2012-02-05

強姦から生まれた子供たち/『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』写真、インタビュー=ジョナサン・トーゴヴニク


『ホテル・ルワンダ』監督:テリー・ジョージ
『生かされて。』イマキュレー・イリバギザ、スティーヴ・アーウィン
『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ
『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか PKO司令官の手記』ロメオ・ダレール

 ・強姦から生まれた子供たち

『戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった』イシメール・ベア
『それでも生きる子供たちへ』監督:メディ・カレフ、エミール・クストリッツァ、スパイク・リー、カティア・ルンド、ジョーダン・スコット&リドリー・スコット、ステファノ・ヴィネルッソ、ジョン・ウー
『メンデ 奴隷にされた少女』メンデ・ナーゼル、ダミアン・ルイス

 ちょっと油断をしていたら、もう品切れになってしまった。2010年刊だぞ。そりゃ、ねーだろーよ、赤々舎(あかあかしゃ)さんよ。版元になければ、是非とも図書館から借りて読んでもらいたい。特に女の子を持つお母さんは必読のこと。(※その後、増刷された)

 ルワンダ大虐殺は私の人生を変えた。

 当時は3ヶ月で100万人が殺害されたと報じられたが、現在は80万人という記述が多い。本書は母と子の写真集である。しかしながら普通の親子ではない。強姦された女性と強姦から生まれた子供だ。

 ジョナサン・トーゴヴニクは声を掛けずにはいられなかったのだろう。静かにインタビューをすることで、彼女たちの苦悶(くもん)の声を拾い上げた。神に見捨てられた女性の叫びは、いかなる神の声よりも重い。決して解決し得ない不幸がルワンダのあちこちでとぐろを巻いている。トーゴヴニクは性的暴力から生まれた子供たちの中等教育を支援するために「ルワンダ財団」を立ち上げた。

 私は奥歯を噛み締めることさえできなかった。ただ、わなわなと震えながら、血管という血管を駆け巡る怒りに翻弄された。もし許されるのであれば、どんな残虐なことでもやってのける自信はある。

 ルワンダで殺人や性的暴力や傷害を犯したフツの民兵の多くは、コンゴ民主共和国や近隣諸国へ逃げた。彼らはいまもなお現地で大規模な暴力行為を繰り広げ、多くの少女や女性たちを暴行しているのである。驚くべきことに、世界はこの地域に対して何も新たな行動を起こそうとしていない。

【『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』写真、インタビュー=ジョナサン・トーゴヴニク:竹内万里子訳(赤々舎、2010年)以下同】

 元々ルワンダの宗主国はベルギーであった。その後、フランスとイギリスが首を突っ込む。アフリカ諸国の殆どは英語圏とフランス語圏が入り乱れている。欧米諸国の複雑に絡んだ利権が暴力の温床となっている。兵器売買の流れを詳細に検討しなければ、アフリカの現状を知ることはできまい。

 ルワンダの国立人口局は、強制的な妊娠によって生まれた子供の数を、2000人から5000人と推定している。しかし被害者団体の情報によれば、その数は実際1万人からおよそ2万5000人に及ぶという。ルワンダはきわめて父権制的な社会であるため、子供は父親の一族と見なされる。つまり、内戦時の性的暴力によって生まれた子供は、その地域に暮らす大半の人々にとっては敵側の存在として受け止められるのである。彼らはしばしば「悪しき記憶の子供」とか「憎しみの子供」と呼ばれ、母親や地域の人々から「小さな殺人者」と言われることもある。それゆえ、母親が性的暴力の事実を明らかにした途端、家族から拒絶され、地域社会から何の支援も得られなくなってしまう。そこには、ジェノサイドが人々の心に残した深い傷がある。大多数の女性は当時まだ少女だったので、公的にも私的にも性的暴力の事実を認めてしまえば、結婚という将来の希望は打ち砕かれてしまう。(マリー・コンソレ・ムカゲンド)

