2017-12-03

8の字体操/『ひざ痛は99%完治する』酒井慎太郎


 ・8の字体操

『ひざの激痛を一気に治す 自力療法No.1』

 厚生労働省の研究班の出した推計では、変形性ひざ関節症などのひざ痛を抱える人は、予備軍を含めると2500万人にものぼるそうです。つまり、日本人のおよそ5人にひとりは、何らかのトラブルを感じているわけですね。

【『ひざ痛は99%完治する』酒井慎太郎(幻冬舎、2011年)】

 今年の4月からバドミントンを始め、3ヶ月間で右ふくらはぎの肉離れを三度起こし、その後膝痛に見舞われた。当初は痛む足を庇(かば)ったためにバランスを崩したのだろうと軽く考えていたのだが今日に至るまで治っていない。

 意を決して膝痛博士になるべく図書館から本を借りてきた。既に20~30冊ほど読んだが目ぼしいものは2~3冊しかない。つまり9割方はクズ本である。やはり医師が著した書籍が多い。「優秀だから医師になった」という見方は決して誤っていないが、飽くまでも「医師になる」までの話であって、それ以降も学び続ける医師は少ない。ま、「なった時点」で終わっているようなのが大半を占めている。相関関係と因果関係すら理解していないのが実態である。

 とはいえ私と同じ悩みを持つ同朋が2500万人もいると知れば、多少なりとも参考情報を知らせたい気になる。膝痛にはいくつもの種類があるので、自分の症状を鑑みて適合する内容を見つけてもらえれば幸いである。

 本書はまずタイトルがダメだ。たぶん幻冬舎が付けたのだろうが薬事法に違反する健康食品の謳い文句と同じレベルのあざとさが見える。「完治」を「99%」で誤魔化す子供騙しが拙劣だ。痛みという悩みに引きずられると嘘が見抜けなくなる。

 紹介されているのはテニスボールを使ったエクササイズで、私はやっていないのだがやる価値はあると思う。膝の裏側に挟んで屈伸をしたり、腰の後ろ部分にある仙腸関節を矯正する方法を図示している。

 もう一つはハムストリングスを柔らかくする「8の字体操」である。左右の足を交差させて立ち、左右の手をひねって組み、横8の字を描くように10回まわす。もちろん柔軟性が膝痛を直接解消するわけではないが、体のバランスを調(ととの)える効果は確実にあるだろう。

2017-11-28

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2017-11-23

「改革」を疑え/『平成経済20年史』紺谷典子


『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
『国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話』武田邦彦
『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎

 ・「改革」を疑え

『消費税減税ニッポン復活論』藤井聡、森井じゅん

必読書リスト その二

 小泉改革が、景気回復をもたらしたというのは、ほとんど嘘である。戦後最長のいざなぎ景気を抜いた「最長の景気回復」と政府は言ったが、そういう政府自身、デフレ経済からの脱却を宣言できなかった。

 米国とならんで、裏で改革を後押ししてきたのは財務省だ。「改革」と言われてきたものの多くが、財政支出の削減でしかなかったことを見ても、それは明らかだ。
 年金改革も医療保険改革も、保険料の値上げと、年金の削減、医療の自己負担の増加でしかなかった。国民に安心を与えるための社会保障改革は、逆に国民の不安を拡大した。財政危機が実態以上に、大げさに語られてきたからである。しかし、年金や医療の財政危機は、事実ではなかった。
 社会保障の削減はすでに限度を超している。その結果、世界一と評価されたこともある日本の医療は、もはや崩壊寸前である。
 小泉改革の「官から民へ」は行政責任の放棄であり、「中央から地方へ」移行されたのは財政負担だけだった。「郵政民営化」は、保険市場への参入をめざす米国政府の要望である。小泉首相の持論と一致したのは、米国にとっては幸運でも、国民にとっては不運だった。
 改革のたびに国民生活が悪化してきたのは、改革が国民のためのものではなかった証左である。私たちは、そろそろ「改革」とされてきたものを疑ってみるべきではないだろうか。

【『平成経済20年史』紺谷典子〈こんや・ふみこ〉(幻冬舎新書、2008年)】

 紺谷典子は小泉政権の天敵と言われ、いつしかテレビから抹殺された人物である。まずは動画をご覧いただこう。

博士も知らないニッポンのウラ:紺谷典子

 時間のない人は58分30秒から10分ほどだけでも必ず見てほしい。様々な圧力や美味しい話に振り回されることなく、専門家としての矜持(きょうじ)をさらりと語っている。紺谷が抜いた真剣の光に照らされて宮崎哲弥や水道橋博士の軽薄さがくっきりと見える。豊かでありながら抑制された声も今時珍しい。更に誰かが口を開くと自分の話をやめて耳を傾ける姿勢も謙虚さの表れだろう。

