・『経済は世界史から学べ!』茂木誠
・『自然観と科学思想』倉前盛通
・中国の女性は嫁入りをしても宗族に入ることはできない
・封建制は近代化へのステップ
・『ゲームチェンジの世界史』神野正史
・『「戦争と平和」の世界史 日本人が学ぶべきリアリズム』茂木誠
・世界史の教科書
・宗教とは何か?
・必読書リスト その四
歴史とは、「歴史的事実(証拠)」+「歴史観(解釈)」です。
事実に基づかない歴史は、単なる妄想です。
「日本は戦争犯罪を繰り返した」という歴史観に忠実だった朝日の記者は、吉田証言の事実関係を検証することなく、妄想を記事にしてしまったのです。
逆に、歴史観に欠けた歴史は、事実の羅列にすぎません。
【『世界のしくみが見える 世界史講義』茂木誠〈もぎ・まこと〉(ヒカルランド、2014年)以下同】
つまり、だ。朝日新聞の購読者は妄想あるいは小説が好きなのだろう。北海道新聞や東京新聞を始めとする地方紙も同様である。沖縄タイムス、琉球新報に至ってはSFの領域に突入しつつある。左翼と彼らのシンパは「反日」という物語であれば何にでも飛びつく。彼らにとっては天皇陛下を国家元首とするシステムは破壊の対象であり、それは自明の真理と化している。つまり自分の感情を疑うことをしない。教条は人を奴隷にする。赤い旗の下(もと)で斃(たお)れることが彼らの理想なのだ。
原則として、一つの邑(ゆう≒都市国家)に住んでいるのは全員ファミリー、血縁者です。このような大家族を宗族(そうぞく)と言います。同じ祖先を祀(まつ)る、同じ苗字(みょうじ)、つまり同姓の男系血縁集団です。
宗族は男系ですから、男の子に跡を継がせます。ここで、「同姓不婚」という決まりが生まれます。同じ姓の男女は結婚できないということです。つまり、結婚相手は別の宗族に求めないといけません。(中略)
――近親婚はダメ、ということですか?
いや、もっと政治的な理由からです。
基本的に隣の邑というのは敵です。常に争っています。だからお互いに嫁をとることによって平和条約を結ぶ。安全保障のための道具であり、お互いに贈り物をするうちの一つが女性だ、ということ。はっきり言うと、人質になるわけです。
すると、もしも王さんと李さんが戦(いくさ)になれば、彼女は殺されるかもしれない。結婚は恋愛ではなく政治です。嫁に行くというのは命がけなわけですね。ですから、李さんの町の女性が王さんのところに嫁入りをしても、彼女は、王さんのファミリーには決して入れてもらえません。「おまえは李の娘」だ、と一生言われます。
最近は夫婦別姓という話があって、「女性が夫の姓に変わるのは女性蔑視(べっし)だ」と言う人がいますが、中国の場合は女性が人質のように扱われた古代から夫婦別姓です。逆に言えば、夫のファミリーの一員として迎えられる日本の女性というのは非常に恵まれているとも言えるのです。
――なるほど。ところで子供が生まれたら、父親の宗族に加わるんですか。
そうなります。だから子供から見ると、お父さんは自分と同じ宗族ですが、お母さんは違う宗族ということになる。この感覚は、日本人にはわからないと思います。
中国史を見ていきますと、ものすごい悪女がしばしば出てきます。
――則天武后〈そくてんぶこう〉や西太后〈せいたいこう〉が有名ですね。
漢の呂后〈りょこう〉も加えて「三大悪女」なんて言います。中国の悪女というのはすごくて、平然と夫を殺したり、息子を殺したりする。それは中国の女性が残忍だから、というよりは、「旦那やその一族は敵だ」、「自分の本当の味方は、お父さんやお兄さんだ」という文化があるからんですね。
このように、血縁に重きを置く、血縁しか信用しないというカルチャーが中国にはある。そこから、封建制度という政治体制が生まれてきます。(中略)
とはいえ、王様と血縁がない有力者を諸侯にしなければならない場合もある。敵国が降参して支配下に入り、諸侯に任じるような場合です。
こういうときはどうするかというと、嫁の交換をします。先ほど李さんの町と王さんの町と同じです。こうやって、何がなんでも血縁関係を結んでいかないと、彼らは安心できない。そういう文化なのです。
王様が諸侯に与える領地には、周りにちょっと盛り土をして目印を創りました。この盛り土のことを「封」(ほう)と言う。「封」を建てるから封建(ほうけん)制度というわけです。
宗族(そうぞく)が男系血縁主義である事実は知っていたが、私は近親婚を避けるのが目的だと思い込んでいた。「中国の女性は嫁入りをしても宗族に入ることはできない」――これは覚えておくべき事柄だ。