2011-08-19

知の要塞「図書館」

Library of Celsus
Library of Celsus

Library of Parliament
The library of parliament, Ottawa. ON, CA

NYC: Brooklyn Public Library - Central Library
NYC: Brooklyn Public Library - Central Library

Library - Carmel Mission
Library - Carmel Mission

Library Parabola
Library Parabola

library

Library, University of Copenhagen
Library, University of Copenhagen

Mitchell Library, Sydney (#24)
Mitchell Library, Sydney

library
San Francisco Main Library

George Peabody Library
George Peabody Library

NYC Public Library (HDR)
NYC Public Library (HDR)

Ancient Library
Ancient Library

Suzzallo Library HDR - Explored #467
Suzzallo Library HDR - Explored

Philological Library, FU Berlin
Philological Library, FU Berlin

National Library
The National Library of Finland

Chişinău (Moldova) - National Library
Moldova - National Library

TRINITY-COLLEGE-LIBRARY-DUB
TRINITY-COLLEGE-LIBRARY-DUB

図書館 愛書家の楽園本と図書館の歴史-ラクダの移動図書館から電子書籍までー

図書館のプロが教える“調べるコツ”―誰でも使えるレファレンス・サービス事例集図書館に訊け! (ちくま新書)図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」 (新潮新書)

タリバンに鼻を削がれた18歳の女性

time
【『タイム』2010年8月7日号】

「タリバンに鼻を削がれたアフガン女性」の衝撃 米軍が撤退したらアフガン女性に何が起きるのか?:菅原出

地獄の炎の説教


 ジョン・ノックス教会を見つけて横道に車を入れ、ロシナンテ号を見えないところに停めた。チャーリーに番をするように命じ、目も眩むほど白い板壁の教会に向かって行儀よく歩いていった。しみ一つなく磨き抜かれた礼拝所の後ろの席に座った。
 祈りの文句は的を射ていた。全能の神は人間の弱さや不信心を見ておられると説いたのだ。まさに私のことだったし、ここに集まっている人たちも同じだと思うしかなさそうだった。
 この礼拝は私の心を動かした。私の魂も少しはよくなったと思いたい。あんな説教の仕方を聞いたのは久しぶりである。
 今の時代、少なくとも大都会では、礼拝は精神分析という聖職者によって行われている。「そんなの、ちっともあなたの罪じゃありません。不可抗力のアクシデントですよ」と言ってもらうわけだ。しかしこの教会ではそんなでたらめなど存在しなかった。
 厳格な牧師は、鋼鉄のような瞳とドリルのような舌鋒を持っていた。祈りの言葉を皮切りに、彼は我々が実に惨めな存在なんだと思い出させた。その通りである。我々は最初から大した者ではなかったし、安っぽい努力しかせず、道を誤ってばかりいる。
 こうして我々の気を楽にした時、彼は見事な説教へと進んだ。地獄の炎の説教だ。我々(いや私だけかもしれない)はろくでもない馬鹿者だと証明した後、性根を入れ替えないと将来どんなひどいことが起こるのか、牧師は冷徹な確信と共に語ってみせた。そのくせ性根を入れ替えることなんてちっとも期待していなかった。
 地獄について、彼は専門家として説明してくれた。軟弱な昨今のふにゃふにゃした地獄ではない。一流の技術者が働き、景気よく燃やされた業火が白熱している地獄についてである。この牧師は我々が分かりやすいように話をかみ砕いた。激しく燃え上がる石炭の炎、そこに風を送る無数の穴、命懸けで炉を燃やす悪魔の一団。そこで燃やされているのは私だった。
 私はすっかり気分がよくなってきた。ここ数年、神様を我々の友達みたいに思って共にあるよう祈っていたのだが、そのせいで父と息子でソフトボールをしているような虚しさを感じていた。ところがこのヴァーモントの神様ときたら、私を気づかうあまり数多くの困難を設け、私の中の罪悪を暴き出してくださった。新たな見地から私の罪を白日の下に晒してくれたのである。
 小さくて卑しい汚らわしい私の罪は、すぐに忘れ去られるようなものだった。しかし牧師は、その罪を大きく膨らまし、華やかで堂々たるものにしてくれた。ここ数年、私は自分を大した奴だとは思っていなかったが、私の罪がこれほど大したものだったのなら、ちょっとは誇ってもよさそうだ。私はいたずら小僧ではなく一流の罪人であり、その罪の報いを受けようとしているのだ。
 魂ごとたっぷりと元気づけてもらったように感じたので、教会の献金皿に5ドルほど入れさせてもらった。その後、教会の前で牧師やできるだけたくさんの会衆者たちと温かな握手を交わした。おかげで悪事を働いているのだという快感が味わえたし、そんな気分を火曜日までたっぷりと味わい続けることができた。
 チャーリーにもこんな満足感を味わわせるために、ぶん殴ってやろうかとまで思い立った。私ほど罪深くはないにせよ、チャーリーだって似たりよったりだからである。

【『チャーリーとの旅』ジョン・スタインベック:竹内真訳(ポプラ社、2007年/大前正臣訳、弘文堂、1964年)】

チャーリーとの旅

John Steinbeck

どう見てもクリシュナムルティにしか見えないブロンズ像

med

 でも多分違う。それにしても瓜二つだ。かなり時間をかけたのだがソースは以下しか見つからず。

Meditation Benefits May Include Bigger Brain
Image:7BrahmanMH.jpg - from the Schools Wikipedia

戦時中に構築された日本のシステム/『1940年体制 さらば戦時経済』野口悠紀雄


 構成に難あり。とにかく読みづらい。「これについては後ほど触れる」の連発だ。プレゼンテーション能力に問題がある。文章も硬くて面白みがない。着想のみの勝利といえよう。

 現在の日本経済の中核的な企業は、何らかの意味で戦時経済と深く結びついている。例えば、日本経済を代表する企業であるトヨタ自動車や日産自動車は、軍需産業として政府軍部の強い保護を受けて成長した。また、電力会社は、戦時経済改革の結果誕生した企業である。
 ただし、問題なのは、こうした誕生の経緯だけではない。企業経営理念の基本に、市場経済を否定する考えがあることだ。

