・桑の木は神木
・民の声
・『太公望』宮城谷昌光
・『管仲』宮城谷昌光
・『重耳』宮城谷昌光
・『介子推』宮城谷昌光
・『晏子』宮城谷昌光
・『湖底の城 呉越春秋』宮城谷昌光
・『孟嘗君』宮城谷昌光
・『楽毅』宮城谷昌光
・『青雲はるかに』宮城谷昌光
・『奇貨居くべし』宮城谷昌光
・『香乱記』宮城谷昌光
このころ、桑の木は神木で、「桑からなにが生れるか」と問われた者の十人中十人が、「日」(じつ)すなわち「太陽」とこたえたであろう。つまり太陽の数とは無限ではなく、十個あると考えられ、その一個ずつが、毎朝桑木から生れて、天に昇ると信じられていた。したがって、桑木とは太陽を生む木であり、そこから生れた児とは太陽でなくてなんであろう。
【『天空の舟 小説・伊尹伝』宮城谷昌光〈みやぎたに・まさみつ〉(海越出版社、1990年/文春文庫、1993年)】
八王子を桑都(そうと)という。江戸期から養蚕業・絹織物業が盛んであったためだ。更に古くは「浅川を渡れば富士の影清く桑の都に青嵐吹く」と西行が詠んだ。桑が神木とはにわかに信じ難かった。それは私が低い桑しか知らないためだった。
日本最大の桑の巨木「薄根の大クワ」群馬県の里山に立つ養蚕の御神木 | 群馬県 | LINEトラベルjp 旅行ガイド https://t.co/J6aziNCjHR pic.twitter.com/ZLTrPnHmuY
— 小野不一 (@fuitsuono) January 6, 2020
こりゃ神木だな、確かに。また日本を扶桑国(ふそうこく)とも称した。鎌倉時代の日蓮も「扶桑国をば日本国と申す」(「諌暁八幡抄」〈かんぎょうはちまんしょう〉)と書いている。更に雷除けの「くわばら、くわばら」という呪文も「桑原」に因(ちな)むものだ。
「子供の時分、下の部屋で布団に入ると2階の部屋からワサワサと音が聞こえたものだ」という話を何度か耳にしたことがある。蚕(かいこ)が桑の葉を食(は)む音だ。幕末から明治にかけて八王子~横浜間には「絹の道」が存在した(八王子のシルクロード~幕末から明治期に賑わった「絹の道」を歩く)。
八王子駅近くの甲州街道沿いに荒井呉服店がある。ユーミンの実家だ。