・『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける!』松尾タカシ、前田慶明監修
・曲がった背骨を伸ばす
・『5秒 ひざ裏のばしですべて解決 壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』川村明
・『心身を浄化する瞑想「倍音声明」CDブック 声を出すと深い瞑想が簡単にできる』成瀬雅春
ヨーガのポーズのことをサンスクリット語でアーサナといいますが、この意味は「坐り方」ということです。ヨーガは本来、解脱に至るための瞑想法として生み出されました。瞑想のために長時間坐っていても疲れない快適な坐り方が必要となり、さまざまな坐法が生まれ、同時に瞑想に専念できるように、健康を保つためのさまざまなポーズが生み出されたのです。このように、「坐る」ことはヨーガの基本であり、その重要性をいろいろなアプローチで説いています。
寝たままの生活をしている人のなかには、本人の気力が衰え「寝たまま」になっている場合や、周囲が「寝かせたまま」になってしまっているケースがあります。そうした人たちは、本人や周囲が坐らせる努力をすれば坐れるようになるケースが多いです。
寝たままと坐れることの間には雲泥の差があります。寝たままの生活で大きな問題となる床ずれは、坐ることができるようになれば治ります。また坐ることで排便も用意になり、食事も楽にできるようになります。寝たままの食事と坐っての食事では、同じものを食べても味も違います。
坐ることで深い呼吸ができるようになり、換気量も増えます。坐っている時間が増えるだけで、呼吸が深くなるものです。呼吸が深くなれば、当然血液の還流もよくなり、血圧も安定します。単に坐るだけですが、それでも筋力トレーニングになっているのです。身体を起こした状態を維持することで首の筋肉が鍛えられ、咀嚼がしっかりとできるようになり、誤飲も防げます。
【『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春〈なるせ・まさはる〉(中央アート出版社、2007年)】
背中の曲がったオバアサンを何とかしようと思って読んだ本である。当の本人は「九十近いんだから無理」と言ったが、我が辞書に不可能という項目はない。身体障碍者の運動に関する書籍では私が知る限り本書がベストである。特に冒頭の足指・手指の運動は認知症にも十分な効果を発揮することだろう。
私がヨガに注目したのは以下の記事による。
・背中が曲がったおばあちゃん、よくある健康法で…ここまで変わる!? – grape [グレイプ]
腰痛の原因は頭の重さにある。背骨が曲がってしまえば下がった頭を抑えるべく腰の位置が後傾せざるを得ない。その結果腰はどんどん曲がってゆくという悪循環に陥る。アフリカ人の姿勢がいいのは頭に物を載せて運ぶためだ。スマホ首(ストレートネック)も頭の重量を無視した悪い姿勢の結果である(いま日本人の8割がスマホ首!? テニスボールで改善できる治し方とは? - モバレコ)。
私が試そうとしたのは次のポーズであった。
背中の曲がったオバアサンは仰向けで寝ることができない。うつ伏せになることもできない。曲がった背中を逆方向へ引っ張るためには背筋が必要だ。厳密にはこのポーズはできなかったが近い姿勢にはなった。現在、ボール投げとチューブトレーニングも組み合わせて背筋を鍛えている。
こうした営みを通して見えてきたのは背筋・体幹・股関節周りの重要性であり、健常者にとっても鍛えるべき急所はここにある。日本の文化でいえば所謂(いわゆる)「肚」(はら)の周りだ。背骨と骨盤の間に鍵が潜んでいるように思う。
次のステップは肩甲骨周りである。
みんな知ってる? 肩甲骨って翼の名残りなんだぜ。俺たちの先祖は空を飛んでいたのだ。肩甲骨をグルグル回して先祖の記憶を想像してみよう。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2013年11月13日
肩甲骨を自由に動かすことができれば空を飛んでいた祖先の記憶が蘇るに違いない。例えば水泳、木登り、ロッククライミングやスポーツクライミングは「飛ぶ」感覚に近いのではないか。
体には動くことへの衝動がある。姿勢を正して動け。跳び、遊べ。