2011-12-21

東北地方太平洋沖地震 発生地点・規模・時刻分布図(2011/10/15)


2011年1月1日00:00~10月15日00:00に日本周辺で発生したM3.0以上の地震まとめ

 この分布図は個人が作成した非公式な情報です。気象庁が公表した資料を参照しています。M3.0以上の地震をまとめています。



写真集 THE DAYS AFTER東日本大震災の記憶TSUNAMI3・11: 東日本大震災記録写真集報道写真全記録2011.3.11-4.11 東日本大震災河北新報特別縮刷版 3.11東日本大震災1ヵ月の記録

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プリーモ・レーヴィ


 1冊読了。

 72冊目『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』プリーモ・レーヴィ:竹山博英訳(朝日選書、1980年)/『溺れるものと救われるもの』に向かって、まずは一合目をクリア。27歳の若者が地獄を謳い上げた事実に驚嘆する。それにしても何と美しい文章なのだろう。思わず書き写したい衝動に駆られた。原題は『これが人間か』。瑞々しい言葉で描かれる地獄と死が人間の闇と光を示す。

2011-12-20

脳を若く保ちたいなら食事は少なめに、米研究


 少なめの食事を続けると脳を若く保てる可能性があることがマウスの実験で明らかになったとする論文が、19日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

 カロリー制限をしたマウスはカロリー制限をしなかったマウスに比べ、認知能力と記憶能力が高く、攻撃性が少なく、アルツハイマー病を発症しないか発症が遅れる傾向があることは知られていたが、その詳しい理由は分かっていなかった。

 イタリア・ローマ(Rome)の聖心カトリック大(Catholic University of Sacred Heart)医学部のジョバンバッティスタ・パーニ(Giovambattista Pani)氏のチームは、長寿と脳の活発な働きに関連した遺伝子群を活性化させるタンパク分子「CREB1」に着目し、マウスで実験を行った。CREB1は記憶、学習、不安抑制などの重要な脳機能を制御し、その活動は加齢とともに低下することが知られていた。

 今回の研究で、CREB1を持ったマウスとCREB1を持たないよう遺伝子を改変したマウスに通常の約70%の量の食事を与え続けたところ、後者のマウスは記憶力で前者に劣った。CREB1を持たないマウスの脳機能は食べ過ぎのマウスの脳の場合と同じだった。

 パーニ氏は、「この発見を基に、脳を若く保って脳の退化や老化を防ぐための治療法が確立されるかもしれない」と話した。

 米ニューヨーク(New York)にあるザッカーヒルサイド病院(Zucker Hillside Hospital)の神経科長、マーク・ゴードン(Marc Gordon)氏は、中年時代に肥満だった人が後になって認知症を発症することがあるが、その原因を探る上で今回の結果は有意義だと指摘した。

AFP 2011-12-20

貧富の差

今年一年のハリウッド映画感がハンパなさすぎる

ええ!ビンラディンとカダフィと金正日が死んで日本で大地震と大津波が起こって原発がメルトダウンしてEUが経済危機でウォール街でデモが起こるとか、今年一年のハリウッド映画感がハンパなさすぎるのかい?今頃トム・クルーズが陰謀と戦ってたりするのかい?
Dec 19 via webFavoriteRetweetReply

CIAのサルコジ作戦


 CIAがいかにしてその諜報員をフランス共和国大統領に据えたか。ニコラ・サルコジの素性と経歴から明らかになるアメリカ、コルシカ、ロスチャイルド(イスラエル)のコネ­クション。2008年7月19日発表政治評論家ティエリ・メサンの論文より。


サルコジ

再植民地化へいかに抵抗するべきか リビア戦争の教訓

テロリストと同盟したNATOのリビア経済戦争

強姦された女性「加害者と結婚するしかない」、アフガニスタン


 アフガニスタンのグルナス(Gulnaz)さんは、親類の男に性的暴行を受けて姦通罪で有罪となった後、赦免され釈放された。だがグルナスさんは、兄弟から殺害の脅しを受けており、自分に性的暴行を加えた男と結婚せざるをえなくなっている。

 自分の正確な年齢を知らず、20~21歳くらいだというグルナスさんは、青いブルカ(イスラム教徒の女性の顔や体を覆う衣装)を身につけて、静かな口調でAFPの取材に応じた。取材中、グルナスさんの足もとの床では、加害者との間に生まれた娘が遊んでいた。

「私は、彼と結婚しなければならない。子どもの父親が必要です。娘の世話をして、私たちに住むところを与えてくれる人が必要です」と、グルナスさんは語った。

「住むところがありません。私の兄弟たちは、私と私を襲った男と娘を殺すと誓いをたてました」

性的暴行受け、「道徳上の罪」で有罪に

 グルナスさんはいとこの夫に性的暴行を受け、「道徳上の罪」をおかした罪で2年間服役し、13日に釈放された。アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領が1日、国際社会からの批判を受けてグルナスさんの赦免を決定したが、実際の釈放までにはそれからさらに2週間がかかった。

 グルナスさんは現在、超保守的なアフガニスタン社会で、娘と自分の安全を確保し、家族の名誉を取り戻すために、自分を襲った男と結婚することを余儀なくされている。

 グルナスさんを支援する活動家らは、アフガニスタンにありふれているこういった迫害を「(旧支配勢力の)タリバン(Taliban)時代の遺物」と呼び、アフガニスタンの民主化を目指して行われた米軍主導の進攻から10年が過ぎても続く、女性の権利の低さを訴えている。

 グルナスさんは、警察に性的暴行を受けたことを申し立て、拘束された。

「男を逮捕してと政府に請願したけれど、捕らえられたのは私だった。私は無実なのにどうして拘束されたの?」と、グルナスさんは語る。

「加害者と結婚」が唯一の選択肢か

 グルナスさんはカブール(Kabul)の刑務所内で赤ちゃんを育てた。釈放後の今も、身の危険をおそれ、非公開の場所にある女性用の避難施設の中での生活を強いられている。

 グルナスさんの弁護士を務める米国人のキンバリー・モトリー(Kimberley Motley)氏は、「(グルナスさんは)自分自身と娘を守るための最善の方策を模索している」と語る。だが、加害者の男は5年先まで服役中の見通しで、男と結婚して先に進むことも難しい。

「不幸なことに、女性が暴行された被害者だったとしても、自分を襲った男を受け入れて結婚することが、女性が自分の身を守るための最善の方策であると考える文化がある」と、モトリー氏は語る。「残念ながら、このようなタリバン時代の遺物が今もなおアフガニスタン文化に影響力を持っているのだ」