 被害女性が今度は身内からの暴力にされされるのだ。ここに政治の本質が浮かび上がってくる。我々は常に「敵か味方か」を問わずにはいられない。敵の子を生んだ者は敵だ。たとえそれが強姦であったとしても。利益共同体は残酷さを発揮する。

 ユニセフによれば、ジェノサイドの際に性的暴力を受けた女性の70パーセントはHIVに感染している。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ルワンダで性的暴力によって生まれた子供たちの大半は、15歳になるまでに母親をHIV/エイズで失うことになるだろうと予測している。エイズは、女性たちの最大の死因のひとつであり続けている。(マリー・コンソレ・ムカゲンド)

 強姦された挙げ句に子供を生まされ、身内からは見放され、そしてHIVに感染する。この世界に神様なんていないことが証明されたといえよう。いるんだったら連れて来い。俺がぶん殴ってやるから。

 私は正直でなければいけません。私は、この子を決して愛してはいません。この子の父親が私にした行為を思い出すたびに、それに対する唯一の復讐は、その息子を殺すことだと感じてきました。でも、私は決してそれを実行に移しませんでした。この子を好きになろうと努力してきましたが、それでもまた好きになれずにいます。(ジョゼット)

 子供に罪はない。だがその子は罪から生まれた。これほどの矛盾があるだろうか? 愛せない子供を育てる彼女たちを思えば、イエスが背負った十字架なんぞ軽いものだ。

 ページを繰るためには勇気を必要とする。そんな本だ。

Joseline with daughter Leah

 ルワンダでジェノサイドが起こり、誰も経験したことのないような苦悩を私たちが経験したということを、あなたに世界へ伝えてほしいのです。ジェノサイドが残したものだけでも、それと共に生きてゆくのは非常に大変なことです。国際社会は私たちを助けなかったのですから、それを償うべきです。いまジェノサイドの後を生きている私たちを、助けにやって来るべきです。(ステラ)

 これは、あなたや私に突きつけられた言葉だ。我々は同じ世界にいながら、彼女たちを無視してきたのだから。

 私はいつも勝気だったので、その男は他の民兵たちに、私の身長を低くするように命じました。そこで民兵たちは私の脚を棍棒で殴りました。脚を切り落とすのではなく、粉々になるまで打ち砕いたのです。(バーナデット)

hm
(※本書とは別の写真でウガンダの女性、Heather McClintock撮影

 せめて男たちを同じ目に遭わせるべきだ。それをしておかなければモラルが成立しない。彼らには凌遅刑(りょうちけい)か石打ち刑が相応(ふさわ)しい。

 息子の未来について考えるたびに、私は何の確信ももてなくなります。それが一番の問題です。私がペンを買ってやれないので、一学期じゅう家にいることもあります。私をひどく苦しめるものがあるとすれば、それは息子の明日です。(バーナデット)

 嗚呼――言葉が出てこない。底知れぬ闇の如き沈黙に沈むのみ。

 いまでも、人々がセックスを楽しむと聞いても、セックスを楽しむということがどういう意味なのかわからないのです。私にとってセックスは拷問であり、苦しみと結びついています。(バレリー)

 暴力はここまで人間を破壊し得るのだ。

 私は家族というものに興味はありません。愛というものにも興味はありません。私の身に訪れるのは不意打ちであり、あらかじめ計画されたものではないのです。私には自分の将来が見えません。私はときどき、家族をもつ人たちと自分を比べます。そしてジェノサイドで死ななかったことを後悔します。ジェノサイドはなぜ私の命を奪わなかったのだろうかと。(イザベル)

 生きること自体が彼女にとっては業苦であった。ジェノサイドで死ななかったことを後悔します、ジェノサイドで死ななかったことを後悔します、ジェノサイドで死ななかったことを後悔します……。

 彼は大勢の男たちを連れて来て、私が脚を閉じることができなくなるまで次々と暴行させました。(ウィニー)

 その場を想像してみよ。

 私は、自分の子供たち全員が見ているところで暴行されました。最初の5人までは覚えています。その後、私はわけがわからなくなりました。私が意識を失った後もなお、彼らは私を暴行し続けました。正直に言えば、あのとき、あの教会にいた女性は、全員暴行されました。(オリビア)

