2019-03-08

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なぜ今、仏教なのか――瞑想・マインドフルネス・悟りの科学
ロバート ライト
早川書房
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大乗仏典〈12〉如来蔵系経典 (1975年)

中央公論社
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人生の価値について (新潮選書)
西尾 幹二
新潮社
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人生の深淵について
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西尾 幹二
洋泉社
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私の昭和史(上) - 二・二六事件異聞 (中公文庫)
末松 太平
中央公論新社 (2013-02-23)
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私の昭和史(下) - 二・二六事件異聞 (中公文庫)
末松 太平
中央公論新社 (2013-02-23)
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松本清張の「遺言」 『昭和史発掘』『神々の乱心』を読み解く (文春文庫)
原 武史
文藝春秋 (2018-02-09)
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アファメーション
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ルー・タイス
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「原因」と「結果」の法則
ジェームズ アレン
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「原因」と「結果」の法則2
ジェームズ・アレン 坂本 貢一
サンマーク出版
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バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
前野ウルド浩太郎
光文社 (2017-05-17)
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50代からの体力革命
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高橋 陽子
主婦と生活社
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「よく聞こえない」ときの耳の本 (週刊朝日ムック)

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「こころ」の名医が教える 認知症は接し方で 100% 変わる!
吉田勝明
IDP出版 (2017-12-07)
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2019-03-07

蒸し目皿(スチームプレート)最強伝説


 今日新たな伝説が生まれた。春になるのを躊躇(ためら)っているような冷たい雨の音を聞きながら、それは我が家で生まれた。

 スーパーで安売りしていたニンジンを2kgも買ってしまい私は思いあぐねた。と、突然無水鍋と一緒に買った蒸し目皿(スチームプレート)をまだ開封していないことを思い出した。「温野菜あるのみ」と一言呟いた。

 レシピは「甘〜い!蒸すから栄養が逃げない♪温野菜 レシピ・作り方 by まめもにお|楽天レシピ」を参照した。冷凍ブロッコリーがなくなっていたのでチンゲン菜も蒸すことにした。

 ニンジンは小振りなため縦に四等分して放り込んだ。量が多かったせいか10分ほど時間を要した。

 いやはやこれは美味である。期せずして800gほども食べてしまった。ソースは味噌マヨ+ごま油+生姜(チューブ)である。後の二つはただ何となく入れた。一方、冷凍チンゲン菜はそれほどでもなかった。冷凍野菜は味が薄くなるのだろうか?

 ついでに書いておくと、無水鍋がべら棒に高くなっていて驚いた。モデルチェンジしたらしい。たぶん円安の影響もあるのだろう。一番いいタイミングで買ったことになる。

歴史の上書き更新/『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』輪島裕介


『一九八四年』ジョージ・オーウェル

 ・歴史の上書き更新
 ・大衆消費社会の実像

必読書リスト その三

 このように美空ひばりは現在、公的なメディアや知識人によって「昭和を代表する偉大な芸術家」として権威づけられ、彼女が歌う「演歌」は、はるかな過去から脈々と受け継がれる「日本の心」と結びつけられ、称揚されています。しかしこの評価は、敗戦直後のデビューから1970年代前半まで、当時の知識人が彼女に与えてきた否定的な評価とは正反対のものです。
 ひばりはデビュー時には大人の歌を歌う「ゲテモノ」少女と断じられ、スターとなってからはその傲慢さが批判され、1974年から数年間は「裏社会」との癒着が取り上げられ、「国民的行事」である『紅白歌合戦』をはじめとするNHKの番組から排除され、全国の公共ホールからも閉め出されていました。

【『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』輪島裕介〈わじま・ゆうすけ〉(光文社新書、2010年)】

 まず文章がよい。たまげた。リライトされた文章のように読みやすく、テクニカルライターのように正確だ。読んだ時には惹かれた文章でもタイプしてみるとガッカリすることは意外と多いものだ。書き写せば更にガッカリ度は増すことだろう。このように身体(しんたい/=口や手)を通すと文章のリズムや構成を皮膚で感じ取ることができる。一方、名文・美文には一種の快感がある。輪島の文章が抜きん出ているのはその「簡明さ」にある。嘘だと思うなら試しに書き写してごらんよ。輪島は学者である。文士ではないゆえ、香りを放つ文章よりも簡明が望ましい。「簡にして明」であればこそ大衆の理解を得られる。

 私の意図は、そこから本書の二つの主題を導き出すことにあります。
 一つは、戦後のある時期まで、少なくとも「知的」な領域では、ひばりを代表とする流行歌は「悪(あ)しき」ものとみなされていたのが、いつしか「真正な日本の文化」へとその評価を転回させたこと。
 もうひとつは、日本の流行歌の歩みは元来きわめて雑種的、異種混淆的であり、現在「演歌」と呼ばれているものはその一部をなしていきたにすぎない、ということです。

『「知的」な領域』は大衆と反対方向を目指すのだろう。そして「領域」全体がまとまると、今度はそこから反対方向のベクトルが働く。つまり領域内大衆への反動である。輪島裕介の狙いが鋭いのは、演歌にまつわる偽史(ぎし)を解明する過程が、実は宗教における教団分裂の歴史と酷似しており、汎用可能なモデルとなっているところにある。

「演歌」という語が1960年代(むしろ昭和40年代というほうが正確でしょう)に音楽産業の中で一つのジャンルとみなされてゆく過程と、それが「真正な日本文化」として高い評価を得てゆく過程は相関しています。というよりむしろ、ある種の知的な操作を通じて「演歌」というものが「日本の心」を歌う真正な音楽ジャンルとして新たに創り出されたのです。

 私は膝を打った。大乗仏教という名の後期仏教も「知的な操作」を通した歴史の書き換えにその目的があったのだろう。

 再び小林信彦を引けば、彼は「演歌」が明治の「演説の歌」であることを、1999年の大滝詠一のラジオ番組ではじめて知ったと述べています。
 名著『日本の喜劇人』や『テレビの黄金時代』を著し、クレージーキャッツやトニー谷、小林旭の再評価にきわめて重要な功績を残した彼が、「演歌」の語源を知らなかったことは、彼の仕事に多大な影響を受けた私自身、少なからぬ驚きだったのですが、逆に言えば、昭和10年代以降の大衆文化にきわめて精通している小林のような人物であっても、同時代的な音楽・芸能との関わりにおいて、「演歌」という言葉とその語源を意識する必要がなかったことを示しています。
 そのことは、現在用いられている「演歌」という言葉が明治・大正期のそれとは断絶しており、いつの間にか「発生」したものであることを裏付けているといえます。