 国際NGOオックスファム(Oxfam)が10月に発表した報告書によると、アフガニスタン女性の87%が、肉体的・精神的・性的暴力または強制結婚の被害に遭っている。

 モトリー氏は、赦免を決定したことで、カルザイ大統領や検察当局は、性的暴行の被害者の女性たちを起訴するべきでないと認識したことになると指摘する。

「娘を学校に通わせたい」

 グルナスさんは、自分の事件に関心が寄せられたことに感謝しているという。多くの女性はそのような幸運に恵まれない。

「私は恐れていません。彼は私を受け入れました。私も彼を受け入れました」と、グルナスさんは語る。

「娘を学校に通わせたい。彼女に医師になってほしい」

AFP 2011-12-20

独裁者が69歳で死亡説デマ。数字遊びは洗脳に誘い込む入口


 しかし、少し危険性を感じるのは、カルト宗教はこのような人間の習性をとことん熟知して、それをカルトに引きずり込む「道具」にしているということだ。

 このような「数字遊び」はカルト宗教の独壇場なのである。

 つまり、ありもしない数字の意味を解析しようとするのは、カルトの手口になっていることを知ったほうがいいということだ。

鈴木傾城〈すずき・けいせい〉

人間は偶然を物語化する/『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ
相関関係=因果関係ではない/『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン
神は神経経路から現れる/『脳はいかにして〈神〉を見るか 宗教体験のブレイン・サイエンス』アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ロース

大川小の行方不明者捜索自衛官に勇気を与えた小学生の手紙


 東日本大震災では10万人もの自衛官が派遣された。救った人名は2万人にも上る。だが、彼らの奮闘はこうした数字だけでは推し量れないものも数多く存在する。そこでSAPIOは多くの自衛官にインタビューし、その埋もれたエピソードを発掘した。今回は宮城県石巻市立大川小学校で行方不明者の捜索に携わった自衛官たちに話を聞いた。



 石巻を襲った津波による最大の悲劇の一つが大川小学校の壊滅だった。石巻市立大川小学校は、児童108人のうち74人が死亡または行方不明となった。学校周辺や校舎内では、自衛隊による必死の不明者捜索が行なわれ、瓦礫や汚泥が取り除かれた。そして震災から約1か月後。
「すいません!」
 4月6日、大川小学校近くの追波川河川運動公園に設けられた宿営地内を歩いていた第14戦車中隊(岡山)の石井宣広3曹は、突如、背後から声を掛けられた。
 その可愛らしい声の主は、ワンピースを着た小さな女の子だった。少女は、振り向いた石井3曹にこう言った。
「これ、読んでください……」
 石井3曹に封筒を渡した少女は、名前も告げずに走り去っていった。少女は、母親と思しき女性の運転する車でやってきて、偶然近くを歩いていた石井3曹に手紙を渡したのである。
 そこには、覚えたてのたどたどしい文字でこう綴られていた。
〈じえいたいさんへ。
 げん気ですか。
 つなみのせいで、大川小学校のわたしの、おともだちがみんな、しんでしまいました。でも、じえいたいさんががんばってくれているので、わたしもがんばります。
 日本をたすけてください。
 いつもおうえんしています。
 じえいたいさんありがとう。
  うみより〉
 石井3曹は込み上げるものを必死で堪えた。
「胸がいっぱいになりました……。あの頃は、発災から1か月が経とうとしており、疲れもたまっていたのですが、あの手紙で、『明日からも頑張るぞ!』と皆、勇気が湧いてきたのです。そして自分たちのやっていることが人々のためになっているんだ、とあらためて認識しました」
 その後、この手紙は第14旅団長・井上武陸将補の陣取る女川の指揮所に届けられ、たちまち各派遣部隊に伝わった。
 井上旅団長は言う。
「手紙を見た時は、もう体中の血が逆流するほどの思いでした。『よし、どんなことがあっても全員を捜し出すぞ!』という思いが漲ってきましたよ。うみちゃんは、どんな思いでこの手紙を書いてくれたんだろうと思うと……」
 少女が自衛隊に寄せた『日本をたすけてください』という切実な祈りに全員が奮い立った。中には、手紙のコピーを手帳に挟んで災害派遣活動に励む隊員もいた。同県利府町の加瀬沼公園に宿営地を設営した北海道の第1高射特科群のある中隊指揮所にも、この手紙のコピーがボードに貼り付けられた。
 東日本大震災から49日目にあたる4月28日、飯野川第二小学校の体育館で、大川小学校の犠牲者の合同慰霊祭が営まれた。祭壇には74の可愛らしい児童の顔写真が並んだ。その中には、いまだ行方不明の6人の児童の写真もあった。
 その間も、第14旅団の隊員たちは、うみちゃんの手紙を胸に、行方不明の児童を捜し続けていたのである。

【※SAPIO 2011年8月17日・24日号

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TSUNAMI3・11: 東日本大震災記録写真集報道写真全記録2011.3.11-4.11 東日本大震災闘う日本 東日本大震災1カ月の全記録

写真集 THE DAYS AFTER東日本大震災の記憶

被災地で酔い潰れた自衛官
東日本大震災で記憶に残った写真
被災小学生が発行した壁新聞/『宮城県気仙沼発! ファイト新聞』ファイト新聞社

2011-12-19

世界を不安定化させるアメリカ


 しかし、アメリカは2011年に入ってから、現行の社会システムを意図的に破壊しようとしている。

 これは北アフリカ・アラブ圏の安定していた政権を2011年にすべてひっくり返したことで分かる。

 イラクも不安定化した。アフガンも不安定化した。パキスタンも不安定化した。

 そして、チュニジアも、エジプトも、リビアも、イエメンも、シリアも、すべてドミノの駒を倒すかのように不安定化していっている。

鈴木傾城〈すずき・けいせい〉

soldiers pledge

【TPPの真実】米国の狙いはやっぱり267兆円の郵貯マネー


下院公聴会でも、日本の財産を“米国のサイフ”にする魂胆丸出し

 今月14日、米下院でTPPに関する公聴会が開かれたが、米国の重要ターゲットのひとつが日本郵政であることがハッキリした。出席者の多くが「日本郵政問題が重要事項」と発言。「農業や自動車ではなく、日本郵政が本丸じゃないか」(市場関係者)という見方まで飛び出している。
 TPPは金融サービス分野も対象としている。「米国はTPPに乗じて、郵貯マネーを奪いにきている」(経済評論家・黒岩泰氏)のだ。
 ゆうちょ銀行の預金残高は174兆6532億円(11年3月末)、簡易保険(かんぽ生命)の保険契約準備金は92兆8178億円。いわゆる郵貯マネーは267兆円を超えている。ひと頃の350兆円に比べれば減少したとはいえ、三菱UFJフィナンシャル・グループの124兆円をはるかにしのぐ規模だ。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストが言う。
「米国は日本の金融市場は閉鎖的だと主張し、開放を求めています。しかし具体的な要求が見えてきません。小泉・竹中チームが進めた完全民営化を実行しろということでしょう」
 野田政権は郵政株式売却凍結法を成立させ、政府が3分の1超を保有する方向で動いている。米国はこれを「暗黙の政府保証が続く」「公正な競争条件ではない」と批判。TPPで、完全民営化を要求してくる。
 だが、米国の本当の狙いは金融市場の開放などではない。国民の財産を根こそぎ奪う謀略だ。「日本郵政を上場させ、米金融機関を大株主として送り込む。日本郵政は現在、日本国債で多くを運用していますが、運用利回りの有利な米国債など外債に変更させる。米金融機関の増資に応じてもいいし、国際的なM&Aに投資させる手もある。大株主として次々と提案してくるでしょう。要するに郵貯マネーを米国のサイフにしたいのです」(黒岩氏)
 庶民がコツコツと貯めてきた267兆円が、米国救済のために使われる。そんな馬鹿なことを許していいはずがない。だから野田無能シロウト政権によるTPP参加は、怖いのだ。