 更に想像を巡らせよ。

Intended Consequences: Rwandan Children Born of Rape @ Aperture Gallery

 結局、私の心が、長男を連れて行けと命じたので、その子を抱えて教会のドアへ向かって走りました。たくさんの人たちが走っていたので、私は転んでしまいました。息子をかばおうと、その子に覆いかぶさりました。人々は次々と倒れ、4段ほどに重なりました。民兵たちはその一番上から人々を切り刻んでゆきました。1段目、2段目、そして3段目となりました。自分は次だ、とわかりました。
 民兵たちが人々を殺していくにつれて、血が滴り落ちてきました。正直に告白しますが、私の口に血が落ちてきたとき、とても喉が渇いていたので、私はそれを飲みました。塩と血の混じったような味でした。そしてついに私の段に到達すると、民兵たちは言いました。「こいつはすでに死んでいると思う」。(オリビア)

 小説家が想像力を駆使しても、これほどの地獄は描けないことだろう。多くの死が彼女を救った。

 ジェノサイドが始まったとき、私は婚約していました。私の婚約者は、最初の3日間で殺された大勢のうちのひとりでした。私は、鉈(なた)で殺された彼の死体を見ました。その後、私は愛していないたくさんの男たちに暴行されました。その結果が、この子供たちです。私はもう二度と恋に落ちません。決してセックスを楽しみません。自分が母親であることや、子供をもつことに喜びを覚えることも決してありません。私はただ、それを引き受けたのです。(ブリジット)

 最後の一言があまりにも重い。苦しみ悶える彼女たちに「新しい物語」を吹き込む宗教は存在するのだろうか? それとも物語性から離れるべきなのだろうか? 人生に意味を求める思考回路が不幸を拭えぬものとしている。

 それは理解を超えているのです。動物でさえ、あの民兵たちのように振る舞うことはできないでしょう。(アネット)

 鬼畜と化した男どもは間違いなく動物以下の生き物であった。彼らが生きることを赦(ゆる)してはなるまい。

 娘は生き延びました。後になって、この子が私を暴行した民兵の子供であることを知ると、夫は娘の世話は決してできないと言いました。そして私たちがよい関係であり続けるために、この子を殺そうと言い出しました。私にはとても受け入れられませんでした。あるとき、彼は地面に赤ん坊が横たわっているのを見つけて、その上に自転車で乗りました。幸い、この子は生き延びました。またあるときには、夜酔っ払って帰って来た夫が、赤ん坊を壁に叩きつけました。娘の鼻から血がにじみ出ました。そのとき、私は娘の命を救うためにあと一歩で家出をするところでした。(ベアタ)

 二重三重の悲劇。被害者は何度も犠牲を強いられる。その運命に抗しようとすれば、プーラン・デヴィになるしかない。

両親の目の前で強姦される少女/『女盗賊プーラン』プーラン・デヴィ

 男たちは10人以上いて、私を暴行しました。ひとりがやって来て、その男が去るとまた別の男がやって来て、そして去っていきました。いったい何人だったのか、数えられません。ある男に暴行された後、私は喉が渇いているので水をもらえないかと頼みました。男はうなずき、一杯のグラスを持って来ました。口にすると、それが血だと気づきました。その男は言いました。「おまえの兄弟の血を飲んで、行け」。それが最後でした。(マリー)

 以下のブログでは「弟の血」となっている。

KazaLogue "写真のかざろぐ"

Rwanda, photographer unknown
(※本書とは別の写真)

 中にはこのような女性も存在した。

 そして自分にこう言い聞かせたのです。「この子を殺せない。愛そう」(イベット)

 生きることとは愛することであった。

 私たちを無視した世界には、あの悪事を働いた者たちを法の下で裁くのを助けてほしいと思います。(キャサリン)

 真っ当な要求だ。しかし世界はいまだに代価を支払おうとしていない。相変わらず無視したままだ。

 出産から2年間、私には自分と子供を養うすべがありませんでした。そこで売春をしたのですが、ひどいことにまた妊娠して子供を産みました。今度は性的暴力の結果ではなく、子供を育てるために行なった売春の結果として。(キャサリン)

