2019-11-25

病院の都合(満室だから)で個室にされた場合、差額ベット代は支払わなくて良い





2019-11-24

祭祀とテロ/『情報社会のテロと祭祀 その悪の解析』倉前盛通


『小室直樹vs倉前盛通 世界戦略を語る』世界戦略研究所編
『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通
『新・悪の論理』倉前盛通
『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII』竹山道雄:平川祐弘編

 ・祭祀とテロ
 ・ルネサンスと宗教改革が近代化の鍵

『自然観と科学思想 文明の根底を成すもの』倉前盛通
『悪の超心理学(マインド・コントロール) 米ソが開発した恐怖の“秘密兵器”』倉前盛通
『悪の運命学 ひとを動かし、自分を律する強者のシナリオ』倉前盛通
『悪の戦争学 国際政治のもう一つの読み方』倉前盛通
『悪の宗教パワー 日本と世界を動かす悪の論理』倉前盛通

必読書リスト その四

 祭祀(さいし)という言葉と、テロという言葉を並べることは、いかにも奇妙に読者には映るかもしれない。しかし、古代から、祭祀と、何らかの「血の祭り」つまり、テロとは不可分のものであった。「血祭りにあげる」という言葉は日本にも昔から存在している。
 日本のようなうっそうと茂った照葉樹林帯の中で、静寂でおとなしい自然祭祀を数千年来、続けてきた国でさえ、時として、「血祭り」とか「人柱」とか「人身御供(ひとみごくう)」という発想が、あらわれた。これは多分に狩猟民の系譜が、シベリア方面から日本列島へ流入してきた影響かも知れないが、現生人類には本来、そのような「情動(エモーション)」が大脳皮質の奥深いところに潜在しているのかも知れない。
 殊に、日本列島のように、温和な気候に恵まれ、食糧の豊富な環境で民族形成をなしとげた民族と違って、アラビア半島のような、酷烈で非情な風土の中で、苦しい生活にあえぎながら、ひとときのやすらぎを、ほんの僅かの間、熱烈な祈祷の陶酔の中に見出してきたグループにとっては、祭壇に血塗られた「いけにえ(犠牲)」を供することが、祭祀の必須条件であった。
 羊や牛の首を打ち落し、その溢れ出る血潮が、神の祭壇を血塗るとき、はじめて、彼等が奉ずる呵責なき嫉む神の怒りを鎮めることができる。しかも、異なる神を拝む者、つまり、異教徒は動物であって、人間ではないというドグマが、アラビアに発生した三大宗教では、特に顕著にあらわれた。
 キリスト教徒が、つい最近まで、異教徒を人間として遇しなかった事は歴史の証明する所である。
 このような宗派が異常な熱狂を帯びた時、異教徒に対する大量虐殺が、祭祀のための「いけにえ」として、歴史上、数限りなくおこなわれてきた。
 その中で、例えば流浪のユダヤ人などは、「血祭り」にあがるには最も良き対象であった。チブスが流行したといってはユダヤ人を大量に殺害し、ペストが流行したといってはユダヤ人を大量虐殺してきたのが、ヨーロッパのキリスト教社会の特色である。ユダヤ人は異教徒であるから人間でなく、動物の一種にすぎないという宗教的免罪符が、彼等キリスト教徒の良心を麻痺させた。
 ヒトラーのユダヤ人虐殺は、このようなヨーロッパの歴史の一貫にすぎない。これは、まさに、「祭祀とテロ」の不可分の関係を示すものである。

【『情報社会のテロと祭祀 その悪の解析』倉前盛通〈くらまえ・もりみち〉(創拓社、1978年/Kindle版、2018年)】

 倉前盛通の著作はなぜか図書館にも少ない。一度国会図書館から取り寄せたのだが「禁コピー」指定されていて驚いたことがある。本気で取り組もうと思えばKindle版で読むのがいいだろう。ただし、amazonタブレットFireは頗(すこぶ)る評価が低いので、個人的には「Vankyoタブレット10インチ」か「Dragon Touch タブレット10.1インチ」あたりを狙っている。

読書とは手の運動」(草森紳一)と考えてきたが鈴木傾城〈すずき・けいせい〉のテキストを読んで大いに考えさせられた。

もう紙の書籍にこだわるな。電子書籍に完全移行を成し遂げよ │ ダークネス:鈴木傾城
変われないと生き残れない。今の日本が必要としているのは新しい人間だ │ ダークネス:鈴木傾城
紙の本・紙の資料・紙の写真からの脱却。私はこのようにやることにした │ ブラックアジア:鈴木傾城

 今日現在で私が保存している書籍のページ画像は11.7GBである。2011年から9年間で6万ページ分の撮影をしてきたわけだ。これだけで300ページの書籍200冊分に相当する。情報は無限に増殖する。死の間際まで。私がただただ欲するのは有能な秘書だ。