ゲンダイネット 2011-12-17

中野剛志

バッハをキリスト教に閉じ込めてはならない/『J・S・バッハ』礒山雅


 私は、バッハにおけるキリスト教の役割を軽視する考えには、絶対に反対である。バッハにとってこれほど大切だったものを尊重し、その内容を知り、その影響を考えることは、正しいバッハ理解のための不可欠の条件であると思う。その意味では、聖書の勉強がたいへん役に立つ。
 だが、だからといってバッハを、キリスト教に閉じ込めてはならない。バッハを教会で聴くのはいいものだが、演奏の場を教会に限るべきではないだろう。それと同じように、バッハのメッセージも、当時の教会の教えにすべて還元されるべきではない。むしろわれわれは、バッハがその教えの上に立ちながら、いかに国境と時代を超えた作品を作り出したかに、目を注ぐべきである。
 バッハの人間理解に深さが感じられるのは、彼が人間の概念を、いつも人間を超えたものとの関係においてとらえているからではないだろうか。

【『J・S・バッハ』礒山雅〈いそやま・ただし〉(講談社現代新書、1990年)】

 我が音楽の嗜好は20代でロックからブラックミュージックへと進み、ワールドミュージックを経て沖縄ポップスに辿り着いた。そして40代の後半になってTha Blue HerbとSIONの歌声に耳を委ねている。そんな私だが「一曲だけ選べ」と言われたら、迷わず『マタイ受難曲』と答える。バッハと出会ったのは丸山健二の小説でのこと。

丸山健二と『マタイ受難曲』/『虹よ、冒涜の虹よ』丸山健二

 直ちに名演との誉れ高いカール・リヒター指揮の1958年盤を取り寄せた。丸山の形容は決して大袈裟なものではなかった。

 礒山のリベラルな精神が見事にバッハを捉える。リベラルとは中途半端を意味しない。常に別の可能性を模索し得る柔軟な精神性を指すのだ。

 世界はイデオロギーという絵の具で色分けされている。つまり「所属」を通して人間を判別するのだ。どの国家、どの宗教、どの政党、どの学校、どの企業、どの地域に所属しているのか? 氏素性(うじすじょう)というのも一緒である。

 我々はありのままの人間を見つめる前に敵か味方かを問うのだ。これは多分本能に基づいているのだろう。石器時代であれば、「騙(だま)される」ことは死を意味する。

 それゆえ世界の挨拶は「味方であること」を示すサインとなっている。握手は利き腕に武器を持っていない証拠であるし、日本のお辞儀は人間の急所である頭部を相手に差し出す行為だ。ハグも攻撃され得る距離に身を委ねる営みである。

 例えば礒山とは反対にクリスチャンとしてのバッハを論じることも可能だろう。しかしバッハという人物の幅を狭めることで、多くの共感を獲得することは困難であろう。

 礒山が見つめるのは「人間バッハ」である。視点の高さがバッハという地平を豊かに広げる。

J・S・バッハ (講談社現代新書)バッハ:マタイ受難曲

バッハはリズム、モーツァルトはメロディ、ワーグナーはハーモニー/『J・S・バッハ』礒山雅
バッハ「マタイ受難曲」カール・リヒター指揮
「ヨハネ受難曲」「マタイ受難曲」バッハ

名作のタイトルに一文字足すとよく分からなくなる

パコ・ラバンヌ(Paco Rabanne) 2012年春より


 後ろ姿、ではない。帽子から目が覗(のぞ)いている。メタリックカラーがぴったりと身体にフィットする。近未来というスタイル。機能を兼ね備えた美しさが性的なメッセージを斥(しりぞ)けている。足元を軽くしたセンスがまた憎い。

pac

Paco Rabanne - Paris Fashion Week: Spring 2012

「シリア政権打倒への西洋諸国の戦略」ティエリ・メサン


 シリアではイスラエル安定のための現政権打倒計画が進んでいる。2011年6月13日。

「9.11米同時多発テロ 知られざる事実」エリック・ローラン



戦争好きブッシュとアメリカブッシュの「聖戦」―宗教、ビジネス、闇のネットワーク石油の隠された貌終りなき狂牛病―フランスからの警鐘

9.11テロ、ペンタゴン攻撃はミサイル「トマホ-ク」か



9.11 ~N.Y.同時多発テロの衝撃の真実~ [DVD]

2011-12-18

過去65年で未成年者数万人が性的虐待被害、オランダ教会


 オランダの独立調査委員会は16日、国内のカトリック教会で1945年から2010年までの間に数万人の未成年者が神父、修道士らの教会関係者から性的虐待を受けていたことが判明したとの報告書を発表した。子どもの被害者は数千人。

 加害者約800人の身元も確認し、うち少なくとも105人は生存していると述べた。聖職の座に依然就く人数は不明。

 悪質なものから軽微なものまでの虐待の被害者は後遺症に数十年悩み、専門的なカウンセリングが必要な場合もあると指摘した。オランダ人の信仰宗教では3割を占めるカトリックが最大宗派。

 今回調査は教会関係者による性的虐待問題が増大していることを受けて開始された。独立調査委によると、1795件の虐待情報を入手し、加害者の身元に関する手がかりも得た。発表した報告書は昨年3月から同10月までの間に得た具体的なデータに加え、教会の公文書分析からの情報などを基に作成した。

 性的虐待が広がった背景について、教会側は1950年代までにもさかのぼるこの問題の存在を知らなかったわけではないと指摘。ただ、多くの場合、教会は防止のための適切な措置や被害者への配慮に欠けていたと主張している。未成年者の性的虐待がオランダ社会で広範に起きていることも作用したとし、教会の公文書の分析では聖職者が若い時に虐待の犠牲者だった例もあったと指摘した。

 虐待の被害者の救済方法については金銭的な賠償が必要と強調、教会側の真剣な対応を求めた。加害者と犠牲者の会合もここ数年設けられ、多くの場合、加害者や教会責任者が遺憾の意を表明していると説明。謝罪や賠償の表明は2000年以降に増えているという。

CNN 2011-12-17

性的暴行受けて姦通罪で服役させられた女性が釈放 「報復が懸念」 アフガン


 アフガニスタンで性的暴行の被害者でありながら姦通罪に問われて服役させられていた女性が14日、カルザイ大統領の命令により釈放された。

 グルナズさんは2年前、いとこの夫に暴行され、その後妊娠が発覚。「既婚男性と性行為を行った」という理由で姦通罪に問われ禁錮12年を言い渡された。グルナズさんは当時19歳だった。