【『1940年体制 さらば戦時経済』野口悠紀雄(東洋経済新報社、1995年/増補版、2010年)以下同】

 戦争を行うためには金がかかる。つまり戦争とは経済問題でもあるのだ。ナポレオン以降の戦争についてはロスチャイルド家を中心とするユダヤ資本が必ず絡んでいる。

明治維新は外資によって成し遂げられた/『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人
ロスチャイルド家がユダヤ人をパレスチナへ送り込んだ/『パレスチナ 新版』広河隆一

 あるいは徴税するか、国民の預金を運用するという選択肢しかない。

郵貯・簡保・厚生年金で戦費調達/『「お金」崩壊』青木秀和

 莫大な金額が動く以上、企業は必ず分け前に預かろうと動く。国家と基幹産業は持ちつ持たれつの関係だ。

 本書で描きたいと思うのは、この建物(※大蔵省本庁舎)に象徴される日本の姿である。つまり、「現在の日本経済を構成する主要な要素は、戦時期に作られた」という仮説である。私は、日本の経済体制はいまだに戦時体制であることを指摘し、それを「1940年体制」と名付ける。

 経済体制を国家体制と読み換えてもいいだろう。国家は言語や文化による共同体であるが、現実には経済的な関係性が強い。国家を賭場(とば)に例えればわかりやすい。外国人参政権の問題は、賭場に参加するのは構わないが運営には口を出す権利はないということだ。これは軍事的視点に立った考え方だ。

 制度の連続性は驚くべきものだが、さらに重要なのは、官僚や企業人の意識の連続性である。

 これがいわゆる「社内文化」だ。明文化されない不文律ほど支配性が強い。人々は暗黙の了解に束縛されやすい。エリート意識が更に「俺たちのルール」を強化することは容易に想像できる。

 歴史研究とは、実際に生じたことのみを取り上げ、「起こらなかったこと」は、研究の対象にしないもののようだ。戦後改革についてもそうである。農地改革や財閥解体など、実際になされたことについては多くのことが書かれてきた。その半面で、「何がなされなかったか」についての研究は、驚くほど少ないのである。
 しかし、戦後改革で最も重要なことは、そこで手をつけられなかったことなのである。とりわけ、官僚制度と金融制度の連続性が重要である。なぜなら、それらが現在の日本経済の中枢を構成しているからである。

 これは大事な視点だ。「何をしなかったのか」。人物を見る際にも必要である。

 他の7社においても、自動車生産は、戦時中の軍用機や戦車生産からのスピンオフであるケースが多い。(※ダワーの指摘)

 ダワーとはジョン・ダワーのことだと思われる。自動車メーカーが戦争で財をなしたのは気づかなかった。重工業ばかりかと思っていた。

 実際、戦前の自動車産業はきわめて弱体で、米国企業に支配されていた。(中略)乗用車の分野では、フォードとGMが組み立て工場をもち、ほぼ完全に市場を支配していたのである。

 戦前にタクシーを運転していた人が外車に乗っていたのはこういう理由だったのね。

 彼(※ダワー)はさらに、新聞においても戦時期の影響が無視できないことを指摘している。すなわち、読売、朝日、毎日の三大紙の起源は19世紀に遡れるものの、発行数と影響力を格段と増したのは戦時期の現象であるという。

 国家の意思を統一するためには当然ともいえる。それにしても大政翼賛の片棒を担いできた新聞社がジャーナリスト面(づら)するのだから忌々(いまいま)しい限りだ。

 1940年の税制改革で、世界ではじめて給与所得の源泉徴収制度が導入された。所得税そのものは以前からあったが、これによって給与所得の完全な捕捉が可能になった。また、法人税が導入され、直接税中心の規制が確立された。さらに、税財源が中央集権化され、それを特定補助金として地方に配るという仕組みが確立された。

 これにはびっくりした。日本人が大人しいとか馬鹿だとかいった問題ではあるまい。ファシズムそのものを示す証左と考えるべきではないか。「進め一億火の玉だ」、「欲しがりません勝つまでは」。

 企業、金融と並ぶ現代日本のいま一つの重要な構成要素は、官僚機構である。とくに、民間経済活動に対して広く官僚統制が行われていること、税財政が中央集権的なシステムとなっていることが特徴である。

 我が国は三権が分立していない。立法と行政を官僚が担っているためだ。本来であれば法律をつくるのは国会議員の仕事であるが、あまりにも稀(まれ)なため「議員立法」という言葉があるほどだ。新しい首相や大臣は必ず官僚からレクチャーを受ける。こうして官僚が全ての情報をコントロールしているわけだ。

 カレル・ヴァン・ウォルフレンが名づけた「システム」は1940年に構築されたとするのが野口悠紀雄の主張だ。それなりに説得力があると思う。

 新たなシステムを築くには、東大法学部を頂点とする選抜システムにメスを入れるしかない。また企業の競争原理を蘇らせるには電通と東京電力の解体が必要だ。

1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済

2011-08-17

「岸壁の母」菊池章子


 昭和29年(1954年)9月、テイチクレコードから発売された菊池章子のレコード『岸壁の母』が大流行(100万枚以上)した。

 作詞した藤田まさとは、上記の端野(はしの)いせのインタビューを聞いているうちに身につまされ、母親の愛の執念への感動と、戦争へのいいようのない憤りを感じてすぐにペンを取り、高まる激情を抑えつつ詞を書き上げた。歌詞を読んだ平川浪竜は、これが単なるお涙頂戴式の母ものでないと確信し、徹夜で作曲、翌日持参した。さっそく視聴室でピアノを演奏し、重役・文芸部長・藤田まさとに聴いてもらった。聞いてもらったはいいが、何も返事がなかった。3人は感動に涙していたのであった。そして、これはいけると確信を得、早速レコード作りへ動き出した。