 売春をしなければ生きてゆけない世界。これが我々の生きる世界なのだ。怒り、ではなく狂気が私の内側で吹き荒れる。

「ここでこいつを殺すな。俺が必ず苦痛で死なせてみせる」。男はコップを持って来て、そこに放尿すると、私に飲ませました。翌日食べるものを持って来ましたが、そこには石と尿が混ぜられていました。そういうことを、男は何日間にもわたって続けました。「おまえは俺のトイレだ」と言い、放尿したいときはには私の脚を開いて、私の性器にしました。コンゴの難民キャンプへ行ってからも、男は私を離さず、したいときにはいつでも拷問や暴行を繰り返したのです。(アリン)

 願わくは私に男を処刑する権限を与えて欲しい。

Isabelle with son, Jean-Paul

 私はHIVと、この息子を負っています。しかし正直に言うなら、HIVは息子の人生ほど私を悩ませはしません。息子は私の人生そのものですから。あるとき、私は医療カードを受け取りに政府のジェノサイド生存者基金へ行きました。そこで息子の分のカードも尋ねると、私はこう言われてほとんど殺されかけました。「民兵の息子が政府のお金をもらうだなんて、いったいどうやったらそんなことが言えるんだ?」しかし私にとっては、息子は他の子供と同じ子供なのです――この子はどこに属しているのでしょうか?(エスペランス)

 家族の次は政府からも見放される。「死ね」と言われたに等しい。

 ジェノサイドについて語ろうとしても、十分な言葉が見つからないのです。(ウェラ)

 正真正銘の不幸は言葉にできない。それは「表現されること」を望まない。説明不可能な「状態」なのだ。

 司祭が私に、司祭長の家に隠れるようにと言いました。私がそうすると、司祭は自分の友人を呼び、「ツチの少女を楽しむ」機会だと言いました。こうして彼らは私を暴行しました。2人は司祭長の家で、それぞれ3回私を暴行しました。(クレア)

 聖職者という名のクズどもだ。キリスト教は人間を抑圧するゆえ、タガが外れると欲望まみれとなる。世界史の中で最も残虐ぶりを発揮してきたのがクリスチャンであることは間違いない。それは今も進行中だ。

 今日、私は大きな問題を抱えています。私は母親ですが、母親でありたくないのです。私はこの子を愛していません。この子を見るたびに、暴行の記憶がよみがえります。この子を見るたびに、あの男たちが私の両脚を広げるイメージが浮かびます。娘が無実だということはわかっていますし、娘を愛そうとしました。でも、できませんでした。普通の母親が子供を愛するようには、私には娘を愛せないのです。(中略)ときどき、自分はなぜ中絶しなかったのだろうかと後悔します。(フィロメナ)

 暴力から生まれた子供たちは愛されることなく育てられ、再び暴力の渦へと引き寄せられるのだろうか?

 最初の6年間、私は男性に近づくことすら耐えられませんでした。人々に通りすがりに、「ほら、あの娘をごらん。暴行されたんだよ」などと言われると、私の心はずたずたに傷つけられます。自分に何の価値もないような気持ちになります。だからそのことは考えないようにしてきました。人々は私たちを、民兵の性欲の食べ残しなのだと言います。そのことを考えるたびに、私は自己嫌悪に陥ります。それについては話したくありません。(デルフィン)

 噂話というセカンドレイプ。結局、フツ族もツチ族も一緒なのだろう。人間ってのは、下劣な生き物なのだ。さっさと滅んでしまった方がいいのかもしれない。

「マミー、どの子にもお父さんがいるよ。なぜ私にはお父さんがいないの?」(シャンタルの娘ルーシー)

jt

 読んでいて途中で気づかされるのだが、子供たちの瞳に撮影者のジョナサン・トーゴヴニクが映っている。だが実は彼ではない。それは「私」なのだ。通り一遍の同情を寄せるだけで、実際は何もしない私の姿が立ち現れる。彼らの目に映る世界を構成しているのは私である。その事実に打ちひしがれる。だが、絶対に暴行した男たちを私が許すことはない。

