々が、他者を思いやれないのは当然だ。漢字では「思い遣り」と書く。「思い」を「遣(つか)わす」ことが本義であろう。周囲からの厳しさがエゴの温床となる場合があるという指摘は頷ける。

 野口は最初のエベレストアタックに失敗。帰国後の記者会見で「いやあ、登頂できなかったのも辛かったけどね、エベレストに日本のゴミがあって、日本は三流とか、日本を否定された。あれも辛かったなあ」と漏らした。これをマスコミが大きく報じた。日本山岳会が野口に猛烈な圧力をかける。尊敬していた登山家の先輩からは「ゴミを見なかったことにしろ」と告げられる。そして日本山岳会の最高責任者であった橋本龍太郎との対決にまで漕ぎ着ける。

 組織の力学はリンチであり、いじめであることが明らかだ。私の場合、暴力性で乗り切ってきたが、野口は強い精神力と果敢な行動力で乗り越えている。中々できることではない。

 富士山のゴミ拾いでは完全な政治問題にコミットしている。そして散々自分を叩いてきたメディアを今度は逆に利用する。

 バラエティに出る時は条件として、「富士山の話ができるなら出ますよ」って言ったら、全部OKだったんですよね。

 やり方が聡明だ。鮮やかである。そんな野口が育った家庭環境についても述べられている。実にユニークな父親だ。日本人外交官とエジプト人女性の間に生まれ、世界を渡り歩いてきた彼ならではの独立した気風から学ぶことは多い。

◎公式サイト
◎石原慎太郎と野口健 遺骨収集活動
◎『僕の名前は。 アルピニスト野口健の青春』一志治夫
◎野口健は日本航空を利用しない


落ちこぼれてエベレスト (集英社文庫) 確かに生きる 落ちこぼれたら這い上がればいい (集英社文庫) 100万回のコンチクショー (集英社文庫) それでも僕は現場に行く








松尾剛次


 1冊挫折。

仏教入門』松尾剛次〈まつお・けんじ〉(岩波ジュニア新書、1999年)/日本仏教的な視点が気に入らず。この手の解説は既に時代遅れだ。

2012-03-03

シオニスト暴虐の現実 イスラエルのガザ空爆



ビルダーバーグ会議 マスコミの知らぬふりと政治家の「説明」



世界情勢を読む会、ペニー・ルクーター、ジェイ・バーレサン


 3冊挫折。

面白いほどよくわかる 世界の紛争地図 紛争・テロリズムから危険地帯まで、「世界の危機」を読み解く』世界情勢を読む会編著(日本文芸社、2002年/改訂新版、2007年)/硬質な文章でこれは見っけものかと思ったが、パックスアメリカーナに順ずる記述があったのでやめた。実に惜しまれる。日本文芸社が刊行している「学校で教えない教科書」シリーズは、大人の読書に応えられるものがないと判断した。

面白いほどよくわかる 世界地図の読み方 紛争、宗教から地理、歴史まで、世界を読み解く基礎知識』世界情勢を読む会編著(日本文芸社、2002年/改訂新版、2007年)/というわけで自動的にこちらも中止。

スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質』ペニー・ルクーター、ジェイ・バーレサン:小林力〈こばやし・つとむ〉訳(中央公論新社、2011年)/3ヶ月前の発行にもかかわらず品切れが続いている本。私の知識では無理だった。ハードカバーにした心意気は買うが、紙質が悪いので元も子もない。昔のパルプマガジンを思わせる紙だ。

ネオ=ロゴスの妥当性について/『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫


『物語の哲学』野家啓一

 ・狂気を情緒で読み解く試み
 ・ネオ=ロゴスの妥当性について

『新版 分裂病と人類』中井久夫
『アラブ、祈りとしての文学』岡真理
『プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?』メアリアン・ウルフ
物語の本質~青木勇気『「物語」とは何であるか』への応答
『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー
『オープンダイアローグとは何か』斎藤環著、訳

必読書リスト

 我々が生を自覚するのは死を目の当たりにした時だ。つまり死が生を照射するといってよい。養老孟司〈ようろう・たけし〉が脳のアナロジー(類推)機能は「死の象徴化から始まったのではないか」と鋭く指摘している。