 歌手には専属の菊池章子が選ばれた。早速、レコーディングが始まったが、演奏が始まると菊池は泣き出した。何度しても同じであった。放送や舞台で披露する際も、ずっと涙が止まらなかった。菊池曰く「事前に発表される復員名簿に名前がなくても、「もしやもしやにひかされて」という歌詞通り、生死不明のわが子を生きて帰ってくると信じて、東京から遠く舞鶴まで通い続けた母の悲劇を想ったら、涙がこぼれますよ」と語っている。

 昭和29年9月、発売と同時に、その感動は日本中を感動の渦に巻き込んだ。菊池はレコードが発売されたとき、「婦人倶楽部」の記者に端野いせの住所を探し出してもらい、「私のレコードを差し上げたい」と手紙を送った。しかし、端野の返事は「もらっても、家にはそれをかけるプレーヤーもないので、息子の新二が帰ってきたら買うからそれまで預かって欲しい」というものであった。菊池はみずから小型プレーヤーを購入し、端野に寄贈した。

Wikipedia

動画検索:「岸壁の母」菊池章子



星の流れに/岸壁の母

端野いせさん・岸壁の母について
岸壁の母のモデル、端野いせと息子新二
「星の流れに」菊池章子、ちあきなおみ、谷真酉美
「戦利品」の一つとして、日本人捕虜のシベリヤ強制労働の道は開かれていた/『内なるシベリア抑留体験 石原吉郎・鹿野武一・菅季治の戦後史』多田茂治
究極のペシミスト・鹿野武一/『石原吉郎詩文集』~「ペシミストの勇気について」
石原吉郎と寿福寺/『内なるシベリア抑留体験 石原吉郎・鹿野武一・菅季治の戦後史』多田茂治

hasino

2011-08-16

杉浦明平、吉田敦彦、内村剛介


 3冊挫折。

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)』杉浦明平〈すぎうら・みんぺい〉訳(岩波文庫、1954年)/旧漢字が読めない。

面白いほどよくわかるギリシャ神話 天地創造からヘラクレスまで、壮大な神話世界のすべて』吉田敦彦(日本文芸社、2005年)/近親相姦の歴史。妻にした、子供を食べた、戦ったという話ばかりだ。

失語と断念 石原吉郎論』内村剛介(思潮社、1979年)/内村は己の自我を保つために石原を餌食にする必要があったのだろう。勇ましく見えるが卑劣なだけの人物だと思う。最初の姿勢が誤っているため全ての論理が破綻している。彼自身の破綻を表すものだ。この小人物を持ち上げるのは左翼だけだろう。

初めに聖書ありき


 科学的な証拠が自分たちの聖書の理解に反するとき、彼らは証拠がまちがっていると考える――聖書の解釈がまちがっているかもしれない、ではなく。

【『黒体と量子猫』ジェニファー・ウーレット:尾之上俊彦〈おのうえ・としひこ〉、飯泉恵美子〈いいずみ・えみこ〉、福田実訳(ハヤカワ文庫、2007年)】

黒体と量子猫〈1〉ワンダフルな物理史 古典篇 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)黒体と量子猫〈2〉ワンダフルな物理史 現代篇 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

2011-08-15

アラン・ブリスキン、シェリル・エリクソン、ジョン・オット、トム・キャラナン


 1冊読了。

 51冊目『集合知の力、衆愚の罠 人と組織にとって最もすばらしいことは何か』アラン・ブリスキン、シェリル・エリクソン、ジョン・オット、トム・キャラナン:上原裕美子訳(英治出版、2010年)/実は批判しようと思って読んだ。集合知が発揮されるのは平均値の計測などであって、パラダイムシフトを促す英知は個人から生まれているからだ。ところが私の前提が誤っていた。本書でいうところの集合知とは、コミュニティや集団の内部で機能し得る問題解決の知性を意味する。これは良書。読んでいる途中で「厳選120冊」に入れたほどだ。翻訳も素晴らしい。本書そのものが集合知を結集したものといってよい。英治出版は本作りも丁寧で好感がもてる。

水上を往く人


 インドネシアの点景。主役は飽くまでも空間だ。思い切って下へ持っていったアングルが素晴らしい。常識人であれば3分の1にするところだ。二次元の中でどう奥行きを表現するか。芸術は永遠を象(かたど)る。見る者は声を掛けずにいられない。「オーイ」と声を発したら、水上を往く人は手を振ってくれるだろうか? それとも私の声は見えない水平線の彼方に吸い込まれて消えるだろうか? 眼を凝らすと右側の小屋には椅子が二つあるようだ。彼と私はそこで談笑するのだ。そんな想像を巡らすと、空間はゆったりと流れる時間をも表していることに気づく。

MiniM

日本の食糧自給率は限りなくゼロに近い


 食糧自給率39%というが、化学肥料やトラクターに使われる燃料(石油製品)をほぼ100%輸入に頼っているということを考えれば、日本の食糧自給率は限りなくゼロに近いんだ。これからは食糧自給率を高めることが、国民的な課題になるだろう。

【『ドンと来い! 大恐慌』藤井厳喜〈ふじい・げんき〉(ジョルダンブックス、2009年)】

ドンと来い!大恐慌 (ジョルダンブックス)

2011-08-14

tumblrに見る危険性


 ヴェーサリーは楽しい。ウデーナ霊樹の地は楽しい。ゴータマカ霊樹の地は楽しい。七つのマンゴーの霊樹の地は楽しい。バフプッタの霊樹の地は楽しい。サーランダダ霊樹の地は楽しい。チャーパーラ霊樹の地は楽しい。

【『ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経』中村元〈なかむら・はじめ〉訳(岩波文庫、1980年)】

 そしてtumblrも楽しい。枕詞(まくらことば)としては、チト不謹慎であったか。

 tumblr三昧の日々を送り、目がチカチカと点滅するほどである。私は専ら画像保存として使っているのだが、写真の刺激にたじろいでいる。情報の圧縮度が桁外れで、静止した時間に想像力が釘づけとなる。

