2015-05-31

日本の近代史を学ぶ


     ・キリスト教を知るための書籍
     ・宗教とは何か?
     ・ブッダの教えを学ぶ
     ・悟りとは
     ・物語の本質
     ・権威を知るための書籍
     ・情報とアルゴリズム
     ・世界史の教科書
     ・日本の近代史を学ぶ
     ・虐待と知的障害&発達障害に関する書籍
     ・時間論
     ・身体革命
     ・ミステリ&SF
     ・必読書リスト

・『「戦争と平和」の世界史 日本人が学ぶべきリアリズム』茂木誠
『敗者の条件』会田雄次
『お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が古代~現代にガサ入れ』大村大次郎
『国民の歴史』西尾幹二
『国家の品格』藤原正彦
『お江戸でござる』杉浦日向子
狗賓(ぐひん)童子の島
『戦国日本と大航海時代 秀吉・家康・政宗の外交戦略』平川新
『日本の知恵 ヨーロッパの知恵』松原久子
『驕れる白人と闘うための日本近代史』松原久子
『日本人の誇り』藤原正彦
自由と民主主義をもうやめる (幻冬舎新書)
『鉄砲を捨てた日本人 日本史に学ぶ軍縮』ノエル・ペリン
『逝きし世の面影』渡辺京二
シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)

『お金で読み解く明治維新 薩摩、長州の倒幕資金のひみつ』大村大次郎
『幕末外交と開国』加藤祐三
『現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記』久米邦武
『福翁自伝』福澤諭吉
『氷川清話』勝海舟:江藤淳、松浦玲編
武士の娘 (ちくま文庫)武士の娘 日米の架け橋となった鉞子とフローレンス (講談社+α文庫)
『武家の女性』山川菊栄
『乃木大将と日本人』スタンレー・ウォシュバン
『ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書』石光真人
『守城の人 明治人柴五郎大将の生涯』村上兵衛
『北京燃ゆ 義和団事変とモリソン』ウッドハウス暎子
『日露戦争を演出した男 モリソン』ウッドハウス暎子
『きけ わだつみのこえ 日本戦没学生の手記』日本戦没学生記念会編
『国民の遺書 「泣かずにほめて下さい」靖國の言乃葉100選』小林よしのり責任編集
『大空のサムライ』坂井三郎
『父、坂井三郎 「大空のサムライ」が娘に遺した生き方』坂井スマート道子
『今日われ生きてあり』神坂次郎
『月光の夏』毛利恒之
『神風』ベルナール・ミロー
『高貴なる敗北 日本史の悲劇の英雄たち』アイヴァン・モリス
『英霊の絶叫 玉砕島アンガウル戦記』舩坂弘
証言 台湾高砂義勇隊
『アーロン収容所 西欧ヒューマニズムの限界』会田雄次
『F機関 アジア解放を夢みた特務機関長の手記』藤原岩市
黎明の世紀―大東亜会議とその主役たち 革命家チャンドラ・ボース―祖国解放に燃えた英雄の生涯 (光人社NF文庫)
『日本のいちばん長い日 決定版』半藤一利
『機関銃下の首相官邸 二・二六事件から終戦まで』迫水久恒
『アメリカの鏡・日本 完全版』ヘレン・ミアーズ
東京裁判とその後 - ある平和家の回想 (中公文庫)東京裁判―フランス人判事の無罪論 (文春新書)
『パール判事の日本無罪論』田中正明

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論パール博士「平和の宣言」共同研究 パル判決書(上) (講談社学術文庫)共同研究 パル判決書(下) (講談社学術文庫)
・『東京裁判 全訳 パール判決書
『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』早瀬利之
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』増田俊也
『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』堀栄三
『消えたヤルタ密約緊急電 情報士官・小野寺信の孤独な戦い』岡部伸
『昭和陸軍謀略秘史』岩畔豪雄
『世界が語る大東亜戦争と東京裁判 アジア・西欧諸国の指導者・識者たちの名言集』吉本貞昭
世界がさばく東京裁判閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)GHQ焚書図書開封1: 米占領軍に消された戦前の日本 (徳間文庫カレッジ に 1-1)
『國破れて マッカーサー』西鋭夫
『日本永久占領 日米関係、隠された真実』片岡鉄哉
『日米・開戦の悲劇 誰が第二次大戦を招いたのか』ハミルトン・フィッシュ
『二世兵士 激戦の記録 日系アメリカ人の第二次大戦』柳田由紀子
『シベリア抑留 日本人はどんな目に遭ったのか』長勢了治
『日本の戦争Q&A 兵頭二十八軍学塾』兵頭二十八
『「日本国憲法」廃棄論 まがいものでない立憲君主制のために』兵頭二十八
『日本の秘密』副島隆彦
『大東亜戦争肯定論』林房雄
『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』加瀬英明
日本人として知っておきたい外交の授業
『封印の昭和史 [戦後五〇年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一
『日本国民に告ぐ 誇りなき国家は滅亡する』小室直樹
・『インテリジェンス戦争の時代 情報革命への挑戦』藤原肇
『日本の敗因 歴史は勝つために学ぶ』小室直樹
あの戦争になぜ負けたのか (文春新書)
『われ巣鴨に出頭せず 近衛文麿と天皇』工藤美代子
『大東亜戦争とスターリンの謀略 戦争と共産主義』三田村武夫
『日本人が知らない最先端の「世界史」』福井義高
『昭和の精神史』竹山道雄
『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII』竹山道雄:平川祐弘編
『ビルマの竪琴』竹山道雄
『みじかい命』竹山道雄
『歴史的意識について』竹山道雄
『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『人種差別から読み解く大東亜戦争』岩田温
『植民地残酷物語 白人優越意識を解き明かす』山口洋一
『敗戦への三つの〈思いこみ〉 外交官が描く実像』山口洋一
『腑抜けになったか日本人 日本大使が描く戦後体制脱却への道筋』山口洋一
『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介
『戦後史の正体 1945-2012』孫崎享
『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『ゴーマニズム宣言SPECIAL 天皇論』小林よしのり
日本人としてこれだけは知っておきたいこと (PHP新書)保守も知らない靖国神社 (ベスト新書)
『日本の敵 グローバリズムの正体』渡部昇一、馬渕睦夫
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘
よくわかる慰安婦問題 (草思社文庫)ヤクザと妓生が作った大韓民国 ~日韓戦後裏面史
『戦国日本と大航海時代 秀吉・家康・政宗の外交戦略』平川新
『陸奥宗光とその時代』岡崎久彦
『陸奥宗光』岡崎久彦
『小村寿太郎とその時代』岡崎久彦
『幣原喜重郎とその時代』岡崎久彦
『重光・東郷とその時代』岡崎久彦
『吉田茂とその時代 敗戦とは』岡崎久彦
『米国の日本占領政策 戦後日本の設計図』五百旗頭真
『武士道』新渡戸稲造:矢内原忠雄訳
『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』伊藤祐靖
『昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃』中川右介
『自衛隊「影の部隊」 三島由紀夫を殺した真実の告白』山本舜勝
『三島由紀夫と「天皇」』小室直樹
『田中清玄自伝』田中清玄、大須賀瑞夫
『陸軍80年 明治建軍から解体まで(皇軍の崩壊 改題)』大谷敬二郎
・『二・二六帝都兵乱 軍事的視点から全面的に見直す』藤井非三四
『徳富蘇峰終戦後日記 『頑蘇夢物語』』徳富蘇峰
『日本人と戦争 歴史としての戦争体験』大濱徹也
『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か』倉前盛通
『新・悪の論理』倉前盛通
『悪の運命学 ひとを動かし、自分を律する強者のシナリオ』倉前盛通
『さらば群青 回想は逆光の中にあり』野村秋介

