2019-12-21

21世紀の「立正安国論」/『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ


『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ
『人類史のなかの定住革命』西田正規
『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ

 ・21世紀の「立正安国論」

・『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ

情報とアルゴリズム
必読書リスト その五

 3000年紀(西暦2001~3000年)の夜明けに、人類は目覚め、伸びをし、目を擦る。恐ろしい悪夢の名残が依然として頭の中を漂っている。「有刺鉄線やら巨大なキノコ雲やらが出てきたような気がするが、まあ、ただの悪い夢さ」。人類はバスルームに行き、顔を洗い、鏡で顔の皺(しわ)を点検し、コーヒーを淹(い)れ、手帳を開く。「さて、今日やるべきことは」
 その答えは、何千年にもわたって不変だった。20世紀の中国でも、中世のインドでも、古代のエジプトでも、人々は同じ三つの問題で頭がいっぱいだった。すなわち、飢饉と疫病と戦争で、これらがつねに、取り組むべきことのリストの上位を占めていた。人間は幾世代ともなく、ありとあらゆる神や天使や聖人に祈り、無数の道具や組織や社会制度を考案してきた。それにもかかわらず、飢餓や感染症や暴力のせいで厖大(ぼうだい)な数の人が命を落とし続けた。そこで多くの思想家や預言者は、飢饉と疫病と戦争は神による宇宙の構想(訳註 本書で言う「宇宙の構想」とは、全能の神あるいは自然の永遠の摂理が用意したとされる、全宇宙のための広大無辺で、人間の力の及ばない筋書きを意味する)にとって不可欠の要素である。あるいは、人間の性質と不可分のものである。したがって、この世の終わりまで私たちがそれらから解放されることはないだろう。

【『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2018年)】

 冒頭のテキストである。既に紹介した通り本書はS・N・ゴエンカに捧げられている。とすれば本書は歴史や文明の研究を目的に書かれたものではないだろう。むしろそれらを俯瞰し、点に見えるほどの高い抽象度に向かう瞑想の流れを記述したに違いない。

 ホモ・デウスとは「神の人」の謂(いい)である。前作ではホモ・サピエンスの壮大な歴史を記し、本書では神へと進化する人類の様相を遠望するが、レイ・カーツワイルとは全く異なるディストピアが描かれている。

「飢饉と疫病と戦争」の克服は日蓮が「立正安国論」に掲げたテーマだ。三災七難三災(穀貴〈こっき〉、兵革〈ひょうかく〉、疫病〈えきびょう〉)が完全に符合する。

 骨子は似ていてもハラリは「安国」との結論は提示しない。むしろ人類がデータ化される暗然たる未来を示すだけだ。先に瞑想と書いたがハラリは「見る」ことに徹している。

 ページをめくると直ぐにわかることだが日蓮が生きた鎌倉時代(13世紀)からすれば、我々が生きる世紀は既に三災を克服しつつある。核兵器が登場してから抑止力が機能し大きな戦争はなくなった。飢餓も激減し、100万単位の人々が死ぬような疫病もない(参照『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド)。

 ハラリは本書を40歳で書き上げ、日蓮が「立正安国論」を認(したた)めた39歳とほぼ同齢であるのも興味深い一致だ。日蓮は最明寺入道(北条時頼)に「邪宗への布施を止めて正法(しょうほう/法華経)に帰依せよ」と迫った。日蓮は公場対決(こうじょうたいけつ/公開討論)を望んだが果たせなかった。その意味では対話の人といえるが鎌倉時代ゆえか政治意識がファシズムの域を出ていない。一方ハラリは人類の特長を知性に求めればデータ化されることは必然であると説く。知性が人を支配すると考えれば、実はこれもまたファシズムなのである。