 私は今17人ほどフォローしている。殆ど外国人なんだが、びっくりするほど趣味の合う人がいて親近感が高まる。一つだけ心掛けていることがある。それは私の画像がリブログされた場合、必ず相手のアーカイブを見にゆくこと。もちろん、リブログ返しをしないこともある。少なからず似たような感性があると思って、一応敬意を払っているつもりだ。

 で、数日前のことだが、外国人男性のアーカイブを見たところ、マッチョな男の写真がズラリと並んでいた。「そのスジの方でしたか……」と思いながらも、一枚だけいいのがあったのでリブログを返した。

 1分後、私は凍りついた。「あの画像に何らかの意味やメッセージが込められていたらどうしよう」と。場合によっては「オー、日本人の彼はマイ・ボーイとなることを了承したですね」とか思われる可能性もある。「ユーも今日から黒薔薇団の一員だ」とかね。

tumblr_logo

 ここからが本題だ。tumblrのリブログ、twitterのリツイートという機能は、投票民主主義(=観客民主主義と言い換えてもよい)に酷似している。

 リブログが恐ろしいのは、画像・動画は元より、テキストもそのまんまコピーできることだ。そこには情報の吟味や咀嚼(そしゃく)といった行為が欠如している。

 例えば先ほど挙げた画像の問題を考えてみよう。サイン、シンボル、符牒(ふちょう)、暗号は敵味方を判別するものとして機能することが多い。一番簡単なのは言語である。日本語=日本人だし、方言があれば「おっ、同県人ですか」となる。流行の知識から年代もわかるし、趣味からは人となりが伝わってくるものだ。

 このような情報の圧縮度を限りなく高めてゆくと、最終的に辿り着くのは宗教か数学世界となる。E=mc²とか、マンダラとか、十字架とか、マントラとか、イコンに行き着くのだ。

 生命機能とは自己複製能力を意味する。つまりコピーだ。遺伝子を始め、文化・教育・道徳に至るまでその全てはコピーを目的としている。

 リブログやリツイートの問題は、情報のコピーだけがあって概念のコピーを欠いているところにある。しかも実際はコピーという作業があるだけであって、知識レベルですらコピーされていないことが多い。

 リブログやリツイートをするに至った理由や感覚が透明化されつつあることを私は恐れる。

 時代が閉塞情況に陥ると必ず人々は新しいリーダーを待望する。この心理は教祖に付き従う羊のような信徒と同じものだ。我々はハーメルンの笛吹き男についてゆく子供となりつつあるのかもしれない。

ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経 (岩波文庫)

まだ中毒になっていない人のためのtumblr入門
Bloggerへの画像アップはflickr経由がよさそう&tumblrとの連携について

モンサント社の世界戦略が農民を殺す















遺伝子組み換え企業の脅威―モンサント・ファイル遺伝子組み換え作物が世界を支配するマネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 【アグリスーティカル(食糧・医薬)】編 (超知ライブラリー 53)食糧争奪戦争 (学研新書)

モンサント社が開発するターミネーター技術/『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子
巨大企業モンサント社の世界戦略 遺伝子組換 バイオテクノロジー
遺伝子組み換えトウモロコシを食べる害虫が増殖中、米国
モンサント社七つの大罪(PDF)
モンサント社をめぐる数々の疑惑
モンサント社なしで世界を養う方法は?
モンサント社は何をしようとしているのか
ベトナム戦争の戦争犯罪会社米国モンサント社が南米で同様の犯罪を犯している
TPPで日本をも食で牛耳ろうと企むモンサント社と住友化学の危険な関係

2011-08-13

皮膚に貼るだけ、医療もスパイ活動も変える超薄型電子パッチ

ees

 タトゥー感覚で皮膚に貼るだけで、医療からコンピューターゲームまで、果てはスパイ活動さえも変革してしまうマイクロ電子技術を開発したと、米、中、シンガポールの国際研究チームが11日の米科学誌サイエンス(Science)に発表した。

 厚さ50ミクロン未満、髪の毛1本よりも薄いパッチ状の「表皮電子装置(epidermal electronic system、EES)」は、皮膚と同じくらい柔らかく、重さはゼロに近い。皮膚に貼ればワイヤレスでその人の脳や心臓、筋組織の活動を監視でき、従来のような分厚い電極を装着しなくて済む。のどに貼れば、音声作動式のコンピューターゲームを90%以上の精度で操作できるという。

 のりも粘着性物質も使っていないが、分子と分子を結合させるファンデルワールス力を利用しているため、長時間にわたって皮膚に張り付けておくことが可能。使用電力も非常に少なく、極小の太陽電池を搭載するか周辺を飛び交う電磁波を拾うことで作動するという。

 開発に携わった米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana-Champaign)のジョン・ロジャース(John Rogers)教授(材料工学)は、「電子工学と生物学の区別をうやむやにする技術だ」と語った。

 喉頭疾患患者の発話を補助したり、内密な話をしたい時に声を出さずに交信するための装置として使う可能性も秘めている。睡眠時無呼吸症候群の患者や新生児医療が必要な赤ちゃんへの使用、けが・やけどを治療する電子ばんそうこうの役割も期待できるかもしれない。

「最終的には、皮膚に貼っても感知できないほど皮膚と一体化した装置を開発したい」と、ロジャース教授は話している。

AFP 2011-08-12

 グレッグ・イーガンの世界が現実になりつつある。脳内に埋め込まれるのも時間の問題か。

マイクロチップ

あなたが気づけば非常口は変わる(修正版)

2011-08-11

反逆のグラフィティ・アーティスト(落書き芸術家)「バンクシー(Banksy)」


 ・反逆のグラフィティ・アーティスト(落書き芸術家)「バンクシー(Banksy)」

「Gun Yourself」バンクシー作

「芸術テロリスト」とも呼ばれているイギリスのアーティスト。

Banksy, Gillett Square, Dalston

Banksy - Dungeness

banksy? maybe not.

