2018-08-21

純粋直観と慈悲/『紫の火花』岡潔


『春宵十話』岡潔
『風蘭』岡潔

 ・純粋直観と慈悲
 ・如何とも名状し難い強い懐しさの情

『春風夏雨』岡潔
『人間の建設』小林秀雄、岡潔
『天上の歌 岡潔の生涯』帯金充利

 数学の研究は、主として純粋直観の働きによって出来るのです。ところで、私が数学の研究に没入している時は、自然に生きものは勿論殺さず、若草の芽も出来るだけ踏まないようにしています。だから純粋直観は、慈悲心に働くのです。
 私は本当によい数学者が出て来てほしいと思います。数より質が大事です。闇との戦いにはぜひ働いてほしいからです。(「新義務教育の是正について」)

【『紫の火花』岡潔(朝日新聞社、1964年/朝日文庫、2020年)】




 昨日ツイッターでこのようなやり取りがあった。今朝開いたページにドンピシャリの記述が出てきたので紹介しよう。間もなく読了。

 nipox25氏は論理的思考の陶冶(とうや)を指摘したのだろう。気が短い私なんぞはついつい罰のあり方を思うが、原因を探り罪の芽を除くことに想像が及ばない。何にも増して少年犯罪に対して「数学だ!」と断言するセンスが侮れない。

 本書は殆ど『風蘭』と重なる内容で幼児と10代の教育に主眼が置かれている。情緒に関しては5歳から「人の喜びを我が喜びとする」よう育てよと教える。天才数学者は老境に入り国家の行く末に深刻な危機感を抱いた。かつて奇行で知られた岡が仏教や脳科学を紐解きながら恐るべき情熱をもって教育を説く。

 30年前に「価値観の多様化」という言葉が蔓延(はびこ)った。それから10年くらい経つと「モラルハザード」という言葉が飛び交った。道徳とは社会における一定(最低)の基準であろう。その間にオバタリアンが登場し、援助交際をする少女が現れた。

 青少年はいつの時代も問題なのだが、昨今の場合は戦後生まれの親が最大の原因だろう。既に祖父母となっている。子や孫を猫可愛がりし、甘やかしてきたツケが回ってきているのだ。しかも子供は甘やかしただけでは心が満たされない。しっかりと自分が育つことで生まれる信頼関係が必要なのだ。まして他人は甘くない。甘やかされた者同士の衝突が「いじめ」という形に転化することも十分考えられる。

 戦後生まれは「学生運動の世代」でもある。勝手気ままに革命を叫んでいた彼らの影響が影を落としているのも確かだろう。

 幼児期の獣性を抑えるためにはダメなことをダメだと教える必要がある。いわゆる躾(しつけ)だ。ところが今どきは躾けられていない子供がそのまま親になってしまったから手のつけようがない。

 昔の学校教育には学ぶ厳しさがあったという。岡と同級の秀才は皆夭折(ようせつ)したそうだ。学問も命懸けなのだ。

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