 倉前盛通の全集が出て然るべきだと思うのだが指をくわえて待っていても仕方がない。いよいよ電子書籍の海に船出する時が来たのだ、と覚悟を決めた。

 刊行された1978年においてテロとはハイジャックなどを中心とする赤色テロのイメージが強かった。しかし倉前はもっと広義に捉えており、「政治的・宗教的目的を果たすための暴力行為」と考えてよかろう。

 似たようなテーマは立花隆著『文明の逆説 危機の時代の人間研究』(1976年)にもあり、「戦争は人類の人口調節機能」と書いてあったはずだ。

 人類の歴史において「暴力の噴出」は至るところにある。あたかも句読点のように散りばめられているといっても過言ではない。魔女狩り~白人帝国主義による植民地での殺戮~インディアン虐殺が近代の歴史であり、二度の大戦を経てからは社会主義国で粛清の嵐が吹き荒れた(スターリン、毛沢東、ポル・ポト、ヒトラー)。そしてルワンダ大虐殺(1994年)に至るのである。

 高度に情報化された社会では憎悪が一気に拡大・増幅される。なかんずくインターネットでつながる人々は条件反射的に感情を拡散する傾向が強い。ここに新たな英雄や教祖が誕生すれば世界は右にでも左にでも動いてしまうことだろう。

 人類史において武器を手放した実績があるのはたぶん日本だけだ。16世紀には世界最大の銃保有国でありながら鉄砲を廃止し、明治維新では武士が刀を捨てた。子孫に誇るべき歴史である。人類の暴力性を抑制するには武士道を再興する以外にない。武士がひとたび刀を抜く時は切腹する責任が問われた。「殺す」ためには「死ぬ」覚悟が必要だった。幼少期からの厳格な教育がミラクル・ピースといわれた江戸200年の平和を支えてきたことは確かだろう。

2019-11-22

読み始める

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わずか10分 『寝るだけ整体』
熊谷 剛
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現代病(21世紀病)の原因はヒトマイクロバイオームの乱れ/『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン


『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『脳はバカ、腸はかしこい』藤田紘一郎
『免疫の意味論』多田富雄
『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード
『感染症の世界史』石弘之

 ・衛生仮説から旧友仮説に
 ・現代病(21世紀病)の原因はヒトマイクロバイオームの乱れ

・『失われてゆく、我々の内なる細菌』マーティン・J・ブレイザー
『土と内臓 微生物がつくる世界』デイビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー
・『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』藤井一至
『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』キャスリン・マコーリフ
『したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち』成田聡子
『失われてゆく、我々の内なる細菌』マーティン・J・ブレイザー
『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー

身体革命
必読書リスト その三

 あなたの体のうち、ヒトの部分は10%しかない。
 あなたが「自分の体」と呼んでいる容器を構成している細胞1個につき、そこに乗っかっているヒッチハイカーの細胞は9個ある。あなたという存在には、血と肉と筋肉と骨、脳と皮膚だけでなく、細菌と菌類が含まれている。あなたの体はあなたのものである以上に、微生物のものでもあるのだ。

【『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン:矢野真千子〈やの・まちこ〉訳(河出書房新社、2016年)】

 何ということか。つまり体は私自身でもあり私の環境でもあるのだ。脳化社会で最後に抗う自然が人体なのだ。意識と知覚の預かり知らぬところで微生物叢は静かに戦争と民主政を展開している。しかも遺伝子レベルで見るとヒトの部分はもっと少なくなる。

 ヒトの遺伝子の数は、線虫とほぼ同じ、21000個だった。ヒトゲノムのサイズは植物のイネの半分しかなく、31000個の遺伝子を有するミジンコにもはるかに及ばなかった。(中略)
 人体に棲むこれらの微生物を合わせると、遺伝子の総数は440万個になる。これがマイクロバイオータのゲノム集合体、つまりマイクロバイオームである。微生物の440万個の遺伝子は、21000個のヒト遺伝子と協力しながら私たちの体を動かしている。遺伝子の数で比べれば、あなたのヒトの部分は0.5%でしかない。

 生物は遺伝子が自らのコピーを残すためにつくり出した乗り物に過ぎないというリチャード・ドーキンスの説(『利己的な遺伝子』1976年)も色褪せて見えてくる。45億年前に地球が形成され、38億年前に生命が誕生した。38億年の歴史を受け継ぎ共有しているのはヒト遺伝子も微生物叢も一緒だ。今生きている生物の先祖を辿ればそのすべてが38億年をさかのぼることができるのだ。

 私の健康被害(※マレーシアのダニによる熱帯病の治療で抗生物質を大量に投与)は氷山の一角だった。共生微生物のアンバランスが胃腸疾患、アレルギー、自己免疫疾患、さらには肥満を引き起こしているという科学的証拠が続々と出てきていることを私は知った。体の病気だけではない。不安症、うつ病、強迫性障害、自閉症といった心の病気にも微生物が影響している。私たちが人生の一部として甘受している病気の多くはどうやら、遺伝子の欠陥や体力低下のせいではなく、ヒト細胞の延長にある微生物を軽んじたせいで出現した、新しい病態のようなのだ。