 グルナズさんは釈放後、女性のための救護施設に娘(加害者の子ども)とともに収容された。だがこれで彼女の苦難が終わったわけではない。

 加害者は犯行を否認したまま有罪判決を受けて現在服役中で、その一族からの報復が懸念されている。また、一族の名誉を汚したという理由で自らの親族から命を狙われる可能性もあるからだ。

CNN 2011-12-15

NATO爆撃による負傷者 リビア、スルトの病院 2011年9月3日

9.11アメリカ同時多発テロの真実 ティエリ・メサン


 9.11テロはブッシュ大統領へ政策を強制するための米軍・石油ロビ-の陰謀か。仏ジャーナリスト、ティエリ・メサン。2002年3月16日放送。



戦争好きブッシュとアメリカブッシュの「聖戦」―宗教、ビジネス、闇のネットワーク石油の隠された貌終りなき狂牛病―フランスからの警鐘

NATOリビア軍事介入の現実 ティエリ・メサン


 2011年9月2日。トリポリ占拠の状況、カタ-ル軍の役割、イスラエル軍など各国の特殊部隊の参加。仏記者ティエリ・メサン。

五島勉


 1冊読了。

 71冊目『1999年以後 ヒトラーだけに見えた恐怖の未来図』五島勉〈ごとう・べん〉(ノン・ブック、1988年)/数年前から感じていることだが、「ヒトラー=悪党」という構図はわかりやすすぎて、どうも胡散臭い。そもそも人間を善悪で分けること自体が子供じみている。広く知られた話ではあるが、ナチス政権による経済政策は高く評価されている。歴史を振り返ってみても、ユダヤ人を虐殺したのはヒトラーに限ったことではない。ま、詳細は後日。ヒトラーは超能力者であった。20世紀末や21世紀のことまで正確に予言していたそうだ。五島勉を読むのは久し振りだが、やはり論理の飛躍が目立つ。事実を羅列している印象があり、書き手としての手腕は評価できない。

2011-12-17

光と影の対角線


 一瞬で心を奪われた。光と影を分かつ対角線が際立っている。階段の水平に目を凝らすと奥行きの感覚を失い、女性が宙に浮いているように見える。更に女性の影がギザギザを描いて強いアクセントとなっている。今わかった。これは死へ向かって生の階段を上る我々の姿なのだ。

La salita

螺鈿細工を施したようなカニ


 螺鈿(らでん)細工を施しているのかと思った。詳細不明。海中で豪華絢爛な鎧を身にまとう進化的な理由があったのだろう。「食べられるのか?」などと無粋なことは言わぬように。

Eriphia gonagra (Fabr.), one of the most common and strikingly coloured crabs on the Brazilian coast

リビアの弁護士がNATOプロパガンダ戦争を弾劾する


 カダフィ家の弁護士マルセル・セカルディ。2011年8月24日。

アメリカは1986年にリビアを爆撃 記念切手は語る

カダフィの真実を知ってほしい


カダフィ

星の瞬き


 太陽や月を撮影することはできる。だが星の瞬(またた)きを撮影することはできない。

カストロ暗殺未遂の大半はCIAによるもの


カストロ氏、暗殺企てられた回数世界一 ギネスが認定

修正し、改竄を施し、捏造を加え、書き換えられた歴史が「風化」してゆく/『一九八四年』ジョージ・オーウェル:高橋和久訳


『われら』ザミャーチン
『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー:黒原敏行訳

 ・現在をコントロールするものは過去をコントロールする
 ・修正し、改竄を施し、捏造を加え、書き換えられた歴史が「風化」してゆく

『華氏451度』レイ・ブラッドベリ
SNSと心理戦争 今さら聞けない“世論操作”
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー
『AI監獄ウイグル』ジェフリー・ケイジ
ドキュメンタリー映画『プランデミック 3 ザ・グレート・アウェイクニング』〜PLANDEMIC 3: THE GREAT AWAKENING〜

必読書リスト その五

 凄いニュースだ。

 野田佳彦首相は16日、政府の原子力災害対策本部の会合で、東京電力福島第一原発で原子炉を安定して冷却する「冷温停止状態」を達成し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了できたとして「事故そのものは収束に至った」と宣言した。

TOKYO Web 2011-12-17

 どうして誰も喜ばないのだろう? なぜ胸を撫で下ろす人がいないのだろう? それは「収束」が嘘であることを知っているからだ。ゴムひもじゃあるまいし、放射能がそう簡単に収束してたまるかってえんだ。

 福島原発の現場で働く人々の反応はどうか?

「冷温停止状態」を通り越し「事故収束」にまで踏み込んだ首相発言に、福島第一原発の現場で働く作業員たちからは、「言っている意味が理解できない」「ろくに建屋にも入れず、どう核燃料を取り出すかも分からないのに」などと、あきれと憤りの入り交じった声が上がった。
 作業を終え、首相会見をテレビで見た男性作業員は「俺は日本語の意味がわからなくなったのか。言っていることがわからない。毎日見ている原発の状態からみてあり得ない。これから何十年もかかるのに、何を焦って年内にこだわったのか」とあきれ返った。
 汚染水の浄化システムを担当してきた作業員は「本当かよ、と思った。収束のわけがない。今は大量の汚染水を生みだしながら、核燃料を冷やしているから温度が保たれているだけ。安定状態とは程遠い」と話した。
 ベテラン作業員も「どう理解していいのか分からない。収束作業はこれから。今も被ばくと闘いながら作業をしている」。
 原子炉が冷えたとはいえ、そのシステムは応急処置的なもの。このベテランは「また地震が起きたり、冷やせなくなったら終わり。核燃料が取り出せる状況でもない。大量のゴミはどうするのか。状況を軽く見ているとしか思えない」と憤った。
 別の作業員も「政府はウソばっかりだ。誰が核燃料を取り出しに行くのか。被害は甚大なのに、たいしたことないように言って。本当の状況をなぜ言わないのか」と話した。

TOKYO Web 2011-12-17

 やはり現場の声は重い。野田首相の言葉の軽さとは対照的だ。政府、東電、保安院は今まで散々嘘に嘘を重ねてきた。巨大な力を持つ連中は少々叩かれたところでビクともしない。「どうせ正確な情報を流したところで文句を言う奴はいるわけだから、これくらいは構わんだろう」という思惑があって当然だ。詐欺国家ニッポン。

 我が国が法治国家であるならば、政策ミスによる犯罪性を司法が裁くべきであると考えるがどうだろう? 鈴木傾城〈すずき・けいせい〉氏が「せめて、東京電力の責任者くらいは、しっかり死刑にすべき」と書いている。私は原子力行政に絡んで利権に預かってきた連中は、最低でも禁固刑にすべきだと思う。菅直人前首相は死罪に値すると考える。民主党内から切腹を求める声が上がってしかるべきであった。

