2013-11-22

ジョン・ル・カレ著『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の新訳(村上博基)が不評



ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ (ハヤカワ文庫NV)
【左が村上訳、右が菊池訳】

スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)スマイリーと仲間たち (ハヤカワ文庫 NV (439))
【2部、3部はもともと村上訳】

黒田清隆と木戸孝允~勝海舟の評価


小沢遼子足蹴り事件

 1983年1月26日、ロッキード事件被告田中角栄への求刑公判の日、テレビ朝日の番組「こんにちは2時」の生放送に出演した。番組のテーマはもちろん角栄の裁判であり、小沢遼子ら反角栄側2人と小室による討論を行った。ところが冒頭、突然立ち上がってこぶしをふり上げ、「田中がこんなになったのは検察が悪いからだ。検事をぶっ殺してやりたい。検察官は死刑だ」とわめき出し、田中批判を繰り広げた小沢遼子を足蹴にして退場させられた。

 ところが、翌日朝、同局は小室を「モーニングショー」に生出演させた。その際さらにパワーアップしてカメラの面前で「政治家は賄賂を取ってもよいし、汚職をしてもよい。それで国民が豊かになればよい。政治家の道義と小市民的な道義はちがう。政治家に小市民的な道義を求めることは間違いだ。政治家は人を殺したってよい。黒田清隆は自分の奥さんを殺したって何でもなかった」などと叫び、そのまま放送された。

 これをもってテレビ出演はほとんどなくなり、以後、奇人と評された。

キリスト教の「愛(アガペー)」と仏教の「空(くう)」/『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹Wikipedia



 平生はその手腕を買われていた黒田だが、一度酒を飲むと必ず大暴れする酒乱であったと言われている。一度は木戸孝允が同席の酒席で暴れ、武術家としても知られていた木戸に取り押さえられ、毛布でくるまれたうえ紐で縛られ、そのまま自宅へ送り返された。以来、「木戸が来た」というと大人しくなったという。明治11年(1878年)の夫人の死も酔った黒田が斬り殺したのを同郷の川路利良がもみ消したのではないかとも噂された。

Wikipedia



三浦梧楼「木戸は剣客斎藤弥九郎の塾頭をやったくらいで、なかなか手が利(き)いておった。あの乱暴者の黒田(黒田清隆)でさえ、木戸には閉口しておった。ある年の正月三日であった。黒田が木戸の所へ、年礼にやって来たが、さんざん飲んだ果てに暴れ出した。木戸がいろいろなだめても、なかなか聞かない。果ては木戸におどりかかっていったが、木戸は柔術も心得ておる。黒田はただ蛮勇ばかりで、木戸の敵ではない。木戸はいきなり大腰にかけて、物の美事に投げつけ、両手で喉をしめつつ、『どうじや、まいったか』というと、『まいったまいった、許せ』とあやまる。『それじゃ帰れ』といって、手を放し、鴛龍へ乗せて、送りかえしたが、あの乱暴者が、木戸には全く閉口しておったものだ」

Wikipedia





2013-11-21

エリザベス・ロフタス「記憶が語るフィクション」~偽りの記憶


 心理学者のエリザベス・ロフタスは、記憶の研究をしています。正確には、彼女が研究しているのは「偽りの記憶」――起きてもいないことの記憶や、事実とは違う形で残っている記憶です。こうした虚偽記憶は、一般に考えられているより普通にあることです。ロフタスは、衝撃的な事例や統計を紹介し、私たちが考えるべき重要な倫理的問題を提示します。


 戦争やジェノサイドに至る道程には偽りの記憶が無数に存在することだろう。記憶は偽る。自らが捏造し、他人が書き換えることによって。人間は物語(フィクション)を生きる動物であることがよく理解できる。そして人類は21世紀になっても尚、宗教というフィクションにすがりついているのだ。

抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって目撃証言目撃者の証言

証言の心理学―記憶を信じる、記憶を疑う (中公新書)記憶はウソをつく (祥伝社新書 177)目撃証言の心理学

偽りの記憶/『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』スーザン・A・クランシー
現実認識は「自己完結的な予言」/『クラズナー博士のあなたにもできるヒプノセラピー 人生を成功に導くための「暗示」の作り方』A・M・クラズナー
『交通事故鑑定人 鑑定暦五〇年・駒沢幹也の事件ファイル』柳原三佳
あと知恵バイアス
「社会への同調」で生まれる「ニセの記憶」:WIRED.jp

2013-11-20

システマ・ビデオ


 舞踏のように華麗だ。システマは格闘技ではなく護身術である。



ロシア武術システマ「HAND to HAND【接近戦】」日本語版 [DVD]システマ教則マニュアル ロシア最強の格闘術 [DVD]ロシア式軍隊格闘術 システマ入門 VOL.1エクササイズ編 [DVD]ロシア式軍隊格闘術 システマ入門 VOL.2ストライク編 [DVD]

