2021-02-15

外国為替市場でテクニカル分析は絶滅した/『なぜ専門家の為替予想は外れるのか プロが教える外国為替市場の不都合な真実』富田公彦


『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー
『実践 生き残りのディーリング 変わりゆく市場に適応するための100のアプローチ』矢口新
『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー
『一目均衡表の研究』佐々木英信
『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ
・『規律とトレーダー 相場心理分析入門』マーク・ダグラス
『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス
・『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス
『ワイルダーのアダムセオリー 未来の値動きがわかる究極の再帰理論』J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア
『フルタイムトレーダー完全マニュアル』ジョン・F・カーター
『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 スーパートレーダーになるための自己改造計画』バン・K・タープ
『週末投資家のためのカバード・コール』KAPPA

 ・外国為替市場でテクニカル分析は絶滅した
 ・外国為替は資産ではない

『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

 プロの世界でも、生き残ったのはごく一部の方だけです。
【FXで安定的に儲け続けることは、九分九厘不可能です。】
 大勢のプロの方々が、最後には損をして静かに消えていくのを、わたしはこの目で31年間見続けてきました。生存率1パーセント未満という世界です。

【『なぜ専門家の為替予想は外れるのか プロが教える外国為替市場の不都合な真実』富田公彦〈とみた・きみひこ〉(ぱる出版、2015年)】

 富田公彦はJPモルガン・チェースのディーラーを務めた人物で、現在は中西健治参議院議員(自民党、神奈川選挙区)の政策秘書をしている。文章が平易で読みやすい。テレビCMで頻繁に見るようになったFX取引への警鐘を鳴らす内容となっている。

 外国為替市場というサーキットでは、プロのドライバーが猛烈なスピードでしのぎを削っています。プロは、高性能のF1マシンに乗り、強力なサポート・チームを引き連れて戦っています。それでも悪戦苦闘の連続で、安定的な収益を上げることができていません。
 そんな場所は、近所の販売店で買った量産車に乗ってサポートもなしに参戦してきた人がいます。個人投資家のみなさんです。

 けんもほろろの言い草で、amazonレビューの低い評価はさしずめFX個人投資家によるものだと思われる。富田に言わせれば「一昨日来やがれ」ということなのだろう。一番驚かされたのは以下の記述である。

 最大の懸念材料は、ほぼすべての方がテクニカル分析とかチャート分析(以下、テクニカル分析)と呼ばれる手法をとっていることです。
 これは正直言って驚きました。なぜなら、実は、この【テクニカル分析という投資法・分析手法は、外国為替市場のプロの世界ではずい分前に絶滅してしまったもの】だからです。
 おそらく今世紀のはじめには、世界中の主要な金融機関や運用会社からは消えていたはずです。成功された個人投資家のみなさんは、この事実をご存じなかったのだと思います。

 吃驚仰天である。随分前に読んだのでうろ覚えだが、結局は「ただ、値動きについてゆくだけ」みたいなことが書かれていたはずだ。通常、投資手法はテクニカル分析とファンダメンタルズ分析に大別できる。ファンダメンタルズとは経済の基礎的条件である。再度確認しよう。

 まず、誤解のないように申し上げておきます。テクニカル分析が絶滅したのは、あくまで外国為替市場です。
 さらに言うならば、「【外国為替市場の人間が、株式市場から勝手に持ち出してきて、使ってみたら大失敗だった】」という話です。わたしもその一人です。若い頃に異常なまでに没頭し、みずからの手で「役に立たない」ということを証明するハメになってしまいました。

 富田が外国為替のプロであることに疑問の余地はないが、説明能力が劣っているのもまた確かである。テクニカル分析以前にはチャートがなかったのだろうか? チャート研究はテクニカル分析そのものである。また、「ただ、ついてゆくだけ」ということはレートパネルの動きだけを見ていると思われるが、もしもそれで勝てるなら短期間で億万長者になっているはずだ。富田がやや狡(ずる)いのは自分の成績を明かしていない点にも現れている。