 私は君たちと共に生きよう。





「写真の学校」第二回 写真から人を考える~『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』/竹内万里子&カンベンガ・マリールイズ
ジョナサン・トーゴヴニク公式サイト(英語)
リレーエッセイ『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』に寄せて
紛争が生んだ母子の肖像 写真展「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」
ジョナサン・トーゴヴニク写真展「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」
ルワンダの子供たち 1994年
ルワンダ大虐殺の爪痕
レイプという戦争兵器「絶対に許すな」ムクウェジ医師、DRコンゴ
1日に1100人以上の女性がレイプされる国 コンゴ
少女監禁事件に思う/『父、坂井三郎 「大空のサムライ」が娘に遺した生き方』坂井スマート道子

2012-02-04

リッキー・リー・ジョーンズ


 リッキー・リー・ジョーンズのセカンド・アルバム『パイレーツ』が出たのは1981年のこと。何と30年も経っている。自由奔放に乱反射する言葉が私の耳をつかまえて放さなかった。この2曲は一際思い入れが深い。18歳の夜がどっと押し寄せてくる。レコードを聴くことが、まだ厳(おごそ)かな時代であった。そして30年前はあまり好きではなかったトム・ウェイツを今頃聴いている有り様だ。二人は恋人であった。









Pirates

2012-02-03

リチャード・ドーキンスが語る「奇妙な」宇宙


 生物学者のリチャード・ドーキンスが、人間の視点から宇宙を理解することが どれほど難しいか考えながら「ありえないことを想像する」ことについて論じます。2005年7月 TEDGlobal 2005。







利己的な遺伝子 〈増補新装版〉神は妄想である―宗教との決別虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか進化の存在証明

神経質なキリスト教批判/『神は妄想である 宗教との決別』リチャード・ドーキンス

見つめているのか、見つめられているのか?

Point Of View

 視線という視線にさらされている。見つめているのか、それとも見つめられているのか? 眼は点と線を併せ持つ。

2012-02-02

ガザ支援船攻撃 仏シオニスト弁護士「犠牲者に同情は不可能」

2010年6月1日。記者ロベール・メナールとフランス・イスラエル協会代表ジル=ウイリアム・ゴルナデル。





◎ガザ支援船

マフムード・アフマディーネジャード、イラン大統領 第65回国連総会演説


 2010年9月23日。





ガザ支援船攻撃 仏新聞は犯罪国家イスラエルの共犯





◎ガザ支援船

精神年齢が低い人の特徴

精神年齢が低い人の特徴は、自分の感情をコントロールできてないこと。さらにいえば、コントロールできるなんてことを知らないし、たとえ知っていてもコントロールしようとしない人。彼らは「自分が抱く感情は正しい」と信じている。
Sep 03 09 via Tween Favorite Retweet Reply

ポール・ホフマン

1冊読了。

 7冊目『放浪の天才数学者エルデシュ』ポール・ホフマン:平石律子訳(草思社、2000年/草思社文庫、2011年)/ついこの間、マーシャ・ガッセンを堪能したばかりだ。にもかかわらず、ポール・ホフマンはあっさりとマーシャ・ガッセンを退けた。いやはや、こんなことがあっていいものだろうか? ポール・エルデシュは「歩くエピソード」であった。彼の口は毒気の強い警句を発した。数学と恋に陥り、死ぬまで添い遂げた。人生のほぼ全てを数学に捧げた。そのためエルデシュは一人だとバスに乗ることもできなかった。彼は靴紐さえ結べなかったという。エルデシュは485人もの共著者と1000本以上に渡る論文を発表した。天使のように汚(けが)れがなく、僧侶のようにストイックであった。道を極める人物は型破りであることを避けられない。サイモン・シン著『フェルマーの最終定理 ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』を読んだ人は必読のこと。