Beat the Odds 英語版 [DVD]Dynamic Joint Breaks 英語版 [DVD]Escape from Holds 英語版 [DVD]相手を3秒で倒す技50! テイクダウン大全 (DVD付) (BUDO‐RA BOOKS)

セックスとは交感の出来事/『悲鳴をあげる身体』鷲田清一


 ・蝶のように舞う思考の軌跡
 ・身体から悲鳴が聞こえてくる
 ・所有のパラドクス
 ・身体が憶えた智恵や想像力
 ・パニック・ボディ
 ・セックスとは交感の出来事
 ・インナーボディは「大いなる存在」への入口

『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』ガボール・マテ
『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』べッセル・ヴァン・デア・コーク
『日本人の身体』安田登
『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード
『ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英
『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖
『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
・『ニュー・アース』エックハルト・トール
『瞬間ヒーリングの秘密 QE:純粋な気づきがもたらす驚異の癒し』フランク・キンズロー

必読書リスト その二

 増刷されたようである。朗報。せっかくなので何か書いておこう。

 セックスとはほんとうは交感の出来事であり、感覚のコミュニケーションの出来事であったはずなのに、それが身体の特定部位の性能の問題にずらされてしまっているのだ。

【『悲鳴をあげる身体』鷲田清一〈わしだ・きよかず〉(PHP新書、1998年)以下同】

 これは何も今に始まったことではあるまい。巨乳を昔はボイン(日本テレビの「11PM」で大橋巨泉朝丘雪路の胸をからかったのが嚆矢〈こうし〉)と言ったし、「小股の切れ上がった」なんて言葉は、「締まりがよい」とか「具合がよい」などと大差はないと思われる。

 結局のところ「性の商品化」と絡む問題なのだろう。鷲田の論考はここから急激に深まる。

 こういう読み物とかグラビアといった快楽情報が溢れているのは、ほんとうの快楽が他人とのあいだで得られていず、しかも情報は増える一方なので、恒常的な飢餓感や不足感だけが確実に膨らんできているということなのだろう。器官的なものとしての〈性〉ではなく、感情としての〈性〉がもうきちんと語りだされなくなってきている。
〈性〉は、個体と個体のあいだで起こる身体間のもっとも濃密な交通である。これを軸に、親子のあいだの親密な相互接触、さらにはじぶんの身体とのあいだの何重もの厚い関係が交叉しながら、これまで家庭という、複数の身体がなじみあう特異な空間を構成してきた。だから他人の家庭を訪れたとき、だれもが家庭というもののあの異様に濃密な空気にうろたえる。

 情報が性を貧しいものに変えた。当然、「性」は「生」とつながる。ジュディス・バトラーも同じ指摘をしている。

ポルノは経験に取って代わる/『触発する言葉 言語・権力・行為体』ジュディス・バトラー

 性を濃密な関係と押し広げているところが卓見だ。確かに他人の家庭は薄気味悪い。私の父は無口であったため、殆ど会話らしい会話がなかった。そんな私からすれば、父親と息子が話しているだけでぞっとさせられる。一方で我が実家は幼い弟妹が小学1年生になる頃までチューをし続けた。他所様から見れば気色悪いこと甚だしいに違いない。

 ま、夫婦の性行為から家族が生まれるわけだから、その延長線上に家族関係も構築されるのだろう。

性はアイスクリームを食べるのに似ている/『エロスと精気(エネルギー) 性愛術指南』ジェイムズ・M・パウエル

 氾濫する性情報のなかで〈性〉はむしろ義務のようなものになっており、そっとやりすごさないとせっかくの関係を壊しかねないという不安が、そこにはある。
〈食〉が自己への暴力へと転化することがあるように(過食や拒食)、〈性〉もまた自己への暴力となりうる。〈性〉の背景にあった〈愛〉や〈家族〉といった観念が、そしてそれを制度化してきた社会的装置が、さまざまな場面できしんでくると、〈性〉の不幸は社会的な問題性をますます深く内にはらむようになる。

 これは確か女性のケースだ。いわゆる処女喪失というテーマだ。「処女」とか「セックス」とか書くのをためらってしまうのも、私の古典的な性意識が為す業(わざ)だと思われる。

 これまた実に鋭い指摘である。不安定な家族関係で育った女性は特に注意が必要だ。特に父親の愛情を知らない――当然離婚も含む――少女が危うい。男性遍歴が激化するケースがある。