 私は同様のことが仏教東漸の歴史でもあったに違いないと思う。なかんづく日本仏教の変質には漢字の呪能やアニミズム信仰が深く関わっていると考えられる。「断絶が意識されない」というのが重要な指摘だ。

 たまたま先ほど読んだ本にこうあった。

(※日本の真珠湾攻撃から)50年のときは(※ハワイへ)取材に行かなかったが、報道で見た範囲では人々の記憶も薄らぎ、語るべき人そのものが死んだり行方知れずになっているようだった。私は「40年が限度だ」と思った。

【『「民主主義」を疑え!』徳岡孝夫〈とくおか・たかお〉(新潮社、2008年)】

「歴史は40年で途絶える」のが事実であるとすれば、それ以降は何らかの「知的操作」が必要となる。文字を持たぬ民族の口承文化がその原点だ。古くから伝わる神話や伝説は道徳の基準であり、生き方のモデルを示したものだ。

 世代の変化が20~30年(親子の年齢差)だとすれば、わずか2世代のうちにしか生きた歴史は存在しないことになる。

 美空ひばりのレコードデビューは1949年(昭和24年)で、東京ドームのこけら落しとなるコンサートが1988年(昭和63年)のこと。1989年(平成元年)に死去し、同年女性初となる国民栄誉賞が授与されている。

 おおよそ40年のうちに「演歌が日本の伝統」となり、「美空ひばりは国民的スター」となったわけである。つまりこうだ。出来事としての歴史は40年で途絶える。その一方で創作された歴史が40年のうちに蔓延(はびこ)るのである。たった40年で歴史の上書き更新がなされる事実に驚嘆せざるを得ない。

 日本の伝統に対する健全な敬意が文章の端々から感じられるのがもう一つの特長である。それを保守と呼ばせない程度の抑制も効いている。

 まったく関係がないように見えるかもしれないが、私は本書をジョージ・オーウェル著『一九八四年』の取扱説明書として読むことが可能であると断言しておこう。輪島裕介は演歌という切り口で見事に歴史の断面図を提示したのだ。

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)
輪島 裕介
光文社 (2010-10-15)
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「民主主義」を疑え!
「民主主義」を疑え!
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徳岡 孝夫
新潮社
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2019-03-06

蒸しキャベツの肉みそかけ


【材料】(1人分)
 キャベツ……大1枚(約100g)
 豚ひき肉………………50g  水………………………大さじ2

 ┌みそ……大さじ1
★│砂糖……大さじ1
 │おろしにんにく(チューブ可)少々
 └おろししょうが(チューブ可)小さじ1/4

【作り方】
 1.キャベツは食べやすい大きさに切って耐熱容器に入れ、ラップをふんわりとかける。600Wの電子レンジで約3分加熱する。
 2.鍋に豚ひき肉と水を入れ、よく混ぜてから、中火にかける。混ぜながら火を通し、途中で★を加えてよく混ぜ、軽く煮詰める。
 3.器に1を盛り付け、2をかける。



◎肉みそは冷蔵庫で5日ほど保存可能。調理時に必要な分だけ温めて。
◎レタス、きゅうり、にんじん、アスパラなどの野菜にも合う。
◎ごはんやうどんにのせて食べるのもおすすめ。

松本清張


新装版 昭和史発掘 1』松本清張〈まつもと・せいちょう〉(文春文庫、2005年)/単行本全13巻が文庫版は全9巻になっている。第13巻末尾の人名索引が文庫版にはない。松本清張の文章が昔から苦手でどうもすっきりと頭に入ってこない。二・二六事件を調べていて辿り着いたのだが途中をすっ飛ばしたところ、「芥川龍之介の死」で引き込まれる。かつて小説が読まれる時代があった。メディア(媒体)がラジオ~テレビ~録画と発達すると共に小説は読まれなくなった。1970年代半ばから2016年までは雑高書低の時代が続いた。ネット時代ともなると人々の興味は際限なく拡散する。こうして共有の文化が形成されなくなるのだろう。

野党を政策立案に関与させない「事前審査制」/『逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界』宇佐美典也


 このような体験を経て私は日本社会の問題は「改革に抵抗する国民や既成権益」にあるのではなく、むしろ日本社会に大きな問題があることそのものを覆い隠し「先送り」を続ける国会や行政の構造にあるのではないか、と考えるようになりました。

【『逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界』宇佐美典也〈うさみ・のりや〉(新潮新書、2018年)以下同】

「報道特注」で宇佐美典也を知った。1981年生まれの元経産省官僚。オタクっぽい語り口が面白かった。経産省時代の大先輩である足立康史にペコペコする姿勢も微笑ましかった。一読して驚いた。やはり東大卒は侮れない。確固たる視点が誰も指摘をしてこなかった問題点を浮かび上がらせる。

 思えば私は官僚時代に国会答弁を多数書きましたが、その内容のほとんどは野党の質問に真っ向から答えるというより「どのように問題を問題と思わなせないか」というごまかしの発想に立っていました。当時は野党の攻勢から逃れるためにそれが当たり前と思っていましたが、それでは日本社会を取り巻く本当の問題が世の中に伝わるはずがない、官僚がそのようなスタンスで政治と向き合わざるを得ない政治の構造こそが最も大きな問題ではないか、いまではそう考えるようになったのです。

 逆に言えば官僚のごまかしを国民の前にさらけ出すことのできる力量が野党議員にあれば、我々は「官僚に問題があること」を理解できる。

 このように日本の政治は基本的には「目の前の選挙への対策を求める政治家と、そうした政治家の要請を満たしつつ対症療法的政策を実行して問題を先送りする官僚」という2~3年間の「先送りの連鎖」が行われる構造になっています。