2015-05-27

浜島書店編集部、杉浦日向子、他


 7冊挫折、2冊読了。

月と篝火』パヴェーゼ:河島英昭訳(岩波文庫、2014年)/文章が馴染めず。どうも頭に入ってこない。

生命とは何か 物理的にみた生細胞』シュレーディンガー:岡小天〈おか・しょうてん〉、鎮目恭夫〈しずめ・やすお〉訳(岩波新書、1951年/岩波文庫、2008年)/二度目の挫折。必要があってエントロピーの章だけ読む。

クリスマスに少女は還る』キャロル・オコンネル:務台夏子〈むたい・なつこ〉訳(創元推理文庫、1999年)/務台夏子は『鳥 デュ・モーリア傑作集』を翻訳している。ひょっとすると加齢のため私の頭が悪くなっているのかもしれない。文章が全く頭に入らず。創元推理文庫は活字が悪くてびっくりした。

吊るされた女』キャロル・オコンネル:務台夏子〈むたい・なつこ〉訳(創元推理文庫、2012年)/それにしてもフォントが酷い。昔の講談社文庫みたいだ。創元推理文庫はしばらく避けることにしよう。

マネーの進化史』ニーアル・ファーガソン:仙名紀〈せんな・おさむ〉訳(早川書房、2009年)/中ほどでやめる。宋鴻兵〈ソン・ホンビン〉を軽く嘲笑っている。ドイツのハイパーインフレの件(くだり)で不当な賠償額に対する言及がないのは明らかにおかしい。文章が巧いインチキ野郎と判断した。ジョン・グレイと同じ匂いを感じる。

「声」の秘密』アン・カープ:梶山あゆみ訳(草思社、2008年)/出だしは快調なのだが話が中々進まない。興味深い記述も多いが根拠が示されず。結局、ジャーナリストということなのだろう。科学本ではない。思わせぶりな文章が並ぶだけで実がない。

科学哲学』ドミニック・ルクール:沢崎壮宏〈さわざき・たけひろ〉、竹中利彦、三宅岳史〈みやけ・たけし〉訳(文庫クセジュ、2005年)/「訳者あとがき」で嫌な予感がした。2~3行置きに「その」が出てくる。白水社という企業は原稿チェックをしないのか? 本文も気取った文章で内容が乏しい。

 55冊目『お江戸でござる』杉浦日向子〈すぎうら・ひなこ〉監修、深笛義也〈ふかぶえ・よしなり〉構成(新潮文庫、2006年/ワニブックス、2003年『お江戸でござる 現代に活かしたい江戸の知恵』改題)/上の本が読めなかったのは本書のせいである。まあ面白かった。小うるさい私から見て、一つの瑕疵(かし)もない傑作だ。読むだけで心が豊かになる。高島俊男の『漢字雑談』で紹介されていた一冊。こいつあ必読書ですな。文庫から深笛の名が消えたのはエロ小説を書いているためか。

 56冊目『ニューステージ世界史詳覧』浜島書店編集部(浜島書店、1997年/改訂版、2012年)/もちろん読み終えていない。これは凄い。とにかく凄い。「他の出版社は何をやっているんだ?」と思うほど凄い。一家に一冊、いや一人一冊必携といってよい。1000円以下の値段でこれほどの本が作れる事実に感嘆せざるを得ない。開いた瞬間からシナプスが発火しっ放し。こちらも必読書

2015-05-23

FRB利上げの行方


 6月利上げの観測は後退した。影響が大きいだけに日本の官僚みたいな言葉づかいが目につく。今のところ「口先だけ」のレベルで上げるとも上げないとも言っていない情況が続く。

 各所のニュースもデタラメ振りが目立つ。

 ロイターは見出しで「米FRB議長、年内利上げ強く示唆 景気先行きに自信」(5月23日)と謳っているが、イエレン議長の発言は「景気回復が想定通り継続すれば、年内のいずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き上げを開始することが適切になると予想している」というもの。

「当局者は先月、労働市場のさらなる改善が確認され、インフレ率が中期的に2%の目標に戻っていくとの『合理的な確信』を持てれば、利上げに踏み切る意向であることを重ねて表明した」とブルームバーグの記事(5月21日)は「条件付き」。3月の「年内にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げが正当化されるような状況になると私はみている」というイエレン発言からはかなり後退している。

「年初来のドル円相場のレンジは115.85円から122.04の5%強の間に収まっている」(佐々木融)。過去25年間で最小レンジは2006年の10%というのだから極小レンジといってよい。