 新聞や雑誌を開ければ、援助交際、ブルセラ、投稿写真、ストーカー、家庭内強姦、あるいは中絶という自己への暴力のあとの底深い負い目、「純愛」として語りだされる不倫、自己解放としての身体毀損(ボディ・ピアシング)……と、気が落ち込むようなテーマがならんでいる。それぞれの性が、そしてそれぞれの世代が、共有できる物語を欠いたまま、問題としての〈性〉にむきだしで接触しているという感じがする。

 過剰な性愛は不毛だ。精神はやがて疲労と疲弊に覆われ、擦り切れ、必ず廃(すた)れてゆく。彼女たちの魂は放置自転車のように埃(ほこり)まみれで錆(さ)びついている。不足を補うための行為が、かえって空洞を広げてしまう。

 私がまったく違う例を挙げよう。義父の介護を献身的に行っているという評判の奥さんがいた。私が訪れたところ義父も義母もお嫁さんを手放しで褒めていた。何度か足を運んで気づいた。お嫁さんは義父の身体に触れることが殆どなかった。彼女にとって介護は嫁としての義務であったのだろう。甲斐甲斐しく身の世話をしていたが愛情は感じられなかった。身体の接触なくして要介護者とのコミュニケーションは難しい。仮に脳血管障害由来の失語症などで言葉を失っていても、手を取り肩を組むだけで喜ぶ人々は多い。人間という動物は好意を抱いていれば必ず触れ合うものだ。

 性は本来豊かなコミュケーションであったはずだ。そしてコミュニケーションは交換から交感へと変わり、更には交感が交歓へと昇華するのだ。商品としての性には金銭と肉体の交換しか存在しない。経済的な見返りを求めた結婚も長期的な売買春と考えることができよう。

 中学生となり初めてフォークダンスをした時のあの緊張感を思い出そう。密かに思いを寄せていた女子生徒の手を握った瞬間、私は確かに感電したはずだ(笑)。

クリシュナムルティ『伝統と革命』



伝統と革命―J・クリシュナムルティとの対話

2013-11-18

新幹線での携帯電話


「決まりだからダメ」なのではなく、「周囲に迷惑をかけるからダメ」なのだ。常識よりもむしろ非常識が発想の転換を生み出す。

脱原発は郵政民営化の比ではない壮大な事業 小泉元首相が日本記者クラブで講演




【北里大医学部眼科、県眼科医会主催の市民公開­講座 2013年11月3日 横浜市西区】

2013-11-17

不条理ゆえに我生きる/『灼熱の魂』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督・脚本


 これは凄かった。レビューの禁句ではあるが「凄い」としか言いようがない。ワジディ・ムアワッド(レバノン出身)の戯曲『焼け焦げるたましい』(原題:Incendies、火事)を映画化した作品だ。レバノン内戦を描いているところから察するとタイトルの意味は「焦土」か。

 冒頭で幼い少年たちが兵士の手で丸刈りにされる。カメラはある少年の踵をクローズアップする。そこには三つの点を描いた刺青が施されていた。このシーンの意味は最後で明らかとなる。

 母親が不可解な遺書をのこして死んだ。双子の姉弟が知らされていなかった父と兄を探し出して、手紙を渡すことを命じる内容だった。物語はロードムービーになるかと思いきや、カットバックで母親の越し方が挿入され、過去と現在が同時進行する。更に後半では兄の人生が加えられる。三重奏が描くのは「謎」だ。もうね、見ている側はプロレス技の卍固めをかけられたような状態となる。

 映像が緊張を強いる。ハンディカメラの手振れが効果を発揮している。そして思いも寄らぬ場面で突発的に暴力シーンが現れる。紛争地帯の日常とはそういうものなのだろう。

 姉弟はカナダから中東へ飛ぶ。母親はかつて政治犯であった。彼女は度重なる拷問に屈することなく13年間を耐え忍んだ。監獄では「歌う女」と呼ばれていた。

 姉弟の出自が明らかとなり、続いて二人がプールで泳ぐ場面が秀逸だ。胎内への回帰。水(プール)が重要なモチーフとして何度も出てくる。

 弟が姉に言う。「1+1=1があり得るか?」と。少し間を置いて姉は過呼吸に陥ったような音を立てる。直後にすべての謎が明らかとなる。

 不条理ゆえに我生きる――これが母親の人生だった。彼女はいくつかの罪を犯した。長男を育てることができなかった。そしてバスの中で出会った子供を救うこともできなかった。拷問は贖罪(しょくざい)であった。そしてその後の人生は更なる贖罪であった。死の直前に母親は真相を知った。そして死の床にあってそれを許した。

「三界は安きことなく、なお火宅の如し」(『法華経』譬喩品)――これこそがタイトルの意味だった。「家は火事です。あちらの家だと思っているのですが、ここなのです」(クリシュナムルティ)。この残酷極まりない世界では「穏やかに生きる者」のみが真の勝者であることを思い知らされた。

