2019-10-12

日本語版『反日種族主義 日韓危機の根源』が予約開始


反日種族主義 日韓危機の根源
李 栄薫
文藝春秋
売り上げランキング: 11

韓国を震撼させたベストセラー、日本語版がついに登場!

 緊迫する日韓関係の中で、韓国で一冊の本が大きな話題を呼んでいる。6月の刊行以来、10万部のベストセラーとなっている『反日種族主義』は、元ソウル大教授、現・李承晩学堂校長の李栄薫(イ・ヨンフン)氏が中心となり、現状に危機感をもつ学者やジャーナリストが結集。慰安婦問題、徴用工問題、竹島問題などを実証的な歴史研究に基づいて論証、韓国にはびこる「嘘の歴史」を指摘する。

 本書がいわゆる嫌韓本とは一線を画すのは、経済史学などの専門家が一次資料にあたり、自らの良心に従って、事実を検証した結果をまとめたものであるということだ。その結果、歴史問題の様々な点で、韓国の大勢を占めてきた歴史認識には大きな嘘があったことが明らかにされている。そしてそうした嘘に基づいた教育が何年も積み重ねられた結果、韓国の人々の多くは誤った歴史認識を正しいものと信じ込み、反日に駆られている。民族主義というより、意見の合わないものを力ずくでも排除する非寛容な「種族主義」が韓国には蔓延しており、それが日韓の関係を危機に陥らせている根源なのである。本書は大韓民国を愛する学者たちによる、憂国の書だ。

目次

 日本語版序文
 はじめに
 プロローグ 嘘の国

第1部 種族主義の記憶
 1 荒唐無稽『アリラン』
 2 片手にピストルを、片方に測量器を
 3 食糧を収奪したって?
 4 日本の植民地支配方式
 5 「強制動員」の神話
 6 果たして「強制労働」、「奴隷労働」だったのか
 7 朝鮮人賃金差別の虚構性
 8 陸軍特別志願兵、彼らは誰なのか!
 9 もともと請求するものなどなかった――請求権協定の真実   10 厚顔無恥で愚かな韓日会談決死反対 
第2部 種族主義の象徴と幻想
 11 白頭山神話の内幕
 12 独島、反日種族主義の最高象徴
 13 鉄杭神話の真実
 14 旧総督府庁舎の解体――大韓民国の歴史を消す
 15 親日清算という詐欺劇
 16 ネバー・エンディング・ストーリー ――「賠償!賠償!賠償!」
 17 反日種族主義の神学

第3部 種族主義の牙城、慰安婦
 18 我々の中の慰安婦
 19 公娼制の成立と文化
 20 日本軍慰安婦問題の真実
 21 解放後の40余年間、慰安婦問題は存在しなかった
 22 韓日関係が破綻するように

エピローグ 反日種族主義の報い

韓国人による“壮大な自己批判”の試み『反日種族主義』は一読の価値あり! タブーに挑んだソウル大元教授が指摘する“慰安婦シンドローム”とは? 黒田勝弘

2019-10-11

読み始める



「孫子」を読む (講談社現代新書)
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中央公論新社
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恐怖の地政学 ―地図と地形でわかる戦争・紛争の構図
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2019-10-08

「すべての身体表現の源は、胴体にあり」/『スーパーボディを読む ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」』伊藤昇


『究極の身体(からだ)』高岡英夫
『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
『運動能力は筋肉ではなく骨が9割 THE内発動』川嶋佑
『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』日野晃、押切伸一
『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編
『武学入門 武術は身体を脳化する』日野晃
『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴

 ・「すべての身体表現の源は、胴体にあり」
 ・股関節で地面をとらえる

『気分爽快!身体革命 だれもが身体のプロフェッショナルになれる!』伊藤昇、飛龍会編
『棗田式 胴体トレーニング』棗田三奈子
『月刊「秘伝」特別編集 天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編
『火の呼吸!』小山一夫、安田拡了構成
『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法システマ・ブリージング』北川貴英
・『新正体法入門 一瞬でゆがみが取れる矯正の方程式』佐々木繁光監修、橋本馨
・『仙骨姿勢講座 仙骨の“コツ”はすべてに通ず』吉田始史

