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2021-05-05

貝印の旬シリーズ/『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー


『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『コフィン・ダンサー』 ジェフリー・ディーヴァー
『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー
・『石の猿』ジェフリー・ディーヴァー
・『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー
・『12番目のカード』ジェフリー・ディーヴァー
『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー
『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー

 ・貝印の旬シリーズ

・『スキン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『スティール・キス』ジェフリー・ディーヴァー
・『ブラック・スクリーム』ジェフリー・ディーヴァー
・『カッティング・エッジ』ジェフリー・ディーヴァー

 後部座席に置いていたスーツケースから宝物の一つを取り出した。愛用の料理用ナイフ――貝印“旬”(しゅん)シリーズのスライスナイフ。刃渡り22センチ、日本の関(せき)市で鍛冶職人によって一つひとつ作られたもので、刃の部分にこのブランドの特徴的な槌目(つちめ)模様が入っている。刃の芯材はV金10号、そこにダマスカス鋼を32層重ねて作られたものだ。柄の材質はクルミ、価格は250ドル。同じ会社のさまざまな形状やサイズのナイフを何本も持っているが、なかでも気に入っているのはこのスライスナイフだ。我が子のように愛している。魚を下ろすのにも使うし、牛肉をカルパッチョ用に透けるほど薄く切るのにも、また人間にモチベーションを与える道具としても使う。

【『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2014年/文春文庫、2017年)】

 夢は断片的な情報がストップモーションで次々に現れるのだが目覚める直前に脳が物語化する。細切れの情報が脈絡のあるストーリーとして再構成されるのだ。記憶もまた同様で当てにはならない。『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』の後で本書を読んだと思い込んでいたのだが実は逆だった。

 いずれにせよ大した料理もできない私が庖丁を強く意識したのはこれら二つのテキストによるところが大きい。脳に刻印されたのは鋼(はがね)と貝印だ。そして最近、庖丁研ぎに目覚め、次に購入すべき庖丁を探していた時に、月寅次郎氏のサイトと出くわした(家庭用のおすすめ庖丁)。強く望めば歩むべき道を見出すことができる。

 では犯人が愛用している庖丁をご覧いただこう。


 月寅氏の旬シリーズ(貝印の海外向けブランド)に対する評価は「ロゴもダサい上、コストが悪い」と辛辣だ(関孫六・旬(貝印)- 包丁ブランドの解説(1))。

 驚くべきはジェフリー・ディーヴァーの見識だろう。ひょっとすると実際に使っているのかもしれない。最後の「人間にモチベーションを与える」という言葉が庖丁の切っ先のように突き刺さる。「痛めつける」でもなく、「従わせる」でもない。やる気を出させるのだ。

 最後に最近見つけた外国人掲示板の翻訳ページをいくつか紹介しよう。

外国人「日本の刀匠はこうやって包丁を削っていくらしいぞ」 : 海外の万国反応記@海外の反応
海外「日本製の包丁が好きな外国人、ちょっと集合してくれ」 : 海外の万国反応記@海外の反応
「間違いなく世界最高峰の職人芸」 岐阜県の刃物まつりに参加した外国人がクオリティに感嘆 : 海外の万国反応記@海外の反応

2016-10-15

電気を知る/『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー


『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『コフィン・ダンサー』 ジェフリー・ディーヴァー
『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー
・『石の猿』ジェフリー・ディーヴァー
・『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー
・『12番目のカード』ジェフリー・ディーヴァー
『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー
『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー

 ・電気を知る

『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー

 人は5000年以上前に電気というものを知って以来、畏怖と恐怖を抱いてきた。電気(electricity)の語源はギリシャ語の“琥珀”(こはく)だ。古代人は、樹脂の化石である琥珀をこすって静電気を起こしていたからだ。エジプトやギリシャ、ローマの川や沿岸地域に生息するうなぎや魚が発する電気に触れると体が痺れる現象は、西暦紀元のはるか以前に著された科学文献にもすでに詳しく説明されている。