「米金融政策の行方について不透明感が高まっている。政策の正常化、利上げ開始の看板は掲げ続けるが、実際の行動に移れるかが定かではなくなっている」(鈴木敏之)との指摘が一番ピンと来る。

 通常、利上げを行うとその国の通貨は買われる傾向が強い。つまり9月にFRBが利上げをすれば更なるドル高に向かうと考えられる。しかも日本がゼロ金利を続けるとなれば長期的なドル高円安を目指す。

 現在のドル高をアメリカが容認しているのは原油安でカバーできているためだ。クルマ社会のアメリカでは原油価格が経済に直結する。

 米国債2年ものの金利に目立った上昇はない。



 これから中国の元が強くなる(ソロス氏:中国経済の衰退が悲劇を招く)ことを想定すれば、ドルが強くなるとは思えない。むしろ紙くず同然になると予想すべきだろう。

2015-05-22

【仏教】ブッダ(釈迦)の歴史とその教え


ブッダが誕生した土地、インド
なぜブッダは悟りを求めたのか
・ブッダ(釈迦)の歴史とその教え

【仏教】なぜブッダは悟りを求めたのか


ブッダが誕生した土地、インド
・なぜブッダは悟りを求めたのか
ブッダ(釈迦)の歴史とその教え

【仏教】ブッダが誕生した土地、インド


・ブッダが誕生した土地、インド
なぜブッダは悟りを求めたのか
ブッダ(釈迦)の歴史とその教え

アレン・フランセス、高島俊男、佐藤光展


 3冊挫折。

精神医療ダークサイド』佐藤光展〈さとう・みつのぶ〉(講談社現代新書、2013年)/表紙に小さく「読売新聞東京本社 医療部記者」とある。精神医療よりもジャーナリズムのダークサイドを明らかにすべき立場ではないのか。新聞記者というだけで限界を感じてしまう。殆ど読まず。

漢字雑談』高島俊男(講談社現代新書、2013年)/相変わらず性格が悪い。国語大辞典の類いの間違いをズバズバ指摘する博覧強記の人物。微に入り細を穿(うが)ちすぎてついてゆけず。「害」は危害を加える、害虫などと使う語であるゆえ、「さまたげ」の意である障碍(しょうがい)とすべし、と。初めて知った。尚、碍は礙の略字。これが仏教だと悟りを妨げる言葉となり「しょうげ」と読む。

〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス:大野裕〈おおの・ゆたか〉監修、青木創〈あおき・はじめ〉訳(講談社、2013年)/期せずして講談社が並んだ。これはオススメ。ただ単に私の興味がついてゆけなかっただけの話。著者はDSM-IVの作成委員長を務めた人物。DSMは聞いたことのある人も多いと思うが、精神疾患を判断する際の国際基準である。「DSM-5は診断のインフレをハイパーインフレにする危険性がある」との主張を展開している。精神医療の歴史にも触れていて親切。文章も闊達。

2015-05-21

ジェフリー・ディーヴァー、ジョン・ハート


 1冊挫折、1冊読了。

川は静かに流れ』ジョン・ハート:東野さやか訳(ハヤカワ文庫、2009年)/「それから僕から川へと視線を転じると」(14ページ)でやめる。東野訳は今後敬遠するつもりだ。

 54冊目『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2012年)/リンカーン・ライム・シリーズの第9作。犯人は送電線を自由自在に操って不特定多数の人々を殺傷する。いわば電力テロ。同時進行でウォッチメーカーを巡るメキシコの捜査が展開される。9作目ともなると少々パターンが鼻についてくるわけだが、最後であっと驚く大どんでん返しがある。ただし、ちょっとずるいと思う。「いくら何でも」という思いを払拭できない。とは言ってもファンの期待を裏切らない作品に仕上げているのはさすが。

ソロス氏:中国経済の衰退が悲劇を招く


人民元はSDR構成通貨に、時期不明=IMF専務理事
・ソロス氏:中国経済の衰退が悲劇を招く
ソロス氏、米国に「対中譲歩」を呼び掛け、ネットユーザーが動機を疑う

 北京時間20日の情報によると、資産家のジョージ・ソロス氏は19日、中米両国は経済協力を強化し、第3次世界大戦が発生する可能性を減らさねばならないと語った。

 ソロス氏は世界銀行ブレトンウッズ会議の席上で、米国には大きな譲歩が必要であり、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR通貨バスケット)に中国の人民元を加えることを許すことで、中国も経済改革を強化するよう呼びかけた。

 ソロス氏によると、もし中国経済が衰退期に入れば、第3次世界大戦が起こる可能性があるといっても過言ではないと言う。

 同氏によると、中米間の合意達成は難しい。だが合意がなければ、中国は政治的軍事的にロシアと連盟を結成し、更に世界大戦の脅威が増す。これを回避するため、努力する必要があるという。

新華ニュース 2015-05-20

人民元はSDR構成通貨に、時期不明=IMF専務理事」と併せて考えると、基軸通貨がドルから元に変わる大きな潮目となる可能性がある。

2015-05-18

宮城谷昌光


 1冊読了。

 53冊目『他者が他者であること』宮城谷昌光(文藝春秋、2009年/文春文庫、2015年)/文庫化された。私は宮城谷の長篇は好むが、短篇やエッセイはそうでもない。カメラに関する部分は飛ばし読み。やはり創作にまつわるエピソードが面白い。中国古代史を想像力で補う作業の辛労が窺える。売れなかった時代に孤独の中で文体を模索したという。人気作家となった現在でも名文の書写を行っているそうだ。努力には終点がない。

2015-05-15

宮城谷昌光、ケン・フィッシャー、田嶋智太郎、三木成夫


 3冊挫折、2冊読了。

内臓とこころ』三木成夫〈みき・しげお〉(河出文庫、2013年/築地書館、1982年『内臓のはたらきと子どものこころ』改題)/話し言葉が肌に合わず。名著『胎児の世界 人類の生命記憶』を読んだのは四半世紀以上も前のこと。