ドッグヴィル』の衝撃と『善き人のためのソナタ』のドラマ性を併せ持った稀有な作品である。

灼熱の魂 [DVD]

時代の風:「集落丸山」に学ぶ国づくり=元世界銀行副総裁・西水美恵子


未来を切り開く結束力

 兵庫県篠山市の一角に、稀有(けう)なリーダーシップを発揮する人々がいる。リスクを直視し、危機感を持って受けとめ、新しい未来を築こうと力を合わせる「集落丸山」の女衆と男衆だ。

 丹波高原の山々に抱かれる篠山市は、谷沿いに深く入り込む大小さまざまな集落に、ぐるりと囲まれている。京都北西の要塞(ようさい)という地政的な性格から、中世には山城が林立し、根城と枝城が戦略的な網状組織を成していた。集落の多くは、城の出入り口や、逃げ口、水源などを守る命を受けた兼農武家地だったと聞く。

 そのひとつである丸山の歴史は「丹波篠山では新しい」そうで、城が平野に下りた江戸時代に始まった。1794年、篠山城外堀の役目を持つ黒岡川の水源を守るために、配置された。

 今日も篠山市の中心である篠山城跡から、黒岡川沿いに北北東へ5キロほど行くと、多紀連山の懐に入る。連山の主峰御嶽の登山口へ続く谷筋が急に狭まるあたり、手入れの行き届いた田畑と里山の緑を背景に、そこには不似合いと感じるほど重厚な古民家の集落、丸山が、現れる。

 その姿を初めて目にした時、築150年以上の古民家群が醸し出すカリスマに息を呑(の)み、鳥肌さえ立った。

 入母屋造りのどっしりとした屋根線が、母屋と蔵の白壁をちらちら覗(のぞ)かせながら重なり合い、山裾の斜面から平地へと流れる。屋根の合掌が作る「破風(はふ)」と呼ぶ側面は、そこだけ柿渋色の漆喰(しっくい)に塗られ、白く大きく描かれた家紋を遠目にも際立たせている。石積みの垣や生け垣に沿って客を迎え入れる脇門を持つ家が多いなか、長者の住居だったのか、堂々たる長屋門を構えた家もある。

「集落丸山」は、丸山の人々が運営する、集落まるごとの宿。2009年10月に開業した。宿泊施設は、空き家になっていた古民家2棟。生活の「近代化」が残したさまざまな厚化粧が取り除かれ、水回りの他は本来の姿に戻された。その贅沢(ぜいたく)な空間の要所要所に、和風モダンな家具や照明が配されて、いにしえの優れたデザイン感覚をより一層引き立てている。

 食事処(どころ)は、地元の豊富な食材や甘露水、人の結いなどに魅せられ丸山にIターンした、料理の達人2人による。古民家続きの蔵と納屋を改造した小さなフランス料理店は、神戸にある名店のオーナーシェフが構えた。集落奥に佇(たたず)む蕎麦(そば)懐石の店は、「関西の至宝」とさえ呼ばれる蕎麦通の聖地。彼らの指南を受けた丸山の女衆が受け持つ朝食は素人の域を超え、地産地消の絶品がずらりと並ぶ。

「おかみさん」と呼ぶには若すぎる丸山の次世代ホープが、女将役を見事に切り回し、客が知らず知らずに集落住民となるよう導いてくれる。「集落丸山」は、宿より高級プチリゾートと呼ぶほうがふさわしい。

 丸山は、限界集落だった。住民5世帯19人の過半数が高齢者のうえ、民家12軒中7軒が空き家になっていた。小さな集落にとって、共同体機能が消滅する可能性は、リスクというより不可避な現実に近く、住民は強い危機感を抱いていた。

 しかし、丸山には、得難い財産があった。厳しい自然を相手に生き永らえた極小社会が培った、住民一人一人のリーダーシップ精神と、「集落は家族である」と言い切る結束だ。

 古民家「発見」が、その財産に情熱の火をつけた。07年、長屋門の古民家診断と改修をきっかけに、専門家が集落全体を調査した結果だった。男衆の一人は、「古い家に価値があるとは知らなかった。『立派な家』に建て替える財力のないことが幸運でした」と笑う。

 それから開業までの2年間、丸山の人々の行動は目覚ましかった。類は友を呼び、列挙が不可能なほど大勢の有志と団体組織が、専門知識や、出資、補助金を提供。丸山の夢とビジョンを現実にと動いた。住民は、集落を離れた人たちと共にNPO法人「集落丸山」を設立し、中間支援組織として道を共にする一般社団法人「ノオト」と、有限責任事業組合「丸山プロジェクト」を結成。所有者から空き家と農地を10年間無償で借り受け、日本の暮らしを体験する宿を作り上げた。