 かつては政治家や学者が「社会の知性」と思われていた。いまだに学歴が重んじられるのも知性重視と考えてよかろう。結局のところ自分より有能な人物に社会の重責を担ってもらいたいと望む精神はファシズムの方向を向いていると言ってよい。民主政と選挙はセットになっているが社会において多数決で物事を決めることはまずない。誰もが民主的な運営は正しいと思いながらも全員で判断を下すことはないのだ。株式会社はやや民主政の要素を取り入れているが実態はファシズムだ。このように知性を重視すればやがてデータに行き着く。AI(人工知能)はビッグデータから相関関係を読み解く。チェスはおろか将棋や囲碁に至るまでAIは人間を打ち負かした。

 日蓮はマントラの人であり、ハラリはヴィパッサナー瞑想の実践者だ。修行の次元ではハラリが勝(まさ)る。

 ハラリの予想と前後してヒトバイクロオームが注目されるようになった。これを私は「知性から腸への回帰」と見る。「頭から肚(はら)へ」と言ってもよい。身体(しんたい)の見直しは古武術に対する脚光や、スポーツで体幹が重視されるようになった事実が雄弁に物語っている。

 私はそれほど未来を悲観していない。人類が岐路に立つ今、知性から野生へと生き方を変えてはどうか。

2019-12-19

ハリケーン・カトリーナとウォルマート/『アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 重大な局面で“正しい決断”をする方法』アトゥール・ガワンデ


・『予期せぬ瞬間』(『コード・ブルー 外科研修医救急コール』改題)アトゥール・ガワンデ

 ・読書日記
 ・ハリケーン・カトリーナとウォルマート

・『医師は最善を尽くしているか 医療現場の常識を変えた11のエピソード』アトゥール・ガワンデ
『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』アトゥール・ガワンデ

必読書リスト その二

 その結果は悲惨だった。水と食糧を満載したトラックは、「我々が頼んだものではない」と政府に追い返された。避難用のバスの手配は何日も遅れ、正式な要請が運輸省に届いたのは、数万人が閉じ込められてから二日後のことだった。地元のバス200台が高地にあったのだが、それらは全く使われなかった。
 政府が決して非情だったというわけではない。だが、複雑な事態に対処するためには権限をできる限り分散させる必要がある、ということを理解していなかった。これが致命的だった。誰もが助けを求めていたが、権限を中央に集中させた政府の救援策は機能しなかった。
 後日、国土安全保障省長官のマイケル・チャートフは「誰にも予想できない、想定の枠をはるかに超えた大災害だった」と弁明した。しかし、それこそがまさしく「複雑な問題」の定義なのだ。それに対処するのが彼らのしごとなのだから、何の説明にもなっていない。「複雑な問題」に対処するには、昔ながらの一極集中の指令システムではなく、別の方法が必要なのだ。
 ハーバード・ケネディスクールの事例研究によれば、この複雑な状況に一番うまく対応したのは大手量販店のウォルマートだった。状況を伝え聞くと、社長のリー・スコットは「わが社はこの最大級の災害に対応していく」と宣言した。そして、ミーティングでこう言った。「自分が持つ権限以上の決断をくださなければならない状況もたくさん発生すると思う。手元にある情報を元にベストの決断をしろ。そして何より、正しいことをしろ」
 社長の命令はそれだけだった。(中略)
 ウォルマートの各店長は自主判断でおむつ、水、粉ミルク、氷を配り始めた。(中略)
 ウォルマートの役員は、細かい指示を出すのではなく、情報が円滑に伝達されるように全力を注いだ。(中略)
「アメリカ政府がウォルマートのような対応をしていれば、このような惨状は防ぐことができただろう」ジェファーソン郡の長官、アーロン・ブルッサードはテレビのインタビューでそう語った。

【『アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 重大な局面で“正しい決断”をする方法』アトゥール・ガワンデ:吉田竜〈よしだ・りゅう〉訳(晋遊舎、2011年/原書2009年米国)】

 関連本は読書日記で紹介したので、こちらでは刊行順のリストにした。

 元々読むつもりのなかった本だ。ただアトゥール・ガワンデという著者を辿っただけのことだ。チェックリストに興味を抱く人はまずいないだろう。ところがどうだ。のっけから引き込まれた。恐るべき文才である。複雑化する医療業界にチェックリストを導入することで事故率の減少を目指す奮闘ぶりが骨子であるが、そこに至るまでのエピソードが短篇小説の如く鮮やかに描かれている。なかんづくハリケーン・カトリーナと航空機事故の件(くだり)が忘れられない。

