・累進課税は正しいのだろうか?
・『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一
・『対論「所得税一律革命」 領収書も、税務署も、脱税もなくなる』加藤寛、渡部昇一
富裕層課税への政治的な支持が最も強くなるのは、それによって、国家による市民の【平等な】扱いが保証されるときである。市民の平等な扱いとは、ロナルド・ドゥウォーキンの表現を借りれば、市民全員を「同様の尊重と配慮をもって」扱うことを意味する。もちろん、人びとが平等に扱われるべきだという考えは、近代民主主義のひとつだ。そこで、この評価基準を用いることで、税の正当化に有効な公正論として重要なものの範囲を絞り込むことができる。人は生まれながらにして違っているとか、ある者は生まれながらにしてほかの者よりい価値が高いとかいった議論はありえない。あるいは、当然のことながら、純然たる自己利益に言及する議論もありえない。しかし、だからといって、人びとは「平等に」あるいは「同様の尊重と配慮をもって」扱われるべきだと述べるだけで、この基準を満たす明確な税政策を演繹的に特定することはできない。そして、まさにそこが、税の公正さをめぐる議論の要なのである。
【『金持ち課税 税の公正をめぐる経済史』ケネス・シーヴ、デイヴィッド・スタサヴェージ:立木勝〈たちき・まさる〉訳】
著者の結論は「戦時においてのみ金持ち課税が実現する」というもの。思弁に傾きすぎて、言葉をこねくり回している印象が強い。
本当に「累進課税は正しい」のだろうか? 税率が同じであっても富む者が多くを負担することに変わりはない。第二次世界大戦後、先進国では戦後補償のため富裕層への課税が行われ、徐々に最高税率は下がってきた。
減税メニューが88以上、これをやめることで財源29兆円出る。
— Liddell (@hoshinojikan) July 12, 2019
所得税の 累進課税
1974年の所得税最高税率、
8000万円超の所得に対して75%、19段階の刻み。今は7段階の刻みしかなく最高税率は
4000万円超に対して45%。
これを 上限の刻みを少し上げる。
消費税収の実に73%が法人税収の減少分に割り当て pic.twitter.com/1Q7fLZfuSO
1974年~1984年の所得税率が最も高く、8000万円超は75%で、住民税最高税率の18%と合わせると93%にもなった。確か80年代だと記憶しているが黒柳徹子などが高税率に反対していた。『窓ぎわのトットちゃん』の印税をごっそり持ってゆかれたのだろう。800万部も売れたのだから印税で8億円入ったとしても、8億円-8000万円=7億2000万円に対しては75+18%の税が課される。(PDF:個人所得課税の税率等の推移 イメージ図)
特殊な職業、例えばプロスポーツ選手が活躍できる期間は20~30代に限られる。選手生命が絶たれれば何の補償もない。彼らに累進課税を適用するのは気の毒であろう。
更に相続税の問題がある。親から子へと遺産を相続する際に課税することは正しいのだろうか? 財産権(憲法第29条)を犯しているのは明らかだろう。このため富裕層の相続税対策のツールとして株式会社や政治資金団体が利用される。世襲議員の目的は政治家になることではなく資産相続にあるのだ。
血税には「兵役の義務」という意味がある(血税とは - コトバンク)。国民全員が出征することが真の平等か。