 実際、世界の富豪は殆どが株式による含み益や配当で富を増やしており、為替長者という存在は聞いたことがない。なぜなら外国為替は資産ではないからだ。

2021-02-14

精神障碍者を町に解き放つ/『ベリー オーディナリー ピープル とても普通の人たち 北海道 浦川べてるの家から』四宮鉄男


『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫
『悩む力 べてるの家の人びと』斉藤道雄
『治りませんように べてるの家のいま』斉藤道雄

 ・精神障碍者を町に解き放つ

『べてるの家の「当事者研究」』浦河べてるの家
『石原吉郎詩文集』石原吉郎

虐待と知的障害&発達障害に関する書籍

 べてるのメンバーはどんどん町へ出ていく。病気が治ってからとか、症状がよくなってから、というのではない。症状が良くても悪くても、よほど状態が悪かったり急性期の錯乱状態でもなければ、本人に外に出ていきたいという意志や意欲があれば、積極的に後押しして町へ出ていけるようにしている。(中略)
 患者さんが町に出ていくと問題が起きやしないかと心配する人がいる。しかしべてるでは、誰もそんな心配はしない。むしろ問題が起こることを歓迎する。問題が起こった方が、問題の在りかが明らかになり、それが問題解決の手がかりになる。そもそも、べてるには、問題は必ず解決しなければいけないという発想がない。すぐに解決するような問題は放って置いてもたいしたこがないし、逆に、本質的な大問題は少々の努力をしてみても、すぐにどうこうなるものではないからだ。

【『ベリー オーディナリー ピープル とても普通の人たち 北海道 浦川べてるの家から』四宮鉄男〈しのみや・てつお〉(北海道新聞社、2002年)】

 四宮鉄男はドキュメンタリー映画監督で、長期間に渡ってべてるの家を撮り続けてきた。斉藤道雄著『悩む力 べてるの家の人びと』と同年に刊行されており、べてるが広く社会に知られるきっかけとなったことだろう。驚くほど文章が巧みで著作が一冊しかないのはもったいない限りである。必読書に入れてもよかったのだが既にべてる本は3冊あるため教科書本とした。

『ベリー オーディナリー ピープル』は全8巻、続いて『シリーズ・精神分裂病を生きる』は全10巻のビデオ作品となっている。たった今知ったのだが林竹二〈はやし・たけじ〉の映像作品も撮っていた。こりゃ本物ですな。現在入手可能な作品は限られているが、図書館を探せばビデオ作品は見ることができるかもしれない。尚、一連の映像はコピー可で営利を目的としていない。

 精神障碍者といえばどうしてもレッサーパンダ帽男殺人事件(2001年)を思い出してしまう。

『自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』佐藤幹夫

 あの頃は幼児を高層マンションから投げ落とす事件が何度も起こった(児童投げ落とし事件の考察 異常犯罪行動学の試み:佐藤弘弥)。後日報道が途絶えた。いずれも知的障碍者や精神障碍者の犯行だった。本書でも池田小事件(2001年)が起こった際のべてるメンバーの反応が紹介されている。犯人は統合失調症であった。

 こうした事件があると「精神障碍者は危ない」となりがちだが、そこには認知バイアスが働いている。殆どの障碍者は罪を犯していない。健常者だって人を殺す。正確な犯罪率を出すことにも意味はないだろう。例えば都道府県の窃盗犯罪率を調べて、最も多い県名を挙げて「泥棒県」と評価するような行為に堕してしまう。こうしたデータは原因を究明するところに意味があり、長期的な視点に立たないと単純な現状批判の刃(やいば)になりかねない。

「開かれた社会」という言葉がある。べてるが行ったのは「社会を開かせる」一種の蛮行であった。横紙破りといっていい。地域に迷惑をかけ、110番通報されることも多かった。しかし数年を経て地域に溶け込み、更にはなくてはならない存在にまでなるのである。べてるの家は地域密着サービス事業を行い、勇名を馳せてからは観光資源にまでなる。ともすれば障碍者の自由は地域住民の不自由につながりなけないが、不自由と自由が入り乱れて予測し得ない化学反応を起こした。