 それをよしとするジャーナリズムと、関心すら持たぬ国民とが彼らを強く支える。先送りの最たるものが憲法改正であろう。

 しかし残念ながら、結論から言えば日本の野党議員は与党議員以上に短期志向で、その瞬間瞬間で与党と政府の問題を指摘して世論を盛り上げて政権を追い詰めることに特化しています。野党のスタンスは「短期的」を超えて「刹那的」といってもいいほどです。
 なぜこんなことになってしまうかと言うと、日本では政権・与党が「事前審査制」と呼ばれる野党にまったく政策立案に関与させないような仕組みを整備しているからです。ここで日本の政策決定の流れというものをざっと見てみましょう。
 国会で審議される議案というのは、内閣または議員が作成することができるのですが、日本では実効性のある議員立法はほとんどなく、実質において意味のある法律案・予算案はほぼ全て各省庁が作成します。こうして作成された法律案・予算案は政府から国会に提出される前に、自民党内の「事前審査」を受けることになります。
 各省庁が作成した法律案・予算案は、事前審査でまず自民党政務調査会、通称「政調会」で審議にかけられることになります。
 政調会は各省庁・政策分野に対応して様々な部会に分かれており、各省庁の作成した政策案は各部会に所属するいわゆる「族議員」によって審査されます。この時各部会の決定は所属議員の全会一致が原則であり、官僚たちは部会に所属する族議員の要望をあらかじめ聞き回って彼らの要望に合わせて法案を修正していきます。これが俗にいう「官僚の根回し」です。
 こうして部会で官庁と族議員が調整を重ねて議案が了承されると、今度は部会から政調審議会に議案は回されることになります。政調審議会は政務調査会の幹部が委員を務めており、細分化した部会よりも広範な見地から議論がなされ、問題があると委員が判断した時は部会に議案が差し返され再検討することになります。他方政調審議会で了承を得られると政調会での審議は終了し、議案は今度は自民党総務会に回されることになります。
 総務会は「党の運営に関する重要事項」を決める場ですがその審議は通常形式的なもので、政調会に議案が差し戻されるようなことはほとんどなく、この総務会で了承が得られると国会でのその議案の審議には「党議拘束」がかけられることになります。(中略)総務会での決定が得られるとようやく事前審査は終わり、審議の舞台は国会に移ることになり、閣議決定を経て内閣から議案が国会に提出されることになります。
 こうしてようやく国会の各委員会で政府と野党が議論を交えることになるのですが、ここまで見てきたように日本では国会での審議の前に政府と与党が議論を重ねてガチガチに議案の内容を固めてしまうため、国会での議論を通じて野党の意見を聞いて法律案や予算案を修正するようなことはありません。ただ政府が野党の質問を適当にいなして時間を使うだけの審議が延々と行われ、時間が来たら採決がなされます。

 驚くべき指摘である。この国の民主政は議論ではなく談合で動いているというのだ。以前から建設業などの談合を私は日本文化と捉えてきた。ま、村の寄り合いみたいなものだろうと高(たか)を括(くく)っていた。何もわからぬ素人が好き勝手な意見を言うより、事情通同士が順繰りで利益を分かち合うことは一種の知恵だと考えた。

 それにしても不思議なのは政治家の沈黙である。参議院議員になった青山繁晴が虎ノ門ニュースで「部会、部会」とのたまわっているが、議論なき国会システムを明かしたことは多分ないだろう。

 議会で実質的な議論が行われないのであれば、しゃんしゃん総会といってよい。厖大な時間がパフォーマンスのために使われているとすれば国民はやがて政治AIを支持するようになることだろう。

 かくして日本の野党は、政策立案にあたって建設的な役割を果たすことが政権・与党によって封じられているため、その瞬間瞬間の世論にのって刹那的に政権批判を繰り返すことくらいしかできない宿命にあります。その意味では日本の野党は与党に無能であることを強いられている、ということができると思います。これは重要なことで、野党議員の中には大変優秀な方がたくさんいますが、それとは関係なく日本の野党は組織的に無能にならざるを得ないのです。これは大変残念なことです。

 私はむしろ政治の機能不全に問題の根があると思う。

 非常に刺激的な内容で大変勉強になったが、全体を通してやや社会主義的な発想が見られる。それはそれで構わないのだが果たして宇佐美に自覚があるかどうか。

逃げられない世代 ――日本型「先送り」システムの限界 (新潮新書)
宇佐美 典也
新潮社
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2019-03-03

ジェームズ・ナクトウェイの戦争写真の衝撃


ルワンダ大虐殺の爪痕:ジェームズ・ナクトウェイ

 ・ジェームズ・ナクトウェイの戦争写真の衝撃

タンパク質と鉄分を摂り、糖質を控える/『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』藤川徳美


『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン
『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス
『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
『コレステロール 嘘とプロパガンダ』ミッシェル・ド・ロルジュリル
『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』べッセル・ヴァン・デア・コーク

 ・タンパク質と鉄分を摂り、糖質を控える

『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
『小麦は食べるな!』ウイリアム・デイビス
『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル
・『自律神経どこでもリセット! ずぼらヨガ』崎田ミナ、福永伴子監修

「増やす編」のトップバッターはタンパク質を含む食品です。タンパク質の英語 Protein (プロテイン)は、ギリシャ語の「第一となるもの」に由来しています。いってみれば、生命活動の第一人者、まずもって増やす必要がある栄養素です。

【『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』藤川徳美〈ふじかわ・とくみ〉(方丈社、2018年)以下同】

 厚生労働省は22日、65歳以上の高齢者が1日に摂取するたんぱく質の目標量を引き上げる食品摂取基準に関する報告書案を示した。「フレイル」(虚弱)の発症予防を目的とした場合、65歳以上の高齢者は体重1キログラム当たり少なくとも1グラム以上のたんぱく質の摂取が望ましいとした。体重50キログラムの人ならば1日50グラム以上となる(日本経済新聞電子版 2019年2月22日)。

