・『新版 人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ
・天才オイラーの想像を絶する記憶力
・コネクターがハブになる
・『複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線』マーク・ブキャナン
・『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』(旧題『ティッピング・ポイント』)マルコム・グラッドウェル
・『歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』マーク・ブキャナン
スイスに生まれたオイラーは、ベルリンとサンクトペテルブルグで研究を行い、数学、物理学、工学のあらゆる領域に絶大な影響を及ぼした。オイラーの仕事は、内容の重要性もさることながら、分量もまた途方もなく多い。今日なお未完の『オイラー全集』は、1巻が600ページからなり、これまでに73巻が刊行されている。サンクトペテルブルグに戻ってから76歳で世を去るまでの17年間は、彼にとっては文字通り嵐のような年月だった。しかし、私的な悲劇に幾度となく見舞われながらも、彼の仕事の半分はこの時期に行われている。そのなかには、月の運動に関する775ページに及ぶ論考や、多大な影響力をもつことになる代数の教科書、3巻からなる積分論などがある。かれはこれらの仕事を、週に1篇のペースで数学の論文をサンクトペテルブルグのアカデミー紀要に投稿するかたわらやり遂げたのだ。しかし何より驚かされるのは、彼がこの時期、一行も本を読まず、一行も文章を書かなかったことだろう。1766年、サンクトペテルブルグに戻ってまもなく視力を半ば失ったオイラーは、1771年、白内障の手術に失敗してからはまったく目が見えなかったのだ。何千ページに及ぶ定理は、すべて記憶の中から引き出されて口述されたものなのである。
【『新ネットワーク思考 世界のしくみを読み解く』アルバート=ラズロ・バラバシ:青木薫訳(NHK出版、2002年)】
「スモール・ワールド現象」、「六次の隔たり」に息を吹き込んだ一冊である。パソコンが普及した背景もあり、この分野の著作が一気に花開いた。
レオンハルト・オイラー( 1707-1783年)の全集はデジタル・アーカイブで2020年までの完成を目指しているとのこと(Wikipedia)。「ニコニコ大百科」のエピソードを読めば天才の片鱗が我々凡人にも理解できる。
人類の課題はオイラーとガウスを超える天才数学者を輩出できるかどうかである、と言いたくなるほどこの二人の業績は他を圧倒している。