きっちり儲けたい人のFXチャートの鉄人 必勝分析術』田嶋智太郎〈たじま・ともたろう〉(西東社、2010年)/初心者向けとしては良書。チャートは概念である。その意味で厳密さを求めるamazonレビューは誤っている。

チャートで見る株式市場200年の歴史』ケン・フィッシャー:長尾慎太郎監修、井田京子訳(パンローリング、2010年)/読む人を選ぶ本だ。タイトルに難あり。株式だけではなく米国経済を中心とした各種様々なチャートを網羅している。例えば「電力業界の売上とGNP」「GNPの割合で見た国防予算」「小麦の収穫面積で見る9.6年サイクル」など。チャートという時空が激しく脳を揺さぶる。これははっきり言って紙媒体ではなく、インターネットで行うべき仕事であると感じた。書籍代4104円を年会費とすればいくらでも需要があると思う。

 51、52冊目『天空の舟 小説・伊尹伝(上)』『天空の舟 小説・伊尹伝(下)』宮城谷昌光(海越出版社、1990年/文春文庫、1993年)/夏(か)の桀王と商の湯王の物語でもある。読み終えてから気づいたのだが関龍逢は竜蓬と同一人物だった。三顧の礼は孔明ではなく、伊尹に対して湯王が行ったのを嚆矢(こうし)とする。少々カタルシスが劣るのは時代の重力が強いためだ。「車」というイノベーションが見事に描かれている。

2015-05-14

デイヴィッド・マレル


 1冊読了。

 50冊目『石の結社』デイヴィッド・マレル:山本光伸訳(光文社、1987年/光文社文庫、1989年)/読んだのは三度目か。エピソード小説。過去の物語である。カットバックの多用が裏目に出ている。現在が中々進行しない。『ランボー』シリーズでは禅に筆の冴えを見せたマレルが、本書ではキリスト教の裏面史を綴る。「石の結社」とは「聖なるテロ」の実行部隊であった。十字軍の歴史を交えながら、ドルーは復讐の鬼と化す。出来は『ブラック・プリンス』の方がはるかに上だ。

2015-05-12

人民元はSDR構成通貨に、時期不明=IMF専務理事


 ・人民元はSDR構成通貨に、時期不明=IMF専務理事

ソロス氏:中国経済の衰退が悲劇を招く
ソロス氏、米国に「対中譲歩」を呼び掛け、ネットユーザーが動機を疑う中国人民元をSDR構成通貨に採用、IMF理事会が承認

[上海 20日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は20日、訪問先の上海で、人民元が将来的に、IMFの特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用されるとの見解を示した。

 専務理事は復旦大学での講演後の質疑応答で、「採用されるかどうかの問題ではなく、いつ実現するかという問題だ」と述べた。「依然として多くの作業が必要とされており、これは誰もが認識していることだ」とした。

 IMFは今年中に5年ごとのSDR構成通貨の見直しを行う予定で、人民元の採用を決定する可能性があるとの見方が浮上している。SDRは現在、ドル、円、ポンド、ユーロの4通貨のバスケットで構成されている。

 ラガルド氏はまた、中国の目下の最大の課題は、先進国入りを前に成長が停滞する「中所得国のわな」を回避することだと指摘。経済成長のペースを落とし、質を高めるよう求めた。

 中国の昨年の経済成長率は7.4%と、24年ぶりの低水準に鈍化。IMFは今年は6.8%にさらに鈍化すると予想している。中国政府は7.0%の目標を掲げている。

ロイター 2015-03-21

人民元はIMFのSDRに採用されるのか

佐藤優、手嶋龍一


 1冊読了。

 49冊目『動乱のインテリジェンス』佐藤優、手嶋龍一(新潮新書、2012年)/国際情勢、国内政治を読み解く巧者はこの二人がやはり筆頭株か。沖縄を巡る問題や、鳩山由紀夫のイラン外交失敗がよくわかる。また手嶋龍一の言葉に対する類稀なセンスが光る。ただし「反東京裁判史観」(手嶋)という言葉づかいに二人の性根が透けて見える。テクニカルな点については詳細に及んでいるが、やはり菅沼光弘のような国士とは思えない。双方とも自分のことを時折「僕」と言うあたりに親密さが窺える。

2015-05-11

無神論者/『世界の[宗教と戦争]講座 生き方の原理が異なると、なぜ争いを生むのか』井沢元彦


 たとえ本人が「自分は無神論者」であると言っていても、無神論者であるということ自体、宗教の影響を受けているのです。無神論ということの前提には、まず神があるかないかという問いがあるからです。
 そこから発展しているのですから、宗教を無視して人間を語れないのです。

【『世界の[宗教と戦争]講座 生き方の原理が異なると、なぜ争いを生むのか』井沢元彦(徳間書店、2001年/徳間文庫、2003年/決定版、2011年)】

 世界は宗教に覆われている。この事実が日本人の頭から抜け落ちている。しかもその宗教とはアブラハムの宗教であり、一神教を意味する。

 科学の歴史を見ても宗教を避けて通ることはできない。もともと学問自体が教会のもとで発達してきた。文字を読めることができたのも教会関係者であり、書籍を蔵していたのも教会であった。女性が学べなかったのも当然である。

 科学史をひもとけば嫌でもキリスト教の影響に気づかざるを得ない。私が腰を据えてキリスト教と取り組んだのは40代になってからのこと。40~50冊ほど読んだあたりで何となくつかめてきた(キリスト教を知るための書籍)。

 いくばくかの知識が身につくと小説や映画の風景がガラリと変わる。

エスピオナージュに見せかけた「神の物語」/『木曜の男』G・K・チェスタトン
妊娠中絶に反対するアメリカのキリスト教原理主義者/『守護者(キーパー)』グレッグ・ルッカ

 ハリウッド映画によく見られる洪水シーンは「大洪水」の暗喩であり、ノアの方舟を連想させる仕掛けだ。キリスト者にとっては「世界の終焉」を象徴している。

 宗教という「物語性」と神の「論理」を弁えておかなければ外交や友好に支障を来すのも当然である。その上で天皇という物語や、アニミズムという論理を日本から発信してゆくべきだろう。