【『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2012年/文春文庫、2015年)以下同】

 リンカーン・ライム・シリースの第9作で、『ウォッチ・メイカー』(第7作)の変則的な続篇である。系統としては『青い虚空』と同じくライフラインをコントロールするテロだ。犯人は送電システムを自由自在に操り、ニューヨーク市への送電を予告なしに50%削減することを要求する。

 ジェフリー・ディーヴァーの作品は謎解きに目を奪われると、どんでん返しというパターンが食傷気味になってしまう。ゆえに蘊蓄(うんちく)本として読むのが正しい。「電気を知る」と思えばこれに優る良書はない。

「人を死なせるには、何アンペア必要だと思いますか。交流電流で100ミリアンペア。それだけであなたの心臓は細動を起こす。あなたは死んでしまうんです。100ミリアンペアは、1アンペアのたった10分の1ですよ。電気店で売ってるごく一般的なヘアドライヤーは10アンペア消費する」
「10アンペア?」サックスはかすれた声で訊き返した。
「そうです。ヘアドライヤーの一つで。10アンペア。ちなみに、電気椅子も10アンペアで職務を果たします」

 その微量に驚かざるを得ない。尚、原文はどうあれ「一つで」の後は読点にすべきだろう。校正が甘い。

 人体は電気信号で動いている。脳波や心電図は電気活動を記録したものだ。神経とは「神気の経脈」の謂(いい)で日本語初の翻訳書『解体新書』(オランダ語『ターヘル・アナトミア』前野良沢〈翻訳係〉と杉田玄白〈清書係〉)の訳語である。

「気」が精神と物質との双方を包摂した概念であり、「気」は純度に応じ「精」「気」「神」に細分され「精」においては物質的、「神」においては精神作用も行うとされる。

Wikipedia - 精神

 気功の気も電気に通じているように私は思う(『気功革命 癒す力を呼び覚ます』盛鶴延)。

 都市機能を維持するライフラインは人体における神経や血管同様、密接につながり、滞ることがない。ライフラインの破壊を企てるテロは刺傷行為そのものだ。冒頭で犯人は「シビレエイのように」身を潜(ひそ)ませる。この一語に込められた諷意はソクラテスの賢さだ。被害者の動きは突然止まり、体が反り返り、ジュウジュウと音を立てながら黒焦げの死体と化す。西洋人であれば「神の怒り」を思わずにはいられないだろう。

 去る10月12日、東京で58万6000戸に及ぶ大規模停電があった。古くなった地下送電ケーブルの燃焼が原因で、35年前に設置された同型のケーブルは首都圏で1000kmもあるという。都市という名の巨人を支えているのは脆弱(ぜいじゃく)なインフラであった。東京オリンピック(1964年)前後に整備されたインフラが綻び始めたのは1990年代からで、広島新交通システム橋桁落下事故(1991年)、豊浜トンネル岩盤崩落事故(1996年)を皮切りに橋とトンネルが老朽に耐えられなくなった。「1930年代からインフラ建設が盛んになったアメリカでは、1960年代後半から、橋の事故が続発」(「橋の安全を考える」藤野陽三)した経緯を思えば、この国は「学ぶ力」を欠いていたと言わざるを得ない。介護の問題と全く同じである(『恍惚の人』有吉佐和子)。

「成熟しない社会」と言えばそれまでだが根はもっと深い。近代化の過程で克服し得なかったエートスが脈々と受け継がれているのだ(『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹)。我が国では合理性が小集団の利益を意味する。明治維新以降、藩閥政治が始まり現在に至るまで村意識を脱却することがない。規制緩和は新たな利権を生むだけで古い構造はびくともしない有り様だ。戦前は武士道のエートスがあったが個人の領域にとどまっていた。そして歴史は既に改竄(かいざん)されている。

2014-03-01

超高度化されたデータ社会/『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー


『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『コフィン・ダンサー』 ジェフリー・ディーヴァー
『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー
・『石の猿』ジェフリー・ディーヴァー
・『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー
・『12番目のカード』ジェフリー・ディーヴァー
『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー

 ・超高度化されたデータ社会

『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー
『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー

 2年前に読んだ時は「やがてそんな時代がくるのか」と思った。そして今実現しつつある。ビッグデータを始め、広告や検索結果のパーソナライズド化など。更にフェイスブックの登場がウェブ空間に実名主義をもたらし、プライバシーを本人が垂れ流すという奇妙な事態が現れた。ツイッターでは現在進行形のいたずらや悪事を紹介し、飲食店が閉鎖に追い込まれるケースが続いた。

 あらゆる情報はデータとなり管理される時代となったのだ。ディストピアの現実化だ。

 しかし、ほかのすべてのものと同じように、まもなく紙幣にもタグ――RFIDが付くようになるに違いない。すでに導入している国もある。銀行は、どの20ドル札がどのATMや銀行から誰の手に渡ったか、追跡することができる。その札が〈コカ・コーラ〉や愛人に贈るブラジャーを買うのに使われたのか、殺し屋を雇うのに使われたのかだって当然わかるわけだ。ときどきこう思うことがある。黄金を通貨代わりにしていた時代に戻ったほうが幸せなのではないかと。
 網の目につかまらぬように。

【『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2009年/文春文庫、2012年)以下同】

 一昔前まで監視カメラはプライバシー侵害の象徴として人々から忌み嫌われていた。それが特異な猟奇的犯罪が起こるたびに設置箇所が増え、現在では防犯カメラと呼ばれて安心の代名詞となった。アメリカではITバブルの後にセキュリティ・バブルが興ったという指摘もある(『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン)。

 Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)も政治的議論を経ずに設置されている。

 紙幣にタグを付ければ人々の欲望の流れが丸見えとなる。細かな流れがわかれば、そこから支流へ導いて大河を形成することも可能になる。

「(データマイナーとは)名前のとおりのものです。情報サービス会社ですよ。顧客の個人情報や購入履歴、住居、車、クレジットカードの利用履歴……とにかく、ありとあらゆるデータを採掘(マイン)するんです。集めた情報を分析して、販売する。で、企業はそれを利用して市場の動向を把握したり、新しい顧客を獲得したり、ダイレクトメールを送る顧客を絞りこんだり、広告戦略を練ったりするわけです」

 本書に登場する殺人鬼はデータマイニングに通じ、まったく関係のない第三者を犯人に仕立て上げる。それどころか物証まで用意するのだ。従兄弟が被害者となったことでリンカーン・ライムは捜査に乗り出す。

「いや、何一つ。どこを掘り返しても、出てくるのは一人だけ――私だ。そいつは私から私を奪った……奴らは、万が一に備えた予防策は用意されている、データは守られてると言う。笑止千万だ。たしかに、クレジットカードを紛失したくらいなら、ある程度までは守ってもらえるかもしれないな。だが、誰かが本気できみの人生を破滅させようとしたら、きみにできることは何一つない。人はコンピューターが言うことを鵜呑(うの)みにする。コンピューターが、きみには借金があると言えば、きみには借金があるんだ。きみと保険契約を結ぶのは危険だと言えば、きみと保険契約を結ぶのは危険なんだよ。きみには支払い能力がないと言えば、たとえ現実には億万長者だとしても、きみには支払い能力がない。人はデータを信じる。真実なんか意味を持たないのだよ」

 これが超高度情報社会の実態だ。データとは歴史でもある。「書かれたもの」だけが歴史なのだ(『歴史とはなにか』岡田英弘)。ここにおいて存在は「記録されたもの」へと矮小化される。

 私を証明するのは私自身ではない。免許証や保険証・パスポートである。パスワードを失念すれば自分の預金すらおろすことができない社会だ。個人は限りなくID化されてゆくことだろう。アイデンティティはアイデンティフィケイション(identification=ID)に置き換えられる。

 私のデータを書き換えるのは私自身ではない。そしてデータは常に上書き更新される。どこにもログインできなくなったとしたら、それは社会的抹殺を意味する。「ソウル」(魂)はデータ化される。

2017-12-03

読み始める

シャドウ・ストーカー 上 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2016-11-10)
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シャドウ・ストーカー 下 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2016-11-10)
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ゴースト・スナイパー 上 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2017-11-09)
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ゴースト・スナイパー 下 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2017-11-09)
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スキン・コレクター
スキン・コレクター
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ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋
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2020-02-24