 ヒトの最大の能力は「協力する」ところにある。人類における諸々の革命的な文明の変遷はいずれも集団の変化を示すものだ。一般的には1.農業革命、2.精神革命、3.科学革命とされるが、ユヴァル・ノア・ハラリは認知革命(0.5)を示した。他にも都市革命(2.5)を入れる場合がある。

 ヒトが社会的動物である以上、あらゆる集団・結社は何らかの公益を目的とする。公益を見出さなければ人類が血縁・地縁を超えることはなかったに違いない。ブラック企業や反社会的勢力が追求するのは私益のみだ。連中にはかつての暴力団ほどの連帯意識もない。

 高度経済成長期においてサラリーマンは「猛烈」を体現し、家庭よりも仕事を優先するのが当たり前だった。会社は家族そのものであり定年まで人生を捧げるのが普通だった。バブル景気が崩壊した後、そうした文化はすっかり廃(すた)れてしまったが、派遣社員であれパートタイマーであれ会社に身を置く以上は何らかの自己犠牲と協力、公益追求が求められる。

 ハリケーン・カトリーナ(2005年8月)は北米を襲った最大の台風被害である。

動画

 ウォルマートの社長が「正しいことをしろ」と命じたのは、言い換えれば「社会に尽くせ」ということだろう。社員はそれに応えた。ものの見事に。政府の混乱を尻目にウォルマートは為すべきことを成し遂げた。スーパーマーケットが利益を捨てて公益を優先した。人々は救われた。

 平時の理想よりも有事の行動である。百万言を費やすよりも無死の行動が優(まさ)る。ウォルマートは社会に必要な会社となった。晴れがましく誇らしい社員の顔が浮かんでくる。株価では表せないほどの財産がウォルマートを長く発展させることだろう。


コーネル大学・社団法人新日本スーパーマーケット協会2011年特別セミナー | Retailers

2019-12-16

アラン・ワッツ


・『「ラットレース」から抜け出す方法』アラン・ワッツ
『アファメーション』ルー・タイス
『ニューソート その系譜と現代的意義』マーチン・A・ラーソン

 ・アラン・ワッツ

 と回想するのはアラン・ワッツ、のちに『禅の道』を著し、仏教思想の国際的な権威になる級友だ。

【『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険』クリストファー・マクドゥーガル:近藤文隆訳(NHK出版、2015年)】

 意外な本の意外な箇所でアラン・ワッツの名を見てビックリした。「仏教思想の国際的な権威」と受け止められているのか。私からすれば「禅を騙ったニューエイジ」にしか見えないのだが。

中国帰化人の子孫たちが沖縄の親中政策を推進/『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介


『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一
『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一
『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一

 ・中国帰化人の子孫たちが沖縄の親中政策を推進
 ・国民の血税を中国に貢ぐ沖縄

『北海道が危ない!』砂澤陣
・『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』篠原常一郎、岩田温
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗

必読書リスト その四

 琉球が中国の冊封体制下に入ったのは、明の皇帝が琉球に朝貢を求めてきた1372年のこととされている。明は冊封国に中国人を在留させ、朝貢貿易の政務を担当させる朱明府を置いた。これは冊封国の動静を監視し、間接支配するための施設である。琉球は薩摩藩が侵攻する1609年まで、その監督下に置かれていた。
 那覇市内に「久米」(クニンダー)と呼ばれる地域がある。いまでこそ那覇と陸続きになっているが、18世紀ごろまでは「浮島」と呼ばれる島であった。
 その久米は、「三十六姓」と呼ばれる中国帰化人の子孫たちの居住区として、一種の租界を形成していたといえる。そして琉球は、この久米の中国帰化人子孫たちによって、間接支配されてきたのである。
 ここでは19世紀になっても中国語が話されており、彼らは日清戦争の終了まで、沖縄を中国圏に留めようと画策していた。そして現在も県民の3000人以上が彼らの子孫を自認しており、約10億円の共有預金と会館を有し、いまなお団結は強い。
 仲井眞知事稲嶺惠一知事はいずれも、この久米三十六姓の子孫である。知事選に当たっては、稲嶺氏は中国帰化人「毛家」の子孫であることを、仲井眞氏は「蔡家」の子孫であることを、リーフレットで誇っていた。(中略)
 現代においてもなお、こうした中国帰化人の子孫たちが中心となって、沖縄の親中政策が推進されている。