 たまたまプロテインに興味を持ち、あれこれ情報収集している時に見つけた書籍である。私の場合、今のところうつ病とは無縁である。基本的に精神的な落ち込みを感じることがほぼない。元々幼い頃から自己評価がそれほど高くないので軽んじられたところで「ま、仕方ないか」という程度に受け止めている。更に多少の修羅場をくぐり抜けてきたこともあり少々の苦労なら「これくらいはどうにでもなる」という心の余裕がある。ついでに言っておくと私には「寂しい」という感情が欠落している。30代で6人の後輩を喪った時に涙が涸(か)れ果ててしまった。

 そんな私ですら読んでいるのだから、うつ病あるいは気質のある人は直ちに実践するべきだ。食生活を変えるだけで精神疾患を乗り越えられるとすればこんな安上がりな方法はない。

 必須アミノ酸は、9種類のうち一つでも必要量に満たないものがあると、もっとも少ないアミノ酸に準じた量しかタンパク質がつくられません。偏って多量に摂取したアミノ酸は、すべて無駄になってしまうのです。
 このしくみは「桶の理論」として知られています。


 タンパク質はアミノ酸でできている。「桶の理論」は初耳であった。このように食事のバランスを具体的に指摘されると実に説得力がある。以下のアミノ酸スコアを冷蔵庫に貼っておくとよい。


 日本女性が鉄不足になる原因は食生活です。土壌のミネラルが減少したため、農作物から摂れる鉄分も減少してしまいました。
 一方、他国の女性、特に欧米の女性は日本女性のような鉄不足はありません。欧米では、鉄分を含む肉を日本人の3倍ほど食べます。また、欧米を中心とした50カ国以上の国では、小麦粉にあらかじめ鉄が添加されるなどの鉄補給対策がなされています。その理由は、1940年代に鉄欠乏性貧血が多く発症し、その対応に困ったという時代があったのです。この対策のおかげで、鉄不足の頻度は減少したということです。
 米国、英国、カナダ、トルコ、タイ、スリランカなどの国々で、同様の鉄不足対策がとられており、メキシコではとうもろこし粉、モロッコでは塩、フィリピンでは米、中国ではしょう油、東南アジア諸国ではナンプラーに、鉄が添加されています。

 そこはかとなく陰謀の臭(にお)いが漂ってくる。やがて訪れる高齢化社会の問題が介護であることを有吉佐和子が指摘したのは1972年のことであった(『恍惚の人』新潮社)。女性解放を謳(うた)ったウーマンリブ運動(1960年代後半から1970年代前半)をバックアップし資金提供したのはロックフェラー財団である。その目的は納税者を増やすことと、子供の教育を母親の手から学校に奪い家族を破壊することであった。これはアーロン・ルッソ監督が直接聞いた話として公言している。

 女性のための鉄分対策すら行おうとしない国家は何らかの意志で人口減少を目指しているのだろう。日本は食品に関する規制が甘くマーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸も野放し状態である。「我が家はバターだから大丈夫」というのは通用しない。飲食店や菓子類に含まれるマーガリンを避けることは不可能だ。

 よくよく振り返ってみよう。この国は自殺、交通事故死、拉致被害を漫然と見過ごし、古きよき会社制度を破壊して短期間で低賃金労働者という階層をつくることに成功した。主要上場企業の株式は外国資本に買い漁られ、会社は株主のものとなり、社長がべら棒な報酬をせしめ、従業員と家族は蔑(ないがし)ろにされてしまった。

 家族や会社内の関係性が断絶された頃から人権の名の下にステレオタイプの正義が先進国で声高に叫ばれるようになった。このポリティカル・コレクトネスを西尾幹二は「衛生思想」であり「消毒の思想」と喝破している(『国家と謝罪 対日戦争の跫音が聞こえる』2007年)。

 国家が国民を守る時代は終わった。自ら知恵を尽くして我が身を守れ。

自殺予防センター(CVV)のポスター

2019-03-01

家族の目の前で首を斬り落とされる不可触民/『不可触民 もうひとつのインド』山際素男


 ・豊かな生命力は深い矛盾から生まれる
 ・家族の目の前で首を斬り落とされる不可触民
 ・不可触民の少女になされた仕打ち
 ・ガンジーはヒンズー教徒としてカースト制度を肯定

『女盗賊プーラン』プーラン・デヴィ
『アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール
『ガンジーの実像』ロベール・ドリエージュ
『中国はいかにチベットを侵略したか』マイケル・ダナム

 30年ほど前、不可触民はこのように扱われていた――

「この村の不可触民の一人が、地主の虐め方がひどいと抗議したのです。そのときは他の不可触民も一緒にいたので、地主も手を出さなかったのです。
 2〜3日後、地主の手のもの何人かがその農夫の家へやってきて、無理矢理引っ張ってゆきました。彼等はライフルや槍で武装しているので家族や仲間も手が出せなかったのです。
 そいつらは、農夫を村のホールに連れてゆき、予(あらかじ)め打ちこんであった杭(くい)にしばりつけました。
 農夫は必死に大声をあげ、助けを求めました。
 周りには“見物”の村人が総出でつめかけていたのです。家族は人びとの足にすがりついて助けを乞うたのに、だれも見向きもしなかったといいます。
 やつらは、泣き叫ぶ家族の目の前で、鶏の首を打ち落とすように、斧(おの)で農夫の首をはねてしまいました。
 しかも、その人殺し共は、屍体の始末をその農夫の家族にやらせたのです。
 わたしたちが駆けつけたときには、杭はありませんでしたが、地面は血を吸ってどす黒い跡を残していました。
 首のない亡骸(なきがら)を前に、わたしも男泣きに泣きました」
「警察は、どうしたのです?」
「きません」
「どうしてです?」
「通報するものがいないからです。暗くなって、われわれダリッツ支部に知らせにくるのがやっとだったのです」
「……」
「警察にはわれわれが届けました。村の不可触民は後の報復を怖れて警察にもいけないのです。
 われわれは、州首相にも報告書を提出しました。
 裁判にはかけられるでしょうが、地主が実刑をくらうことはまずないでしょう。その地主は大変な金持ちで、警察や政府関係者を完全に買収していますから ね。
 州政府はこの事件に関して未だに返事を寄こさず、なしのつぶてです」

