2020-01-11

多すぎる指示詞・代名詞/『ウイルスは生きている』中屋敷均


『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン
『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』キャスリン・マコーリフ
『生命とはなにか 細胞の驚異の世界』ボイス・レンズバーガー

 ・多すぎる指示詞・代名詞

 このことは二つの大きな疑問を我々に突きつける。一つは、我々ヒトとは一体、何者なのか? という深刻な問いだ。その昔、シンシチンを提供したウイルスと我々の祖先はまったく別の存在で、無関係に暮らしていたはずである。しかし、ある時、そのウイルスは我々の祖先に感染した。そしてシンシチンを提供するようになり、今も我々の体の中にいる。そのウイルスがいなければ胎盤は機能せず、ヒトもサルも他の哺乳動物も現在のような形では存在できなかったはずである。つまり我々の体の中にウイルスがいるから、我々は哺乳動物の「ヒト」として存在している。逆に言えば、ウイルスがいなければ、我々はヒトになっていない。少なくとも今とまったく同じヒト科ヒトではなかったであろう。我々は親から子へと遺伝子を受け継ぐだけでなく、感染したウイルスからも遺伝子を受け継いでいるのだ。もう一度言おう。我々はすでにウイルスと一体化しており、ウイルスがいなければ、我々はヒトではない。それでは我々ヒトとは、一体、何者か? 動物とウイルスの合いの子、キメラということなのだろうか?

【『ウイルスは生きている』中屋敷均〈なかやしき・ひとし〉(講談社現代新書、2016年)】

 帯に「成毛眞氏絶賛!」とある。見事に騙された。15ページに「その」が6ヶ、「それ」が4ヶ、「この」が1ヶ出てくる。たった15行に指示詞・代名詞がてんこ盛りで講談社の編集者は無能と評価せざるを得ない。どんなに内容がよくても、文章が悪いと思考力が揺れる。

 上記テキストもくどくてイライラさせられる。

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