Banksy

Banksy

Banksy Versus Bristol Museum

BANKSY

banksy

BANKSY - Birmingham, AL

クー・クラックス・クラン(KKK)と反ユダヤ主義


Banksy

 イギリスのロンドンを拠点に活動する覆面芸術家バンクシー。ロンドンのテート・モダンや、ニューヨークのメトロポリタン美術館への無許可展示など、常にスキャンダラスなパフォーマンスで話題の人物。世界中の壁、橋、街の動物園など、あらゆるストリートの一角に、ウィットに富み、破壊力のあるグラフィティで彩りを与えることを仕業としている。そのモチーフは大量破壊兵器を持った猿、スマイリーマークと警察官、ドリルや傘を持ったネズミなど、世界を風刺したものが多い。バンクシーは多くの作品を残しているが、その素性はいまだ多くの謎につつまれている。新旧合わせた彼の代表作を初めてオールカラーで網羅した待望の日本語版が、ついにリリース!

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『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』予告編
Aakash Nihalani カラーテープのストリートアート

2011-08-10

不可触民が偉大な指導者と認めるのはアンベードカルただ一人


「不可触民虐待は少しも改まっていないのをあなたもすでに知ったはずです。
 この国の不可触民は今もなお“農奴”だ、ということも、ね。
 われわれが不可触民の唯一、かつ真に偉大な指導者と認めるアンベードカル博士の例をみてごらんなさい。
 彼は、初代法務大臣として、インド憲法を創設していながら、ガンジーイズム批判者の最右翼の一人として結局国民会議派から追い出されました。国民会議派支配即ちブラーミン・カーストヒンズー支配下のインドでは終始黙殺されています。
 ネルーの、かの有名な『インドの発見』という本の中には、アンベードカルのアの字も見当りません。(中略)
 アンベードカル博士は、いうなれば、不可触民階級の“ジンナー”だったのです。彼が不可触民に分離選挙制度を設けることを主張したとき、ガンジーがお得意の“死の”ハンガーストライキで反対し、結局阻止してしまいました。
 ジンナー同様、裏切り者、分裂主義者のレッテルを貼られたアンベードカル博士の最大の罪は、一億の不可触民を、独立の名においてカーストヒンズーの犠牲にすることを最後まで拒否した、ということなのです。
 だからこそ、われわれは彼を尊敬し、彼の思想の忠実な弟子であることに誇りをもっているのです」

【『不可触民 もうひとつのインド』山際素男〈やまぎわ・もとお〉(三一書房、1981年/光文社知恵の森文庫、2000年)】

不可触民―もうひとつのインド (知恵の森文庫)

合衆国憲法とブッカー・T・ワシントンとジョン・デューイ/『不可触民の父 アンベードカルの生涯』 ダナンジャイ・キール

錯視効果を巧みに利用した白クマのアート作品

Cabeza de oso polar

Cabeza de oso polar.

 Cabeza de oso polar,detalle

騙される快感/『錯視芸術の巨匠たち 世界のだまし絵作家20人の傑作集』アル・セッケル

2011-08-08

瞑想は格闘技だ

meditation

悟りの閃光
瞑想に高い鎮痛効果、米研究
瞑想とは何か/『クリシュナムルティの瞑想録 自由への飛翔』J・クリシュナムルティ
瞑想は偉大な芸術/『瞑想』J・クリシュナムルティ
現代人は木を見つめることができない/『瞑想と自然』J・クリシュナムルティ

何が魔女狩りを終わらせたのか?


 何が魔女狩りを終わらせたかについては、いまだに決定的な学説がない。近代科学と言いたいところだが多分違う。私はキリスト教における「大覚醒」が魔女狩りを葬ったと考えている。つまり科学的合理性よりも、信仰に基づくプラグマティズムが人々の思考回路を変えたのだ。

 人間の脳は物語に支配されているため、集団力学に従うことを合理性と錯覚する癖がある。人間が科学的合理性を重んじるのであれば、近代科学の台頭が教会を滅ぼしていたはずだ。しかしながら脳を支配しているのは感情である。なぜなら言語機能は後になって獲得されたものであるからだ。

 こう考えると魔女狩り終焉からアメリカ支配の時代までが一本の線上に浮かんでくる。

 宗教次元ではプロテスタントが生まれたわけだが、世界構造としてはプラグマティズムに重きを置くべきだろう。すなわち、イギリス産業革命(1760年代)-ロスチャイルド家の金融基盤確立(ネイサンの逆売り、1815年)がプラグマティズムの端緒となり、魔女狩りを終わらせたのだ(と言い切ってしまうぞ)。

 近代の幕が開くと、金融という舞台で消費者が民主主義の劇を演じていた。監督:アメリカ合衆国、演出:ユダヤ資本、脚色:ルパート・マードック、協力:ハリウッド――そんなクレジットが浮かんでくる。

 問題は実利を重んじるプラグマティズムでさえ、キリスト教から脱却することができなかったという歴史的事実だ。多分、「働かざる者食うべからず」という価値観がマッチしたためだろう。

 プラグマティズムを打ち破る概念を探る必要がある。

プラグマティズム (岩波文庫)純粋経験の哲学 (岩波文庫)プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫)

「キリスト教征服の時代」から脱却する方途を探る
魔女狩りの環境要因/『魔女狩り』森島恒雄
魔女は生木でゆっくりと焼かれた/『魔女狩り』森島恒雄
人間は偶然を物語化する/『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ
視覚の謎を解く一書/『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』ロバート・カーソン
アニミズムという物語性の復権/『ネイティヴ・アメリカンの教え』写真=エドワード・S・カーティス
黒人奴隷の生と死/『生活の世界歴史 9 北米大陸に生きる』猿谷要
マネーと民主主義の密接な関係/『サヨナラ!操作された「お金と民主主義」 なるほど!「マネーの構造」がよーく分かった』天野統康
シオニズムと民族主義/『なるほどそうだったのか!! パレスチナとイスラエル』高橋和夫
ネイサン・ロスチャイルドの逆売りとワーテルローの戦い/『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵
化物世界誌と対蹠面存在否定説の崩壊/『科学と宗教との闘争』ホワイト:森島恒雄訳