和製ジェフリー・ディーヴァー/『犯罪者』太田愛


 ・和製ジェフリー・ディーヴァー

『幻夏』太田愛
・『天上の葦』太田愛

ジェフリー・ディーヴァー
ミステリ&SF

 首都高のジョイントの音がメトロノームのように単調に響く車内で、滝川は掌の中でいつものように握力ボールを回転させながら黙って服部から事の次第を聞いた。事務的な口調とは裏腹に服部の胸の内が冷たい怒りに満ちているのが滝川にははっきりと解った。今夜は相手にまんまと裏をかかれ、服部は使いに出された小僧も同然だった。そのうえ、明後日には佐々木邦夫の要求どおり滝川と二人で5億の金を運び、繁藤修司とサンプルを買い取るよう磯辺に命じられたのだ。頭にくるのももっともだと滝川は思った。それでも服部は、先ほど滝川が目にした森村に比べれば格段に落ち着いている。服部は怒りや鬱屈をそのまま集中力に変えるだけの、どこかしら陰惨な匂いのする自制心を身につけている。滝川はそう感じた。

【『犯罪者』太田愛〈おおた・あい〉(角川書店、2012年『犯罪者 クリミナル』/角川文庫、2017年)】

 一気読み。太田愛はテレビドラマの脚本家で「TRICK2」「相棒」などを手掛けた。とてもデビュー作とは思えぬ出来栄えで老練な印象すら受けた。

 駅前広場のテロ事件から幕を開ける。出刃包丁を振りかざした無差別テロが実は計画的な犯行で4人の被害者には共通項があった。もう一つ別の物語が並走する。幼児を襲う奇病メルトフェイス症候群だ。眼球を含む顔面の組織が次々と壊死する病だった。原因は食品大手のタイタスフーズが作った離乳食「マミーパレット」に混入していた中国産の野菜と後に判明する。架空の病気を設けることで薬害が生まれるメカニズムを見事に描いている。太田は森永ヒ素ミルク事件(1955年)をイメージしたようだ。

 二つの物語が一つに結びつき真相が判明する。しかも下巻の序盤で。「ここからまだ捻(ひね)るのか」という期待が一気に高まる。和製ジェフリー・ディーヴァーの誕生か。

 滝川は政治家に雇われた殺し屋である。繁藤修司〈しげとう・しゅうじ〉と彼を匿う刑事の相馬亮介、そして元テレビマンの鑓水七雄〈やりみず・ななお〉が滝川のターゲットだ。

 文句なしの面白さだが目立つ瑕疵(かし)が二つある。まず登場人物の名前がよくない。苗字が奇抜だと読み手は記憶することを強いられ物語に集中する力を削がれる。ロシア文学が嫌われるのも人物名を覚えられないためだ。次に若い修司が相馬や鑓水に助けられながらも二人を呼び捨てにすることはあり得ない。理解に苦しむ設定だが、ひょっとするとテレビ業界の影響があるのかもしれぬ。

 尚、太田作品は『幻夏』『天上の葦』と続くが、いずれもこの3人が主役なので本書から順番で読むのが望ましい。

2019-05-12

読み始める

日本「衆合」主義の魔力―危機はここまで拡がっている (1982年)
小室 直樹
ダイヤモンド社
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自衛隊幻想 拉致問題から考える安全保障と憲法改正
荒木和博 伊藤祐靖 荒谷卓 予備役ブルーリボンの会
産経新聞出版
売り上げランキング: 212,838

戦う者たちへ (日本の大義と武士道)
荒谷 卓
並木書房 (2015-08-31)
売り上げランキング: 40,940

心を空っぽにすれば夢が叶う
相川圭子
講談社インターナショナル
売り上げランキング: 56,184

オートポイエーシス論入門
山下 和也
ミネルヴァ書房
売り上げランキング: 940,748

バシャール・ペーパーバック1―ワクワクが人生の道標となる (VOICE新書)
バシャール ダリル・アンカ
ヴォイス
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バシャール・ペーパーバック2―人生の目的は「ワクワク」することにある (VOICE新書)
バシャール ダリル・アンカ
ヴォイス
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失われた名前 サルとともに生きた少女の真実の物語
マリーナ・チャップマン
駒草出版
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刑務所の読書クラブ:教授が囚人たちと10の古典文学を読んだら
ミキータ・ブロットマン
原書房
売り上げランキング: 280,195