身体革命

 胴体から出る力=胴体力は、しなやかで強い。
 そして、一度身につけてしまえば、なかなか衰えることがない。
 スポーツマンやダンサー、俳優だけでなく、自分の「身体能力」に限界を感じている人はすべて、胴体の動きを変えていけば、これまで以上の力を必ず発揮できる。
 ただ、胴体の動きは手や足に比べて、見えにくいのが難点だ。(中略)
「すべての身体表現の源は、胴体にあり」
 人間の、そしてあなたが持っている胴体の能力に驚き、自信を持っていただきたい。

【『スーパーボディを読む ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」』伊藤昇(マガジンハウス、1998年/改訂版、2011年)】

 体の動きは、伸ばす・縮める、丸める・反る、捻(ねじ)るの三つに集約される。これが伊藤式胴体トレーニングの要諦である。基本的な動きは簡単だ。正座をして頭の後ろで手を組み上半身を左右に動かす。両手を下ろして胸骨を前後に動かす。そして両手を振って左右後方に捻る。「エ?」と思うのが普通の反応だろう。「それがどうした?」と私も思った。

 実際にやってみると直ぐに気づくことだが驚くほど私の胴体は不安定だ。そこでゆっくりとストレッチを行う要領で取り組んだ。更に吉田始史〈よしだ・もとふみ〉が教える動き(『仙骨姿勢講座 仙骨の“コツ”はすべてに通ず』)を取り入れた。体の内側からはまだ声が聞こえてこないが、胴体力とはでんでん太鼓の原理なのだろう。


 持ち手が脚で玉付きの紐が腕と考えれば下半身と胴体のしなやかな動きが高らかな太鼓の音につながる。

 本書はスーパースターの胴体力を解説した内容で具体的な胴体力の手引書ではない。それでも伊藤の目のつけどころが身体(しんたい)への意識を確実に変える。

2019-10-04

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調和道丹田呼吸法―「国民身心改造の原理と方法(方法篇)」の復刻
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三秒間の死角 上 (角川文庫)
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三秒間の死角 下 (角川文庫)
アンデシュ・ルースルンド ベリエ・ヘルストレム
角川マガジンズ (2013-10-25)
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2019-10-01

筋肉は螺旋状に動く/『カラダのすべてが動き出す!“筋絡調整術” 筋肉を連動させて、全身を一気に動かす秘術』平直行


・『めざめよカラダ! “骨絡調整術" 骨を連動させて、体の深部を動かす秘術』平直行

 ・筋肉は螺旋状に動く

・『触れるだけでカラダの奥が動き出す! 皮絡調整術と無意識領域の運動』平直行
武の思想と知恵 平直行✕北川貴英
柳生心眼流の極意 平直行×菊野克紀

 筋肉は体に真直ぐには付いてはいない。手脚の筋肉は螺旋状になっている。
 だから真直ぐに伸ばすように思えても、実は筋肉は真直ぐではなく螺旋状に動き、その結果として手脚が真直ぐに伸びる。それなのに螺旋を無視して真直ぐに動かそうとしていたら、どうしても動かない部分が出てくる。(中略)
 可動域だけではない。体を捻ると人の体は大きな力が出る構造になっている。

【『カラダのすべてが動き出す!“筋絡調整術” 筋肉を連動させて、全身を一気に動かす秘術』平直行〈たいら・なおゆき〉(BABジャパン、2017年)】

 文章があまりよくない。タイトルも締まりを欠いており冗長だ。「サムライメソッドやわらぎ」というネーミングも不味い。たぶん独創性が完成に向かう途次なのだろう。「螺旋」のイメージは斬新だ。バドミントンのスマッシュで内旋(回内運動)の動きは身につけていたが、体全体を捻(ねじ)るまでには至っていなかった。更に手脚の骨が指先から関節を経るごとに5本~2本~1本となって体幹とつながっているとの指摘には目から鱗が落ちた。