【『不可触民 もうひとつのインド』山際素男〈やまぎわ・もとお〉(三一書房、1981年/知恵の森文庫、2000年)】

 私は生まれて初めて「戦争をすべきだ」と思った。「インドは滅ぶべきだ」とも思った。人道に関する罪に対して取り締まることのできる「国際警察組織」が必要だ。そうでなければ、いつまで経っても世界はチェ・ゲバラを必要とするだろう。

2019-02-28

「ブードゥー教の呪いで人が死ぬ」ことは科学的に立証されている/『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン


 ・精神疾患は本当に脳の病気なのか?
 ・「ブードゥー教の呪いで人が死ぬ」ことは科学的に立証されている
 ・相関関係=因果関係ではない

『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム、ジョナサン・プリンス
『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス
『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
『コレステロール 嘘とプロパガンダ』ミッシェル・ド・ロルジュリル
『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』べッセル・ヴァン・デア・コーク
『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』藤川徳美
『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル
『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』ローン・フランク

必読書リスト その二

 生理的変化の原因として、心理社会的要因も重要であることを認めない人は、次のような例をどう説明するのか。ユダヤ教徒(あるいはイスラム教徒)たちは豚肉を食べることが禁じられている。敬虔なユダヤ教徒(あるいはイスラム教徒)が知らずに豚肉を食べ、何時間もたってから、それがなんと禁じられている豚肉だったと知らされると、身体に激しい異変が生じるという。また、「ブードゥー教の呪いで人が死ぬ」ことも、立証されている。ハーバード大学の著名な生理学者ウォルター・キャノンがこれを研究し、のちにジョンズ・ホプキンズ大学の心理生物学者のカート・リクターも調査した。ブードゥー教の信仰が行われている国では、いたって健康な人でさえ、呪いが自分にかけられたことを知ると、衰弱して死に至るということが実際に起きる。

【『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン:功刀浩〈くぬぎ・ひろし〉監訳、中塚公子訳(みすず書房、2008年/新装版、2018年)】

 これは脳機能によるものと個人的に考えている。多分、「これ以上生きてはいけない」というスイッチが遺伝子レベルで入ってしまうのだろう。時に思想が人を殺すという例証である。

「文をもって化す」ことで同じ物語が共有される。それが死に至る場合もあることは武士の切腹を思えば不思議なことではない。ただ呪いと恥の違いがあるだけだ。どちらも物理的な実体があるわけではなく、ユヴァル・ノア・ハラリ流に言えば「虚構」である。もっとわかりやすい例を挙げよう。

 99年12月、タンクローリーが交差点で軽トラックと激突する交通事故が起こった。軽トラックは大破し、乗っている人が出てこなかったことからタンクローリー運転手は死亡事故を起こしたと思い込み、動転して約200メートル離れた鉄塔に上ってそこから飛び降り自殺した。しかし、実際には軽トラックの運転手に怪我はなく、無免許運転だったためその発覚を恐れて車外に出てこなかっただけのことだった。(※後に事故のショックによる急性ストレス反応の発病が認められ労災認定された)

【『自殺のコスト』雨宮処凛〈あまみや・かりん〉(太田出版、2002年)】

 この運転手は勘違いによって死んだわけだ。嘲笑ってしまえばそれまでである。よくよく考えてみよう。思想・哲学・宗教は勘違いを体系化したものだろう。飛行機はおろかロケットや人工衛星が飛び交う時代になっても「天にまします我らの父」を見た人はいない。にもかかわらずそんな物語を信じている人々が世界には20億人以上もいるのである。脳とは五感情報を統合して虚構(=勘違い)を作り出す装置なのだろう。

 もう一つ紹介しよう。

 エピジェネティック効果や母性効果の不思議について、ニューヨークの世界貿易センターとワシントン近郊で起きた9.11テロ後の数か月のことを眺めてみよう。このころ、後期流産の件数は跳ね上がった――カリフォルニア州で調べた数字だが。この現象を、強いストレスがかかった一部の妊婦は自己管理がおろそかになったからだ、と説明するのは簡単だ。しかし、流産が増えたのは男の胎児ばかりだったという事実はどう説明すればいいのだろう。
 カリフォルニア州では2001年の10月と11月に、男児の流産率が25パーセントも増加した。母親のエピジェネティックな構造の、あるいは遺伝子的な構造の何かが、胎内にいるのは男の子だと感じとり、流産を誘発したのではないだろうか。
 そう推測することはできても、真実については皆目わからない。たしかに、生まれる前も生まれたあとも、女児より男児のほうが死亡しやすい。飢餓が発生したときも、男の子から先に死ぬ。これは人類が進化させてきた、危機のときに始動する自動資源保護システムのようなものなのかもしれない。多数の女性と少数の強い男性という人口構成集団のほうが、その逆よりも生存と種の保存が確実だろうから。(1995年の阪神大震災後も同様の傾向が出ている)

【『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム、ジョナサン・プリンス:矢野真千子訳(NHK出版、2007年)】

 私は「自殺」だと考える。母親の体を通して伝わるストレスを胎児は「戦争」と認識したのだろう。男児であればゆくゆく兵士となるのは確実だ。兵士とは国家のために死ぬ存在である。どうせ生まれても死ぬ運命にあるのならば、さっさと死んで無駄な養育コストを回避することが親のためになる。もっと言ってしまえば、生まれて生きるほどの価値もない世界だから胎児は自ら死ぬのだろう。

「それは、あんたが勝手に思い描いた物語だろう?」――その通り。この世は人の数だけ物語が存在する摩訶不思議な世界なのだ。



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パーキンソン病、始まりは腸から? 虫垂切除で発症リスク19~25%減


2018年11月1日 14:11 発信地:タンパ/米国 [ 米国 北米 ]

【11月1日 AFP】これまで脳の病気と考えられてきたパーキンソン病は、腸内、特に虫垂から始まる可能性がある。成人早期に虫垂を切除すると、パーキンソン病の発症リスクが大幅に下がることを、米国の研究者らが突き止めた。論文は10月31日、米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」に発表された。