【『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介〈めぐみ・りゅうのすけ〉(PHP研究所、2014年)】

 沖縄は歴史を利用され、北海道は歴史の空白が利用されている。実に巧妙な手口だ。沖縄の振興予算から数億円単位のカネが中国に渡っている実態には驚かされた。

 沖縄は更にチュチェ思想の総本山と化している。チュチェ思想研究会連絡会の会長は佐久川政一〈さくがわ・せいいち〉沖縄大学名誉教授。米軍基地の一坪反戦地主を主導している人物でもある。こんなのが護憲を叫ぶのだからお里が知れるというものだ。


 こうした背景を踏まえた上で沖縄県民の民意と日本国民の意志とを擦り合わせる必要がある。数年以内に米軍は沖縄から撤退することだろう。

もはや左傾化ではなく亡国の道を進む北海道と沖縄/『北海道が危ない!』砂澤陣


『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一
『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一
『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一
『いま沖縄で起きている大変なこと』惠隆之介

 ・もはや左傾化ではなく亡国の道を進む北海道と沖縄

小野寺まさる:北海道が日本で無くなる日~中国の土地爆買いとアイヌ新法の罠[R2/5/4]
・『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』篠原常一郎、岩田温
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗

 冒頭から北海道と沖縄の共通点の悪いところばかりを並べ立てて少し心苦しいのだが、もう一つ最悪な共通点が存在する。
 それは、「迅速、正確に報道し、公正な社論によって健全な世論を育てる」(北海道新聞編集綱領)べきマスメディアであるにもかかあらず、正論、公正とは思えない報道で、時には事実を歪曲し、一方的な主義・主張に基づいて書き立てている地元新聞社の存在である。
 最近はインターネットでも「沖縄タイムス」や「琉球新報」の記事を読むことができるので、目を通すようにしているのだが、この2紙の一面的な報道姿勢には呆れるばかりだ。地域や新聞社によって、記事に特色が出るのは当然だが、基地問題やいわゆる琉球独立論などの記事を読むたびに、「沖縄の人たちはこの新聞を読んで、どう思い、考えているのだろう?」と心配になってしまう。
 私の地元、北海道にも、朝刊約100万部、夕刊約45万部、北海道の新聞購入世帯の約4割という圧倒的なシェアを持つ北海道新聞(通称・道新)がある。その報道ぶりも沖縄に負けてはいない。詳しくは本書で述べるが、道新のアイヌを擁護する論調は果たして公正な報道と呼べるだろうか。(中略)
 時折、朝日新聞を読むが、「吉田調書」(誤報問題)と「吉田証言」(慰安婦報道問題)で、偏向報道の代名詞となった朝日新聞ですら「まとも」と感じてしまう。
 ちなみに、その道新がことのほか熱心に行っていることといえば、世界中のジャーナリストや人権団体が「報道の自由の敵」と非難している中国共産党との交流である。驚くことに、道新と中国共産党の機関紙である「人民日報」との間には人事交流もあるという。