<決定版>世界の[宗教と戦争]講座 (徳間文庫)
井沢元彦
徳間書店 (2011-10-07)
売り上げランキング: 335,780

真の無神論者/『ブッダは歩むブッダは語る ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う』友岡雅弥

2015-05-10

養老孟司


 1冊読了。

 48冊目『考えるヒト』養老孟司〈ようろう・たけし〉(ちくまプリマーブックス、1996年)/1996年の時点で情報系というテーマを提示している。養老は「中村桂子氏との話し合いで教えられた」とあとがきに記している。『「私」はなぜ存在するか 脳・免疫・ゲノム』だろうか。養老の著作の中では比較的あっさりした内容。『解剖学教室へようこそ』の続編であり、基本的には『唯脳論』の解説であると本人は位置づける。

限られた資源をめぐる競争/『複雑で単純な世界 不確実なできごとを複雑系で予測する』ニール・ジョンソン


『歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』マーク・ブキャナン

 ・限られた資源をめぐる競争

 現実世界に見られる複雑性は、多くの場合、系の構成要素が限られた資源――たとえば、食べ物、空間(スペース)、エネルギー、権力、富――をめぐって互いに競争を繰り広げているという状況がその核心をなしている。このような状況では、群集の出現が非常に重要な実際的影響を及ぼすことがある。金融市場や住宅市場を例にとると、手持ちの金融商品や物件を売りたい群集――彼らは互いに買い手を求めて競争している――が自然に形成されると、暴落につながって市場価格が短期間のうちに劇的に下がってしまうことがある。同じような群集現象は、同じ時間帯に通る道路上の空間をめぐって競争している車通勤者たちでも生じる。その結果が交通渋滞で、これは市場の暴落の道路交通版なのだ。このほかの例としては、インターネットにおける過負荷、停電をあげることができる。前者は利用者のアクセスが一時に集中したために特定のコンピューター・システムが使えなくなった状況だし、後者もやはり電気の利用が一時的に集中して、電力網による供給が追いつかなくなった状況なのである。戦争やテロさえも、異なる勢力どうしの暴力的な集団行動であり、同じ資源(たとえば、土地や領土や政治的権力)の支配をめぐって競争が繰り広げられていると見なせる。

 複雑性科学の究極の目標は、こうした創発現象――とりわけ重要なのは、恐ろしい結果をもたらしかねない市場の暴落、交通渋滞、感染症の世界的流行、癌をはじめとする病気、武力衝突、環境変化など――を理解し、その予測と制御を行なうことである。これらの創発現象の予測は可能なのだろうか。それとも、これらの現象は何の前触れもなく、どこからともなく姿を現わすのだろうか。さらに、いったん生じてしまったとき、われわれはその現象を制御したり操作したりできるのだろうか。

【『複雑で単純な世界 不確実なできごとを複雑系で予測する』ニール・ジョンソン:阪本芳久訳(インターシフト、2011年)】

 1+1が2+αというよりは、2xになるような事象を創発という。「がらくた置き場の上を竜巻が通過し、その中の物質からボーイング747が組み立てられる」(フレッド・ホイル)確率と似ている。分子を並べただけでDNAはできないし、同じ数の細胞を並べただけで人体とはならない。創発という概念は自己組織化散逸構造非線形科学などとセットになっている。

 生命も宇宙も熱力学第二法則に従う。エントロピーは増大するのだ。コーヒーの中に落としたミルクは拡散し、風呂の湯は必ず冷める。逆はあり得ない。時間の矢は過去から未来へ向かう。やがて人は死に、宇宙も死ぬ。分子は乱雑さを増し、一切が平均化してゆく。

 群集現象による創発は人文字を思えばよい。一人ひとりは色のついたパネルをめくっているだけだが、全体で見ると文字や絵が浮かぶ。先に書いた1+1=2xがおわかりいただけるだろう。

 交通渋滞と戦争やテロを同列に見なす視点が鋭い。特定秘密保護法や集団的自衛権に関する安倍政権批判は相変わらず「古い物語」を踏襲していて、平和を賛美する叙情的な文学のようにしか見えない。中華思想に弾圧されるチベットやウイグルの問題を正面から見据えれば、武力の裏づけを欠いた外交が実を結ぶとは思えない。戦争もできないような国家は国家たり得ない。そんな当たり前のことがこの国では忘れられているのだ。拉致問題が進展しないのも憲法の縛りがあるためだ。

 戦争はない方がいいに決まっている。だからといって反戦・平和を叫べばそれで済むというものではない。人類は数千年にわたって戦争を行ってきたわけだから、まず戦争は起こるという前提で考えるべきだろう。そして戦争に至る要因や条件を科学的に検証することで、戦争回避の手立てが見えてくるに違いない。

 複雑系科学は仏教の縁起を立証しているようで実に面白い。阪本芳久が訳した作品は外れが少ない。

複雑で単純な世界: 不確実なできごとを複雑系で予測する

2015-05-08

ロバート・B・パーカー、岡檀


 2冊読了。

 46冊目『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』岡檀〈おか・まゆみ〉(講談社、2013年)/数日前に読了。書くのを忘れていた。檀という名前を初めて見たが、意味は真弓と同じ。樹木の名である。期待が大きかっただけに辛口とならざるを得ない。正確な所感を記そう。悪くない。それだけである。徳島県旧海部町(かいふちょう)(現海陽町)は島部を除くと日本で最も自殺率が低い地域とのこと。岡は大学院生として4年間にわたる調査を行った。読み物としてつまらなくなっているのは、論文から派生した作品であるためだ。論文の書き方に触れることで結果的にテーマがぼやけてしまっている。実際の調査から導かれた岡の結論は実に素晴らしいものだ。しかし知識不足を否めない。写真を見る限りではそれほど若くは見えない。自殺の原因は統計では病苦となっているが実際は経済苦が一番多い(『自殺死体の叫び』上野正彦)。また日本人に自殺が多いのは世間という枠組みから考える必要がある。岡には養老孟司の『人間科学』(文庫版は『養老孟司の人間科学講義』)を読むことを勧めておこう。本書だけでは単なるレポートで終わってしまう。思想的、社会科学的に高めてもらいたい。