 開業から4年。「集落丸山」は黒字経営を持続し、若者のUターンさえ始まった。一丸となって未来を切り開く丸山の人々を思うつど、国づくりかくあれと、心より願う。

毎日新聞 2013年11月17日 東京朝刊

国をつくるという仕事あなたの中のリーダーへ貧困に立ち向かう仕事

世界銀行の副総裁を務めた日本人女性/『国をつくるという仕事』西水美恵子
古民家の宿 集落丸山【築150年の丹波篠山の宿】
築150年の古民家と丸山集落の再生
集落まるごと一軒の宿 「集落丸山」(丹波篠山)

特定秘密保護法案に対する白土三平の懸念


 少年忍者を主人公にした漫画「ワタリ」に「死の掟(おきて)」という話が出てくる。下層の忍者たちは掟を破ると支配者から殺されてしまう。ところがその掟の中身とは何なのか、支配者以外は誰も知らないのだ▲「その掟を知らねば掟の守りようがないではござりませぬか」。忍者たちは見えない掟に恐れおののき、疑心暗鬼になり、支配者に服従するしかない。実は掟とは支配者が衆人を都合よく統制するために編み出した秘密のことで、その秘密を知った者は消されていくのだ▲ならば現代の「死の掟」となりはしないのか。国会で審議が進む特定秘密保護法案のことである。情報を行政機関だけの判断で特定秘密に指定し、その秘密の中身が何かを国民は一切知ることができない。秘密を知ろうと近づけば、場合によっては逮捕され、処罰される▲作者は「カムイ伝」「サスケ」などで知られる漫画家の白土三平(しらと・さんぺい)さん(81)。プロレタリア画家だった父や軍国主義教育を受けた自身の体験を踏まえ、権力支配の有りように鋭い批判の目を向けた作品が多い。彼の目に法案はどう映るのか▲「(特定秘密という)わからないもののために罰せられるというのは理不尽。背景にはこの法案を作り上げた精神や雰囲気のようなものがあるはずで、それが広がっていくようであれば大きな問題です」。白土さんはそう懸念する▲「ワタリ」では、忍者たちが最後に団結して支配者を捕らえ、掟の呪縛(じゅばく)から解き放たれる。「理不尽なことを押しつけてくるものに対して、我々国民の側は正当に防衛する権利を行使できるはずです」。白土さんは世論の高まりに期待する。

「余録」/毎日新聞 2013年11月17日

 1面トップの「比台風 高潮の恐怖/ボトルにつかまり濁流に3時間」という見出しが目を惹(ひ)いた。偶然買った新聞に秀逸なコラムがあると130円の値段も安く思えてくるから不思議だ。西水美恵子〈にしみず・みえこ〉の寄稿(集落丸山について)もあってお得感は倍増した。

白土三平選集 13 ワタリ 1 (白土三平選集 新装版 13)白土三平選集 14 ワタリ 2 (白土三平選集 新装版 14)白土三平選集 15 ワタリ 3 (白土三平選集 新装版 15)

ワタリ
ワタリ
カムイ伝と日置藩の池に住む亀の秘密=大阪W選挙の週刊誌紙爆弾
世界銀行の副総裁を務めた日本人女性/『国をつくるという仕事』西水美恵子

2013-11-16

ZOJIRUSHI オーブントースター レッド ET-WA22-RA

ZOJIRUSHI オーブントースター レッド ET-WA22-RA

◆上手にこんがり「もち焼きネット」トーストはもちろん、おもちも上手に焼けます。焼き網が取りはずし可能なので、お掃除もラクラクです。◆ワイド庫内(幅27cm)&庫内奥行22cmグラタンがたてに2皿焼け、20cm(8インチ)ピザも余裕で入ります。◆その他の機能・はずせる丸洗いとびら・ハイパワー「1000W」・スライド式くず受け皿・「15分タイマー」/■仕様■カラー:レッド本体サイズ:幅40.0×奥行28.0×高さ23.5cm庫内有効サイズ:幅27.0×奥行22.0×高さ11.0cm受け皿(内寸):22.0×20.0cm消費電力:1000W温度調節:無火力切替:無タイマー:15分コード長:1.2m付属品:トレー

ZOJIRUSHI オーブントースター ET-FM28-RL メタリックレッド

2013-11-15

佐藤雅典、志賀櫻、ザミャーチン、他


 4冊挫折、3冊読了。

戦争を読む』加藤陽子(勁草書房、2007年)/良書。近代日本の戦争史を書評で綴る。文章がせいせいとして小気味いい。挫けてしまったのは、ただ単に私がこの分野に興味がないため。

夜に生きる』デニス・ルヘイン:加賀山卓朗訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2013年)/訳文のリズムが悪い。丸山健二のエッセイを挫折したのも同じ理由なのだが、セネカ著『怒りについて 他二篇』の文章が凄すぎて、普通の文章を読むことが難しい。