 現代病(21世紀病)の原因はヒトマイクロバイオームの乱れにあるとの指摘に衝撃を受けた。アランナ・コリンがいう21世紀病とは伝染病の速度で先進国を中心に広まっている病態のすべてを指す。

 抗生物質は多くの人々の生命を救ってきた。初めは高価であったペニシリンが量産できるようになると万能薬といわんばかりに処方された。挙げ句の果てには抗生物質を投与すると家畜が肥大することが判明し、畜産業者は牛や鳥を抗生物質まみれにした。有機栽培が危ういのは鶏糞などに抗生物質が混入しているためだ。現代人は幼少期に抗生物質を投与され、抗生物質まみれの肉と野菜を食べることでマイクロバイオームの大虐殺を行っているのだ。

 意識と知覚は妄想の世界をさまよう(ユヴァル・ノア・ハラリ)。刺激を求めて贅沢な食事を好み、濃厚なソースや食品添加物にあっさりと騙される。手っ取り早い刺激を追求したのがファストフードだ。次から次へと詐欺被害に遭う舌はやがて麻痺し、毒をも美味と感じるようになるのだろう。

 これがアランナ・コリンのデビュー作というのだから驚く。やはり世界は広い。

2019-11-20

柔軟性よりも胴体力/『月刊「秘伝」特別編集 天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編


『究極の身体(からだ)』高岡英夫
『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
『心をひらく体のレッスン フェルデンクライスの自己開発法』モーシェ・フェルデンクライス
『運動能力は筋肉ではなく骨が9割 THE内発動』川嶋佑
『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』日野晃、押切伸一
『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編
『武学入門 武術は身体を脳化する』日野晃
『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
『スーパーボディを読む ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」』伊藤昇
『気分爽快!身体革命 だれもが身体のプロフェッショナルになれる!』伊藤昇、飛龍会編
『棗田式 胴体トレーニング』棗田三奈子

 ・柔軟性よりも胴体力
 ・動きの「細分化」
 ・骨盤の細分化

『火の呼吸!』小山一夫、安田拡了構成
『身体構造力 日本人のからだと思考の関係論』伊東義晃
『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法システマ・ブリージング』北川貴英
・『新正体法入門 一瞬でゆがみが取れる矯正の方程式』佐々木繁光監修、橋本馨
・『仙骨姿勢講座 仙骨の“コツ”はすべてに通ず』吉田始史
『誰にでもわかる操体法』稲田稔、加藤平八郎、舘秀典、細川雅美、渡邉勝久

身体革命
必読書リスト その二

伊藤●ストレッチは、胴体に関係なく伸ばすことが多いです。中には連続性で動かすものもありますが、伊藤式の場合、あくまで胴体が動いて手足が動くムチのような身体作りを前提にしているのです。
 むしろ意味もなく、身体を伸ばしてはいけないのです。身体組織は、胴体が動いて四肢が動くわけですから、背中が硬いのに脚を無理に完全開脚して、回し蹴りなどをやっていれば、股関節や膝を悪くしてしまいます。無理のない動きを作るために行うのが伊藤式胴体トレーニングですから、柔軟性を求めるストレッチとは似て非なるものですね。人間の身体は、無理にでも伸ばしていれば、伸びてしまうものなのです。でも、武道的に見た場合、いくら動いてもそこに威力が伴わなければダメですね。

 人は、そんなに可動性って、必要ないですから。スポーツでもそうなのですが、別にタコのような柔軟性がなくてもなんとかなるものが多いのです。ですから、ヘタに可動域を広げるよりも、いかに胴体をなめらかに動かすかを考えるのが先決だと思います。

【『月刊「秘伝」特別編集 天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編(BABジャパン出版局、2006年/新装改訂版、2021年)】

 月刊『秘伝』の1999年9月号から2006年3月号にかけて掲載された記事をもとに再編集し、大幅な描き下ろしを加えたB5判ムック本。伊藤式胴体トレーニングの決定版といってよい。様々なトレーニング法の写真も多く眼(まなこ)が開く思いがした。読み終えて直ちに再読した。ベースとなるのは単純な動作である。
「私が求めていたのはこれだ」と確信した。単純な動作には体をパーツごとに動かす目的がある。胴体の細密にして微妙な動きこそが胴体力なのだ。

 私は内旋運動を意識してアイソメトリックス効果を出すべく7秒キープを心掛けている。また伊藤式を実践してみると高岡英夫のゆる体操が同じ視線の角度で身体を見つめていることがわかる。

 鍛えるだけでは壊れる。調(ととの)えることを忘れてはなるまい。