 盲腸の下部にある虫垂は、不要な臓器と言われることも多いが、腸内細菌の貯蔵場所で、免疫反応と関連があるとされる。さらに、パーキンソン病に関連する主要たんぱく質「αシヌクレイン」が蓄積する場所ともみられている。

 研究チームは今回、スウェーデンと米国の患者データベースを調査。その結果、成人早期に虫垂を切除した人のパーキンソン病発症リスクが、切除していない人よりも19%低いことを突き止めた。

 スウェーデンの農村部ではその効果が特に顕著で、リスクは25%も低かった。農村部では、パーキンソン病の一因とされる農薬への暴露量が多いとされる。

 論文の共著者、米バンアンデル研究所(Van Andel Research Institute、ミシガン州)のビビアン・ラブリー(Viviane Labrie)助教は電話会見で「パーキンソン病を発症した人では、虫垂切除によって発症年齢が平均3.6年遅れていた」と話した。

 ラブリー氏は研究成果について「虫垂がパーキンソン病の初期症状、または発症に影響を及ぼす組織部位の一つであることを示唆している」と指摘した。

 パーキンソン病は難病の神経変性疾患で、世界に大勢の患者がいる。著名人でも米俳優のマイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)さん、アラン・アルダ(Alan Alda)さん、米歌手のニール・ダイアモンド(Neil Diamond)さん、ボクシングの故モハメド・アリ(Muhammad Ali)さんらがこの病気を患っている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN

曲がった背骨を伸ばす/『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春


『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける!』松尾タカシ、前田慶明監修

 ・曲がった背骨を伸ばす

『5秒 ひざ裏のばしですべて解決 壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』川村明
『心身を浄化する瞑想「倍音声明」CDブック 声を出すと深い瞑想が簡単にできる』成瀬雅春

 ヨーガのポーズのことをサンスクリット語でアーサナといいますが、この意味は「坐り方」ということです。ヨーガは本来、解脱に至るための瞑想法として生み出されました。瞑想のために長時間坐っていても疲れない快適な坐り方が必要となり、さまざまな坐法が生まれ、同時に瞑想に専念できるように、健康を保つためのさまざまなポーズが生み出されたのです。このように、「坐る」ことはヨーガの基本であり、その重要性をいろいろなアプローチで説いています。
 寝たままの生活をしている人のなかには、本人の気力が衰え「寝たまま」になっている場合や、周囲が「寝かせたまま」になってしまっているケースがあります。そうした人たちは、本人や周囲が坐らせる努力をすれば坐れるようになるケースが多いです。
 寝たままと坐れることの間には雲泥の差があります。寝たままの生活で大きな問題となる床ずれは、坐ることができるようになれば治ります。また坐ることで排便も用意になり、食事も楽にできるようになります。寝たままの食事と坐っての食事では、同じものを食べても味も違います。
 坐ることで深い呼吸ができるようになり、換気量も増えます。坐っている時間が増えるだけで、呼吸が深くなるものです。呼吸が深くなれば、当然血液の還流もよくなり、血圧も安定します。単に坐るだけですが、それでも筋力トレーニングになっているのです。身体を起こした状態を維持することで首の筋肉が鍛えられ、咀嚼がしっかりとできるようになり、誤飲も防げます。

【『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春〈なるせ・まさはる〉(中央アート出版社、2007年)】

 背中の曲がったオバアサンを何とかしようと思って読んだ本である。当の本人は「九十近いんだから無理」と言ったが、我が辞書に不可能という項目はない。身体障碍者の運動に関する書籍では私が知る限り本書がベストである。特に冒頭の足指・手指の運動は認知症にも十分な効果を発揮することだろう。

 私がヨガに注目したのは以下の記事による。

背中が曲がったおばあちゃん、よくある健康法で…ここまで変わる!? – grape [グレイプ]

 腰痛の原因は頭の重さにある。背骨が曲がってしまえば下がった頭を抑えるべく腰の位置が後傾せざるを得ない。その結果腰はどんどん曲がってゆくという悪循環に陥る。アフリカ人の姿勢がいいのは頭に物を載せて運ぶためだ。スマホ首(ストレートネック)も頭の重量を無視した悪い姿勢の結果である(いま日本人の8割がスマホ首!? テニスボールで改善できる治し方とは? - モバレコ)。

 私が試そうとしたのは次のポーズであった。



 背中の曲がったオバアサンは仰向けで寝ることができない。うつ伏せになることもできない。曲がった背中を逆方向へ引っ張るためには背筋が必要だ。厳密にはこのポーズはできなかったが近い姿勢にはなった。現在、ボール投げとチューブトレーニングも組み合わせて背筋を鍛えている。

 こうした営みを通して見えてきたのは背筋・体幹・股関節周りの重要性であり、健常者にとっても鍛えるべき急所はここにある。日本の文化でいえば所謂(いわゆる)「肚」(はら)の周りだ。背骨と骨盤の間に鍵が潜んでいるように思う。

 次のステップは肩甲骨周りである。


 肩甲骨を自由に動かすことができれば空を飛んでいた祖先の記憶が蘇るに違いない。例えば水泳、木登り、ロッククライミングやスポーツクライミングは「飛ぶ」感覚に近いのではないか。

 体には動くことへの衝動がある。姿勢を正して動け。跳び、遊べ。

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2019-02-24

ウォーキングの極意/『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成


『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン
『だれでも「達人」になれる! ゆる体操の極意』高岡英夫
『病気の9割は歩くだけで治る! 歩行が人生を変える29の理由 簡単、無料で医者いらず』長尾和宏
『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博
『「体幹」ウォーキング』金哲彦

 ・ウォーキングの極意

『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』園原健弘
『あなたの歩き方が劇的に変わる! 驚異の大転子ウォーキング』みやすのんき
ナンバ歩きと古の歩術
『すごい!ナンバ歩き 歩くほど健康になる』矢野龍彦
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』小田伸午
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史
『寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい』久野譜也
『人生、ゆるむが勝ち』高岡英夫
『究極の身体(からだ)』高岡英夫