黄昏に眠る秋』ヨハン・テオリン:三角和代〈みすみ・かずよ〉訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2011年/ハヤカワ文庫、2013年)/これも訳文がよくない。出だしも暗すぎる。

仏教は宇宙をどう見たか アビダルマ仏教の科学的世界観』佐々木閑〈ささき・しずか〉(DOJIN選書、2013年)/初めて佐々木閑の著書を読んだのだが、とにかく文章に締まりがない。たぶん二度と読むことはないだろう。

 56冊目『ドアの向こうのカルト 9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録』佐藤雅典(河出書房新社、2013年)/これは文句なしで星五つ。既に「覚え書き」に書いた通りだ。ひとつだけ付言すると、カルトと洗脳という言葉遣いがよくない。洗脳は社会から隔離し、睡眠不足に陥れ、更には拷問や薬物などをも利用して脳の内部情報を書き換えることだ。著者は自らの選択であるにもかかわらず「洗脳」と称しており、いくら何でも無責任だと思う。



 57冊目『タックス・ヘイブン 逃げていく税金』志賀櫻〈しが・さくら〉(岩波新書、2013年)/好著。実務家らしく文章の歯切れがよい。オフショアに関しては橘玲著『マネーロンダリング入門 国際金融詐欺からテロ資金まで』→本書→ニコラス・ジャクソン著『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』でアウトラインはつかめる。多国籍企業や富豪による租税回避が世界中で貧困が拡大する根本的な原因である。DVD『ザ・コーポレーション』の話がどんどん現実化しつつある。既に国家よりも企業にアドバンテージがあるのだ。

 58冊目『われら』ザミャーチン:川端香男里〈かわばた・かおり〉訳(岩波文庫、1992年)/ディストピア小説の古典である。面白かった。



 というモモタマナ氏の助言に従い、川端訳を選んだのが正解だった。尚、川端は男性である。原書は1927年チェコで出版。ソ連本国では1988年まで禁書扱いされた。もちろん物語としてはオーウェルの『一九八四年』(原書は1949年刊)に軍配が上がるわけだが、社会の行く末を見つめる眼差しはザミャーチンの方が鋭いかもしれない。というか、『一九八四年』は本書を叩き台――あるいはオマージュ――にしているとしか思えない。管理社会への反抗と自由への希求が性愛として描かれている点も一緒だ。「恩人」と「ビッグ・ブラザー」の位置も同じである。それにしてもこの二人は天才的な造語センスの持ち主だ。唯一の瑕疵は暴力性を描いていないところ。

ノンスリップ ベロアハンガー 50本セット【新リニューアル】 COSTOCO

ノンスリップ ベロアハンガー 50本セット【新リニューアル】

 評価はこちらを参照されよ。尚、ベロアのため洗濯用には不向きだ。1997円+送料という破格。

2013-11-12

いじめに関する覚え書き



『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール






『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ
両親の目の前で強姦される少女/『女盗賊プーラン』プーラン・デヴィ


凌遅刑(りょうちけい)


『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー:黒原敏行訳(光文社古典新訳文庫、2013年)

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

 西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め…驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版!

永遠の哲学―究極のリアリティ (mind books)知覚の扉 (平凡社ライブラリー)すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)

2013-11-11

人類の隠された歴史


 与那国島の海底遺跡ピーリー・レイース地図、先サンスクリット文字、他。

ジョージ・カーリン



クリシュナムルティの新刊

静けさの発見―二元性の葛藤を越えて (クリシュナムルティ著述集)

 1945年から1948年――第二次世界大戦末期からインド独立までの激動の時代――「完全な覚醒が訪れた」と、クリシュナムルティ自身が述べた時期の講話集。精緻な読解による決定的翻訳。充実した注釈、索引付。

創造性について―新しい知覚術を求めて

 真の創造性と独創性を実現することは困難ではあるが、しかし潜在的には誰にでも可能である。ただし、そのためには通常の精神を激しく揺さぶり、真の創造性と独創性を可能にする状態に入るようにさせねばならない。精神のこの創造的な状態を覚醒させることによって、私たちは自分自身の内側にだけでなく、外側のあらゆるものの奥にも創造的な調和を発見することができるようになる。ボームは創造性という現象に深くかつ透徹した洞察の光を投じている。『対話について』(『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』)と双璧を成す、珠玉の論考集。稀有の科学者が指し示す、創造的な生き方への道程。

愛について、孤独について

 生、死、快楽、苦しみ、悲しみ、恐れ、情熱、美、自由、幸福、そして愛と孤独――人生のあらゆる問題について、根源から問いかけ、共に考える。現代のプラトン=クリシュナムルティの「対話篇」。