2012-02-01

地に臥して乞う者


Capitalism


「資本主義」と題された写真。地に臥(ふ)して乞う者と道行く者あり。彼を跪(ひざまず)かせる力は何か? そこに資本主義の残酷なメカニズムがある。我々が商品を選ぶのと同じように企業は人を選ぶ。ある者には惜しみなく報奨金を与え、ある者は切って捨てられる。カタカナでセーフティネットといわれるようになった頃から社会保障はズタズタになった。彼を立ち上がらせることのできる力は「怒り」しかないだろう。男はその時暴徒と化す。

◎乞い人
◎せめて「小銭か微笑みを」

2012-01-30

独立記者ミシェル・コロン パリでの講演禁止 表現の自由はどこへ?

シリア現地報告 ティエリ・メサン 2011年11月21日



戦争状態 世界はどこへ向かうか

ドキュメンタリー、2005年フランス。













セリーヌ、新堂冬樹、高江洲薫、ニック・ベギーチ博士、上杉隆、甲野善紀、荻野アンナ

5冊挫折、1冊読了。風邪のため調子悪し。

夜の果てへの旅(上)』セリーヌ:生田耕作〈いくた・こうさく〉訳(中公文庫、1978年)/「僕」という訳語に違和感あり。

カリスマ(上)』新堂冬樹〈しんどう・ふゆき〉(徳間文庫、2004年/幻冬舎文庫、2009年)/「して」の連続にうんざり。

過去世リーディング』高江洲薫〈たかえす・かおる〉(VOICE、2007年)/批判をする目的で読んだのだが、それほどの価値もないことに気づいた。

電子洗脳 あなたの脳も攻撃されている』ニック・ベギーチ博士:内田智穂子〈うちだ・ちほこ〉訳/「電磁振動」「物質の振動周波数」「特有の振動率」「周波数コード」の根拠が示されていない。著者名に敬称を付す本はハズレが多い。

一億総洗脳化の真実 国家の恥』上杉隆(ビジネス社、2011年)/ダイヤモンド・オンラインの記事を集成したもの。散慢な印象を拭えない。ジャーナリストとして最後の仕事であれば、もっと本腰を入れて増補・書き下ろしにすべきであろう。余白が極端に少ないのも気になる。原発事故の経緯を復習するためには必読テキストといってよい。

 6冊目『古武術で毎日がラクラク! 疲れない、ケガしない「体の使い方」』甲野善紀〈こうの・よしのり〉指導、荻野アンナ文(祥伝社、2006年)/荻野アンナのノリは好き嫌いが分かれるところだろうが、実用性において勝利を収めている。「満員電車のすり抜け術」なんかは、知ると知らないとでは大違いだろう。とはいうものの1200円は高い。文庫で半額にすべきだ。

2012-01-29

レオンハルト・オイラーの偉業


 スイスに生まれたオイラーは、ベルリンとサンクトペテルブルグで研究を行い、数学、物理学、工学のあらゆる領域に絶大な影響を及ぼした。オイラーの仕事は、内容の重要性もさることながら、分量もまた途方もなく多い。今日なお未完の『オイラー全集』は、1巻が600ページからなり、これまでに73巻が刊行されている。サンクトペテルブルグに戻ってから76歳で世を去るまでの17年間は、彼にとっては文字通り嵐のような年月だった。しかし、私的な悲劇に幾度となく見舞われながらも、彼の仕事の半分はこの時期に行われている。そのなかには、月の運動に関する775ページに及ぶ論考や、多大な影響力をもつことになる代数の教科書、3巻からなる積分論などがある。かれはこれらの仕事を、週に1篇のペースで数学の論文をサンクトペテルブルグのアカデミー紀要に投稿するかたわらやり遂げたのだ。しかし何より驚かされるのは、彼がこの時期、一行も本を読まず、一行も文章を書かなかったことだろう。1766年、サンクトペテルブルグに戻ってまもなく視力を半ば失ったオイラーは、1771年、白内障の手術に失敗してからはまったく目が見えなかったのだ。何千ページに及ぶ定理は、すべて記憶の中から引き出されて口述されたものなのである。