 ジョージ・オーウェルが描いた『一九八四年』的世界が現実となりつつある。以下の記事を熟読されよ。

現在をコントロールするものは過去をコントロールする/『一九八四年』ジョージ・オーウェル

 ダブルシンク(二重思考)という概念(オーウェルの造語)が歴史の本質を炙(あぶ)り出す。歴史とは事実を意味しない。記録されたもののみが歴史なのだ。

 例えば原発労働者の声は歴史として残らない。大体、数百年後の日本史年表であれば「収束宣言」すら記録されない可能性が大きい。よほどのことがない限り、カッコの中や脚注に書かれることもないのだ。我々は当事者だから日々のニュースを極太ゴシック体で受け止めるが、100年前の事件は名称でしか認識していない。つまり100年後には「東日本大震災時における福島原発事故」で全部片づけられてしまうのだ。1000年立てば「日本昔ばなし」レベルだ。

 この恐ろしさが理解できるだろうか? 権力者が修正し、改竄(かいざん)を施し、捏造(ねつぞう)を加え、書き換えられた歴史が「風化」してゆくのだ。

 権力とは、暦(こよみ)、文字、度量衡(どりょうこう)を決定するものだ。そして歴史とは政治史を中心に綴られる(※岡田英弘を参照のこと)。

歴史とは何か/『世界史の誕生 モンゴルの発展と伝統』岡田英弘
歴史の本質と国民国家/『歴史とはなにか』岡田英弘

 彼は彼女に理解させようとした。「これはまずめったにないことなんだ。単に誰かが殺されるという問題じゃない。分かるだろう、昨日を起点としてはるか続く過去が現に抹消されているんだ。過去がどこかで生き延びるとしたら、それは何のことばもついていない数少ない確固たる物体のなかでしかない。例えば、そこにあるガラスの塊のようなもののなかとかね。すでにぼくたちは、革命について、そして革命前の時代について、文字通り何の手がかりもなくなっていると言っていい。記録は一つ残らず廃棄されたか捏造され、書物も全部書き換えられ、絵も全部描き直され、銅像も街も建物もすべて新しい名前を付けられ、日付まですっかり変えられてしまった。しかもその作業は毎日、分刻みで進行している。歴史は止まってしまったんだ。果てしなく続く現在の他には何も存在しない。そしてその現在のなかでは党が常に正しいんだ。もちろん分かっているさ、過去が捏造されているって。でもぼくがそれを証明するなんて、とうてい無理な話、たとえ自分がその捏造に直接関わっていてもね。作業が終われば証拠は何も残らないのだから。唯一の証拠はぼくの頭のなかにあるだけ。そしてぼくの記憶を共有してくれる人間がはたして他にいるものやら、とても自信がないね」

【『一九八四年』ジョージ・オーウェル:高橋和久訳(ハヤカワepi文庫、2009年/吉田健一・龍口直太郎訳、文藝春秋新社、1950年/『世界SF全集 10 ハックスリイ オーウェル』村松達雄・新庄哲夫訳、早川書房、1968年新庄哲夫訳、ハヤカワ文庫、1972年)以下同】

 そしてオーウェルの時代には判明していなかったことと思われるが、人間の記憶自体も日常的に書き換えられていることが科学的に証明されている。つまり人の数だけ事実があるってわけだよ。歴史修正主義は社会主義国家の専売特許に非ず。

 ウィンストン・スミスとジュリアは恋に陥る。恋愛そのものが自由であり反逆行為であった。しかし二人の自由は長く続かなかった。管理社会はありとあらゆるところに罠を張り巡らせていた。二人は逮捕される。

「しかし、いいかねウィンストン、現実は外部に存在しているのではない。現実は人間の精神のなかにだけ存在していて、それ以外の場所にはないのだよ」

 オブライエンの指摘が読む者の背筋を凍らせる。そして記憶と精神を改造すべく、一片の容赦もない拷問が加えられる。

「他人を支配する権力はどのように行使されるかね、ウィンストン?」
 ウィンストンは考えた。「相手を苦しめることによって、です」と答えた。
「その通りだ。苦しめることによってはじめて行使される。服従だけでは十分でない。相手が苦しんでいなければ、はたして本当に自分の意志ではなくこちらの意思に従っているのかどうか、はっきりと分からないだろう。権力は相手に苦痛と屈辱を与えることのうちにある。権力とは人間の精神をずたずたにし、その後で改めて、こちらの思うがままの形に作り直すことなのだ」

 原書の脱稿は1948年12月4日(1949年刊行)。下二桁の数字を入れ替えてタイトルにしたとされている。イスラエル建国と同年であることが不気味だ。

 スタンレー・ミルグラムがアイヒマン実験を通して服従心理のメカニズムを解明したのは1963年のことである。

服従の本質/『服従の心理』スタンレー・ミルグラム

 オーウェルはミルグラムより15年も先んじてディストピアを描いてみせたのだ。当初は『ヨーロッパ最後の人間』(The Last Man in Europe)と題されていた。単純なソビエト批判でないことは明らかだ。中世において人間はヨーロッパにしか存在しなかった。これが西洋史観である(※化物世界誌)。

コロンブスによる「人間」の発見/『聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』岡崎勝世

 すなわちオーウェルが描いた世界は、集団化が行き着く極北を示したものと考えられる。組織における人間は機能や役割に貶(おとし)められる。社員はいつだって交換可能な部品のようなものだ。そして大衆は会社や国家に依存せざるを得ない情況へと追い込まれる。

 国民国家が目指すのは「国家依存主義」であり「国家万能主義」であろう。ゆえに無謬性(むびゅうせい)が重んじられるのだ。

「つまづいたって いいじゃないか にんげんだもの」と、みつをは言った。人間はつまづくが国家はつまづくことがない。決して。



物語る行為の意味/『物語の哲学』野家啓一

「私の宗教はジェダイ」と1万5000人が回答、チェコ国勢調査


 チェコ政府は15日、3月に実施した国勢調査で、自身が信じる宗教をSF映画『スター・ウォーズ(Star Wars)』シリーズに登場する「ジェダイ(Jedi)」と回答した人が1万5070人いたと発表した。

 首都プラハ(Prague)には人口の0.31%にあたる3977人の「ジェダイの騎士」がいた。チェコ統計局は、ジェダイの倫理的価値観に共感する人が多いためだとみている。ジェダイの熱烈な「信者」は、ニュージーランドやオーストラリア、カナダ、英国にも多いという。

 統計局の副責任者は、国勢調査用紙の宗教の選択肢に「ジェダイ」を含めることには厳しい議論もあったが、何が宗教で何が宗教でないかを決めるのは統計局の仕事ではないと述べ、「約1万5000人という数は小規模な都市の人口に相当し、無視できない社会現象だ」とコメントした。
 
 このほか、自身の宗教をカトリックと答えたチェコ人は108万3899人、神は信じるが特定の宗教はないとの回答は70万7649人で、500万人は宗教欄が空白のままだった。