身体革命

 私は2004年に、『高岡英夫の歩き革命』(弊社刊)を舞台に、人の理想の歩きとして、「ゆるウォーク」を提示した。
 ゆるウォークとは、体をゆるめて、コリやムダな力を取り除き、もって生まれた自然の力を取り戻し、快適に歩くことである。つまり、この本は、観念的に正しいとされる歩き方に人の体をはめ込むという、これまでなされてきたすべての歩き方の理論と指導に、警鐘を鳴らす本でもあった。
 そして「この本は、とても奥の深い内容を、懇切丁寧に、わかりやすく説いている。これこそ、快適な歩きをものにするためのバイブルだ」との声を、数多くいただいた。
 しかし、ゆるウォークを、どこまでも正確に理解していただきたいという思いが強すぎたのか、その内容は少々ヘビーなものになってしまった。そこで、このヘビーな本を手にした多く(ママ)方々から、今度は、もっと気軽に取り組めるやさしい本を出版してほしいというご希望をいただき、本書は生まれた。

【『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬〈こまつ・みふゆ〉構成(学習研究社、2006年)】

 臆面もなく自画自賛を綴(つづ)る神経が図太い。病的といってもいいほどだ。自己愛性人格障害か、もしくは自分を高く売りつけようとする詐欺師のどちらかだろう。『高岡英夫の歩き革命』の焼き直しにすらなっていない著作で、半分ほどの量を費やしてゆる体操を紹介している。かえって手の内を隠すような体裁となっているのが疑問である。2008年には同じく学研から『楽しくなるゆるウォーク DVD付き』を刊行しており、著者と出版社にとっては「一粒で三度おいしい」マルチ出版となっている。

 理想の歩きでは、脚に重みが感じられるものの、軽く動くようになる。脚に重みを感じるというのは、脚の脱力が進んだ証拠。軽く感じるのは、股関節のまわりの筋肉がゆるんできたということで、大腿骨がパッとスムーズに前に振り出されるようになってきた証拠である。
 さらに股関節まわりの筋肉の脱力が進むと、腸腰筋(ちょうようきん)が使われ始めてくる。腸腰筋(下図)は、股関節と骨盤及び背骨をつなぎ、大腿骨をポンと前に振り出す働きのある筋肉なので、さらに脚は軽く感じられるようになる。

【『高岡英夫の歩き革命』高岡英夫:小松美冬〈こまつ・みふゆ〉構成(学習研究社、2004年)】


 人品が卑(いや)しくとも理論が優(すぐ)れているのは確かだ。ただし体に関することは本書に限らず鵜呑みにするのは危険である。飽くまでも参考にしながら自分自身で創造的な手法を編み出すのが正しい。体も心も千差万別なのだから。注意深く体の声に耳を傾けることだ。

 腸腰筋を使うというのは要は振り子の原理である。もともとウォーキングに関心はあったのだが、近所のおばあさんの歩行訓練を手伝うことになり真剣の度合いが一気に増した。歩けない人が歩けるようになる課程に私は歩行の合理性を見出した。

 次に「Lesson 4 のおもなワーク」を紹介する。


 歩行障害があるとどうしても足先に意識が向かう。これが躓(つまづ)きの原因となる。介護の場合はまず「膝を高く上げる」ことを促し、少しずつ腿(もも)から腸腰筋を意識させるのがいいだろう。腸腰筋を使うには膝を曲げずに歩いてみればよい。

 続いてウォーキングに関する私の試行錯誤をいくつか紹介しよう。

 








「大股で歩くことにまったく意味はない」(田中尚喜)という。また「時速8kmを超えたら、歩いた方がエネルギー消費量が大きく」なるそうだ(園原健弘)。とすれば高速小股歩行は最強の運動となる。

 色々と調べているうちに踵(かかと)への衝撃がダメージを蓄積することがわかってきた。クリストファー・マクドゥーガル(近藤隆文訳、NHK出版、2010年)のベストセラー『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"』でヒール・ストライク(踵着地)走法が怪我の要因となることが広く認知された。またララムリ(タラフマラ族)のサンダル(ワラーチ)ランニングが世界のランナーに衝撃を与えた。








 フォアフット走法とミッドフット走法については判断するほどの材料を私は持たないが、足の形状が縦長であることを踏まえるとミッドフットに動力性の軍配が上がると思われる(正しくは「ミッドフット」 - Great Life)。

 検索したところ『「つま先歩き」で腰の痛みが消える』(宮崎義憲)との記事を見つけた。試しに5kmほど歩いてみた。何と寝る前から筋肉痛が出た。ふくらはぎから太腿に至るまで足全体が鈍い痛みに包まれた。

 実際にやってみると直ぐにわかることだがスニーカーだと歩きにくい。ギョサンも踵部分が高いので向いていない。ソール(靴底)は薄い方がよさそうだ、と気づいた瞬間に地下足袋が思い浮かんだ。案の定同じ考えの人がいた。

地下足袋ウォーキング ~正しい足運びを身に付けよう 『それいいな!』の山道具

 ワラーチの作成もそれほど難しくはなさそうだ(コルクマットワラーチがすごすぎるので作り方教えます! - 裸足と瞑想の日々)。また足型をファックスやメールで送るオーダーサービスもある(2700円:ランニングサンダル・ワラーチを作ります!! - クローズアップ源内)。

 では今日現在でのウォーキングの極意を開陳しよう。家の中を歩く時の動きをよくよく吟味すれば踵をつけていないことがわかる(踵をついている人はよほど運動神経が鈍いか、体のバランスが狂っている)。裸足の動きを再現するためにはソールの薄い履物(←シューズとは書かないぞ)が望ましい。イメージとしては足袋(たび)や草鞋(わらじ)である。

 爪先ウォーキングの肝は指の付け根部分を後ろから前に向かって半回転運動をさせるところにある。現実には土踏まずから着地することはできないわけだから、これがミッドフット歩行ということになる。

 で、ここからが問題なのだが、腸腰筋を使って脚を動かすと爪先から着地するのが極めて難しい。慣れないうちは小股で爪先を内側へ向けると歩きやすい。そう、和服姿の女性の歩き方だ。