 番組の配信が2008年3月15日である。前年の7月末にサブプライム・ショックがあり、そして2008年の9月にリーマン・ショックがマーケットを襲う。日経平均は7000円を割り込んだ。そして2009年9月に民主党政権が産声をあげる。3年間の迷走と混乱が国民を保守に回帰せしめて今日に至る。わずか9年前の番組でありながら隔世の感がある。

 amazonレビューを見ると専門的な勉強をした人ほど低い評価のようだ。ただし具体性に欠け説得力が弱い。国民全体が貧しくなった原因と解決策を示さなければ所詮言葉遊びに過ぎない。

 大蔵省-財務省にメスを入れることのできる政治家が登場しない限り、この国の政治は旧態依然のまま利権の巣窟と化す。去る総選挙で安倍首相は消費税増税分の使途を変更する公約を掲げた。やはり長期安定政権であっても財務省には逆らえないのだろう。

2017-11-21

国家が堂々と行う詐欺/『国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話』武田邦彦


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント 経済的自由があなたのものになる』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲
『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』橘玲、海外投資を楽しむ会
『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

 ・国家が堂々と行う詐欺

『平成経済20年史』紺谷典子
・『給料を2倍にするための真・経済入門』武田邦彦
『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』リチャード・A・ヴェルナー

 庶民が国債を100万円買ったとする。そのお金はいくらになって戻ってくるのだろうか?
 この世ではじめて「庶民から見た国債」ということが明らかになるのだから、その結果をすぐには納得できないと思うが、次のような結果になる。
 100万円の国債を1回買うだけなのに庶民は5回にわたってお金を支払い、その合計は実に405万円以上になる。そして、受け取りは200万円になるので、差し引き最低でも205万円のマイナスとなる。
 つまり「100万円の国債を庶民が買ったらマイナス205万円」と覚悟しておかなければならない。それが「庶民から見た国債会計」だ。

【『国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話』武田邦彦(東洋経済新報社、2007年)以下同】

 武田邦彦の近著は文章が酷い。たぶんブログ記事を出版社が編集しているだけなのだろう。わかりやすさを強調して内容が劣る結果となっている。それでも「必読書」に入れたのは経済のインチキ手法を見事に明かしているためだ。上記テキストでも「受け取りは200万円になる」という部分が理解に苦しむ。国債償還分100万円+金利分とインフラ整備や社会保障などによる還元を意味するのだろう。つまり「国民が政府に100万円を貸し出すと、205万円の税負担が増える」ということだ。

 政府に返す気がないのをハッキリさせるのは簡単だ。庶民の代表が政府に行って「まあ、政府にもいろいろな事情はあるだろうが、そろそろ国債を返して下さい」と言えばよい。
 そうすると、思わぬ答えが返ってくる。普通なら「すみません。もう少し待って下さい」と言うだろうがそうではない。政府の高官はすでに次のように発言している。
「赤字国債がたまり国の財政が不安定になったので、消費税を上げて国債の償還に充てたい」
 なかなか素直な発言で、その点では評価できる。でもハッキリと「国債」が借金ではない、だから返さないと言っている。そのカラクリは次のようなものだ。
 まず100万円の国債を国民に売ったとしよう。それは高速道路の建設などに使い切ってしまうのでお金を貸した国民が債権を持ってきて「100万円返して下さい」と言うと、国は「使ってしまいましたので手元にはありません。返しますから100万円を税金として納めて下さい」と答える。
 確かに国はお金を使ってしまったのだから、返せるはずはない。こんな簡単なトリックがまかり通るのは国民が一人ではなく1億2000万人もいるからである。

 トリックを見破るために、まず国民がAさん、Bさんの二人しかいないとしよう。
 政府は、国民Aさんに利率1%で100万円の国債を売り「期限の5年が来たら必ず返します」と約束する。でもこのお金は使ってしまうので、Aさんの国債を返す期限が来ると「税金」という名前でAさんとBさんから利子を含めて半分ずつ取って105万円をAさんに返す。そういう仕組みが国債である。
 明らかに一種のサギであるが、民法には引っかからない。
 なぜなら民法はもともと個人を対象にしているので、Aさんから借りたお金をAさんも含めた関係者一同から取るケースなど現実的にあり得ないので考えてもいないからである。

 吃驚仰天である。なぜこんな簡単な道理を学者や経済評論家、新聞、テレビが明かしてこなかったのか? こうした事実を思えば、やはり安易な気持ちで自民党を支持するのはどうかと思う。まして財務省に操られる政治家など言語道断だ。

 国が行う事業は基本的に利益が出るものは少ない。利益が見込めれば民間がやるわけだし、利益がないからこそ国家が行うのである。とすると赤字国債発行は国家にとって麻薬のような存在となる。まずは増税する前に国の資産を売却するのが筋だろう。

「国民1人当たり830万円詐欺」には気をつけよう - シェイブテイル日記

 国民を騙し続ける財務官僚を罰する法律が必要だ。彼らこそは国家を蝕む獅子身中の虫である。

2017-11-20

お金持ちになる方程式/『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント 経済的自由があなたのものになる』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲
『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』橘玲、海外投資を楽しむ会