 47冊目『悪党』ロバート・B・パーカー:菊池光〈きくち・みつ〉訳(早川書房、1997年/ハヤカワ文庫、2004年)/まあ菊池の訳が酷い。とにかく酷いよ。誰も注意する人がいないのかね? 亡くなったことだし、いっそのこと全部新訳にしてはどうかと本気で思う。スペンサー・シリーズ第24作。amazonでの評価は高いがどこがいいのか? 理解に苦しむ。大体、命を狙われていることを知りながら、ジョギングに出かける設定がおかしい。スペンサーは瀕死の重傷を負う。車椅子で退院し、リハビリに1年を要した。スーザンの魅力もとっくに色褪せている。ま、ミステリ界のサザエさんと思うしかないだろう。スペンサー・シリーズは殆ど読んでいるが一番面白くなかった。

スコット・パタースン、パブロ・ネルーダ、クララ・ホイットニー


 2冊挫折、1冊読了。

勝海舟の嫁 クララの明治日記(上)』クララ・ホイットニー:一又民子〈いちまた・たみこ〉、高野フミ、岩原明子、小林ひろみ訳(講談社、1976年/増補・訂正版、中公文庫、1996年)/満を持して臨んだが150ページで挫ける。クララは明治8年(1875年)にアメリカから来日した。当時14歳。後に勝海舟の妾腹・梅太郎に嫁ぐ。梅太郎の生母は梶くま。くまの逝去後、梅太郎は勝家の三男として東京で育てられるが長じて梶姓を継ぐ。勝海舟には青い目をした6人の孫がいた。クララは曇りなき瞳で生き生きと明治の日本を綴る。取り立てて黄色人種を見下す視線もない。しかしながら宗教差別が凄まじい。キリスト教に洗脳された14歳としか見えない。福澤諭吉などの大物が次々と登場する。一級の資料といってよい。尚、勝海舟の部分だけであれば、下田ひとみ著『勝海舟とキリスト教』で間に合いそうだ。

ネルーダ回想録 わが生涯の告白』パブロ・ネルーダ:本川誠二〈ほんかわ・せいじ〉訳(三笠書房、1976年)/飛ばし読み。さすがに文章が素晴らしい。来日していたとは知らなかった。若きカストロやゲバラとの出会いが目を惹く。時代を吹き渡った社会主義旋風にいささか違和感を抱く。各章の合間に挿入された詩が美しい。

 45冊目『ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち』スコット・パタースン:永峯涼〈ながみね・りょう〉訳(角川書店、2010年)/著者はウォールストリート・ジャーナルの記者でこれがデビュー作。こなれた文章が秀逸で訳も素晴らしい。クオンツと呼ばれる天才数学者たちがサブプライム・ショック、リーマン・ショックで金融を崩壊させるまでをドラマチックに描く。個人的にはアーロン・ブラウンの登場にびっくりした。CDSの事情についても詳しく触れている。

2015-05-06

戦争まみれのヨーロッパ史/『戦争と資本主義』ヴェルナー・ゾンバルト


 近代資本主義の始めを考察し、それを誕生させた外的なもろもろの状況を思い浮かべるとき、十字軍の戦いからナポレオン戦争にいたるまでくりひろげられた永遠の係争と戦争に注目しないわけにはいかないであろう。イタリアとスペインの両軍は、中世後期には唯一の軍隊であった。英仏両国は14世紀から15世紀にかけての100年間にわたって戦った。ヨーロッパにおいて戦争がなかった年は、16世紀においては25年間、17世紀においてはただの21年にすぎなかった。したがって、この200年間に戦争があった年は、154年になる。オランダの場合、1568年から1648年までの間、80年が、そして1652年から1713年までの間は、36年が、戦争の年であった。145年のうち116年は、戦争の年であったわけだ。そしてついに、相次ぐ革命戦争の中で、ヨーロッパの民衆は、最終的な巨大な衝撃を体験する。ところで、そのさい戦争と資本主義との間になんらかの関連があるに違いなかったことは、ちょっと考えただけでも、確実だと思われる。

【『戦争と資本主義』ヴェルナー・ゾンバルト:金森誠也〈かなもり・しげなり〉訳(論創社、1996年/講談社学術文庫、2010年)以下同】

 原著刊行は1913年。第一次世界大戦が翌年に始まる。ヨーロッパの歴史は戦争の歴史であった。第1回十字軍(1096–1099)からナポレオン戦争(1803-1815) までは約700年を要する。ゾンバルトが触れているのはヨーロッパ中世盛期から近世に至るまでであるが、それ以前はゲルマン民族の大移動を中心とする民族移動時代で、これまた戦争・紛争の時代といってよい。

 環境史(『環境と文明の世界史 人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』石弘之、安田喜憲、湯浅赳男)では寒冷化を戦争要因として挙げるが、ヨーロッパ史を動かしてきたのはキリスト教であり、宗教戦争の色合いが強い。三十年戦争(1618-1648)が終わるとドイツの人口は「1800万から700万に減ったという」(世界史講義録 第65回 ドイツの混迷・三十年戦争)。

世界の主な戦争及び大規模武力紛争による犠牲者数

 しかし、それでもなおかつ【戦争がなければ、そもそも資本主義は存在しなかった】。戦争は資本主義の組織をたんに破壊し、資本主義の発展をたんに阻んだばかりではない。それと同時に戦争は資本主義の発展を促進した。いやそればかりか――戦争はその発展をはじめて可能にした。それというのも、すべての資本主義が結びついているもっとも重要な条件が、戦争によってはじめて充足されたからである。
 とりわけわたしは、16世紀と18世紀の間にヨーロッパで進行した資本主義的組織の独自の発展の前提となった国家の形成について考えている。とくに説明する必要はないが、近代国家はひたすら軍備によってつくられた。それは近代国家の外面、国境線、またそれに劣らず内部の構成についてもいえることだ。行政、財政は、近代的意味において、戦争という課題を直接果たすことによって発展した。16世紀以降の数世紀においては国家主義、国庫優先主義、軍国主義は、まったく同一であった。なんぴとも熟知しているように、植民地は大勢の人々の血を流した戦闘によって征服され、防衛された。中近東のイタリアの植民地から始まってイギリスの大植民地にいたるまで、植民地は他国民を武力で駆逐することによって獲得された。