モンサント社が開発するターミネーター技術/『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子


『給食で死ぬ!! いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!』大塚貢、西村修、鈴木昭平
『伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く』島田彰夫
『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』島泰三

 ・モンサント社が開発するターミネーター技術

『タネが危ない』野口勲
『野菜は小さい方を選びなさい』岡本よりたか
『土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命』ゲイブ・ブラウン

 世界はカラクリで動いている。金融というゼンマイを巻くことで経済という仕掛けが作動する仕組みだ。そもそも資本主義経済は壮大なねずみ講といってよい。消費者に損をしたと思わせないために広告代理店がメディアを牛耳っている。テレビCMは五感を刺激し欲望を掻(か)き立てる。経済通は口を開けばGDPの成長を促す。生産と消費は食物摂取と排泄(はいせつ)みたいなものだ。あ、そうか、我々は無理矢理エサを食べさせられるガチョウってわけだな。

フォアグラができるまでアヒルのワルツver.

 ローマクラブが『成長の限界』で人類の危機を指摘したのが1972年のこと。これが椅子取りゲームの合図であった。エネルギーと食糧を先進国で支配し、発展途上国が豊かになることを未然に防ごうとしたわけだ。

世界中でもっとも成功した社会は「原始的な社会」/『人間の境界はどこにあるのだろう?』フェリペ・フェルナンデス=アルメスト

 先物相場で取引されるものをコモディティ(商品)というが、貴金属と非鉄金属以外は食糧とエネルギーである。元々生産者を保護するための先物相場は大阪の堂島米会所から始まったものだ。ところが現在は完全に投機の対象となっている。

 日本の食糧自給率はカロリーベースで40%、生産額ベースで70%となっている(2009年)。これは多分、アメリカの戦後支配によって誘導されてきた結果であろう。敗戦の翌年(1946年)、学校給食にパンが用いられた。アメリカ国内で小麦が余っていたためだ。

戦後の食の歴史を学ぶ:「日本侵攻 アメリカ小麦戦略」
現在のアレルギー性疾患増加は戦後の「栄養改善運動」と学校給食、そしてアメリカの小麦戦略によって作られた

 食糧とエネルギー、はたまた軍事に至るまで外国頼みである以上、日本が国家として独立することは極めて困難だ。

 そしてアメリカはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)という新ルールを日本に課すことで、カラクリを一層強化しようと目論んでいる。

中野剛志

 アグロバイオ(農業関連バイオテクノロジー〔生命工学〕)企業が、特許をかけるなどして着々と種子を囲い込み、企業の支配力を強めています。究極の種子支配技術として開発されたのが、自殺種子技術です。この技術を種に施せば、その種子から育つ作物に結実する第二世代の種は、自殺してしまうのです。次の季節にそなえて種を取り置いても、その種は自殺してしまいますから、農家は毎年種を買わざるを得なくなります。
 この技術は別名「ターミネーター・テクノロジー」と呼ばれています。『ターミネーター』という映画(1985年、米国)をご覧になった方もあるでしょう。(中略)次の世代を抹殺する自殺種子技術の非道さは、まさに映画の殺人マシーン〈ターミネーター〉と重なります。
 この技術の特許を持つ巨大アグロバイオ企業が、世界の種子会社を根こそぎ買収し、今日では、出資産業が彼ら一握りのものに寡占化されています。彼らは、農家の種採りが企業の大きな損失になっていると考え、それを違法とするべく活動を進めているのです。

【『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子(平凡社新書、2009年)以下同】

 検索したのだが、創業者であるジョン・F・クイーニーの情報がネット上に見当たらない。完全支配の発想がユダヤ的だと思うのだがどうだろうか。種の生殺与奪を握る権限という考え方はアジアからは生まれそうにない。砂漠で生きてきた民族の思考に由来するものだろう。

 病的な発想だ。きっと宗教的な妄想に取り付かれているのだろう。こんな連中が世界を支配しているのだから、貧困がなくなるわけもない。というよりはむしろ、彼らによって貧困が維持されていると考えるべきだろう。

 途上国はおしなべて農業国といえるのですが、農業国でなぜ飢えるのか。それは世界銀行が指南してきた開発モデルに従い、債務を返済するために地場の自給農業をやめて、農地ではもっぱら先進国向けの換金作物を生産しているからです。バナナ、サトウキビ、綿花、コーヒー、パーム椰子などを生産し輸出する、穀物は米国やフランスなど先進国からの輸入に依存するという構造を押しつけられてきました。
 世界銀行やIMF(国際通貨基金)の「助言」に従って自給農業を犠牲にした結果、主食を金で買うしかない、こうした貧しい国々が穀物高騰の直接的影響を蒙ったといえます。

 世界銀行を知るには以下の2冊が参考になる。

世界銀行の副総裁を務めた日本人女性/『国をつくるという仕事』西水美恵子
経済侵略の尖兵/『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス

 世界銀行とIMFの仕事は発展途上国を債務超過にすることである。つまり借金漬けにした上でコントロールするのだ。これを親切に涼しい顔でやってのけるのが白人の流儀だ。

 経済とは交換(trade,swap)である。その取引(deal)においてインチキがなされているのだ。アフリカがいつまで経っても貧困と暴力に喘いでいるのは、ヨーロッパが植民地化し、アメリカが奴隷化した歴史のツケが回っているためだ。彼らは有色人種や異教徒を同じ人間とは見なさない。

 いまでは全米のトウモロコシの3割がバイオエタノール用に降り向けられた結果、食用向けが逼迫して高騰しました。トウモロコシが高値で取引されることから、農家は大豆や小麦の生産をやめ、トウモロコシへ転換するようになりました。生産量の減少で小麦と大豆も価格が上がりました。
 原油の値上がりもバイオ燃料ブームを引き起こした一因です。