 カルト的な人気を誇る『スター・ウォーズ』に登場するジェダイ騎士団は、銀河共和国の守護者で、特殊な剣「ライトセーバー」を持ち、触れずに物を動かしたり他人の心を操ったりできる能力「フォース」を備えている。

 ジェダイ騎士団が従う道徳的なおきてはスター・ウォーズファンの心をとらえ、熱烈なファンの中には自身もジェダイのおきてに準じた人生を歩もうとするものもいる。

AFP 2011-12-17

2011-12-16

リビア国民評議会「嘘の勝利報道効果あった」 偽トリポリ緑の広場


 アブデルジャリル、リビア暫定国民評議会代表はカタールハリウッド製「緑の広場」を用いた嘘の勝利報道を認めた。


Digital Deception/映像の欺瞞
CNNリビア偽装報道

リビア叛徒とイスラエルの関係~戦争をけしかける哲学者ベルナール=アンリ・レヴィ



サルトルの世紀危険な純粋さアメリカの眩暈―フランス人哲学者が歩いた合衆国の光と陰

ベルナール=アンリ・レヴィ

NATOリビア戦争は大衆操作・心理戦

古書はともかく買い続けなければいけない

鹿島茂さんには到底及ばないが、古書はともかく買い続けなければいけない。特に写本の一点ものは、見つけた時に買わねばもう二度と手に入らない。江戸の科学史研究を仕事とする以上、この宿命からは逃げられない。自分が買い続けることで、古本屋さんも心得ていて、新しい資料を発掘してきてくれる。
Dec 16 via Keitai WebFavoriteRetweetReply


鬼気にあらず、茶目っ気迫る古書蒐集(しゅうしゅう)癖/『子供より古書が大事と思いたい』鹿島茂

暴力と欲望に安住する世界/『既知からの自由』J・クリシュナムルティ


 東京の冬は苦手だ。もう人生の半分以上を過ごしているのに慣れることがない。道産子の多くがそうであろう。雪がないのに寒い、という事実が北国育ちの感覚を混乱させる。

 冬の月が好きだ。透明な光が静かに冷厳な宇宙を照らす。星々が応じるように揺らめく。人々が寝静まった時間帯に月を見上げると、宇宙に浮かぶ自分を感じることができる。

 そしてクリシュナムルティは私にとっての月光である。暗く冷たい世界を照らす智慧の光だ。

 これまでの時代を通じてずっと、人間は自分を超えるもの、物質的な幸福以上のもの――私たちが真理とか神、真実在(リアリティ)、不滅の状態と呼ぶもの――環境や思考、人間の腐敗によって妨害されることのないもの、を探し求めてきました。
 人はいつも自問してきました。全体どういうことなのか? 人生にそもそも意味などあるのだろうか? 彼は生のひどい混乱を、残虐さ、反抗、戦争を、いつ果てるともない宗教やイデオロギー、国籍による分裂〔不和〕を見て、深い、終わることのない欲求不満の感覚と共にこうたずねるのです。人はどうすればよいのか、私たちが生と呼ぶこのものは何なのか、何かそれを超えるものがあるだろうか、と。
 そして自分が探し求めてきた、無数の名をもつこの名づけ得ないものを見つけることができないので、彼は信仰――救世主または何らかの理想への信仰――を培(つちか)ってきのたですが、それは必然的に暴力を生み出すのです。
 私たちが生と呼ぶこのたえまない闘争の中で、共産主義社会であれ、いわゆる自由社会であれ、私たちは自分が育てられた社会に従って行動規範を作ろうとします。私たちは何らかの行動基準を受け入れますが、それはヒンズー教、イスラム教、キリスト教、あるいは何であれ自分がたまたまそこに生まれ合わせたものの伝統の一部をなすものです。私たちは誰かに頼って行動の善悪を、思想のよしあしを教えてもらおうとしますが、こうしたパターンに従ううちに、私たちの思考と行動は機械的になり、反応は自動的なものになります。このことは、自分自身を省みれば容易に理解されることです。

【『既知からの自由』J・クリシュナムルティ:大野龍一訳(コスモス・ライブラリー、2007年/『自己変革の方法 経験を生かして自由を得る法』クリシュナムーティ:十菱珠樹〈じゅうびし・たまき〉訳、霞ケ関書房、1970年の新訳版)以下同】

 今年も様々な出会いがあった。昨今は人や本もさることながら、インターネットを介して遭遇する場面が少なからずある。そして擦れ違うような出会いでも影響を受けることは珍しくない。中でも鈴木傾城〈すずき・けいせい〉氏のブログには衝撃を受けた。

Darkness

 このブログを読破すれば、クリシュナムルティが指摘する「暴力」の現実が理解できる。

 私が「暴力」に対して眼を開いたのはルワンダ大虐殺によってであった。

『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ

 大乗仏教が説く「因果の物語」が呆気(あっけ)なく吹き飛ばされた。虐殺された子供たちに「過去世の罪」があったなどとは到底考えられない。そんな論法は「暴力の正当化」にさえなり得る。

 そしてパレスチナを取り巻く情況を知り、アラブ文学と巡り会った。

自爆せざるを得ないパレスチナの情況/『アラブ、祈りとしての文学』岡真理
パレスチナ人の叫び声が轟き渡る/『ハイファに戻って/太陽の男たち』ガッサーン・カナファーニー
暴力が破壊するもの 1/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収)

 それまでに読んできた魔女狩り、奴隷、ナチスなどの知識が全部結びついた。そして脳科学や人類学で解明されつつあるネットワーク構造を知ると、暴力の根元が「集団」にあることがわかってきた。では集団性を支えるものは何か? これこそが宗教なのだ。(詳細は明年の書評で)

 残酷極まりない世界の現実を目の当たりにした時、我々の中で何が変化するのだろうか? 多分二つのタイプに分かれることだろう。無力感に打ちひしがれて暴力を回避しようとする人。もしくは自分の周囲に限りなく存在する暴力の芽を鋭く見抜いて戦う人だ。

 更に重要なのはニヒリズムから宗教否定に回る人と、既成宗教を超える宗教性を模索する人とに分かれることである。鈴木氏は前者で、私は後者である。

 理由を一言で述べよう。科学は知性の次元であって感情を揺さぶることがない。知性とは思考であり、その本質は言葉である。人類は後天的に言語機能を獲得した。すなわち人間を奥深いところで支えているのは感情(情動)なのだ。そして感情を支配しているのが実は宗教なのだ。

善悪とは

 人類には文化という背景がある。そして文化は宗教に基づいている。

 過去の宗教は「物語」であった。それゆえ「別の物語」とは戦わざるを得ない。アブラハムの宗教を巡る争いの理由もここにある。ま、コカコーラとペプシみたいなものだ(笑)。

 無神論が脆弱なのは、人々がバラバラになることで結果的に種の保存を危うくするためだ。だから「新しい共同」なんてものは、「新しい宗教性」なくして成立しない。

 例えば「飢餓」という名の暴力がある。西洋列強の植民地政策が今も尚、第三世界に暗い影を落としている。すなわち「経済」もまた形を変えた暴力なのだ。





ウガンダの飢餓
ケビン・カーター「ハゲワシと少女」

 最初の動画はソマリアの子供である。「人はどうすればよいのか、私たちが生と呼ぶこのものは何なのか、何かそれを超えるものがあるだろうか」?

