・『昭和の精神史』竹山道雄
・『竹山道雄と昭和の時代』平川祐弘
・『見て,感じて,考える』竹山道雄
・『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII』竹山道雄:平川祐弘編
・『剣と十字架 ドイツの旅より』竹山道雄
・敗戦の心情
・「一隅を守り、千里を照らす」人のありやなしや
・『人間について 私の見聞と反省』竹山道雄
・『竹山道雄評論集 乱世の中から』竹山道雄
・『歴史的意識について』竹山道雄
・『主役としての近代 竹山道雄セレクションIV』竹山道雄:平川祐弘編
・『精神のあとをたずねて』竹山道雄
・『時流に反して』竹山道雄
・『みじかい命』竹山道雄
・日本の近代史を学ぶ
・必読書リスト その一
私はよく思います。――いま新聞や雑誌をよむと、おどろくほかはない。多くの人が他人をののしり責めていばっています。「あいつが悪かったのだ。それでこんなことになったのだ」といってごうまんにえらがって、まるで勝った国のようです。ところが、こういうことをいっている人の多くは、戦争中はあんまり立派ではありませんでした。それが今はそういうことをいって、それで人よりもぜいたくな暮らしなどをしています。ところが、あの古参兵のような人はいつも同じことです。いつも黙々として働いています。その黙々としているのがいけないと、えらがっている人たちがいうのですけれども、そのときどきの自分の利益になることをわめきちらしているよりは、よほど立派です。どんなに世の中が乱脈になったように見えても、このように人目につかないところで黙々と働いている人はいます。こういう人こそ、本当の国民なのではないでしょうか? こういう人の数が多ければ国は興(おこ)り、それがすくなければ立ち直ることはできないのではないでしょうか?
【『ビルマの竪琴』竹山道雄(中央公論社ともだち文庫、1948年/新潮文庫、1959年)】
「最もよき人々は帰ってこなかった」(『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録』V・E・フランクル:霜山徳爾訳)。きっとそういうことなのだろう。
若き特攻隊員たちは花と散った。そして瀬島龍三のような連中が生き残った。当初、自主憲法の制定を悲願とした自民党も変節した。
「一隅を守り、千里を照らす」(最澄「山家学生式」)人のありやなしやを問う。