【『新ネットワーク思考 世界のしくみを読み解く』アルバート=ラズロ・バラバシ:青木薫訳(NHK出版、2002年)】

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く



 エルデシュよりも多くの論文を著したのは史上ただひとり、18世紀スイスの万能の数学者、レオンハルト・オイラーだけである。オイラーは子供を13人作り、80巻に及ぶ数学論文を書いた。この多くが、夕食の用意ができたという最初の呼び声から次の催促の声がかかるまでの30分のあいだに書かれたという。

【『放浪の天才数学者エルデシュ』ポール・ホフマン:平石律子訳(草思社、2000年/草思社文庫、2011年)】

文庫 放浪の天才数学者エルデシュ (草思社文庫)

Wikipedia
天才計算術師オイラー
盲目の数学者オイラー
レオンハルト・オイラー生誕300年記念 数独チャレンジ 2007

Leonhard Euler

オイラーは何の苦労もなく計算をし、やすやすと偉大な論文を書いた/『数学をつくった人びと I』E・T・ベル

2012-01-25

安部公房


 昨日、1冊読了。

 5冊目『内なる辺境』安部公房〈あべ・こうぼう〉(中央公論社、1971年/中公文庫、1975年)/極太の文体である。活字が立ち上がってくるような印象を受けた。熊田一雄〈くまた・かずお〉氏のブログで見つけた文章を探すためだけに読んだ。「本物の異端は、たぶん、道化の衣装でやってくる」(「ミリタリィ・ルック」)。軍服の流行を苦々しい眼差しで捉えた論考だ。1971年といえば学生運動が頂点を過ぎた頃で、沖縄返還の前年となる。「内なる辺境」ではユダヤ人問題を取り上げているが、時代の影響を受けながらもギリギリのところで踏ん張っている。この辺りのセンスが凄い。100ページで500円。ポケットに強靭な知性が収まるなら安いもんだ。

巨大な太陽フレア

The Solar Dynamics Observatory Goes Live

Solar Dynamics Observatory


 ちなみに太陽の直径は地球の約110倍である。

◎2005年以降で最大の太陽放射、極地域に影響も
◎太陽でもスーパーフレアが起きる可能性がある

2012-01-24

どうしても原発を動かしたい人たちが、電力不足をあおりたてる数字をこれからも出してくるだろう

東京新聞:筆洗「どうしても原発を動かしたい人たちが、電力不足をあおりたてる数字をこれからも出してくるだろう。そこに潜むうそを見破っていきたい」。東京の原発追跡は賞賛もの。ついでにぜひ「TPPに潜むうそを見破っていきたい」をお願いします
Jan 24 via web Favorite Retweet Reply

2012-01-23

Cildo Meireles作「Fontes」は日蓮へのオマージュか?

fontes

Cildo Meireles - Fontes



Fontes

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Cildo Meireles Fontes

Cildo Meireles Fontes

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Cildo Meireles Fontes

Cildo Meireles @ MUAC

Cildo Meireles Fontes

Fontes


 ブラジルのアーティストCildo Meireles作「Fontes」。名前はスィウド・メイレリスと読むようだ。私は衝撃を受けた。どう見ても日蓮へのオマージュにしか見えない。

 日蓮は文字マンダラによって縁起的宇宙観を表現した。世界観というよりは宇宙観というべきだろう。その縦軸は久遠(くおん)から現在(鎌倉時代)に至る。そしてあらゆる生命状態の衆生が法に照らされた尊極(そんごく)の姿を示している。

 これに対してスィウド・メイレリスは、時間と空間が崩壊した宇宙の姿を表現しているように見える。崩壊というよりは、むしろ時空を超越した宇宙を表したのかもしれない。

 スケール(物差し)が意味をなさず、時間がバラバラと崩れ落ちる。極大か極小か。はたまた無限か瞬間か。私の目にはプランク時間以下の世界が見える。

「言葉も数字も及ばぬ現在性」を見事に描き切ったといえよう。更に塔のようなものまで現れる。これぞ宝塔だ。天晴(あっぱれ)。

Cildo Meireles
ATSUGI「プレーンストッキングの逆襲」パンスト コマーシャルあらゆる事象が記号化される事態/『透きとおった悪』ジャン・ボードリヤール