 これをマスターすれば「歩くスローステップ運動」が完成する。筋肉に負荷が掛かる分だけ関節や骨のダメージは軽減されるはずだ。

 ヒトと猿とを分けるのは二足歩行である。だったらきちんと歩きたいものである。



疲れない、きれいな歩き方は、腰から歩く、フラットに着地する | 笛吹きおじさんの、中高年が健康で快適に生きるための情報
その2「大転子を引き上げるイメージ」|にぎりこぷし|note
X脚、O脚の子を救う 歩き方&立ち方 | プレジデントオンライン

2019-02-22

腕は後ろに振る/『「体幹」ウォーキング』金哲彦


『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン
『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博

 ・腕は後ろに振る

『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成
『すごい!ナンバ歩き 歩くほど健康になる』矢野龍彦
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史

 黄色人種である日本人は、骨格的に大きなハンディがあります。
 黒人選手の骨格で特徴的なのは、骨盤がしっかり前傾していることです。そのため、骨盤が動きやすく、骨盤を動かすインナーマッスルの腸腰筋も非常に発達しています。つまり、生まれつき体幹が機能しやすいのです。黒人アスリートの、パワフルでダイナミックなフォームは、骨格からくる体幹の力によるものなのです。
 これに対し、日本人をはじめとする黄色人種は、骨盤がもともと後継ぎみ。そのため、腸腰筋やお尻の筋肉が発達しにくく、油断すると体幹がすぐに眠った状態になってしまいます。黄色人種の私たちが黒人に対抗するには、トレーニングによって強靭な体幹を作り上げることが必須条件なのです。

【『「体幹」ウォーキング』金哲彦〈きん・てつひこ〉(講談社、2010年)】

 実に危うい記述である。人種の違いを指摘することすら差別と受け止められかねない時代情況を思えば編集が甘すぎる。著者の視野も狭い。「骨格的に大きなハンディ」としているが、日本人の骨盤は稲作や山歩き(峠越え)に応じて進化したものと私は考える。江戸時代は「男十里、女九里」と言われた。男性なら40km、女性でも36km程度歩くのが普通だった。健脚の飛脚であれば100km以上の距離を移動したという。

 最近の若者を見ると日本人の脚もずいぶんと長くなった。床から椅子に坐るようになった生活スタイルの変化が影響しているのだろう。胴長・短足・眼鏡・出っ歯・首からカメラという日本人のイメージは既に過去のものだ。

 ウォーキングで大きく手を振ることには意味がないと書かれている。肩甲骨を動かすために腕は後ろに振るのが基本で、「肩甲骨に羽がある」というイメージを持つ。これは読んでから直ぐに実践した。

2019-02-21

「聖書とガス室」/『人間について 私の見聞と反省』竹山道雄


『竹山道雄と昭和の時代』平川祐弘
『昭和の精神史』竹山道雄
『見て,感じて,考える』竹山道雄
『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII』竹山道雄:平川祐弘編
『剣と十字架 ドイツの旅より』竹山道雄
『ビルマの竪琴』竹山道雄

 ・「聖書とガス室」

『竹山道雄評論集 乱世の中から』竹山道雄
『みじかい命』竹山道雄
『歴史的意識について』竹山道雄
『主役としての近代 竹山道雄セレクションIV』竹山道雄:平川祐弘編

   I

 聖書とガス室
 キリスト教とユダヤ人問題

   II

 ペンクラブの問題
 『竹山道雄の非論理』
 ものの考え方について

   III

 ソウルを訪れて
 高野山にて
 四国にて
 西の果の島

   IV

 死について
 人間について

 あとがき

【『人間について 私の見聞と反省』竹山道雄(新潮社、1966年)以下同】

 初出誌については「あとがき」に記載されている。

(ゴッドを神と訳したことから、たいへんな誤解や混同がおこったので、キリスト教の神をゴッドと書くことにする。ゴッドと古事記にでてくる神とは、まったく別物である。また、教皇とか回勅とかいうのはいい訳語ではなく、これは天皇を擬似絶対者としたころの政治的風潮のまちがった絶対者観をあてはめたのだろう。さらに、神父というのも奇妙な言葉で、自分は神なる父であると名のる人があるのはおかしい。牧師というのはひじょうにいい言葉だと思うが)(「聖書とガス室」/『自由』昭和38年7月)

「聖書とガス室」は本書以外だと、『竹山道雄著作集5 剣と十字架』(福武書店、1983年)と『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII』平川祐弘〈ひらかわ・すけひろ〉編(藤原書店、2016年)にも収められている。

 私が竹山道雄を敬愛してやまないのは文学者でありながらもキリスト教を鋭く見据えたその眼差しにある。文明史的な批判は「西洋に対する極東からの異議申し立て」といっても過言ではない。

 昭和38年(1963年)7月は私が生まれた月である。「7月」と表記されているが多分「7月号」なのだろう。内容もさることながら私を祝福してくれているような錯覚に陥る。

 カミの語源は「隠れ身」であるという(『性愛術の本 房中術と秘密のヨーガ』2006年)。漢字の「神」はツクりの「申」が稲妻を表す。闇を切り裂く雷光を神の威力と見ることは我々にとっても自然だ。「申」が「もうす」という意味に変わったため、お供えを置く高い台を表す「示」(示偏〈しめすへん〉)を添えて「神」という文字ができた(第3回 自然に宿る神(1) | 親子で学ぼう!漢字の成り立ち)。

 キリスト教は砂漠から生まれたが、日本人は豊かな自然に恵まれている。彼らは過酷な環境を憎み支配の対象としたが、我々は大自然と共生しながら大地と海の恵みに感謝を捧げた。一神教と多神教を分けるのは環境要因なのだろう。

キリスト教における訳語としての「神」

 フランシスコ・ザビエルは当初、ゴッドを「大日」と約し、その後「デウス」に変えた(日本のカトリックにおけるデウス)。「キリスト教は、聖書に基づく人間観、世界観、実在観を教義として整備していくために、主にプラトンとアリストテレスの哲学を摂取して利用した 」(キリスト教54~プラトンとアリストテレス - ほそかわ・かずひこの BLOG)。それゆえ「大日」との訳はそれほど見当違いであったわけではない。大日とは仏教におけるイデア思想であろう。

 日本人からすれば一神教(=アブラハムの宗教)は異形の宗教である。

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