 食べ物が工業用エネルギーに化けた。経済的合理性は利潤を追求するので、生産者はより高い作物を育てようとする。政治や市場はこのようにして人々の生活を破壊する。過当競争が終われば必要な物が不足している。

 特定の方向に傾きやすいのは不安に根差しているのだろう。これがファシズムの温床となる。アメリカの農業は既に工業の顔つきをしている。

 モンサント社は遺伝子組み換え技術を使った牛成長ホルモンrBST(recombinant Bovine Somatotoropin' 商品名「ポジラック」)を開発し、米国では1994年より大人の乳量増加のために使用されてきました。「ポジラック」を乳牛に注射すると、毎日出す乳の量が15~25%増えるうえに、乳を出す帰還も平均30日ほど長くなるといいます。(EUはrBSTに発ガン性があるとして輸入禁止。カナダ政府保健省はrBSTによって牛の不妊症、四肢の運動麻痺が増加すると報告した。日本には規制がないためフリーパスで入ってきた。)

 生産性を上げるためなら、こんな残酷な真似までするのだ。我々人類は。

家畜の6割が病気!

 日本の場合、屠畜上で検査されて、抗菌性物質の残留や屠畜場法に定められた疾病(尿毒症、敗血症、膿毒症、白血病、黄疸、腫瘍など)や奇形が認められることが頻発しています。その場合、屠殺禁止、全部廃棄、また内蔵など一部廃棄となるのですが、その頭数は牛・豚ともに屠殺頭数の6割にも達します(2006年度)。出荷される家畜の多くが病体であるという現実はほとんど知られていません。疾患のある内装は廃棄されるとはいいえ、その家畜の肉が健康な肉といえるでしょうか。
 私たちの身体は食べたものでできており、何を食べるかで健康は大きく左右されます。この意味からも、病体の家畜を大量に生み出す生産方式を問い直す必要があるのです。

 元々食肉業界は闇に包まれている部分が大きい。

アメリカ食肉業界の恐るべき実態/『ファストフードが世界を食いつくす』エリック・シュローサー

 ターミネーター技術とは、作物に実った二世代の種には毒ができ、自殺してしまうようにする技術のことです。この技術を種に施して売れば、農家の自家採種は無意味になり、毎年種を買わざるを得なくなります。この自殺種子技術を、「おしまいにする」という意味の英語 terminate から、RAFI(現ETC、カナダ)がターミネーターと名づけました。

 更にこの技術を進化させているそうだ。

 また業界はターミネーター技術をさらに進化させた、トレーター技術も開発しています。植物が備えている発芽や実り、耐病性などにかかわる遺伝子を人工的にブロックして、自社が販売する抗生物質や農薬などの薬剤をブロック解除剤として散布しない限り、それらの遺伝子は働かないようにしてあります。農薬化学薬品メーカーでもあるこれらの企業の薬剤を買わなければ、作物のまともな生育は期待できないのです。RAFIが、この技術を指す専門用語 trait GURT にかけて traitor (裏切り者)技術と名づけました。自社薬剤と種子のセット売りは、除草剤耐性GM作物の「自社除草剤と種子のセット売り」戦略と同じです。ターミネーター技術やトレーター技術を開発するのをみれば、アグロバイオ企業の真の狙いは種子の支配なのだと思わされます。

 最終的に彼らは太陽の光や空気も支配するつもりなのだろうか?

 遺伝子組み換え作物に導入した特性は、次世代にも引き継がれます。そのためモンサント社の種子を購入する農家は、特許権を尊重するテクノロジー同意書に署名させられ、どんな場合でも収穫した種子を翌年に播くことは許されません。毎年種会社から種を買うことが求められます。

 これをパテント(特許)化することで完全支配が成立する。実際に行われている様子が以下。

 2003年7月、市民団体が招いたシュマイザーの講演によると、北米で、農民に対してモンサント社が起こした訴訟は550件にも上るといいます。モンサント社は、組み換え種子の特許権を最大限に活用する戦略を展開しています。遺伝子組み換え種子を一度買った農家には、自家採種や種子保存を禁じ、毎年確実に種子を買わせる契約を結ばせます。そうでない農家には、突然特許権侵害の脅しの手紙を送りつけるというものです。農家の悪意によらない、不可抗力の花粉汚染であるなら、裁判では勝てると常識的に思うのですが、法廷に持ち込まれることはほとんどないといいます。農民は破産を恐れ、巨大企業モンサント社との裁判を避けるために、示談金を払うしかないのだそうです。

 こうしてモンサント社は訴訟をもビジネス化した。

 モンサント社は特許権を守るというより、損害賠償をビジネスとして展開しています。ワシントンにある食品安全センター(FSC)の2007年の調査によると、モンサント社は特許侵害の和解で1億700万~1億8600万ドルを集め、最高額はノースカロライナ農民に対しての305万ドル(約3億500万円)だったそうです。モンサント社は訴訟分野を強化するため、75人のスタッフを擁する、年間予算1000万ドルの新部門を設置したといいます(03年)。

 なぜ、これほど悪辣な企業が大手を振って歩いているのだろうか? それは多額の政治献金を行っているからだ。そして天下りも受け入れている。抜かりはない。

 また次の改定では、研究機関の新品種へのアクセスは、10年間禁止し、その後、登録とロイヤリティの支払いを求めるとしています。そしてこれを実行ならしめるため、種子銀行システムを構築するとしています。品種育成のために使用できる合法種子は、種子銀行から正式な手順に従って許可された種子だけとなり、それにはロイヤリティの支払いを伴うことになります。

 文字通り農業を根こそぎ私物化し、自分たちの言い値で販売する戦略だ。もはや戦略というレベルではなく、世界全体の植民地化といってよい。

 彼らは何を目指しているのか?