アナロジーは死の象徴化から始まった/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

 ま、一言でいってしまえば「生と死の相対性理論」ということになる。

 前の書評にも書いた通り、渡辺哲夫は本書で統合失調症患者の狂気から生の形を探っている。

 歴史は死者によって形成される。歴史は人類の墓標であり、なおかつ道標(どうひょう)でもある。たとえ先祖の墓参りに行かなかったとしても、歴史を無視できる人はいるまい。

 死者たちは生者たちの世界を歴史的に構造化し続ける、死者こそが生者を歴史的存在者たらしめるべく生者を助け支えてくれているのだ、(以下略)

【『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫(筑摩書房、1991年/ちくま学芸文庫、2002年)以下同】

 渡辺は狂気を生と死の間に位置するものと捉えている。そして狂気から発した言葉を「ネオ=ロゴス」と名づけた。

統合失調症患者の内部世界

「あの世で(あの世って死んだ事)子供(B男)が不幸になっています  十二歳中学二年で死にました  私(母親の○○冬子)がころしました
 目が見えません  目玉をくりぬいて脳の中に  くりぬいた目の中から小石をつめ けっかんをめちゃめちゃにして神けいをだめにして 息をたましいできかんしをつめて息ができません  又くりぬいための中に ちゅうしゃきでヨーチンを入れ目がいたくてたまりません  また歯の中にたましいが入ってはがものすごく痛くがまんが出来ません
 又体の中(背中やおなかや手足)の中に石田文子のたましいが入って具合が悪く立っていられない  それをおぼうさんがごういんにおがんで立たしておきます
 又ちゅうかナベに油を入れいっぱいにしてガスの火でわかして一千万度にして三ばいくりぬいた目の中に入れ頭と体の中に入れあつすぎてがまんが出来ません
 又たましいの指でおしりの穴をおさえて便が全然でません又おしっこもおしっこの出る穴をおさえてたましいでおさえて出ません
 又B男のほねをおはかからたましいでぬすんでほねがもえるという薬をつかってほねをおぽしょて ほねをもやしてその為にB男のほねは一本もありません
 又きかんしに石田文子がたましいできかんしをつめて息が出来ません又はなにもたましいでつめて息が出来ません  だから私(冬子)母親のきかんしとB男のきかんしをいれかえて下さい」(※冬子の手記)



「……言葉がトギレトギレになって溶けちゃうんです……言葉が溶けて話せない……聴きとれると語尾が出て心が出てくるんですね、語尾がないとダメダメ……秋子の言葉になおして語尾しっかりさせないと……流れてきて、わたしが言う他人の言葉ですね……わたしの話は死人に近い声でできてるからメチャクチャだって……死人っていうのは、思わないのに言葉が出てくる不思議な人体……言葉が走って出てくるんですね。飛び出してくる、……言葉が自分の性質でないんです。デコボコで、デコボコ言葉、精神のデコボコ……」(※秋子)

 筒井康隆が可愛く見えてくる。通常の概念が揺さぶられ、現実に震動を与える。このような言葉が一部の人々に受け容れられた時に新たな宗教が誕生するのかもしれない。

アジャパー!!」「オヨヨ」「はっぱふみふみ」といった流行語にしても同様だろう。


 デタラメな言葉だとは思う。しかし意味に取りつかれた我々の脳味噌は「言葉を発生させた原因」を思わずにはいられない。渡辺は実に丁寧なアプローチをしている。

 ところが冬子にとっての「たましい」たる「B男」は彼岸に去ってゆかない。あの世もこの世も超絶した強度をもって実態的に現前し続ける。生者を支えるべく歴史の底に沈潜してゆくことがない。つまり、「たましい」は、死者たちの群れから離断された“有るもの”であり続ける。「たましい」は冬子の狂気の世界のなかで、余りにもその存在強度を高めてしまったのである。死者たちの群れに繋ぎとめられない「B男」は、死者たちの群れの“顔”になりようがない。逆に「B男」という「たましい」は、死者たちを圧殺するような強度をもってしまう。「たましい」は、生死を超越して絶対的に孤立している。否、「B男」の「たましい」は、死者たちでなく冬子に融合してしまっている。「B男」は、死者たちの群れを、祖先を、歴史の垂直の軸あるいは歴史の根幹を圧殺し、母たる生者をも“殺害”するほどの“顔”なのである。これはもう“顔”とは呼べまい。「B男」という「たましい」は、死者たちの群れに絶縁された歴史破壊者にほかならない。冬子も「B男」も、こうして本来の死者たちの支えを失っているのである。