 私が知る限り、べてるの家は最高に理想的なコミュニティである。ダイアローグ(対話)の意味はべてるを知らずして理解できまい。向谷地生良〈むかいやち・いくよし〉(ソーシャルワーカー)と川村敏明医師の功績は年々輝きを増している。





2021-02-11

金森式紅茶ゼリー


 ・金森式紅茶ゼリー

レシピ

【材料】
・午後の紅茶 おいしい無糖 1本(500cc)
・ゼラチン 10グラム(大さじ1)
・生クリーム 適量

【作り方】
① 鍋に午後の紅茶おいしい無糖を入れ、ゆっくり弱火であっためる。沸騰する直前で火を止める
② 耐熱容器に移し、ゼラチンを投入。かき混ぜる。じゅうぶんかき混ぜたら、粗熱をとる
③ 冷蔵庫に入れ、1時間ほど冷やせば完成。生クリームをかけ、食べる

紅茶ゼリーで空腹感とさよなら。「#金森式」で17㎏痩せたダイエット奮闘記 | 日刊SPA!

Q、ゼラチンを入れたのに固まる気配がありません。失敗ですか?[よくある質問]



 定価2646円のゼラチンがamazonだと853円(パントリー商品)。

トレーディングにおける七つの大罪/『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ


『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー
『実践 生き残りのディーリング 変わりゆく市場に適応するための100のアプローチ』矢口新
『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー
『一目均衡表の研究』佐々木英信

 ・トレーディングにおける七つの大罪

『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ
・『規律とトレーダー 相場心理分析入門』マーク・ダグラス
『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス
『ワイルダーのアダムセオリー 未来の値動きがわかる究極の再帰理論』J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア
『フルタイムトレーダー完全マニュアル』ジョン・F・カーター
『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 スーパートレーダーになるための自己改造計画』バン・K・タープ
『週末投資家のためのカバード・コール』KAPPA
『なぜ専門家の為替予想は外れるのか』富田公彦
『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

第5章
 トレーディングにおける7つの大罪
 いかに戦い、打ち勝つか

 第1の大罪――すぐに損切りできないこと
 第2の大罪――利益を勘定すること
 第3の大罪――時間軸を変更すること
 第4の大罪――より多くを知ろうとすること
 第5の大罪――過度に自己満足に陥ること
 第6の大罪――間違った勝ち方をすること
 第7の大罪――正当化

【『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ:林康史〈はやし・やすし〉監訳、藤野隆太〈ふじの・りゅうた〉訳(日経BP、2002年)以下同】

 何となく男女関係を思わせる価値観である。第3の大罪は結婚を先延ばしにする無責任な男か(笑)。トレードとは交換の意である。その意味ではあらゆる経済行為がトレードといってよい。日常生活では「買う」と表現するが、トレード意識を持つことが重要だ。給与も同様である。一度時給換算をしてみるといい。

 個人的には第6と7の大罪が身につまされる。トレードは裁量であろうとシステムであろうと手法である。ゆえに勝ち方・負け方が問われる。結果オーライという考え方もあろうが、飽くまでも長期的視点に立つのが正しい。誤った勝ち方をすると取り返しのつかない癖がついてしまう。更にその結果を正当化すると「誤った成功体験」として記憶される。「あの時上手くいったから今度も大丈夫だ」という保証はない。マーケットは生き物なのだ。

 我々のアプローチはテクニカル手法である。マーケット心理の変化を反映し、信頼できるさまざまなチャートに基づく。チャートには、買い手と売り手の力関係が変化した瞬間を特定できるパターンがある。
 チャートはマネーの動きの足跡とでもいうべきものである。チャートは嘘をつかない。トレーダーにとってマーケットは患者なのであり、チャートは患者の内部を映し出すレントゲン写真なのである。

 アメリカの現役プロトレーダーの間では既にテクニカル手法は絶滅したと伝えられるが、チャートを丸っきり見ない人はいないだろう。それがどのような足であろうと建玉をする際はチャートを確認するはずだ。

 投資はゴルフ以上にメンタルの作用が大きい世界である。手法よりもメンタルが問われると言ってよい。

 私は横書きというだけで本を放り投げてしまうことが多いのだが、本書は最後まで読ませられた。