 この種子銀行システム構想の下敷きになっているのが、国際農業研究協議グループ(CGIAR)の遺伝子銀行やノルウェー領に建造された週末趣旨貯蔵庫ではないでしょうか。
 ビル・ゲイツのビルアンドメリンダゲイツ基金、ロックフェラー財団、モンサント社、シンジェンダ財団などが数千万ドルを投資して、北極圏ノルウェー領スヴァールバル諸島の不毛の山に終末趣旨貯蔵庫を建造し、2008年2月に活動を開始しています。ノルウェー政府によれば、それは、核戦争や地球温暖化などで趣旨が絶滅しても再生できるように保存するのが目的といいます。
 この貯蔵庫は、自動センサーと二つのエアロックを備え、厚さ1メートルの鋼鉄筋コンクリートの壁で出来ています。また爆発に耐える二重ドアになっています。北極点から約1000キロメートル、摂氏マイナス6度の永久凍土層深くに建てられた終末種子貯蔵庫には、さらに低温のマイナス8度の冷凍庫3室があり、450万種の趣旨を貯蔵できます。
 核戦争や自然災害など深刻な災害に世界の農業が見舞われたとき、果たして各国はこの貯蔵庫から種子を取り出し、食料生産を再開することができるのでしょうか。

終末の日の要塞 スヴァールバル世界種子貯蔵庫

 種子のマネー化である。農業の金融化。利息が利息を生んで自動的に増殖する仕組みだ。

信用創造のカラクリ
「Money As Debt」

 グローバリゼーションがニュー・ワールド・オーダー(新世界秩序)を目指したものであるならば、彼らは用意周到に恐るべき忍耐力を発揮しながら、それを必ず実現させることだろう。

 世界の仕組みを理解するための必読書であることは確かだが、如何せん最初から最後まで市民的な正義が全開となっており疲れを覚える。



モンサント社の世界戦略が農民を殺す
巨大企業モンサント社の世界戦略 遺伝子組換 バイオテクノロジー
遺伝子組み換えトウモロコシを食べる害虫が増殖中、米国
「遺伝子組換食品の脅威」ジェフリー・M・スミス
穀物メジャーとモンサント社/『面白いほどよくわかる「タブー」の世界地図 マフィア、原理主義から黒幕まで、世界を牛耳るタブー勢力の全貌(学校で教えない教科書)』世界情勢を読む会
資本主義経済崩壊の警鐘/『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン
癌治療の光明 ゲルソン療法/『ガン食事療法全書』マックス・ゲルソン
アメリカの穀物輸出戦略/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘

2011-08-07

人生のハードル


 この世に生まれた時から人は競争を強いられる。大人たちは既に数多くのハードルを用意し、赤ん坊は20年ほど走らされることになる。

「位置について」――入学、進級、卒業は競争の合図だ。

Hurdles

 結果を左右するのは才能や素質であるかもしれない。努力が通用するのは低いレベルの世界だ。山登りを愛する人は多いが、エベレストを制覇できるのはほんの一握りの人々に限られる。

「1位にならなければ意味がない」。本当にそうだろうか? 人生という競争で1位になれなければ、生きている甲斐はないのだろうか?

 私は中学の時に野球をしていた。2年でレギュラーとなり、3年で4番打者となった。札幌で優勝し、全道大会の準々決勝で敗れた。サヨナラ負けであった。

 野球は4番打者だけではできない。ピッチャーだけでもできない。そして何にも増して、相手チームがいなければゲームは成り立たない。

 試合が終わって、審判の下(もと)で両チームが挨拶をし握手を交わす。声を掛けるのは負けたチームだ。「頑張れよ」「次も勝てよ」と、たわいない言葉である。しかしそのわずかな瞬間に二つのチームは完全に一つとなる。全員が味方と化す。

 他人が勝手に用意したハードルを跳ぶ行為は、サーカスで曲芸をさせられる動物と似ている。飴とムチを与えれば一通りのことはできるようになるものだ。社会の順応競争に勝った彼らは省庁や大企業に送り込まれ、高額な報酬を約束される。

2表 都道府県別企業数、常用雇用者・従業者数(民営、非一次産業、2009年)PDFファイル

 企業数の構成比は大企業が0.3%であり、従業員構成比は37.1%となっている。

図録 正規雇用者と非正規雇用者の推移

 非正規雇用者が35.4%(2011年)とすると、労働者人口に占める大企業の社員数は24%となる。

 ここに勝敗の基準を置く人は社会の奴隷といってよい。こんなものは15センチほどの定規で計測可能な価値観である。人生とはもっと複雑なものだ。真っ直ぐな定規で測れない事柄も多い。ゆえに妙味もある。

 ハードルは自分で用意すればいい。それまで跳べなかった高さを跳んだ瞬間に人生の色彩は劇的に変わる。たとえ老いたとしても、そんな光を放っていたい。

2011-08-06

佐藤春夫、池上英洋、ウンベルト・マトゥラーナ、フランシスコ・バレーラ、熊谷晋一郎


 4冊挫折。

 挫折50『退屈読本(上)』佐藤春夫(冨山房百科文庫、1978年)/冒頭の解題で丸谷才一が絶賛している。あの小うるさい丸谷が手放しで褒めているのだ。どうしたって読み手は意気込んでしまう。で、直ぐ挫けた。文体から伝わってくる佐藤の繊細さがどうも肌に合わない。たぶん抑制されているから繊細に映るのであって、本当は随分と神経質な人物ではなかったか。鎌倉とか杉並あたりの街並に覚える違和感とよく似たものを感じた。

 挫折51『ダ・ヴィンチの遺言』池上英洋(KAWADE夢新書、2006年)/暑さに負けて読めず。ダ・ヴィンチは仕事が遅かったそうだ。

 挫折52『知恵の樹 生きている世界はどのようにして生まれるのか』ウンベルト・マトゥラーナ、フランシスコ・バレーラ/管啓次郎〈すが・けいじろう〉訳(朝日出版社、1987年/ちくま学芸文庫、1997年)/オートポイエーシスの入門書。これは間違いなく良書だと思われる。あとで読む。

 挫折53『リハビリの夜』熊谷晋一郎〈くまがや・しんいちろう〉(医学書院、2009年)/これも良書だ。第9回新潮ドキュメント賞受賞作。あとで読む。