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室
キャスリーン・フリン
きこ書房 (2017-02-09)
売り上げランキング: 71,276

チャイルド・オブ・ゴッド
コーマック・マッカーシー Cormac McCarthy
早川書房
売り上げランキング: 287,161

限界点 上 (文春文庫)
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ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2018-02-09)
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限界点 下 (文春文庫)
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ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2018-02-09)
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007 白紙委任状 上 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2014-11-07)
売り上げランキング: 403,334

007 白紙委任状 下 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2014-11-07)
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英知の教育
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ジッドゥ クリシュナムルティ
春秋社
売り上げランキング: 677,905

2012-01-02

私はブック・キャッチャーである/『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー

私が書いているのは書評ではない。はなっから書評を書くつもりもない。書評とは批評であり、作品を材料とした自己主張であろう。

 本来であれば、ひたすら抜き書きをしたいのだ(笑)。書写の快楽に浸(ひた)りたい。しかしながら、それでは私の味覚が伝わらない。それゆえ仕方なしに所感を綴っているのである。

 だから、江口はそこかの「引用せずにはいられない」というキャッチフレーズは死ぬほど共感できる。

 そして致命的な問題も発生した。実は数年前からキーボードの打ち過ぎで腱鞘炎(けんしょうえん)になってしまったのだ。始めのうちは肘に痛みを覚えたのだが、一昨年あたりから十本指の全関節が痛み出した。ピアニストなどに見られる症状のようで、放置しておくと指の関節が拘縮するケースもあると知り、さすがの私も青ざめた。

 で、音声入力ソフトを試したのだが、如何せん変換率が悪い。そんなこんながあって昨年からはデジカメ撮影で保存するようになった。でもさ、画像で保存すると殆ど見ることがないんだよね(笑)。

 そもそも、ひたすら書写するという研鑚方法に問題がある。初めてパソコンを買った当初、テキスト入力でキー操作を練習し、数ヶ月かけて4万文字を入力した頃タッチタイピングができるようになっていた。

 今は桁が違う。クリシュナムルティの『子供たちとの対話 考えてごらん』に至っては9万5000字ほど入力したが、これを3~4日間で行っている。更に悪いことは、クリシュナムルティを読むようになってから感受性が鋭さを増し、さほど変哲のない文章にも感動を覚えるようになってしまった。

 過去に入力した分だけ見返しても、とても発信できる量ではない。

 そこで、やはり基本スタンスを確認する必要に迫られている。私は明年で50歳になるのだ。うかうかしているうちに介護保険のお世話になってもおかしくない年代だ。ライフワークの「ライフ」があと20年くらいしかないのだ。ちょっと背伸びしただけでゴールが見える位置にいるのだ。人生のハーフタイムは既に過ぎている。あな恐ろしや。

「ブッダの初期経典とクリシュナムルティを結びつけ、大乗仏教から政治性・世俗性を抜き去る」というのが個人的なテーマである。

 ただし私は学識者ではないし哲学者でもない。具体的な立場としては「キャッチャー」なのだ。

“民謡研究者”という立派な呼称もあるもの(ママ)、一般には“ソング・キャッチャー”と呼ばれている。

【『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2008年/文春文庫、2011年)】

 豪速球を受け止め、受けたボールを軽く投げ返すのがキャッチャーの仕事である。目指すは書評家ではなくブック・キャッチャーだ。

 私は3000冊ほどの本を読んできたが、本格的に集中して読むようになったのはここ数年のことである。それらがやっと、つながるようになってきた。これがまた実にスリリングなんだ。知識の光が合わせ鏡のように反射する時、縁起が少しだけ実感できる。

 というわけで、2012年も宜しくお願い申し上げます。

◎カルト教団のリーダーvsキネシクス/『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー
◎「なぜ入力するのか?」「そこに活字の山があるからだ」


スリーピング・ドール〈上〉 (文春文庫) スリーピング・ドール〈下〉 (文春文庫)