 ・お金持ちになる方程式
 ・ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」

『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦

必読書リスト その二

 お金持ちになる方法はたったひとつの方程式で完全に記述できます。

 資産形成=(収入-支出)+利回り×資産

 もう少し具体的に書くと、次のようになります。

 1年間で増える財産=(年間総収入-年間総支出)+年率運用利回り×運用資産

 このお金持ちになるための秘密の方程式にあいまいな点は全くありません。完全に正しい方程式です。要するに、お金持ちになるためには、(1)収入を増やすか、(2)支出を減らすか、(3)利回りを上げて投資からの収入を増やすという、みっつの方法しかないことがわかります。
 作家の橘玲さんによると、世の中の「金持ち本」は、すべてこのみっつのうちのどれかに分類できるそうです。

【『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希〈ふじさわ・かずき〉(ダイヤモンド社、2006年)以下同】

「あ!」と思った人は金持ちになれる。「なーんだ」と思えばそれまでのこと。所詮、足し算引き算なのだ。そして資産形成を左右するのは利回りである。利回りは時間を経るごとに大きな力を発揮する。つまり若いうちからマネーの勉強をするのが正しい。

『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』から順番で読めば投資のリスク(不確実性)をすんなりと理解できる。素人の甘い考えは呆気なく吹き飛ばされる。これがファイナンシャル・リテラシーの第一歩である。

 このように借金をして何かに投資することを、ファイナンス用語で「レバレッジをかける」といいます。(中略)

 所持金の何倍に値する株式を持っているかを、レバレッジ倍率といいます。
 3倍のレバレッジをかけていれば、持っていた株が30%上がると、3倍の90%もうかります。100万円の所持金で、レバレッジなしで株を100万円買っていたら30万円しかもうからなかったのが、3倍のレバレッジをかけていれば一気に90万円もうかるのです。
 逆に30%下がるとどうなるでしょうか? レバレッジなしだと30万円の損失です。しかし、3倍のレバレッジをかけると損も3倍になるので90万円の損失になります。(中略)

 さて、マイホームの話に戻りましょう。実は自分の全財産の何倍もの借金をして家を買うというのは、レバレッジをかけているのと同じことなのです。例えば、頭金1000万円で5000万の物件を買うというのは、レバレッジ5倍に相当しますし、頭金が500万円ならレバレッジ10倍になります。ファイナンスの常識から考えると、非常にハイリスクな投資といえます。
 マイホームを買うという行為は、投資という意味では、株を買うのとまったく同じです。損することもあれば、得することもあります。
 買った後に、土地の値段や家賃の相場が上がり不動産価格が上昇すれば、投資は成功したことになりますし、逆に下がれば、投資は失敗でお金を損したことになります。

「レバレッジ」とはレバー(梃子〈てこ〉)の作用を意味する。証拠金に対して現物(株式)の信用取引は3倍、外国為替証拠金取引(FX)は25倍、商品先物・指数先物は30倍前後となっている。リーマンショック以降法規制が進み、かつては100倍ほどだったレバレッジも25倍前後で落ち着いている。また多くの証券会社は有効比率が100%を割り込むとストップ(強制執行)するシステムを導入しており、昔のように投資で借金を背負い込むことはほぼない(※最近ではスイスフランショックという例外あり)。

 マイホームは借金が残っている間の所有者は銀行である(『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』)。ここを錯覚させるところが貸し方のマジックである。20年、30年とローンを組んでいる間は借家と何ら変わりがない。

 尚、上記テキストの損得は注意が必要で、決済(マイホームを売る)しなければ損得は実現されない。手っ取り早く言ってしまえば買値よりも高く売れることが資産価値であり、これを投資と名づける。不動産は流動性リスク(=買い手が少ない)が高く、売りたい時に直ぐ売れるとは限らない。バブル景気以前の土地神話は復活するべくもなく、少子高齢化という現状を見れば不動産市場は長期的に低迷を避けるのが難しいだろう。

 先程ツイッターで以下の記事を知った。

株高の今「資産100万円」の人が株式投資で成功するための戦略とは?=鈴木傾城(すずき・けいせい)

 さすが世界の闇を見つめているだけのことはある。やはり投資で成功する人は目の付け所が違う。

 若い人に投資の優位性があるのはドルコスト平均法を長期展開できるからだ。株式であればインデックス(日経平均、ダウ平均など)に妙味がある。資本主義の未来を信じる人は株式に投資すればよい。ま、わたしゃ信じないけどね(笑)。米株もそろそろバブルだろう。何と言っても米ドルが信用ならない。東アジアの戦争→米ドル失墜→新通貨体制発足という青写真をアメリカが描いているような気がする。そもそもニクソンショックで紙幣という紙幣は裏づけを失い、ただの紙切れになったことを踏まえると実に危うい信用世界である。

 個人的にお勧めするのは金現物かビッドコインの積み立てである。紙(紙幣・株式・債権)の価値が下がれば商品(コモディティ)の価値が上がる。ただしゴールドは戦争となれば国家に押収される可能性が高まる。いずれにせよリスクを取らない者はリターンを得ることができない。