 あなたと私はそれで、どんな外部の影響もなしに、どんな説得〔persuasion:「確信・信仰」の意味もある〕もなしに、どんな処罰の恐怖もなしに、自分自身の中にもたらすことができるでしょうか――私たちの存在のまさにその精髄の中に、全的な革命、心理的な突然変異を。そうしてもはや残虐冷酷でも、暴力的でも、競争的でも、不安でもなく、恐怖に満ちてもおらず、貪欲でも、嫉妬深くもなくなって、私たちが日々の生活を生きているこの腐った社会を築き上げた、私たちの性質の諸々の現れから自由になれるでしょうか?

 真の自由とは「何かからの自由」でもなければ、「マイナスからの自由」でもない。歴史における革命は常に閉塞した社会が自由を求めて起こされたものだが、常に新しい権力者を生んだだけであった。

 宗教(=教団)は恐怖というロープで信者を縛り上げる。ご丁寧なことにタブー(禁忌)という猿ぐつわをされ、迷える子羊は「安全」という名の椅子に腰掛けている。椅子を支える脚が「暴力」であるとも知らずに。

 上述したように暴力の根元はヒエラルキー構造の集団性にある。つまり上下関係自体が実は暴力なのだ。クリシュナムルティは「どんな説得〔persuasion:「確信・信仰」の意味もある〕もなしに、どんな処罰の恐怖もなしに」と一言でシンボリックに表現している。

 世界を変えるためには、まず自分を変えなければならない。

 それこそが真の問題です。精神に完全な革命をもたらすことは可能でしょうか?

 そのような質問に対するあなたの反応はどのようなものでしょう? あなたは言うかも知れません。「私は変わりたくない」そして大方の人はそうなのです。とりわけ社会的・経済的に安泰な人たち、ドグマ的な信念をもち、自分自身や事物の現状や、それをほんのわずか加工して満足している人たちの場合には。そのような人々に私たちは関わりません。あるいはあなたはもっと微妙なこういう言い方をするかも知れません。「まあ、それは少しばかり難しすぎるね。私には向かない」と。こういうケースでは、あなたはすでに自分自身をブロックしてしまっているのです。あなたは問うことをやめており、だからもうそれ以上進むことはないのです。

 痛烈な批判だ。我々は盲目的な信者を嘲りながら、自分たちが資本主義の奴隷となっている自覚を欠いている。安全、安定、現状維持こそ我々が望むものだ。餓死しつつある幼児が既に立つこともできず地面でクルクル回る姿を見ても、我々は生活を変えようとはしない。おわかりだろうか? 世界の残酷を支えているのはあなたと私なのだ。

 先に進む前に、人生におけるあなた方の根本的、永続的な関心は何なのか、おたずねしてみたいと思います。もって回った答はどけて、この問題にまっすぐ誠実に向き合うとすれば、あなたはどう考えますか? それが何かわかりますか?
 それはあなた自身ではありませんか? いずれにせよ、正直に答えるとすれば、それが私たちの大部分が言うだろうことです(ママ)。私は自分の進歩に、仕事に、家族に、私が暮している小さな片隅に、自分のためのもっとよい地位、もっと多くの特権、もっと大きな権力を得ることに、他者への支配力を強化すること等々に、関心があるのです。あなた自身に対してそれが自分の第一の関心事だということ――「私」が何より大事なのだということを認めるのは理にかなったことだと思うのですが、いかがでしょう。
 自分のことを第一に考えるのは間違ったことだと言う人もいるでしょう。しかし、私たちがきちんと正直に、それを認めることはめったにないということは別として、そのことのどこが悪いのでしょう? もし自分が何より大事だと認めるなら、私たちはそれをかなり恥ずかしく思うでしょう。それで、こういうことになります――人は基本的に自分自身に関心がある。そして様々なイデオロギー的、伝統的理由によって、人はそれを間違ったことだと考えるのだと。しかし人がどう【考える】かは重要ではありません。なぜ「それは間違っている」などという要素(ファクター)を持ち込むのですか? それは考え、観念です。【事実】は、人は根本的・永続的に自分自身に関心がある、ということです。
 あなたは言うかも知れません。自分自身のことを考えるより、他の人を助ける方が満たされた気分になると。違いは何ですか? それは依然として自己関心です。他の人たちを助けることがあなたにより大きな満足感を与えるとすれば、あなたは自分により大きな満足を与えてくれるものに関心をもっているのです。なぜそこにイデオロギー的な観念を持ち込むのですか? どうしてこの二重思考があるのでしょう? なぜこう言わないのですか? 「私が本当にほしいのは満足感だ。セックスでも、人助けでも、偉大な聖人、科学者、政治家になるのでも〔それが目当てなのだ〕」と。それは同じプロセスではないでしょうか? あらゆる種類の満足、微妙なものでもあからさまなものでも、それが私たちが欲しているものなのです。私たちが自由になりたいと言うとき、それは私たちが自由は素晴らしい満足感を与えてくれると考えるからです。そしてもちろん、究極の満足は、この自己実現 self-realisation という殊更(ことさら)な考えです。私たちが本当に追い求めているものは、そこにどんな不満もないような満足感なのです。

 幸福の意味は満足に転落した。我々は欲望の実現が幸福であると完全に錯覚している。宗教家は自分が満足するために世界平和を唱えているのだ。死にたい、死にたくないというのも欲望だ。賢くなりたい、悟りたいというのも欲望だ。

 一方の欲望から別の欲望へと移動したところで、何かが変わるはずもない。

「自己実現」とはマズローの欲求段階説に基づく考え方だ。心理学的な意味はあると思うが、こんなものは「神の国実現」の焼き直しであろう。最大の問題は、現在の自分を否定的な存在と見なしている点だ。宗教的視点からすれば、時間を要するものは「知識」や「技術」にすぎない。人生という時間の有限性を打破することが不可能だ。

 世界はエゴ化した。

自我と反応に関する覚え書き/『カミとヒトの解剖学』 養老孟司、『無責任の構造 モラル・ハザードへの知的戦略』 岡本浩一、他

 この暴力に覆われた世界と、欲望にまみれた自分を超脱するためには「諸法無我」しか道はない。クリシュナムルティは「あなたが世界だ」と突きつけた。ならば、私の内側に自由と平和を打ち立てるまで。

 クリシュナムルティについては書いても書いても書き足りない。

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人間は人間を拷問にかけ、火あぶりに処し、殺害してきた
飢餓に苛まれる子供たち
なくならない飢餓/『面白いほどよくわかる「タブー」の世界地図 マフィア、原理主義から黒幕まで、世界を牛耳るタブー勢力の全貌(学校で教えない教科書)』世界情勢を読む会