Happy New Year

2013-05-15

ジェフリー・ディーヴァー


 1冊読了。

 16冊目『ロードサイド・クロス』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2010年)/キャサリン・ダンス・シリーズ。駄作。寝不足に陥った分だけ恨みが募る。ただし親子ものの短篇小説として読むことが可能。無理のあるストーリーに耐えながら、トラヴィスと父親が去ってゆく場面(467ページ)、ダンスと母親のやり取り(486ページ)を読むだけでも価値がある。

2013-11-02

ジェフリー・ディーヴァー、アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム、丸山健二、ネレ・ノイハウス、ユッシ・エーズラ・オールスン


 5冊挫折、2冊読了。

深い疵』ネレ・ノイハウス:酒寄進一〈さかより・しんいち〉訳(創元推理文庫、2012年)/酒寄進一の訳が苦手だ。読み終えた例(ためし)がない。

風を見たかい?』丸山健二(求龍堂、2013年)/求龍堂というスポンサーに丸山は支えられているのが腑に落ちない。数ページで挫ける。

人生なんてくそくらえ』丸山健二(朝日新聞出版、2012年)/つい半分以上読んでしまった。昔を懐かしむあまり。若い人は読むといいよ。丸山のメッセージは常に一方的だ。対話性を欠いている。その独善性が小説作品をつまらなくしてしまったのだろう。『メッセージ 告白的青春論』(1980年)、『君の血は騒いでいるか 告白的肉体論』(1981年)を読んだ時の昂奮はどこにもなかった。なんと、『新装版 まだ見ぬ書き手へ』(眞人堂、2013年/朝日文芸文庫、1997年)が出た。これはお薦め。

時空の歩き方 時間論・宇宙論の最前線』スティーブン・ホーキング、他:林一〈はやし・はじめ〉訳(早川書房、2004年)/予想以上に難しかった。

特捜部Q 檻の中の女』ユッシ・エーズラ・オールスン:吉田奈保子訳(ハヤカワ文庫、2012年)/翻訳がダメ。意味不明な箇所が目立つ。シリーズものだけに残念。

 53冊目『追撃の森』ジェフリー・ディーヴァー:土屋晃訳(文春文庫、2012年)/こりゃダメだろう。手抜きとしか思えない。ま、それでも最後まで読んだけどさ。

 54冊目『死刑囚』アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム:ヘレンハルメ美穂訳(RHブックス・プラス、2011年)/武田ランダムハウスジャパンの文庫本。これは佳作。ヘレンハルメ美穂とくれば北欧ミステリ。社会派小説かと思いきや、最後に大どんでん返しが待っている。死刑反対の物語でもある。

2015-05-21

ジェフリー・ディーヴァー、ジョン・ハート


 1冊挫折、1冊読了。

川は静かに流れ』ジョン・ハート:東野さやか訳(ハヤカワ文庫、2009年)/「それから僕から川へと視線を転じると」(14ページ)でやめる。東野訳は今後敬遠するつもりだ。

 54冊目『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2012年)/リンカーン・ライム・シリーズの第9作。犯人は送電線を自由自在に操って不特定多数の人々を殺傷する。いわば電力テロ。同時進行でウォッチメーカーを巡るメキシコの捜査が展開される。9作目ともなると少々パターンが鼻についてくるわけだが、最後であっと驚く大どんでん返しがある。ただし、ちょっとずるいと思う。「いくら何でも」という思いを払拭できない。とは言ってもファンの期待を裏切らない作品に仕上げているのはさすが。

2012-06-02

ジェフリー・ディーヴァー


 1冊読了。

 30冊目『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2009年)/リンカーン・ライム・シリーズの第8作。上下二段で500ページを超えるボリュームだが二日間で読了。『青い虚空』と似た系統である。電子タグなどから個人のあらゆる情報をデータマイニングする巨大企業が登場する。殺人鬼は被害者のあらゆるプライバシーに精通し、まったく関係のない第三者を犯人に仕立て上げた。しかも用意周到に犯罪の物証まで揃えていた。リンカーンの従兄弟であるアーサー・ライムが犠牲者となったことから判明するわけだが、この従兄弟とリンカーンの関係も複雑なものだった。ま、粗(あら)を探せば、二つ三つ四つくらいは直ぐ見つかるが、それでも尚このシリーズは勢いを失ってはいない。