クリシュナムルティ―その対話的精神のダイナミズム

 主著『クリシュナムルティの瞑想録』(原典:The Only Revolution)の徹底的読解から見えてきた、クリシュナムルティの生の躍動する姿。語りかけ、語りかけられ、応答するその生は、この世に住むことの意味の深みへと誘ってやまない。混迷の世を生きる現代人一人一人の自由なる生への扉をひらく、クリシュナムルティからの、対話的精神という名の贈り物。

ジドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)著作リスト

2013-11-10

読後の覚え書き/『カルト脱出記 エホバの証人元信者が語る25年間の記録』佐藤典雅


『幸福の科学との訣別 私の父は大川隆法だった』宏洋
エホバの証人の輸血拒否

 ・読後の覚え書き
 ・子供を虐待するエホバの証人

『良心の危機 「エホバの証人」組織中枢での葛藤』レイモンド・フランズ

エホバの証人批判リンク集

 私は若い頃からエホバの証人とは幾度となく接してきた。二十歳の時、長老と思しきオッサンを完膚なきまでに論破したのが最初であった。爾来、40人前後のエホバとやり取りしてきた。エホバの書籍も読んだが負けることはなかった。あらゆる宗教はその「信ずる行為」において必ず合理性から飛躍せざるを得ない。そこに致命的な誤りがある。厳密な知的検証に耐えられるのは初期仏教のみであろう。

 エホバの証人で活動している多くは女性である。伝道に時間的ノルマを課せられているためだ(詳細は「エホバの証人の組織構造」を参照せよ)。私は真面目で真摯な彼女たちに対してかなり好感を抱いていた。ただし八王子で接した連中はかなりレベルが低かった。本書によれば地域によっては高齢化が進み、士気の低下が著しいとのこと。そう。いかなる組織も日本社会の縮図であることを避けようがないのだ。

 宗教に翻弄される一家の姿が鮮やかに描かれている。徹底した活動と研鑚がやがて懐疑に至る。大多数の信者はアイデンティティの欠如を教団への忠誠心で補っているだけだ。これはどこも一緒だ。彼らの脆弱な自我は「疑う」ことを知らず、安易に世間を批判し、裏切り者を叩くことで歪んだ自己満足を覚えるのだ。

 佐藤は懐疑を手放さなかった。自分の頭で考え抜いた。そして知性が感情をリードした瞬間に洗脳は解けた。過去の自分が「見えた」。

 それにしても児童虐待の件(くだり)は酷い。親同士は教会で虐待を奨励し合い、具体的な手法まで情報交換するという。この一点を取り上げても邪教といってよいだろう。

 神に関わる人間と戦争に関わる人間は妙に似ているな。

【『ブラッド・メリディアン』コーマック・マッカーシー:黒原敏行訳(早川書房、2009年)】

 布教は宣教であり形を換えた戦争なのだ。そしてキリスト教の歴史は暴力と血で染まっている。


 殆どの教団は憎悪生産装置として作動する。

大田俊寛と佐藤剛裕の議論から浮かんでくる宗教の危うさ


 やはりダニエル・C・デネットがいうように宗教とはウイルスである可能性が高い。以下のページでアリとカタツムリを支配するゾンビのような菌類の動画を紹介しているので参照されよ。

ウイルスとしての宗教/『解明される宗教 進化論的アプローチ』 ダニエル・C・デネット

 しかも菌類が寄生することで昆虫たちは「長生き」できるのだ。

 佐藤は上品な家庭で育ったせいか、かなり脇が甘い。母親に対して一切の反撃を控えてきた。本書を丹念に読んでゆくと後半にその答えがすべて書かれている。

 なかんずく教団離脱後のアイデンティティ・クライシスが象徴的だ。エホバはコミュニティとしての機能はあるが人材を育成する組織的機能を欠く。つまりコミュニケーションによって自分を磨く術(すべ)がないのだ。

 だから江原啓之〈えはら・ひろゆき〉の本なんぞに手を出すのだろう。そこで『スッタニパータ』かクリシュナムルティに進めば悩む必要はなかったはずだ。すなわちそれまでの価値観が本の選択をも左右するのだ。

蛇の毒/『ブッダのことば スッタニパータ』中村元訳
宗教とは何か?/『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ



 懐疑から否定が生まれる。だが実はそこで自分が高みを目指しているのか、それとも単なる逃避に向かうが問われるのだ。佐藤は宗教をプラグマティックに考えているようだがそれは誤りだ。なぜなら効用と合理性は異なるからだ。