 戦争が莫大な需要を喚起した。カネがなければ戦争はできない。そして鉄と弾薬が工業を発展させる。

 間断なき戦争を遂行しながらヨーロッパは魔女狩りを同時に行った。帝国主義以降はアフリカ黒人を奴隷にし、アメリカ大陸でインディアンを大量虐殺する。

 思い切りのよい人殺しを可能にしたのは「正義」という病であった。病気をもたらしたのはもちろんキリスト教だ。「異民族は皆殺しにせよ」と神は命じた(『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹)。

 もともとヨーロッパの植民地であった北米は第二次世界大戦を経て世界に君臨し、その後「経済政策としての戦争」を推し進める。戦争はインフラを破壊し(スクラップ)、再構築(ビルド)することで投資と雇用機会を生む。

 ヴェルナー・ゾンバルトマックス・ウェーバーと並び称される経済史家だが明らかに了見が狭い。戦争が資本主義の発達に大きな役割を果たしたことは確かだろうがそれがすべてではない。株式会社は大航海時代から誕生した(『投機学入門 市場経済の「偶然」と「必然」を計算する』山崎和邦)。また経済史という点では三大バブルも見逃せない。更に戦争経済におけるユダヤ資本の影響を考慮する必要があろう(『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵)。

戦争と資本主義 (講談社学術文庫)
ヴェルナー・ゾンバルト
講談社
売り上げランキング: 246,898

テリー・ヘイズ


 3冊読了。

 42~44冊目『ピルグリム 1 名前のない男たち』『ピルグリム 2 ダーク・ウィンター』『ピルグリム 3 遠くの敵』テリー・ヘイズ:山中朝晶〈やまなか・ともあき〉訳(ハヤカワ文庫、2014年)/2日で読了。ミステリ界に新星現る。テリー・ヘイズは脚本家で小説としてはデビュー作となる。テロもの。ドラマ『24 -TWENTY FOUR -』と同じ系統だ。9.11テロと9.11テロ後の世界。皮肉の効いた文章がいい。大河小説の趣がある。諜報員である「わたし」とテロリスト「サラセン」という2本の川が流れる。そして三つの事件が進行する。相棒のベン・ブラットリーやハッカーのバトルボイのキャラクターも際立っている。「死のささやき」と呼ばれる国家情報長官やアメリカ大統領はもう少し悪人として描いてもよかっただろう。山中訳は初めて読んだ。全体的にはいいのだが、巻頭部分で「わたし」が多すぎる。時々文章がおかしくなっているのは編集・校正の手抜きだろう。追って指摘する。『チャイルド44』トム・ロブ・スミスを超える面白さだ。

2015-05-03

オイラーは何の苦労もなく計算をし、やすやすと偉大な論文を書いた/『数学をつくった人びと I』E・T・ベル


「オイラーは、人が呼吸するように、ワシが空中に身を支えるように、はた目には何の苦労もなく計算をした」(アラゴのことば)とは、史上もっとも多産な数学者、当時《解析学の権化》と呼ばれたレオナルド・オイラーの比類ない数学的力量を語ることばとして、少しも誇張ではない。オイラーはまた、筆達者な作家が親友に手紙を書くのと同じくらいやすやすと、偉大な研究論文を書いた。その生涯の最後の17年間は、まったくの盲人であったけれども、彼の未曽有の生産能力は少しも衰えなかった。視覚の喪失は、オイラーの内部世界における認識力をかえって鋭くするだけであった。
 オイラーの仕事の量は、1936年の今日でさえも正確には知られていないが、彼の全集刊行のためには、大型四つ折り本が60冊ないし80冊いるだろうと推定されている。1909年スイス自然科学協会は、オイラーはスイスのみならず文明社会全体の遺産であるとして、全世界の個人や数学関係の団体からの経済的援助を得て、オイラーの四散した論文を集めて刊行しようと企てたことがあった。ところが、信頼性あるオイラーの原稿がペテルブルグ学士院(レニングラード)で大量に発見されたため、慎重に見積った経費の予想(1909年当時の金額で8万ドル)がみごとにひっくり返ってしまった。
 オイラーの数学的経歴は、ニュートンの死んだ年をもって始まる。オイラーのような天才にとって、これほど好都合な出発の年はなかったにちがいない。

【『数学をつくった人びと I』E・T・ベル:田中勇〈たなか・いさむ〉、銀林浩〈ぎんばやし・こう〉訳(東京図書、1997年/ハヤカワ文庫、2003年)】

レオンハルト・オイラーの偉業
愛すべき数学者オイラー、生誕300周年
天才計算術師オイラー
フェルマーの最終定理(2) 盲目の数学者オイラー

 一般的な表記は「レオンハルト・オイラー」である。「レオナルド」というのは本書で初めて知った。「Leonhard」(ドイツ語)が英語だと「Leonard」(レオナルド、レナード)になるようだ(「さらに怪しい人名辞典」を参照した)。

 E・T・ベルの名に聞き覚えのある人もいることだろう。10歳のアンドリュー・ワイズがフェルマーの最終定理を知ることになった『最後の問題』の著者だ(フェルマーの最終定理)。

『フェルマーの最終定理 ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』サイモン・シン

 我々凡人が天才の事蹟に胸躍らせるのは、彼らが真理の近くにいるためか。神の隣りに位置する彼らが神を超えるのも時間の問題だろう。もちろん彼らが神になるわけではなく、神の不在が証明されるという意味合いだ。

 天才の天才たる所以(ゆえん)は洗練されたシナプス結合にあると私は考える。これが脊髄とつながればスポーツの天才となる。才能といっても行き着くところは神経細胞のつながりに収まる。後天的な天才がいないところを見ると、幼少期に天才となる数少ないタイミングがあるのだろう。