2019-01-26

ミステリ&SF


     ・キリスト教を知るための書籍
     ・宗教とは何か?
     ・ブッダの教えを学ぶ
     ・悟りとは
     ・物語の本質
     ・権威を知るための書籍
     ・情報とアルゴリズム
     ・世界史の教科書
     ・日本の近代史を学ぶ
     ・虐待と精神障害&発達障害に関する書籍
     ・時間論
     ・身体革命
     ・ミステリ&SF
     ・クリシュナムルティ著作リスト
     ・必読書リスト その一
     ・必読書リスト その二
     ・必読書リスト その三
     ・必読書リスト その四
     ・必読書リスト その五

『サクリファイス』近藤史恵
『テロリストのパラソル』藤原伊織

マークスの山(上) (新潮文庫)
高村 薫
新潮社 (2011-07-28)
売り上げランキング: 116,462
マークスの山(下) (新潮文庫)
高村 薫
新潮社 (2011-07-28)
売り上げランキング: 42,865

『レディ・ジョーカー』高村薫
『神々の山嶺』夢枕獏
『13階段』高野和明
『隠蔽捜査』今野敏
『果断 隠蔽捜査2』今野敏
『犯罪者』太田愛
『イノセント・デイズ』早見和真

『緊急深夜版』W・P・マッギヴァーン
ゴッドファーザー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
マリオ プーヅォ
早川書房
売り上げランキング: 21,397

ゴッドファーザー〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
マリオ プーヅォ
早川書房
売り上げランキング: 23,159

『初秋』ロバート・B・パーカー
『レイチェル・ウォレスを捜せ』ロバート・B・パーカー

本命 (ハヤカワ・ミステリ文庫 12-4 競馬シリーズ)
ディック・フランシス
早川書房
売り上げランキング: 316,785

『A型の女』マイクル・Z・リューイン
『鷲は舞い降りた』ジャック・ヒギンズ
『女王陛下のユリシーズ号』アリステア・マクリーン
『暗殺者』ロバート・ラドラム
『狂気のモザイク』ロバート・ラドラム
『ブラック・プリンス』デイヴィッド・マレル
『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』ジョージ・ジョナス

消されかけた男 (新潮文庫)
ブライアン フリーマントル
新潮社
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『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー
ベルリン 二つの貌 (創元推理文庫 (204‐2))
ジョン・ガードナー
東京創元社
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沈黙の犬たち (創元推理文庫 (204‐3))
ジョン・ガードナー
東京創元社
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『マエストロ』ジョン・ガードナー
『静寂の叫び』ジェフリー・ディーヴァー
『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
『守護者(キーパー)』グレッグ・ルッカ
『チャイルド44』トム・ロブ・スミス
『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド
『罪』カーリン・アルヴテーゲン
『喪失』カーリン・アルヴテーゲン
『裏切り』カーリン・アルヴテーゲン
・『催眠(上)』『催眠(下)』ラーシュ・ケプレル
『湿地』アーナルデュル・インドリダソン
『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン
・『』アーナルデュル・インドリダソン
『前夜』リー・チャイルド
『生か、死か』マイケル・ロボサム
『許されざる者』レイフ・GW・ペーション



『通りすぎた奴』眉村卓
『総門谷』高橋克彦
・『2001年宇宙の旅』アーサー・C・クラーク
・『百億の昼と千億の夜』光瀬龍
『木曜の男』G・K・チェスタトン
『われら』ザミャーチン:川端香男里訳
『「絶対」の探求』バルザック
『絶対製造工場』カレル・チャペック
『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー:黒原敏行訳
『一九八四年』ジョージ・オーウェル:高橋和久訳
『華氏451度』レイ・ブラッドベリ
『とうに夜半を過ぎて』レイ・ブラッドベリ
『聖者の行進』アイザック・アシモフ
『数学的にありえない』アダム・ファウアー
『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン
『くらやみの速さはどれくらい』エリザベス・ムーン