 螺旋とは何か。
 螺旋とは渦(うず)のことである。
 小さなものでは原子核の周囲を運動する電子の回転(スピン)、または田螺(たにし)のような巻貝から、大きなものでは、最大直径16万光年にもおよぶ我々の属する銀河系のようなひとつの渦状星雲に至るまで、あらゆるものが渦を巻いている。
 それを捜し、集めるのがわたしの趣味なのだ。

【『上弦の月を喰べる獅子』夢枕獏(早川書房、1989年/ハヤカワ文庫、1995年)】

 生命の設計図であるDNAも螺旋を描く。宇宙の本質は回転と速度にあるのだろう。スポーツ競技の中でこれほど球技の占める割合が大きいのも「回転への憧憬」と考えてよさそうだ。

「柳生心眼流の素振り」に興味を抱いたのだが如何せんやり方がわからず。多分この動画がそうか。


 簡単にできそうにない。空手の三戦(さんちん)と似たような動きだ。身体(しんたい)の構造からいえば外旋よりも内旋に鍵がありそうだ。

 本書を読んでから思い出しては手脚の内旋運動を行うようにしている。ただ捻(ひね)るだけなのだが想像以上に筋力を使う。ストレートな動きの自重運動は見ようによっては不自然な動きであり、部分的な筋肉の肥大が全体のつながりを阻害するように思われる。武術の基本は体を目覚めさせるところにある。複雑な要素を取り込む必要がありそうだ。


古武術で蘇る【筋絡調整術DVD】~ 失伝メソッドで体を芯から軽くする~
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上弦の月を喰べる獅子 上 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-5)
夢枕 獏
早川書房
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上弦の月を喰べる獅子 下 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-6)
夢枕 獏
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2019-09-28

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股関節コアトレーニング
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LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
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情報社会のテロと祭祀―その悪の解析 (1978年)
倉前 盛通
創拓社
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2019-09-27

乾極と湿極の地政学/『新・悪の論理』倉前盛通


『一神教の闇 アニミズムの復権』安田喜憲
『増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い』高階秀爾
『昭和の精神史』竹山道雄
『小室直樹vs倉前盛通 世界戦略を語る』世界戦略研究所編
『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通

 ・乾極と湿極の地政学

『情報社会のテロと祭祀 その悪の解析』倉前盛通
『自然観と科学思想 文明の根底を成すもの』倉前盛通
『悪の超心理学(マインド・コントロール) 米ソが開発した恐怖の“秘密兵器”』倉前盛通
『悪の運命学 ひとを動かし、自分を律する強者のシナリオ』倉前盛通
『悪の戦争学 国際政治のもう一つの読み方』倉前盛通
『悪の宗教パワー 日本と世界を動かす悪の論理』倉前盛通

日本の近代史を学ぶ
必読書リスト その四

アラビア半島と日本

 地球に北極と南極があり、また、地球磁気の北極と南極もある。同じように乾湿を一つの目やすにすれば地球には乾極と湿極も存在する。
 世界の乾極はアラビア半島であり、世界の湿極は日本列島である。この乾と湿の地政学。これは単に政治的、地理的な問題だけでなく、宗教的な問題、民族的な問題、その他世界の歴史上のさまざまの問題で重要な意義と役割をもつ地政学上の重要視点である。
 まず、世界の乾極アラビア半島の遊牧民であったユダヤ人は世界で最も乾いたこのアラビア砂漠を生活空間として、ユダヤ教という唯一絶対神をつくり上げた。
 人類は本来、自然の神々を崇拝する宗教をもっていた。それを否定し唯一絶対神という人工的な神を考え出したということは、アラビアという酷烈な自然風土の中で、徹底的に苦しい生活を強いられた結果、自然を崇拝するより、自然を拒否することによって、唯一絶対神という人格神を考えることになったのかもしれない。しかも、その神は“妬む神”であって、自分以外の神を礼拝するものには罰を下して滅すという“不寛容な神”であった。
 このユダヤ教をもとにしてキリスト教が生じ、また、マホメット教が生まれた。つまりユダヤ教、キリスト教、マホメット教という世界の三大宗教は、同じ根から発生したものであり、同じ旧約聖書を基本にしている。彼らは共に「聖書の民」である。この三者はみな唯一絶対神を奉じている。そして自分たちの奉ずる神以外の神を否定するという点において、きわめて狭量であり、寛容さがない。これは世界の乾極アラビア半島の風土が生んだ特殊な精神構造であると考えられる。
 それは水がないということが第一の問題かもしれない。淡水があるか、ないかということが人を変える。もちろん目の前に塩水があったとしても、それは辛い水であって、人間をうるおす甘い水ではない。この甘い水があるかないかということが人間精神に非常に大きな影響を与えたように思われる。それが、その後の世界政治においてあるいは世界の宗教において、あらゆる面において重大な影響を与えてきた。