【『北海道が危ない!』砂澤陣〈すなざわ・じん〉(育鵬社、2016年/扶桑社オンデマンド、2019年)】

 全北海道民必読の一書である。道産子の私は衝撃を受けた。

 冒頭では小中学校の学力の低さ、離婚率の高さ、地下が安いにもかかわらず持ち家率が低い、非正規雇用の割合も高く、国からの補助金が多い、にもかかわらず地域経済が上向かないなどの共通点が挙げられている。北海道は更に日教組の牙城でもある。私は義務教育の過程で「君が代」を歌ったことは一度しかない。それも音楽の授業でである。国旗に敬意を示すことも教わらなかったし、まして天皇に対する感情などこれっぽっちもなかった。東京と比べるとまず神社が少なく寺の規模も小さい。「北海道に入植した人々は受け継ぐべき畑のなかった次男、三男が多かったことだろうし、土地に対する執着が少なく、地域住民のつながりも弱い」と私は考えてきたのだが浅はかだった。

 砂澤陣はアイヌである。その砂澤が言うには「そもそもアイヌ民族の定義すら定かでない」とのこと。古くは北海道を蝦夷(えぞ/えみし、えびす、とも)と称した。蝦夷=アイヌである。彼らはアイヌ語を母語とする人々であるが、これを人種概念に結びつけると飛躍しすぎる。文化が異なるのは確かだが、縄文人の末裔(まつえい)でバラバラの部族がたまたま北海道に暮らしていたというのが真相に近い。私の幼馴染にもアイヌの兄妹がいたが特に差別意識を抱いたことはなかった。

 中国の経済的侵略と北朝鮮による思想侵略(チュチェ思想)の実態を知れば、もはや左傾化ではなく亡国の道を進む北海道と沖縄の姿が浮かび上がってくる。北海道人は鷹揚(おうよう)で、のんびりまったりしているのが常であるが、直ちに本書を読んで目を覚ませと申し上げたい。


不自然な姿勢が健康を損なう/『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード


『悲鳴をあげる身体』鷲田清一
『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴

 ・不自然な姿勢が健康を損なう
 ・サンセベリアの植え替え

『ウォークス 歩くことの精神史』レベッカ・ソルニット
『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
『アルツハイマー病は治る 早期から始める認知症治療』ミヒャエル・ネールス
『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン
・『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』キャスリン・マコーリフ
『土と内臓 微生物がつくる世界』デイビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー
・『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険』クリストファー・マクドゥーガル

身体革命

 固定された姿勢で座る人は、反復運動過多損傷(RSI)、眼精疲労、座骨神経痛、そのほか座った生活や労働に関連する多数の病気のどれかに苦しむことを避けられない。
 このライフスタイルが私の腰痛の原因である。私の身体が現代生活を送るには軟弱すぎたわけではなく、人体はそもそもこのような生活を送るようにできていないのだ。現在では、どのような姿勢であれそのまま動かないことが腰痛の原因の一つであることが知られている。

【『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード:水谷淳〈みずたに・じゅん〉、鍛原多惠子〈かじはら・たえこ〉訳(飛鳥新社、2018年)以下同】

 勝間和代が推(お)していた本だ。確かウォーキングについて検索していてヒットしたのだと記憶している。

毎日1万歩を歩くため、とりあえず、スマートウオッチを新しいのにしました。Huaweiの最新のやつ。 - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ

 序盤から中盤にかけての構成が悪いのだがそれ以降は一気読みだ。現代病や生活習慣病の原因は椅子に長時間坐っていることに由来する。もちろん椅子が悪いわけではない。「動かない」生活が問題なのだ。元々義務教育は軍隊の前段階として生まれた。学校教育は児童を椅子に坐らせるところから始まる。じっとしていることが規律なのだ。

 文明の発達は身体の自由を奪った。工場労働者、タイピストからプロスポーツ選手に至るまで殆どの人々が同じ動きを繰り返すことで体の調子を狂わせている。

 この本を読んでいる方々の多くは、自然死ではなくミスマッチ病による死を迎えるはずだ。だがそれは、正しい(あるいは誤った)DNAを持って生まれてきたからではない。ミスマッチ病は、身体とその身体が置かれた昨今の環境との緊張関係によって生じると考えられている。
 これらの病気はいずれも私たちにはなじみ深い。たとえば、2型糖尿病は人類の誕生時から存在したものの、旧石器時代のヒト族(ホミニン)の環境と食事ではこの病気の遺伝子が発現することはほとんどなかった。当時、この病気につながるような加工食品も甘い食品も存在しなかった。時を200万年下ると、同じ遺伝子が有害な環境にさらされている。いまや、アボカド1個よりジャム入りドーナツを一袋買うほうが安い。
 初期人類はおそらく1年に大さじ10杯ほどの糖を摂(と)ったと思われるが、現代の欧米諸国ではこれが毎日の糖摂取量だろう。