後藤仁敏


 1冊挫折。

唯臓論』後藤仁敏〈ごとう・まさとし〉(中公文庫、2008年)/「しかし、果たして人間の営みをすべて脳の成せる業(わざ)と言い切れるだろうか。私にはとてもそうは思えない」(「はじめに」)と養老孟司の『唯脳論』に疑問を呈している。このセンスがまずい。『唯脳論』は新しい視点を示したところに価値があるのだ。しかも著者が何度も書いている通り、唯臓論は唯脳論に依存した考え方となっている。であるならば、最初に謝辞を掲げるべきであって、これを疑問・批判の形にしたところに劣情のようなものを感じた。駄洒落のセンスがあるのだから、もっと軽妙な筆致にすべきであろう。

種は神の恵み モンサントには渡さない


 Natabar Sarangi さんの使命は地元の農家の人たちとともに、土着の米の種(稲)を見つけだし、保存し、共有することです。現在まで、彼は350種類の土着のお米を再び、導入することに成功­しました。

モンサント

2012-01-20

苫米地英人


 昨日、1冊読了。

 4冊目『利権の亡者を黙らせろ 日本連邦誕生論 ポスト3.11世代の新指針』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(講談社、2011年)/久々のベッチーである。いやあ、やっぱり頭がいい。3.11を巡る問題の本質を炙(あぶ)り出し、具体的な政策の処方箋を提示。利権の亡者に対して「ご老人たちは引っこんでいなさい」と啖呵を切っている。190ページで1300円の値段は良心的だ。「日本はアメリカ大統領を買収せよ」との提言が斬新。日本のグランドデザインを見事に描いている。

WHOは世界人口の90%が余剰人口と決めている(ビルダーバーグ)





◎ビルダーバーグの計画とロシア侵略作戦

中田安彦『ジャパン・ハンドラーズ』ワールド・フォーラム5月例会(2010年)








ジャパン・ハンドラーズ―日本を操るアメリカの政治家・官僚・知識人たち 世界権力者 人物図鑑 世界と日本を動かす本当の支配者たち 日本再占領 ―「消えた統治能力」と「第三の敗戦」― 世界を動かす人脈 (講談社現代新書)


◎ビルダーバーグの計画とロシア侵略作戦

ビルダーバーグの計画とロシア侵略作戦

2010年、RT。





◎ビルダーバーグ会議
◎「闇の支配者」による秘密会議『ビルダーバーグ会議』
◎2010年ビルダーバーグ会議メンバーリスト
◎秘密クラブ「ビルダーバーグ」5月にパリで会合

 ◎中田安彦『ジャパン・ハンドラーズ』ワールド・フォーラム5月例会(2010年)
 ◎WHOは世界人口の90%が余剰人口と決めている(ビルダーバーグ)

シオニストによるタレントショーの妨害 リヨン(フランス)


 2004年2月。お笑い芸人デュードネはイスラエルに批判的な内容のショーを行ったためにシオニストロビーの強い圧力を受け、仏国内での活動を大幅に妨害された。リヨンで­の犯人はユダヤ防衛同盟かBetarと言われている。


仏シオニストロビー イスラエルに批判的なタレントの活動を妨害

2012-01-19

アインシュタイン「私は、エレガントに逝く」


 1955年4月18日、アインシュタインが76歳で亡くなった。彼は、その5日前に自宅で突然倒れて入院したが、医師の手術の勧めをすべて断わって急逝した。死の直前のアインシュタインは、「私は、自分が望む時に逝きたい。生命を人工的に長引かせることは、退屈だ。私の役割は、やり遂げた。今が逝く時だ。私は、エレガントに逝く」と言った。後のゲーデルも、アインシュタインと同じような意識で、死を迎えたように映る。

【『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』高橋昌一郎〈たかはし・しょういちろう〉(講談社現代新書、1999年)】

ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論 (講談社現代新書)