数学をつくった人びと〈1〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)数学をつくった人びと〈2〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)数学をつくった人びと 3 (ハヤカワ文庫 NF285)

ホフマン、ジャンリーコ・カロフィーリオ、R・A・ラファティ


 3冊挫折。

昔には帰れない』R・A・ラファティ:伊藤典夫訳(ハヤカワ文庫、2012年)/「バカ」との記述が多すぎて辟易。ラファティを読むのは初めてのこと。

無意識の証人』ジャンリーコ・カロフィーリオ:石橋典子訳(文春文庫、2005年)/著者はイタリア人でマフィア担当の検事。これが初めての小説作品。主人公の一人称代名詞を「僕」としたのが失敗だと思う。そして驚くほど「僕」が多い。

砂男/クレスペル顧問官』ホフマン:大島かおり訳(光文社古典新訳文庫、2014年)/大島かおりは『モモ』を翻訳した人物。解説が素晴らしい。怪奇幻想作品らしいが、思わせぶりな書き出しについてゆけず。

2015-05-01

日米経済戦争の宣戦布告/『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年

 ・IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織
 ・日米経済戦争の宣戦布告
 ・田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った

『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 1990年代に入ってアメリカの最大の敵であったソ連邦が崩壊し、東西冷戦が終結しました。それによってアメリカの外交戦略も大きく転換することになります。このときジョージ・H・W・ブッシュ(父)政権のCIA長官だったロバート・ゲイツは、「ソ連という最大の標的がなくなったいま、CIAは何をやるのか」と議会で問われて、こう答えました。「これまでわれわれはソ連との冷戦に80%以上の能力を費やしてきたが、これからはわれわれのインテリジェンス能力の60%以上を経済戦争のために使う」と。
 ゲイツがいった経済戦争の相手はどこかといえば、これは世界第2位の経済大国にのし上がってきた日本以外にない。日本に対する日米経済戦争の宣戦布告です。
 ブッシュを破って1993年に大統領となった民主党のビル・クリントンもまた、経済政策を最優先課題に掲げて、選挙戦中に「われわれはソ連に勝って冷戦は終った。しかし本当の勝利者はわれわれではない。日本とドイツだ」と、その後の対日政策を象徴するようなことをいっています。米ソ冷戦の谷間で日本とドイツはぬくぬくと平和を享受し、アメリカに対抗できるような巨大な経済力をつくり上げてきた。その「平和の代償」はいただくよ、といったのです。

【『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘(徳間書店、2011年)】


日本にとって危険なヒラリー・クリントン」の続き。キリスト教文化圏は「始めに言葉ありき」(新約聖書「ヨハネによる福音書」)で、言外に含むところが少ない。ま、「ない」と思っていい。彼らにとっては「言葉が全て」である。こうした宗教的・文化的差異を弁えないところに日本外交の悲劇がある。

 クリントン政権の日米経済戦争は菅沼本で必ず取り上げられる。「戦争」とは勝つために手段を選ばぬことを意味する。中には殺された人もいたかもしれない。CIAは世界中で暗殺を遂行してきた。最大のテロ集団と指摘する声も多い。

 日本の経済発展は戦略に基づくものではなく漁夫の利であった。アメリカがベトナム戦争で疲弊し、公民権運動で揺れる中、日本人はひたすら働いた。アメリカが戦争を始めるたびに日本の仕事は増えた。マレーシアではマハティール首相が「ルック・イースト政策」を実施した。「日本に見倣(なら)おう」というわけだ。日本は第二次世界大戦に敗れてから奇蹟的な復興を遂げた。

 そんななかでクリントン政権は国家経済会議(NEC)を組織する。これは経済面でのアメリカの安全保障を考え、アメリカの利益を守るための器官です。その議長の席に就いたのが世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスの共同会長で、ウォール街の天才と称されたロバート・ルービンです。ルービンは後に財務長官に就任しますが、彼の下で働いていたローレンス・サマーズもルービンの後を継いで後に財務長官になり、また現在のオバマ政権で財務長官を務めているティモシー・ガイトナーもまたこのときのメンバーです。つまりNECはアメリカの経済・財務の逸材を集結して構成された機関で、それらが一丸となって対日経済戦略に乗り出してきたわけです。
 彼らは日本経済について徹底的に調べ、分析し、これに対処するための戦略を考えた。CIAもまた経済担当職員を大挙して日本に送り込み、経済だけでなく、日本の企業形態や社会の特質、文化にいたるまで、あらゆるインテリジェンスを駆使して徹底的に調べ上げた。そして到達した結論の一つが、大蔵省の存在でした。
 ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』も、実は同じことを指摘しています。この本は、なるほど日本の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価していますが、日本人が浮かれて喜ぶような本ではなく、そんな日本を野放しにしてはいけない、潰さなければいけないという警告の書でもあったのです。ヴォーゲルは、日本の経済を主導しているのは大蔵省や通産省の優秀な役人たちだと見抜いていました。





 こうしてバブル景気はあっと言う間に崩壊し、「失われた10年」がその後20年続くこととなる。この間も日本はアメリカを同盟国と信じ、安全保障を委ねてきた。お人好しというよりは馬鹿丸出しである。日本経済を牽引してきた大蔵省と経産省は解体された(中央省庁再編)。日本の国富はアメリカに奪われ続けた。

 青森県にある米軍三沢基地のエシュロンはソ連や中国の情報ではなく、日本の情報を収集するようになる。「戦争」であるがゆえにアメリカはあらゆる技術を駆使して、日本経済の破壊を目論んだ。

 アメリカは1990年代後半にITバブルに沸き、2000年代には住宅バブルとなる。そして2007年にサブプライム・ショック、翌2008年にはリーマン・ショックに見舞われ、資本主義は激しく揺れる。アメリカはマネーそのものから手痛いしっぺ返しを食らった。その後、世界は金融緩和・通貨安競争によって「100年に一度の危機」を乗り越えたかのように見える。だが、そうは問屋が卸さない。じゃぶじゃぶの緩和マネーが氾濫を起こすのはこれからだ。

この国の権力中枢を握る者は誰か
菅沼光弘
徳間書店
売り上げランキング: 133,255