【『新・悪の論理 日本のゲオポリティクはこれだ』倉前盛通〈くらまえ・もりみち〉(日刊工業新聞社、1980年/増補版、1985年『新・悪の論理 変転する超大国のゲオポリティク』/Kindle版、2018年『悪の論理完全版 地政学で生き抜く世』所収)】

 最近の読書遍歴としては竹山道雄三島由紀夫小室直樹(三島論、天皇論)を経て倉前盛通に辿り着いた。私にとっては大きな波のうねりに身を任せたような経験であった。やはり誰と会い、何を読んだかで人生は決まる。確かに映像は情報量が多いが人格に与える衝撃度は読書より劣る。

 既に主要な倉前作品は読み終え、現在二度目の読破を試みている。40年前の国際情勢が元になっているとはいえ、的外れな指摘が少ないのは倉前の卓見を示すものだ。約10年後の1991年12月25日にソ連が崩壊する。さすがに本書では中国の経済発展まで見通すことはできていないが、崩壊前の中国を想像することは可能だろう。

 アラビア半島は人類がアフリカで生まれユーラシア大陸に移動していった架け橋であり、「沙漠の半島」に残されている人類の足跡は、120万年前のシュワイヒティーヤ遺跡に遡る。また「沙漠の半島」周辺は古代文明の生まれた場所であり、北にはアシュール、ウバイド、ウルクなどを含む世界最古のメソポタミア文明が興り、バハレインと呼ばれた東部海岸にはディルムーン文明やさらに南のサイハド沙漠には古代イエメン文明が生まれた。これらの文明やその交流を示す遺跡や遺物が「沙漠の半島」には数多く残されている。

History of Peninsula - 古代から続く歴史:高橋俊二

 アラビア半島は殆どが砂漠地帯である。私の知識が及ばず、出アフリカ説出エジプト記モーセ)の関係、アブラハムメソポタミア文明との関連性もよくわからない。


 確実なことはアラビア半島を中心とする中東(エジプト+西アジア)から文明が誕生したことだ。そして今から4~5万年前までに人類は世界中に散らばった。


 メソポタミアよりも古い文明(ギョベクリ・テペ)がトルコとシリアの間で見つかっている。ま、大雑把に言えばメソポタミアを頂点として西はエジプト、東はインドまで含めても構わないだろう。

 乾極と湿極の科学的根拠は不明だ。しかし文明論としては卓抜した見解である。アメリカ人が室内でも靴を履くのは彼らの祖先が寒いヨーロッパを生き抜いたことの証である。日本の気候が恵まれた条件であることは温暖湿潤気候の地図を見れば一目瞭然だ。


 湿度はまた世界一種類が豊富な発酵食品を誕生させた。文明とは人類進化の軌跡である。背景には生活の安定、経済的余裕、時間的ゆとり、そして何にも増して感情と知性の連帯がある。

 岡目八目という言葉があるが、倉前盛通や小室直樹は凡百の宗教学者よりも遥かに鋭い宗教的論考を提示している。