 2型糖尿病は生活習慣病と言われるが確かな原因は判っていない。ただ、食事+運動不足+マイクロバイオームの変調は確かだろう。個人的には炭水化物に傾いた食事が最要因と考えてきたが、昔の日本人は現代人よりもずっと多くのご飯を食べていた。だとすると飽食、特に砂糖、植物油、食品添加物、防腐剤、抗生物質などが複合した結果なのだろう。

 ヒトの骨格は立つようにできている。人類の特徴として二足歩行が挙げられるが、進化を生き抜いた最大の要素は二足走法にあった。ヒトは動物の中で最も長距離を移動できるのだ。そして走ることと投擲(とうてき)能力が狩猟に生かされた。我々の祖先は肉(タンパク質)を食べることで脳が一段と大きくなった。

 一般的な歩行速度は時速4kmとされる。これが時速8kmを超えるとランニングの方がエネルギー消費量が少なくなる。土踏まずのアーチは地面からの反力を利用するためのショックアブソーバーとして働く。つまり足の構造は走るようにできているのだ。

 私は先月からランニングを開始したが早速効果があった。40歳頃から無呼吸症候群を発症し、更に寝返りを打っていないことに気づいた。朝起きると長時間クルマの運転をした時のようなダルさが腰に溜まっていた。通常は左向きの姿勢で寝るのだが最近はなぜか仰向きになっていた。2~3回走ると自然に寝返りを打つようになっていた。これは驚きだ。寝返りの仕組みがよくわからないのだが、自律神経系にスイッチが入ったのだろうと考えている。少しばかり体が目覚めたと言ってよい。


口と手の形は、その主食の種類によって決められる/『『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』島泰三

2019-12-15

損保ジャパンは最悪の保険会社(直ちに乗り換えを!)











玄米の解毒作用/『がん患者は玄米を食べなさい 科学が証明した「アポトーシス&免疫活性」のすごい力』伊藤悦男


 研究は三十数年にも及びました。
 その結果、私たちが解明したのが、玄米のうちのいわゆる米ぬかの部分に含まれるRBFという物質の作用機序です。このRBFは、がん細胞が生きていくために必要なエネルギーを熱に変えてしまい、無駄に使わせることで、エネルギーを補給できなくする機能を持っています。つまり、がん細胞を“兵糧攻(ひょうろうぜ)め”にするわけです。これによってがん細胞はDNAが断ち切られ、分裂できなくなります。こうしてがん細胞の自己死(アポトーシス)を導くプログラムが働くのです。
 また、玄米にはもうひとつ、RBAという抗がん成分が含まれていることも、私たちが解明しました。このRBAは多糖類(α-グルカン)の一種ですが、免疫系統を活性化してがんを縮小させる作用を持っています。多糖類のうち、キノコ類に多く含まれるβ-グルカンが免疫細胞を刺激し、免疫能(ママ)を向上させることはよく知られていますが、α-グルカンに同じ作用があることを初めて解明したわけです。

【『がん患者は玄米を食べなさい 科学が証明した「アポトーシス&免疫活性」のすごい力』伊藤悦男〈いとう・えつお〉(現代書林、2009年)】

 友人が肺癌になった。腫瘍の大きさは3cmほどだという。50代という年齢も腫瘍の大きさも微妙だ。早速本書を贈った。

 癌が厄介なのは自分で作った細胞のためで免疫が機能しない。健康な人でも日に3000~5000個の癌細胞が作らているという。これが増殖し始めると手をつけられなくなる。恐るべきスピードでコピーされ、やがて死に至る。最も不可解なのは癌が生き延びられないことである。なぜ敢えて生存に不利な増え方をするのかが判明していない。

