2021-06-19

サグ渋滞/『高速道路の謎 雑学から知る日本の道路事情』清水草一


 ・サグ渋滞

『眠れないほど面白い 「道路」の不思議 路線、地図、渋滞、取締り……』博学面白倶楽部

 週末や連休の各高速道路で発生する渋滞は、その6割以上が“サグ”を先頭にした自然渋滞です。一見何も障害がないところを先頭に、渋滞が発生するのです。
“サグ”とは、くぼ地のこと。高速道路が、下り坂から上り坂に差し掛かるポイントを言います。かつては、知る人ぞ知る専門用語でしたが、現在は一般常識になりつつあります。
 道路が、ドライバーが気付かないほどゆるやかな上り坂に切り替わると、意識しないうちにスピードが落ち、追いついてしまった後続車がブレーキを踏むなどして急激に速度が低下。その連鎖により渋滞が発生します。

【『高速道路の謎 雑学から知る日本の道路事情』清水草一〈しみず・そういち〉(扶桑社新書、2009年)】


 本書でサグ渋滞という言葉を知った。これは錯視というよりは運動神経の鈍さによるものだろう。自転車であれば緩い坂道に入る直前から加速するのは当然である。クルマも同様だ。上手な運転とは一定の速度をキープすることだ。なるべくブレーキを使わないことも含まれる。ただし車重の重いトラックであれば減速することはあり得る。

 事故を防ぐためには道路状況を把握する必要がある。危険予測もさることながら、こうした一般的なドライバーの癖を知っておけば事故を回避できる。特に人間の視力は正面の距離をつかみにくい傾向がある。早めの減速が生死(しょうじ)を分ける場合もある。

ゴキブリ体操改めブルブル体操/『ひざの激痛を一気に治す 自力療法No.1』


『だれでも「達人」になれる! ゆる体操の極意』高岡英夫
『自分で治せる!腰痛改善マニュアル』ロビン・マッケンジー
『自分で治す病気の数々 痔 膝痛 腰痛 肩こり 認知症 椎間板ヘルニア』谷幸照
『3万人のひざ痛を治した! 痛みナビ体操』銅冶英雄
『ひざ痛は99%完治する』酒井慎太郎
『半月板のズレを戻せばひざ痛は治る!』中村昭治

 ・ゴキブリ体操改めブルブル体操
 ・浮き指が進行すると腰が曲がる

『5分間背骨ゆらしで体じゅうの痛みが消える 自然治癒力に火をつけて、首・肩・腰痛・ひざ痛を解消!』上原宏

身体革命

 日本国内での調査では、ひざの痛みに悩んでいる人は約820万人、腰の痛みに悩んでいる人は約1020万人に上り、痛みは、日本社会の深刻な問題となっています。

【『ひざの激痛を一気に治す 自力療法No.1』(マキノ出版、2013年)以下同】

 膝痛の本は20冊ほど読んだと思う。玉石混淆(こんこう)でもちろん玉は少ない。個人的には本書が一番よかった。

 少し前までスロージョギングを行っていたのだが、時折膝痛がぶり返すのでウォーキングに戻した。それでも右膝が痛むことがあった。五十を過ぎたら無理は禁物だ。常歩(なみあし)を学んで知ったのだが着地する際は膝抜きをするのが正しい。格段に歩きやすくなった。

 そんな私が、もう5年以上、毎日続けている健康法があります。それが、ゴキブリ体操です。妙なネーミングですが、ひっくり返ったゴキブリが足をモゾモゾ動かしている姿に似ていることから、こういう名前になったようです。
 ゴキブリ体操は、あおむけに寝た状態で、両手両足をブルブルと震わせるだけ、という簡単なものです。(中略)
 実践、といっても寝ながら手足をブルブルさせるだけです。かかる時間は2~3分。本当にこんなもので痛みが取れるのだろうかと思いながらも、やってみたらびっくり。前日まで気になっていた腰痛や手足のこわばりが、なくなっていたのです。
 そして何より、起き上がったときのすっきり感が最高でした。全身がポカポカして、体が軽くなったような感じです。(加賀田節子〈かがた・せつこ〉)

 いくら何でもネーミングが悪すぎる。「引っくり返ったゴキブリ」は死を連想するから年寄りには悪い影響が出かねない。そこで私は「ブルブル体操」と名づけた。一時期集中的に行っていたのだが、私は体操というよりは手足の末端に溜まった血液を体幹に戻す感覚でやっていた。このように重力や引力を利用する運動が「ナンバ的な動き」なのだ。今日から再びやってみることにする。



動脈指圧/『血管指圧で血流をよくし、身心の疲れをスッと消す! 秘伝!即効のセルフ動脈指圧術』浪越孝

2021-06-18

体幹を平行四辺形に潰す/『ナンバの身体論 体が喜ぶ動きを探求する』矢野龍彦、金田伸夫、長谷川智、古谷一郎


『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博
ナンバ歩きと古の歩術
『表の体育・裏の体育』甲野善紀
『「筋肉」よりも「骨」を使え!』甲野善紀、松村卓
『ナンバ走り 古武術の動きを実践する』矢野龍彦、金田伸夫、織田淳太郎

 ・「捻(ねじ)らず」「うねらず」「踏ん張らない」
 ・体幹を平行四辺形に潰す

『ナンバ式!元気生活 疲れを知らない生活術』矢野龍彦、長谷川智
『すごい!ナンバ歩き 歩くほど健康になる』矢野龍彦
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』小田伸午
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史
『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン

 ・身体革命
 ・体幹を平行四辺形に潰す

 では体幹部を使うとはどういうことか。それは、鎖骨だけを動かすというような部分的な使い方ではなく、胸郭や骨盤を潰すということである。
 胸郭や骨盤をボックスとしてイメージする。そして、そのボックスを左右・前後・上下に、各面が平行四辺形になるように潰していくのである。また、ボックスを対角線上に引き合って潰していくやり方もある。
 このようにボックス全体を操作できるようになると、偏った部分的緊張や弛緩(しかん)がなくなる。一斉にパランスよく体幹を動かせる。
 また、胸郭や骨盤を潰すことにより、身体内部の動きに敏感になり、動きが洗練されてくる。
 動きが洗練されてくるというのは、無駄がとれてくると同時に、一つの動きに全身が参加するため、必要最小限の動きになるということである。これをリラックスした動きという。

【『ナンバの身体論 身体が喜ぶ動きを探求する』矢野龍彦〈やの・たつひこ〉、金田伸夫〈かねだ・のぶお〉、長谷川智〈はせがわ・さとし〉、古谷一郎〈こや・いちろう〉(光文社新書、2004年)】

 これは理解しにくいと思うが本書の画像を参照せよ。小田伸午の著作と併せて読むと理解が深まる。体の使い方もあるが、視線を水平に保つ意味合いもある。こうした神経系の連関を古(いにしえ)の武術家は直観で見抜いた。スポーツ指導で頭の位置を注意されることは多いが、本質的な問題は頭よりも視線にある。

 自分で強く意識するために覚え書きを残しておく。

2021-06-17

「捻(ねじ)らず」「うねらず」「踏ん張らない」/『ナンバの身体論 体が喜ぶ動きを探求する』矢野龍彦、金田伸夫、長谷川智、古谷一郎


『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博
ナンバ歩きと古の歩術
『表の体育・裏の体育』甲野善紀
『「筋肉」よりも「骨」を使え!』甲野善紀、松村卓
『ナンバ走り 古武術の動きを実践する』矢野龍彦、金田伸夫、織田淳太郎

 ・「捻(ねじ)らず」「うねらず」「踏ん張らない」
 ・体幹を平行四辺形に潰す

『ナンバ式!元気生活 疲れを知らない生活術』矢野龍彦、長谷川智
『すごい!ナンバ歩き 歩くほど健康になる』矢野龍彦
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』小田伸午
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史
『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン

身体革命

 我々は、ナンバを「難場」と解釈し、それを切り抜けるための身体の動かし方を模索してきた。「難場」とは、外的には足元が不安定であったり暗闇の中にいるような状況、内的には身体に痛みがあったり疲れているような状況のことを指す。
 そんな「難場」を切り抜けるには、できるだけ「捻(ねじ)らず」「うねらず」「踏ん張らない」古武術の身体の動き――西洋式の運動理論とは正反対の動き――が最適である。
 結論から先にいえば、そういう動きを取り入れることで、全身を使って動くことになり、動きの効率性が高まり、動き自体が滑らかになって、身体の局部に負担がかからなくなる。

【『ナンバの身体論 身体が喜ぶ動きを探求する』矢野龍彦〈やの・たつひこ〉、金田伸夫〈かねだ・のぶお〉、長谷川智〈はせがわ・さとし〉、古谷一郎〈こや・いちろう〉(光文社新書、2004年)以下同】

 著者の四人は桐朋(とうほう)高校バスケットボール部のコーチである。試行錯誤しながら前に進む様子が好ましい。我々は手探りの苦労をすることなく一冊の新書でノウハウやメソッドを学べるのだ。

「捻(ねじ)らず」「うねらず」「踏ん張らない」――これが基本である。胴体力の「捻る」は考え直した方がいいかもしれない。

 ナンバで歩くことの一つの利点として、着物が着崩れないということが挙げられる(現代の洋服では、どのような動きをしても気崩れるということはほとんどない。洋服の作りそのものが、そういう構造になっているのだ)。
 また、身体を捻ったり、うねったりすることが少ないので、内蔵の血流が悪くなったり、関節部分に負担がかかることなく長時間労働が可能になる。
 労働の中でも、腰を落としながら行なう農作業などは、このナンバ的動きが不可欠だ。日が出てから暮れるまでの農作業において、一日中局所に負担をかけ続けるのは、即身体を壊すことにつながりかねないからである。

 江戸時代の侍は帯刀していた。そのため右利きの人は左足が大きいと言われる。また歩行の際に手を振ることがなかったとも言われるが、荷物を持って歩くことが多かった。両手に荷物があれば体幹は正面を向いたままだ。極端に骨盤を振るモデル歩きもできない。

 一番わかりやすいのは坂道である。アップダウンを繰り返し歩けば、妙な歩行法は通用しない。何も考えずに歩けばミッドフット着地になる。正しい歩行を身につけるためには踵クッションの厚い靴は避けた方がよい。理想は地下足袋である。次にルナサンダルや草鞋(わらじ)来るわけだが、前者は高価で後者は入手しにくい。ギョサンは長距離を歩くと足裏が痛くなるし踵がやや厚すぎる。私は履いたことがないのだがベアフットシューズでもいいと思う。ただしビブラムファイブフィンガーズは微妙だ。個人的には5本指よりも鼻緒タイプの方が望ましいと考えている(靴下も)。

 昔を思えば多分ぬかるみが多かったことだろう。特に雨が多く、湿度の高い日本では道路が田んぼ状態になったことは用意に想像できる。砂浜を歩けばわかるが拇指球に力を入れることは無意味である。足全体を地面にしっかりつけて踵を推進力にするのが効率的だ。

 ところがどっこい拇指球の力を抜くことは中々容易ではない。今、様々なトレーニング法を思案しているところである。

武田邦彦「1990年代以降、食品添加物の心配は不要」