カストロ氏、暗殺企てられた回数世界一 ギネスが認定


「暗殺を命じた国」としてアメリカもギネス認定すべきだろう。

 暗殺されそうになった回数が世界一として、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が、ギネスブックに掲載されることになった。複数の同国メディアが伝えた。キューバ政府によると、米中央情報局(CIA)の文書に基づく記録で、暗殺の企ては2006年までに638回に上るという。

 暗殺方法は、狙撃、葉巻への毒の注入、野球のボールに仕込まれた爆薬など様々だが、いずれも政府が事前に情報をキャッチし、失敗に終わった。

 キューバの情報機関のトップを長年務めたファビアン・エスカランテ氏は昨年、前議長に対する暗殺の試みについての本を出版。最も深刻だったのは、61年にニューヨーク市内で企てられた爆弾計画だったと回想する。ミルクセーキに毒入りカプセルを入れられたこともあったが、幸運にものみ込まなかった。「フィデルは、待ち伏せを直感する能力がある」と話している。

asahi.com 2011-12-16

Fidel Castro

フィデル・カストロ――みずから語る革命家人生(上)フィデル・カストロ――みずから語る革命家人生(下)冒険者カストロ (集英社文庫)カリブ海のドン・キホーテ フィデル・カストロ伝

カストロ暗殺未遂の大半はCIAによるもの
若きカストロの熱弁

2011-12-15

関岡英之、別冊宝島


 2冊挫折。

別冊宝島 原発の深い闇』(宝島社、2011年)/見出しが過激に踊り、鼻白む。大衆迎合の臭いがプンプンしているよ。好評だったようで続刊も発売されている。『別冊宝島 原発の深い闇 2』。今まで不問に付してきた情況こそ問うべきであろう。

アメリカの日本改造計画 マスコミが書けない「日米論」』関岡英之+イーストプレス特別取材班編(イーストプレス、2006年)/関岡と佐藤優の対談は面白かった。大川周明、有末精三、陸軍中野学校について。あとは生臭くて手が出ない。

ユダヤ人と名誉毀損 反ユダヤ主義の実体


 ヨアブ・シャミール監督作品、2009年。












ディファメーション!:町山智浩

NATOメディアによる脅迫と検閲


 カナダ人ジャーナリスト、マディ・ナゼムロヤ。トリポリ、リクソスホテルからの報告。NATOメディアによる脅迫、検閲。CNN、アルジャジーラ報道の嘘。

カダフィへの陰謀 ロッカビーテロ事件


カダフィ

2011-12-14

光が照らし出すもの


 海の波と光の波とがせめぎ合っている。黒い影はたぶん人ではない。しかし人に見える。画像を拡大してみたが、結局わからなかった。きっと低い木だろう。大半を占めている断崖や波を斥(しりぞ)け、光が照らし出すものに視野は集中する。ここに自我という中心を巡る物語性を解く鍵がある。我々は決して全体を見ることがない。

Cliff

松沢直樹氏による生活保護ツイートのまとめ

生活に打つ手がなくなった、たった一人の人間を養えない弱い国家が、どうやってこれから強くなっていくと言うんだ? 
Dec 13 via webFavoriteRetweetReply


松沢直樹氏による生活保護ツイートのまとめ
生活保護

人を善に導く中国古典舞踊


 格好いいね。そして哲学がある。



中国古代の舞踏と伝説

NFTC(全国貿易協議会)


アメリカはイラクをあきらめ、日本を植民地化することにした
アメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体
TPPを推進する団体NFTCとは
「TPP」を推進すべく裏で米政府を操る黒幕たちの正体

ミドリムシ:新たな食品として注目 温暖化防止にも貢献


 プランクトンの一種、ミドリムシが新たな食品として注目を集めている。理論上は「これと主食だけで人間が生きられる」というほど栄養豊富で、地球温暖化防止にも貢献できるとか。5億年前から存在する体長0.05ミリの微生物の将来性やいかに。

「ミドリムシは人間に必要な栄養をすべて持っている」。沖縄県の石垣島に、ミドリムシを大量培養するプラントを持つ「ユーグレナ」社の出雲充社長(31)は話す。05年の創業以来、6200兆匹が生まれたという。洗浄、濃縮し、粉末にすると食品の材料になる。

 栄養素はビタミンなど59種類。人が体内で作り出せない必須アミノ酸も9種類すべてを含む。粉末1グラム(ミドリムシ約10億匹)中の鉄分はホウレンソウ50グラム分、葉酸はサンマ50グラム分。DHA(ドコサヘキサエン酸)も生成する。青魚のDHAも食物連鎖の元をたどればミドリムシが製造元の一つという。

 東大との産学連携で起業し、ミドリムシの学名を社名にした「ユーグレナ」は07年からサプリメントを売り出した。だが――「喜んで買っていただけると思ったら、ほとんどの女性にイヤ!と言われた」(出雲社長)。チョウやガの幼虫のアオムシと誤解されたためだ。

 知名度が上がったのは09年、東京都江東区の日本科学未来館(毛利衛館長)と共同で「ミドリムシクッキー」を売り出してから。同館のお土産人気1位に躍り出て、今もベスト3に入る。共同開発の依頼が舞い込み、ラーメンにハンバーガー、インスタント雑炊、焼酎など、加工商品は25種類にも上る。

ミドリムシクッキー1, Euglena

ほんのり磯の香り

 ミドリムシ自体に味はほとんどなく、ほんのり磯の香りがするだけ。同社は痛風を悪化させるプリン体の吸収を抑えるミドリムシ食品も開発し、特許を取得した。現在は、栄養不足に悩む途上国支援のため、海外向けの食品開発に力を注ぐ。

 ミドリムシだけでネズミの飼育に成功したという中野長久(よしひさ)・大阪府立大名誉教授(栄養生理生化学)は「人口が増え続ける中、将来は人類の生命を維持する最終食料資源になり得る」と語る。

 中野名誉教授によると、ミドリムシは動物と植物の特性を兼ね備えた「ハイブリッド生物」。べん毛で動き回る一方、葉緑素を持ち光合成をする。「二酸化炭素やドライアイス(二酸化炭素の固体)が存在する火星にミドリムシの培養タンクを運べば、食料と酸素を自給でき、100年後には地球と同じ環境がつくれる。学生には、そんな夢を語っています」

 実際、米航空宇宙局(NASA)も1970年代からミドリムシに注目し、地球外で自給自足するための研究を続けてきた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)も大阪府立大の研究に助成し、無重力空間で細胞分裂できることを確認している。

 環境保護の面でも期待されている。住友共同電力は昨年から、愛媛県内の火力発電所にミドリムシを入れたタンクを設置し、排出ガスをろ過する実験をしている。他の植物ではガス中の二酸化炭素が濃過ぎて死んでしまうが、ミドリムシは逆に、通常の大気より成長が促進された。そのミドリムシを家畜飼料やバイオ燃料に活用できれば、効率的なエコシステムになる。同社は「より大型の水槽で実験をし、早期に事業化したい」と話している。

毎日jp 2011-12-14

Euglena sp.

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