 著者は琉球大学の名誉教授である。上記テキストを読めば明らかだがとにかく文章が酷くて説明能力が劣っている。特に「免疫系統を活性化してがんを縮小させる作用」というのは滅茶苦茶な話だ。なぜ自分の細胞に免疫が働くのか? 「私たちが解明した」を三度も書くのは浅はかさを通り越して愚かにさえ見える。

 というわけで私はこの著者を全く信用していない。だが玄米の解毒作用が癌に働く可能性は高いと考えている。植物は移動できないため外敵から身を守るために毒物を発する。この毒性が病気や患部に対して薬となる。毒をもって毒を制するわけだ。野菜を煮て食べるのは毒(灰汁〈あく〉)を抜くためだ。毒は味覚を通して苦味と認識される。良薬口に苦しとはよくいったものである。

歯の構造に適した食べ物/『好きなものを食っても呑んでも一生太らず健康でいられる寝かせ玄米生活』荻野芳隆

 上のページでも紹介したが、玄米食と癌については以下のブログが参考になる。

5年以上再発なしのガン患者が明かす!玄米食のデメリットとは?

 健常者が玄米を食べると解毒作用が強すぎて健康被害が出る可能性が高い。

脇役が光る/『許されざる者』レイフ・GW・ペーション


 ・脇役が光る

ミステリ&SF

「いや、平手です」マックスは、ヨハンソンの親友よりもまだ大きい右手を広げてみせた。
「鼻を平手打ちしただけで。だって、やつはその前におれのことを車で轢いたんですよ?」
「鼻だって?」こいつ、前にもやっているな――。平手と拳では処分がちがうのを知っていやがる。
「殺さずに出血させるにはいちばんいい場所ですから」マックスは肩をすくめた。「顎や額を殴ったら、死なせてしまうかもしれない。おれは、血を流さずに頭蓋骨を割ることもできますから」
「それだけか」どうやら優しい心ももちあわせているようだ。
「はい。あとはその場を去っただけです」
「やつが生きているといいが」
「もちろん生きてますよ。ちょっと鼻血を出したくらいで死ぬやつはいないでしょう」
「そうだな。他に方法はなかったんだな?」
「ええ。レストランに入って殴ることもできたけど、そんなことしたらたくさんの人に見られてしまう。長官、おれのこと怒ってますか」
「大丈夫だ。お前の言うとおりだとしたら、怒るに怒れない状況だからな」それに、今この瞬間にお前を養子にしたいと名乗り出るやつらを、少なくとも二人は知っている。
「長官、安心してください。おれは嘘はつきません。嘘をつくのは悪いやつだけだ。おれは今まで嘘をつく必要などなかった」

【『許されざる者』レイフ・GW・ペーション:久山葉子〈くやま・ようこ〉訳(創元推理文庫、2018年)】

 元国家犯罪捜査局長官が脳塞栓(心臓由来の脳梗塞)で倒れた。入院先の病院で女性主治医から25年前の未解決事件を聞かされる。9歳の少女を強姦した犯人は捕まっていなかった。ラーシュ・マッティン・ヨハンソンは車椅子生活を余儀なくされながらも非公式の捜査に取り掛かる。昨今話題の北欧ミステリだがスウェーデンの微妙な地政学が伺えて興味深い。

 ヨハンソンは主役だから人物造形が優れていて当然だが、介護人のマティルダと用心棒役のマックスが秀逸なキャラクターだ。マティルダはピアスまみれだが実は賢い。マックスはロシア生まれ。養護施設で悲惨な目に遭いながら育った。無口だが腕っ節は滅法強い。形を変えた親と子の物語だ。

 ラストの賛否が分かれるところだが作者は読者のカタルシスを優先したのだろう。個人的にはマックスを主役にしたシリーズを待望する。