 つまり「幽明界(さかい)を異(こと)に」していないわけだ。生と死が淡く溶け合う中に彼女たちは存在する。むしろ存在そのものが溶け出していると言った方が正確かもしれない。

 仏教の諦観は「断念」である。しがらむ念慮を断ち切る(=諦〈あきら〉める=あきらか、つまびらかに観る)ことが本義である。それが欲望という生死(しょうじ)の束縛から「離れる」ことにつながった。現在を十全に生きることは、過去を死なすことでもある。

 他者という言葉は多義的である。私は常識の立場に戻って、この多義性を尊重してゆきたいと思う。
 まず第一に、他者は、ほとんどの他者は、死者である。人類の悠久の歴史のなかで他者を思うとき、この事実は紛れもない。現世は、生者たちは、独力で存立しているのではない。無料無数の死者たちこそ、事物や行為を名づけ、意味分節体制をつくり出し、民族の歴史や民俗を基礎づけ、法律や宗教の起源を教えているのだ。否、教えているという表現は弱過ぎよう。最広義における世界存在の意味分節のすべてが、死者たちの力によって構造的に決定されているのである。言い換えれば、他界は現世の意味であり、死者たちは、生者たちという胎児を生かしめて(ママ)いる胎盤にほかならない。知覚や感覚あるいは実証主義的思考から解放されて、歴史眼をもって見ることが必要である。眼光紙背に徹するように、現世を現世たらしめている現世の背景が見えてくるだろう。
 死者が他者であることに異論の余地はない。それゆえ、他者は、現世の生者を歴史的存在として構造化する力をもつのである。
 第二に、他者は、自己ならざるもの一般として、この現世そのものを意味する。歴史的に意味分節化されたこの現世から言葉を収奪しつつ、また新たな意味分節世界を喚起し形成しつつ、生者各人はこの他者と交流する。この他者は、ひとつの意味分節として、言語のように、言語と似た様式で、差異化され構造化されている。この他者を、それゆえ、以後、言語的分節世界と呼ぶことにしたい。自己ならざるもの一般の世界が言語的分節世界としての他者であるならば、他者は、言葉の働き方に関するわれわれの理解を一歩進めてくれる。
 言うまでもなく、言葉は、各人の脳髄に内臓されているのではない。一瞬一瞬の言語行為は、発語の有無にかかわらず、言語的分節世界という他者から収奪された言葉を通じて遂行される。否、収奪そのものが言語行為なのだ。では、言語的分節世界という他者は、言語集蔵体(ママ)の如きものなのであろうか。もちろん、そうではない。言葉は、言語的分節世界という他者の存立を可能ならしめている死者たちから、彼岸から、言わば贈与されるのである。生者が収奪する言葉は、死者が贈与する言葉にほかならない。この収奪と贈与が成功したとき、言葉は、歴史的に構造化された言葉として力をもつのである。それゆえ、われわれの言葉は、意識的には、主体的に限定された他者の言葉なのであるが、無意識的には、歴史的に限定された死者の言葉なのである。死者の言葉は、悠久の歴史のなかで、死者たちの群れから生者たちへと、一気に、その示差的な全体的体系において、贈与され続ける。それゆえに、言語的分節世界としての他者は歴史的に構造化され続けるのである。

 言語集蔵体とは阿頼耶識(あらやしき/蔵識とも)をイメージした言葉だろう。茂木健一郎が似たことを書いている。

「悲しい」という言葉を使うとき、私たちは、自分が生まれる前の長い歴史の中で、この言葉を綿々と使ってきた日本語を喋る人たちの体験の集積を担っている。「悲しい」という言葉が担っている、思い出すことのできない記憶の中には、戦場での絶叫があったかもしれない、暗がりでのため息があったかもしれない、心の行き違いに対する嘆きがあったかもしれない、そのような、自分たちの祖先の膨大な歴史として仮想するしかない時間の流れが、「悲しい」という言葉一つに込められている。
「悲しい」という言葉一つを発する時、その瞬間に、そのような長い歴史が、私たちの口を通してこの世界に表出する。

