・『
省庁のしくみがわかると政治がグンと面白くなる 日本の内閣、政治、そして世の中の動きが一気に読める!』林雄介
・カリスマは「断言する」
・
『エピクロスの園』アナトール・フランス
・
宗教とは何か?
【政治や世界を理解する際に宗教の歴史を抜きにして理解することはできません。】例えば、【アメリカの政財界人、最高裁判事等のエリートは、キリスト教のプロテスタント系の聖公会(せいこうかい)の信者が大多数です。】
なぜ、アメリカのエリートに聖公会の信者が多いのでしょうか?
それは、アメリカでは社会的ステータスが高くなると他のキリスト教(メソジスト教会等)から聖公会に改宗する風習があるからです。つまり、アメリカでは、社会的ステータスとどの教会の信者かが密接に結びついているのです。
【『宗教で得する人、損する人』林雄介〈はやし・ゆうすけ〉(ML新書、2017年/マガジンランド、2013年『政治と宗教のしくみがよくわかる本 入門編』改題)以下同】
昨今は改題が目立つ。出版社の意図が奈辺にあるのかよくわからず。検索対応なのか? ま、いずれにせよ売り上げアップを狙ったものだろう。クルクルとタイトルを改めるところに書籍と読者を軽視する風潮が覗いている。
聖公会とは「イングランド国教会(Church of England)の系統に属するキリスト教の教派」らしい(
Wikipedia)。「西方教会におけるカトリック教会とプロテスタントの中間として位置づけ」た中道路線であるとのこと。つまり、過去にローマ教皇庁と対立したが、プロテスタントには傾かなかったということなのだろう。聖公会がイングランド国教会の系統に属するのであれば、イギリス傘下に加わったことを意味する(イングランド国教会の最高権威はエリザベス女王)。大英帝国はまだ滅んでいないようだ。
アメリカに中央銀行(Central Bank)は存在しない。あるのは
連邦準備制度(Federal Reserve System)である。政府機関とされているが完全に独立しており、信じ難いことだがアメリカ政府はドルを発行することができない。政府紙幣を発行しようとしたリンカーンやケネディは暗殺された。FRSを構成するのは10社の民間銀行で、尚且つ半数以上がヨーロッパの銀行だ。
結局のところ北米はヨーロッパにとっての満州みたいなものか。
16世紀、ルターによる宗教改革(プロテスタント運動)をきっかけに、カトリックとプロテスタントの宗教戦争がはじまります。ルターの教義は、「信仰義認(しんこうぎにん)」、「聖書万能」、「万人祭司(さいし)主義」の3点です。信仰があればよく、その信仰の基礎は聖書にあり、全ての人が司祭でありカトリックの驚異のように司祭が特別扱いされることはない、という教義です。
そのため、【プロテスタントの牧師は、信者のリーダーであるけれど聖職者ではない】という立場を採用しています。
これも知らなかった。大体、小児性愛者はカトリックの神父である(カトリックは神父、プロテスタントは牧師)。聖職者の威厳を利用して幼子に手をつけるのだろう。アメリカのもう一つの宗教的な捻(ねじ)れは、プロテスタント国家でありながらローマ教皇を尊敬していることだ。プロテスタントの教会は簡素で飾り気がない。我々が思い浮かべる豪華な大聖堂はカトリックのものだ。
なぜ、【カリスマが存在するのでしょうか?】
キーワードは、「断言すること」です。キリスト教暗黒時代があり、デカルトが「われ思うゆえに我あり」という相対主義を導入して近代科学がはじまります。つまり、【全てのインテリは「相対的」な価値観の中で生活しています。】しかし、【新宗教や自己啓発セミナー等は「絶対的」な価値観の中で運営されています。】そこで、インテリが騙されるのです。むしろ、インテリだからこそ騙されるといってもいいでしょう。
近代社会は、「正しいか?正しくないか?」がわからない【相対的(懐疑的)な価値観】で運営されています。しかし、【ナチスのヒトラーは、「ユダヤ人が悪い」等の、極論を断言しました】(句点欠)
その【断言がカリスマになれる理由】です。私はそう考えています。
先日亡くなった細木数子〈ほそき・かずこ〉が思い浮かぶ。「必ず」「絶対に」を連呼する人物には要注意だ。健康食品やマルチ商法、あるいは占い師や新興宗教など。「相対的」であることよりも、そこに迷いがあるかどうかが大きい。判断を躊躇(ちゅうちょ)したり留保したりすることは少なからずある。そこに誰かの断言がスポッとはまると脳が束縛される。電気的な反応が生まれ、シナプスが一定方向で形成されてしまうのだ。「何かを信じる」とはそういことだ。
将来の見通しが悪くなると社会もまた迷う。「
失われた10年」は気がつくと「
失われた30年」となっていた。弾けたバブルの余波にしては長すぎる。政治の無策もさることながら、日本を弱体化させたい国際的な意図が働いているのだろう。そして迎えたのがコロナ騒動である。
雇用の非正規化が進み、1世帯あたりの平均所得が緩やかに下がり続けてきた。諸外国の所得が上がり続けているにもかかわらず。アメリカは1990年比で2倍の所得になっている。日本の生活意識で「ややゆとりがある」「ゆとりがある」と答えた世帯は合計4.3%しかない(
平均所得は551万円……だけど「平均以下が62%」という現実 「生活苦しい」も57% 厚労省調査 - ねとらぼ)。
こうした事実を報道し、政治に活を入れるのが新聞・テレビの仕事だと思うのだが、反対に国民の目を逸らさせるような役割を大手メディアが果たしている。
今まさしく時代は混迷の度を深めている。人々はカリスマを待望しているのではないか。確かに自民党は旧民主党よりはまともだが、世界基準で見れば日本経済を沈滞させた責任を取っていない。そろそろ古い憲法と一緒に古い政党も捨て去る頃合いだろう。
安定した時代にカリスマは出現しない。激動からカリスマは生まれる。今、時代の迷いを払拭する断言が求められている。