 佐藤がエホバの証人を批判しつつも、その批判から離れることができればアイデンティティの問題なんぞ雲散霧消するであろう。

 などとケチをつけたところで本書が良書である事実に変わりはない。amazonの宗教カテゴリーで1位というのも頷ける。

 尚、「物語の装置」としてはエホバの証人であろうと創価学会であろうと共産党であろうとボランティアであろうと一緒だ。


ノリブロ - 持論自論ブログ(佐藤典雅)



【付記】佐藤がジョン・コールマン著『300人委員会』を読んでいながら、『ZEITGEIST(ツァイトガイスト) 時代精神』を知らないのは情報収集の仕方に問題があると言わざるを得ない。私はここからクリシュナムルティに至ったのだ。

2013-11-09

エホバの証人批判リンク集


 佐藤典雅著『ドアの向こうのカルト 九歳から三五歳まで過ごしたエホバの証人の記録』が猛烈なまでに面白い。昨夜、風呂で読んでいたのだが買い物にゆく時間を逸し、その後晩ご飯を食べるのをうっかり忘れたほどだ。クリスチャンを始めとするあらゆる宗教の信者が開くべき啓蒙の書といってよい。後ほど覚え書きを記す予定だが、取り敢えず関連リンクを貼りつけておく。

真理真(著者のハンドル)作成 JW解約 - エホバの証人の真理を検証する
ノリブロ - 持論自論ブログ(佐藤典雅)
エホバの証人情報センター保管庫
エホバの証人 - STOPOVER(途中下車)
エホバの証人Q&A|ものみの塔聖書冊子協会について
「エホバの証人問題に関する一考察」真田雅臣
あるエホバの証人の聖書の個人研究ノート
自分で考えて行動したいエホバの証人2世のブログ
資料:エホバの証人の輸血拒否の現場
「洗脳」「マインドコントロール」の虚構を暴く

 ・組織化された宗教が「良心の自由」を封ずる
 ・エホバの証人の輸血拒否
 ・エホバの証人とユダヤ教

ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録

読後の覚え書き/『ドアの向こうのカルト 九歳から三五歳まで過ごしたエホバの証人の記録』佐藤典雅

2013-11-08

目撃された人々 48

斎藤学著『インナーマザーは支配する』が文庫化

インナーマザー ~あなたを責めつづける心の中の「お母さん」~ (だいわ文庫)

 自分の苛酷な批判者「インナーマザー」。インナーマザーの声はいつも心の中で鳴り響き、無能、怠惰、醜さを責め、いっときも心を休ませてくれない…。他人の評価に頼らない。自分いじめをやめる。怒りを正当な自己主張に変えていく。「行き詰まり」から抜け出し、親とは違うあなた自身の人生を始める本。

父の仕事は「区切ること」、母の役割は「つなぐこと」

2013-11-07

アラファト前議長、毒殺された可能性 遺骨からポロニウム検出


 中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)は6日、2004年に死去したパレスチナ解放機構(PLO)のヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前議長の死因を調べていたスイスの科学者らが、放射性物質のポロニウムによる毒殺だった可能性が高いとの結論に至ったと報じた。

 カタールを拠点とする同テレビ局のウェブサイトに掲載された108ページに上る分析結果をまとめた報告書によると、前議長の遺骨を調べた結果「死因がポロニウム210による毒殺であるとの見方を、ある程度支持するものだった」という。

 アラファト前議長は2004年11月11日、フランスの病院で75歳で死去した。医師らは死因を特定できなかったが、夫人の希望により司法解剖は行われていなかった。

AFP 2013-11-07

Life of Lt. Gen. Yitzhak Rabin, 7th IDF Chief of Staff in photos

 なんということか。1994年にノーベル平和賞を受賞したこの二人は結局殺されてしまったのだ。

 1995年11月4日、ラビン首相はテルアビブの平和集会に出席した。
 彼は「私は闘ってきた。しかし平和は実現できなかった。だが今、私たちには平和のチャンスがある」と語り、そのあと10万人の群衆とともに「平和の歌」をうたった。この歌はかつてラビン自らが軍隊内で歌うことを禁じた反戦歌だった。
 しかし壇上から下りたラビンを、ユダヤ教過激派の青年イーガル・アミールの放った3発の銃弾が貫いた。彼は73歳の生涯を閉じたのである。イスラエル国民は激しい驚きと悲しみに包まれた。

【『パレスチナ 新版』広河隆一〈ひろかわ・りゅういち〉(岩波新書、2002年)】

 イスラエルはパレスチナとの和平を望んでいないのだろう。彼らの宗教的独善性は一切の邪悪を可能にする。

パレスチナ新版 (岩波新書)

9.11テロは物質文明の幻想を破壊した/『パレスチナ 新版』広河隆一
ロスチャイルド家がユダヤ人をパレスチナへ送り込んだ/『パレスチナ 新版』広河隆一
ユダヤ人少年「みなが、その共犯者さ」