【『脳と仮想』茂木健一郎(新潮社、2004年/新潮文庫、2007年)】

 ここにネオ=ロゴスが立ち上がる。

 言い換えるならば、言語的分節世界という他者から排除され、言葉を主体的に収奪限定する機会を失ってしまった独我者が、自力で創造せんとする新たなる言葉、ネオ=ロゴスこそ独語にほかならない。主体不在の閉鎖回路をめぐり続ける独語に、示差的機能を有する安定した体系を求めるのは不可能であろう。それにもかかわらず、他者から排除された独我者は、恐らくは人間の最奥の衝動のゆえに、ネオ=ロゴスを創出しようとする。もちろんここに意識的な意図やいわゆる無意識的な願望をみることなど論外だろう。もっと深い、狂気に陥った者の人間としての最も原初的かつ原始的な力動が想定されねばなるまい。



 ネオ=ロゴスは、死者を実体的に喚起し創造し“蘇生”させると、返す刀で狂的なる生者を“殺害”するのである。これが先に述べた、ネオ=ロゴスの死相の二重性にほかならない。ネオ=ロゴスは、全く新奇な“死者の言葉”あるいは“死の言葉”であると言っても過言ではない。

 スリリングな論考である。だが狂気に引き摺り込まれているような節(ふし)も窺える。はっきり言って渡辺も茂木も大袈裟だ。無視できないように思ってしまうのは、彼らの文体が心地よいためだ。人は文章を読むのではない。文体を感じるのだ。これが読書の本質である。

 言葉や思考は脳機能の一部にすぎない。すなわち氷山の一角である。渡辺の指摘は幼児の言葉にも当てはまる。そして茂木の言及は幼児の言葉に当てはまらない。

 生の営みを支えているのは思考ではなく感覚だ。我々は日常生活の大半において思考していない。

 どうすればできるかといえば、無意識に任せればできるのです。思考の無意識化をするのです。
 車でいえば、教習所にいたときには、クラッチを踏んでギアをローに入れて……、と、順番に逐次的に学びます。
 けれども、実際の運転はこれでは危ないのです。同時に様々なことをしなくてはなりません。あるとき、それができるようになりますが、それは無意識化されるからです。
 意識というのは気がつくことだと書きましたが、今気がついているところはひとつしかフォーカスを持てないのです。無意識にすれば、心臓と肺が勝手に同時に動きます。
 同時に二つのことをするのはすごく大変です。けれどもそれは、車の運転と同じで慣れです。何度もやっていると、いつの間にかその作業が無意識化されるようになってくるのです。
 無意識化された瞬間に、超並列に一気に変わります。

【『心の操縦術 真実のリーダーとマインドオペレーション』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(PHP研究所、2007年/PHP文庫、2009年)】

 結局、「生きる」とは「反応する」ことなのだ。思考は反応の一部にすぎない。そして実際は感情に左右されている。ヒューリスティクスが誤る原因はここにある。

自我と反応に関する覚え書き/『カミとヒトの解剖学』 養老孟司、『無責任の構造 モラル・ハザードへの知的戦略』 岡本浩一、他

 意外に思うかもしれないが、本を読んでいる時でさえ我々は無意識なのだ。意識が立ち上がってくるのは違和感を覚えたり、誤りを見つけた場合に限られる。スポーツを行っている時はほぼ完全に無意識だ。プロスポーツ選手がスランプに陥ると「考え始める」。

 渡辺と茂木の反応は私の反応とは異なる。だからこそ面白い。そして学ぶことが多い。

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圧縮新聞
物語る行為の意味/『物語の哲学』野家啓一
『カミの人類学 不思議の場所をめぐって』岩田慶治
ワクワク教/『未来は、えらべる!』バシャール、本田健

2012-03-02

ベネズエラ メディアが報じない社会改革



イスラエルの核開発



シリア アラブ連盟のアサド辞任要求の裏


 2012年1月24日。

「さあ、躍ろう!」


The Dancers


「踊(おど)っている」のではない。「躍(おど)っている」のだ。会話が盛り上がると二人の身体は同じ動き方をすることが科学的に判明している。また、テレビなどのスポーツ観戦では応援している選手と同じ筋肉が細かく反応する。真のコミュニケーションはダンス(≒同調)なのだ。天高く伸びた手が太陽を捕える。春三月。手足をぐんと伸ばして躍動する季節だ。

2012-03-01

クリシュナムルティと菜食主義







◎中国人が肉を食べ始めた






ヤコペッティの さらばアフリカ [DVD]


◎中東が砂漠になった理由/紀元前5世紀に肉食をやめたインド
◎仏教と菜食主義